組織活性化を実現する5つのステップ|SDモデル
活性化された組織をつくり上げるにあたり、どのような組織・チーム状態を目指していけばよいのでしょうか?本章では組織を活性化し、成果を生み出すためのステップとして、SDモデルを紹介します。
SDモデルは、組織が永続的にビジネス成果を生み出せる状態へと変化・成長していく過程を5つの段階で示したものです。
1.Search(自分たちの素晴らしさを発見できる)
他人と効果的な関わりを持つためには、まず自分自身のことを深く理解しておく必要があります。そのためにも、セルフコーチングなどを実施し、自己概念の表出化や自己呈示などを行うと良いでしょう。
以下のような問いに答えることで、自己理解が進みます。
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- 私を、言葉で表現するとどのように表すことができるだろうか?
- 私は、他者からどのように見られたいのだろうか?
- 私が、大切としていることや譲れないことは何だろうか?
- 私は、仕事を通して何を実現したいと思っているのか?
- 私の強みとは何だろうか?
自分自身を深く知る行為を通して、相手を知るためのポイントも明確となり、相手に対する興味・関心も生まれます。
2.Satisfaction(他者を受け入れ認め合える)
この場面では、”ワイガヤ”や”ガチ対話”が求められます。しかし、多くの職場では心理的安全性が担保されていないことから、ホンネで話すことはできません。
よって最初に「この場は何か意思決定したり、評価をしたりするのではなく、分かり合うことが目的」であると明示します。そのうえで、それぞれの思いや価値観、考え方が異なるのは当然のことと確認し、対話を通して相互理解を進めましょう。
▼心理的安全性が低いことで発生する4つの不安
無知だと思われる不安 |
業務遂行上の不明点を確認したいが、「この程度のこともわかっていないのか」と思われてしまいそうで不安になり、必要な質問ができなくなってしまう。 |
無能だと思われる不安 |
担当業務がうまく進められないときに、「こんなこともできないのか」「使えない人だ」と思われないか不安になり、ミスの報告や必要な支援要請ができなくなってしまう。 |
ネガティブだと思われる不安 |
目の前の議論を聞いていて、懸念点があるから指摘したいが「ネガティブな人だ」「否定的な発言で和が乱れる」と思われないか不安になり、反対意見が出せなくなってしまう。 |
邪魔をしていると思われる不安 |
意見があっても、「ここで発言すると、収束しかけた考えが、また発散してしまうのではないか」「皆の邪魔になってしまうのでは」と不安になり、せっかく思いついた考えが述べられなくなってしまう。また他者にフィードバックの依頼も遠慮してしまう。 |
一人ひとりが異なる存在であることを理解し、その違いを認め、受け入れあうのがポイントです。
3.Spin(個人だけでなくチームとしての夢を語れる)
この場面では、各人のビジョンを紡ぎ合わせ、組織やチームのビジョンへと昇華させていきます。
ここで作られる「チームビジョン」には、メンバー各自の思い・ビジョンが反映されているため、「我々が尊重されたチームビジョン」というとらえ方がなされます。そして、「実現に向けて共に頑張ろうという意欲」が職場に芽生えます。これが、チームビジョンの“自分ゴト化”プロセスです。
このプロセスにより、各人の能動的・主体的行動を引き出すことが可能となります。
チームビジョンを紡ぎあげるダブルループ活動
4.Design(夢を実現するための具体的な道筋を描く)
この場面では、チームビジョンの実現に向けた具体的な進め方を設計します。
合意されたチームビジョンの背景や目的、目標をチーム内で改めて共有し、実現に向けた課題などを事前に洗い出し、各人の負荷なども考慮しながら全員で計画を立てていきます。この場面で効果を発揮するのが、先述の「トランザクティブ・メモリー・システム」や「共有メンタルモデル」などです。
計画については、チームが担っているミッションの達成に関する計画もあれば、実現するためのチーム状態に関する計画もあり、これらを統合して考えることがポイントです。
5.Development(個人/チームが共に継続的に成長できる)
設計された計画に沿って進め、計画と実績についてふり返ります。
目の前の業務へどう対応するかのみ考えるのではなく、常に目的を意識し、あわせてチームメンバーの成長に自身が寄与する(ソーシャルサポート)ことも考えながら計画に落とし込んだ業務へ対応していきます。
自身の思いが取り込まれたチームビジョンへ、深いところで分かり合った仲間と共に協働していくこと。そして、日々の業務を通して自身が成長できること。また、仕事を通して成果を生み出せることはビジネスパーソンにとって幸せな状態であると言えます。
SDモデルでは、このような組織の状態変化を表しています。