女性管理職が増えるメリットとは|現状・対策を分かりやすく解説

女性の労働人口は年々増加しており、社会進出が進んでいるものの、女性管理職はいまだ少ないのが現状です。

本記事では、女性管理職が少ない理由や企業で女性管理職が増えるメリット、企業が取り組むべき施策について解説します。

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政府の会議で決定された「女性版骨太の方針2023」では、 プライム市場に上場する企業の役員について、 2025年をめどに女性を1人以上選ぶよう努め、 2030年までに女性の割合を30%以上にすることを目指すとしています。 一方で、現状は女性役員だけではなく、 女性管理職比率が30%を大きく下回っている企業が多数の状況です。

そこで、パーソルグループは企業規模別の女性管理職比率の実態と女性管理職比率アップのための取り組みについて調査し、 女性管理職比率の高い組織から見る、女性活躍推進のためのポイントをレポートにまとめました。女性活躍推進に課題をお持ちの経営・人事部門の皆さまはぜひご活用ください。

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目次

女性管理職の増加が求められる背景

企業において女性管理職の増加が求められる背景として、以下の2つが挙げられます。

男女共同参画社会の実現

男女共同参画社会とは、男性・女性が社会の対等なパートナーとして尊重しあい、職場や地域、家庭など社会のあらゆる分野でそれぞれの個性を発揮でき、活躍できる機会を持てる社会を指します。

職場においては、性別によるアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)をなくし、政策・方針決定過程に参画するなど、女性が活躍しやすい環境を整備することが求められています。

また、第5次男女共同参画基本計画において「2020年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合が30%程度となるよう目指して取組を進める」ことが閣議決定されました。この目標達成に向けて、女性管理職の増加が企業に求められています。

ダイバーシティ経営の推進

経済産業省は、女性をはじめとする多様な人材が一人ひとりの能力を最大限に発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し価値創造につなげている経営を「ダイバーシティ経営」としています。

ダイバーシティ経営推進の一つとして、企業における女性管理職の人数や比率を増やすための取り組みがあります。

女性活躍推進を積極的に推進する上場企業は、経済産業省と東京証券取引所が実施する「なでしこ銘柄」に認定されます。さらに、中長期の企業価値向上を重視する機関投資家に紹介することで、企業の取り組みを後押ししています。

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女性管理職の現状

日本の女性管理職を取り巻く状況や諸外国との比較について、見ていきましょう。

管理職相当の女性割合推移

2022年に内閣府男女共同参画局が公表した「女性活躍に関する基礎データ」によると、部長、課長、係長に就く女性の割合は近年上昇傾向にあるものの、上位の役職ほどその割合は低い傾向にあることが明らかになっています。

【関連記事】管理職になりたくない社員がなぜ増えるのか|原因と対策を解説

国際比較

独立行政法人 労働政策研究・研修機構が作成した『データブック国際労働比較2024』で紹介された2022年のデータによると、世界の女性管理職の割合は、スウェーデン41.7%、アメリカ41.0%、フィリピン53.4%など。諸外国がおおむね30%以上であるのに対し、日本は12.9%と大幅に低くなっています。

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女性管理職が少ない4つの理由

日本の企業に女性管理職が少ない前提として、「管理職になりたくない」と考える女性が多いことが挙げられます。以下の4つの理由とあわせて解説します。

仕事と家庭の両立が困難

一般的な上場企業においては、女性の昇進とライフイベントが起こるタイミングが重なる傾向にあります。

しかし、日本の企業は、女性が出産や育児をしながらはたらき続けられる環境が十分に整っているとはいえません。このような状況で管理職になることは、女性の負担がさらに大きくなることを意味します。

また、子育て中で夜間や緊急事の対応ができず、周囲にフォローしてもらうことに申し訳なさを感じる女性もいます。これらのことから、「仕事と家庭を両立できる自信がない」と考え、管理職への意欲減退につながっています。

事例が少ない

日本の企業における管理職登用制度は、時間的な制約がない人をベースに整えられてきました。管理職に登用されるのは、男性または時間の制約がなくはたらくことができる一部の女性に限られています。

