2025年07月18日
日本企業における女性管理職の比率は低く、国際比較でも低い水準であることが課題となっています。しかし、課題解決のために自社が何をすれば良いのか分からない人もいるでしょう。
本記事では、女性管理職の比率が低い原因と企業ができる対策を解説します。
【無料DL】女性管理職比率と組織運営傾向に関する調査レポート
女性活躍推進の必要性は分かっていても、女性管理職比率が伸びない、どの施策から着手すべきか見えにくいと感じる企業も多いのではないでしょうか。
本資料では、管理職900人への調査をもとに、女性管理職比率の実態と、比率向上につながる組織運営のヒントを整理しています。自社の課題を見直したい方は、ぜひご活用ください。
日本の女性管理職の比率をデータから見ていきましょう。厚生労働省が公表した「令和5年度雇用均等基本調査」によると、日本の企業で課長相当職以上の管理職等に占める女性の割合は12.7%。令和4年度と同率であり、平成27年度以降、横ばいの状態が続いていることが分かります。詳しくは後述しますが、世界と比べて極めて低い水準です。
また、令和4年に課長相当職以上に就いた役職者のうち、女性はわずか14.6%にとどまっています。前年度の14.5%から0.1ポイント上昇しているものの、女性が昇進するハードルの高さが見て取れます。
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独立行政法人 労働政策研究・研修機構の「データブック国際労働比較2025」(2023年データ)によると、女性管理職の割合は国によって大きく異なります。上位を見ると、フィリピンが48.6%、スウェーデンが43.7%、アメリカが42.6%と高い割合を示しています。対して日本は14.6%にとどまり、欧米やアジアの他国と比べてもかなり低い水準です。
政府は2020年12月に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画において、「2030年代には、誰もが性別を意識することなく活躍でき、指導的地位にある人々の性別に偏りがないような社会となることを目指す」と掲げています。
その通過点として、「2020年代の可能な限り早い段階に、指導的地位に占める女性の割合が30%程度となるよう目指す」と定めましたが、依然として目標には遠い状況が続いています。
女性の管理職比率が低いのはなぜでしょうか。代表的な4つの理由について解説します。
日本の管理職登用制度は、ライフイベントに左右されずに長時間はたらき続けられる人をベースに整えられてきました。その制度の枠組みの中ではたらけるのは、男性または長時間労働が可能な一部の女性に限られています。
女性は出産・育児などのライフイベントで時間的制約が生じる可能性があるものの、仕事と家庭を両立できるような環境・制度が十分に整っているとは言えません。両立への不安から管理職を諦めたり、転職を考えたりするケースもあります。このような障壁が、女性の昇進への意欲低下をもたらしているのです。
管理職になると、自身の業務に加えて部下のマネジメントも担わなくてはなりません。業務量の増加に伴い、拘束時間も長くなります。さらに、部署全体の目標達成の責任も生じるため、プレッシャーも大きくなるでしょう。
時間の制約がある中ではたらく女性社員の中には、管理職としてはたらくことに自信が持てないと感じる人もいます。業務やマネジメントのやり方を見直し、改善を図ることで、管理職のハードルを下げることが期待できます。
過剰な配慮とは、アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)を指します。周囲が一方的に「子育て中の女性社員への配慮」だと思い込み、出張や部署異動、新規プロジェクトへの挑戦などに加えないことで、女性が成長する機会を得られなくなってしまいます。
その結果、女性がスキルアップに必要な経験を積むことができず、管理職を目指す意欲が減退してしまいます。
職場に女性管理職の数が少ないと、はたらき方も画一的になってしまいがちです。自身に近いはたらき方をしている女性管理職がいない場合、管理職としてのはたらき方をイメージすることが難しくなります。社内にキャリアやはたらき方について相談できる相手もいないため、管理職になることを躊躇してしまう女性もいます。
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女性活躍推進を成功させるための組織づくりノウハウBOOK
女性管理職が増えない、どう進めたらいいか分からないなど、目標と現実のギャップに悩む企業も多いのではないでしょうか。本資料では、女性活躍推進の社会的背景から具体的な施策、進め方までを網羅的にまとめています。ぜひご活用ください。
女性管理職を増やすために、企業ができる施策を紹介します。
【関連記事】女性活躍を推進したい企業が取り組むべき6つの施策│事例を交えて解説