女性管理職が少ないと、はたらき方も画一的になりがちです。仕事と家庭を両立している管理職がいない状況では、自身に近いはたらき方をするロールモデルを見つけることができません。女性社員が「自分が管理職になる」というビジョンを描きにくく、管理職への意欲につながりにくくなってしまいます。

【関連記事】女性活躍推進の成功事例10選│取り組み内容・共通点を解説

経営層が女性の起用に意欲的でない

まず、男性が管理職候補者を選定するケースが多いことから、男性目線の候補者選定になっていることが挙げられます。

さらに女性の場合、職場の環境整備が不十分なことから、結婚や出産、育児などライフステージの変化に合わせてはたらき方を変えざるを得ないことがあります。経営層の中には、ライフステージの変化に影響されずにはたらき続けられる男性を管理職に起用したいと考える人たちが一定層おり、女性が起用されにくい状況をつくっているのです。

マネジメント経験を積める機会が少ない

日本の企業において、女性社員が管理職候補として選ばれる機会はあまり多くありません。管理職に必要なマネジメント経験も男性社員に積ませる機会が多く、女性が昇進を諦めざるを得なくなります。

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女性管理職が増えるメリット

企業に女性管理職が増えるメリットは、以下の3つです。

多様性のある職場が構築される

男性主体で考えられていた組織に女性が加わることで、男性目線に偏らない柔軟な職場が構築できます。また、組織に多様性が生まれることで、はたらき方や労働環境の改善にもつながります。年齢や性別にかかわらず、さまざまな属性の社員がより活躍しやすくなるでしょう。

女性のキャリア形成についてロールモデルができる

女性管理職が増えることで、自身のはたらき方に近いロールモデルを見つけやすくなります。管理職になるビジョンも描きやすくなるなど、モチベーションの向上にもつながるでしょう。

また、女性が管理職として活躍すれば、ライフステージの変化に影響されずにはたらき続けることができる職場だと認識されるはずです。妊娠や出産を機に離職する社員が減るなど定着率の向上も見込まれます。

ESGの観点で評価される

ESG投資における機関投資家などは、企業が発するメッセージや今後女性活躍をどのように推進していくかを中長期的な視点で分析・評価しています。

内閣府の「ジェンダー投資に関する調査研究(令和4年度)」によると、機関投資家の多くは投資判断において女性活躍の情報を活用していて、中でも女性役員比率や女性管理職比率を重要視していることが明らかになっています。女性管理職が増えることで意思決定の場にダイバーシティが推進され、イノベーション創出につながると考えられています。

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女性管理職を増やすために取り組むべきこと

女性管理職を増やすには、どうしたらよいのでしょうか。企業が取り組むべき施策を紹介します。

女性活躍推進の目的と目標の具体化

2022年4月から改正女性活躍推進法が全面施行され、一般事業主行動計画の策定や情報公表の義務が、常時雇用する労働者数が301人以上の事業主から101人以上の事業主まで拡大しました。

「何年後までに女性の管理職をどのくらい増やしたいのか」という数値目標を明確にし、達成に向けて取り組むことが重要です。

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人事制度の見直し

女性が出産・育児などでライフステージが変化しても管理職として活躍できる環境を構築するには、リモートワークの導入や管理職であっても時短勤務を選択できるなど、ワーク・ライフ・バランスをサポートする制度が必要です。

組織が女性社員のはたらく環境に真剣に向き合うことで、部下や周りの社員にとってのはたらきやすい職場も構築でき、仕事に対するモチベーションや定着率の向上につながりやすくなります。

組織風土の醸成

業務量の増加など、負担が大きいと思われがちな管理職のイメージを刷新することが重要です。リーダーになることで身に付けられる経験やスキル、得られるメリットを伝え、女性社員に自信をつけてもらいます。

上司である管理職層はアンコンシャスバイアスを捨てて、研修の場に女性を意識的に選出するなど、女性社員が活躍できる機会を設けましょう。組織から期待されていると女性社員が実感でき、挑戦への意欲を高めてもらう効果が期待できます。

育成マインドを持ち、部下を管理職に引き上げてくれるような上司の存在も女性の昇進意欲に影響があると考えられています。また上司や上位職によるメンタリング、女性管理職コミュニティへの参加などを通して女性が管理職を身近に感じられるほか、「失敗してもよいから挑戦してみよう」とキャリアを前向きに捉えられるようになります。この過程で男性メンターが関わることにより、女性の多くが持つ思考や特性への理解が深まることも、会社全体として女性活躍の底上げに寄与できるといえるでしょう。

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パーソルグループが行う女性管理職増加施策の支援

「女性管理職を増やしたいけど、どのようにアプローチすればよいのか分からない」という企業に向けて、パーソルグループは多様な社員研修サービスを提供しています。

女性管理職養成研修

女性が管理職になることの自信を醸成し、スキルアップを図ることが目的です。

これまでのキャリアや経験の棚卸しを踏まえて、自身が気付いていなかった適性の掘り起こしをします。同時に、多様なリーダーシップ像があることを理解し、自分らしいリーダー像について考えます。

研修では、職場におけるコミュニケーションスキルやプレゼンテーションスキル、ロジカルシンキングなど、管理職に求められるスキルを磨きます。

女性社員キャリア開発研修

これまでのキャリアを振り返り、自身の強みを認識するなど自己理解を深めます。さらに、自身のキャリアビジョンを描き、実現のために自分が何をするのかを明らかにします。

女性社員モチベーション向上

女性の帰属意識を高めたり、主体性を育むことを目的として実施します。これまでのキャリアやはたらき方を振り返るほか、組織の課題解決を行うなどさまざまなアプローチがあります。

女性リーダー異業種交流

異なる業界や環境ではたらく女性たちとプロジェクトワークを行う越境体験の場を設けます。マッチング方法や参加企業の数、業種などは研修ごとに異なりますが、越境体験を通じて女性が新たな刺激を得られ、能力開発のきっかけになるでしょう。

メンター・メンティ研修

メンター・メンティの信頼関係の構築を目的として行います。研修を通じて、相手とのものの見方の違いや考え方の違いを認識し、多様性を認め合うことができます。さらに、双方のコミュニケーションの姿勢やスキルの向上も見込めるでしょう。

育休復帰前後研修

育休復帰前の女性社員は、仕事と家庭の両立や復帰後の配属先配属先、ブランクを経てはたらけるのかなど、さまざまな不安を抱えています。1年間を振り返り、自身にできることや育休復帰前の不安感を整理することで具体的な備えを明確にします。参加者の情報交換の機会も設けるなど、複数のアプローチから女性の不安解消を図ります。

女性管理職養成研修と女性社員キャリア開発研修を組み合わせて複数回行うなど、企業の女性活躍方針や風土に合わせてカスタマイズしています。

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政府の会議で決定された「女性版骨太の方針2023」では、 プライム市場に上場する企業の役員について、 2025年をめどに女性を1人以上選ぶよう努め、 2030年までに女性の割合を30%以上にすることを目指すとしています。 一方で、現状は女性役員だけではなく、 女性管理職比率が30%を大きく下回っている企業が多数の状況です。

そこで、パーソルグループは企業規模別の女性管理職比率の実態と女性管理職比率アップのための取り組みについて調査し、 女性管理職比率の高い組織から見る、女性活躍推進のためのポイントをレポートにまとめました。女性活躍推進に課題をお持ちの経営・人事部門の皆さまはぜひご活用ください。

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まとめ

女性管理職が増えることで、多様性のある職場を構築でき、誰もが活躍しやすい職場づくりにつながります。自社に合う施策を選択し、組織の活性化を目指しましょう。

監修・インタビュー

株式会社パーソル総合研究所
トレーニングパフォーマンスコンサルタント

射水 和香子(いみず わかこ)

大学卒業後、化粧品メーカーの美容部員を経て、大手人材サービス会社にて人材派遣、総合受付業務委託、海外人事HRテック導入等の法人営業およびプロジェクトマネジメントを経験。約3年間営業チーム長として15名のマネジメントも行う。
主に女性、若手社員のキャリアを支援すべく、社内研修や個別面談を多数実施。キャリアカウンセリング学習者の育成にも携わっている。

保有資格

  • 国家資格1級キャリアコンサルティング技能士
  • CCA(キャリアカウンセリング協会)認定スーパーバイザー
  • 認定ワークショップデザイナー
  • メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種