厚生労働省の調査で、管理職の女性比率と一般社員(非役職)の女性比率に相関があることが示されています。女性管理職の増加には、女性の採用を強化し、母集団を増やすことが重要です。また、女性が活躍できる企業だとアピールするために、自社の採用ページに女性の写真を使用する、女性社員のインタビューを掲載するなどイメージ向上のための施策もあわせて実施すると良いでしょう。
企業側が女性社員に対し、自社で活躍してほしいという意思をはっきりと伝えることが肝心です。企業から期待をかけられることで、女性の定着率や昇進意欲の向上につながります。
「管理職になりたい」と考える女性とそうでない女性の違いに環境要因が大きく関わっており、その一つに教育があります。職場を離れ、異なる環境に身を置いて学ぶことで刺激を得られ、今後のキャリアに対して前向きになれると考えられます。
とはいえ、時間的制約の中ではたらく女性は、学ぶ機会が得られにくい現状があります。社内の選抜研修に意識的に女性を選出するほか、企業が費用を負担して外部講座を受けてもらうなど、積極的にスキル開発の機会を設けると良いでしょう。
女性にさまざまな経験を積んでもらい、スキルアップを図ることで、時間的制約を抱えていても高い生産性ではたらくことができ、組織の活性化にもつながります。
キャリア研修では、ライフイベントでキャリアが分断してしまう女性に対し、時間的制約があってもはたらき続けることの意義を伝えることが肝心です。また、リーダーになることで身につけられる経験やスキル、得られるメリットを実感し、負担が大きいと思われがちな管理職のイメージを刷新してもらいます。
ライフイベントが訪れて時間的な制約ができた際に、自身のキャリアをイメージでき、活躍するビジョンを持てるようになることが狙いです。なるべく早期に研修を実施することが望ましいです。
【関連記事】キャリア研修とは?年代・役職別のプログラム例や成功事例まで
リーダーシップ研修は「自分にはリーダーは向いていない」などの先入観を持ち、リーダーになることに消極的な女性に対して行います。
まずは、これまでのキャリアや経験の棚卸しをし、自身が気づいていなかった適性の掘り起こしをします。同時に、男性の画一的なリーダーシップだけでなく、多様なリーダーシップ像があることを理解します。このような取り組みの狙いは、自分もリーダーになれるという自信を醸成することです。
また、研修を通じてロジカルシンキングやマネジメントスキルなど、管理職に必要な経験を積むことができ、昇進の意欲を高められます。研修は1回で終わりではなく、数カ月かけて行うことが重要です。
【関連記事】リーダーシップ研修とは?目的やカリキュラム例・得られるスキルを解説
「女性管理職を増やしたいけど、どのようにアプローチすればよいのか分からない」という企業に向けて、パーソルグループは多様な社員研修サービスを提供しています。
女性が管理職になることの自信を醸成し、スキルアップを図ることが目的です。
これまでのキャリアや経験の棚卸しを踏まえて、自身が気付いていなかった適性の掘り起こしをします。同時に、多様なリーダーシップ像があることを理解し、自分らしいリーダー像について考えます。
研修では、職場におけるコミュニケーションスキルやプレゼンテーションスキル、ロジカルシンキングなど、管理職に求められるスキルを磨きます。
これまでのキャリアを振り返り、自身の強みを認識するなど自己理解を深めます。さらに、自身のキャリアビジョンを描き、実現のために自分が何をするのかを明らかにします。
女性の帰属意識を高めたり、主体性を育むことを目的として実施します。これまでのキャリアやはたらき方を振り返るほか、組織の課題解決を行うなどさまざまなアプローチがあります。
異なる業界や環境ではたらく女性たちとプロジェクトワークを行う越境体験の場を設けます。マッチング方法や参加企業の数、業種などは研修ごとに異なりますが、越境体験を通じて女性が新たな刺激を得られ、能力開発のきっかけになるでしょう。
メンター・メンティの信頼関係の構築を目的として行います。研修を通じて、相手とのものの見方の違いや考え方の違いを認識し、多様性を認め合うことができます。さらに、双方のコミュニケーションの姿勢やスキルの向上も見込めるでしょう。
育休復帰前の女性社員は、仕事と家庭の両立や復帰後の配属先配属先、ブランクを経てはたらけるのかなど、さまざまな不安を抱えています。1年間を振り返り、自身にできることや育休復帰前の不安感を整理することで具体的な備えを明確にします。参加者の情報交換の機会も設けるなど、複数のアプローチから女性の不安解消を図ります。
女性管理職養成研修と女性社員キャリア開発研修を組み合わせて複数回行うなど、企業の女性活躍方針や風土に合わせてカスタマイズしています。
女性管理職の比率が低い原因を理解し、自社に合う施策を取り入れることで、女性はもちろん男性の昇進意欲を高めることにつながります。本記事を参考に、自社にとっての女性活躍の必要性を考えることから始めると良いでしょう。
【無料DL】女性役員比率30%実現のために企業が取り組むべきポイント
政府の会議で決定された「女性版骨太の方針2025」では、プライム市場上場企業に対し、2030年までに女性役員比率30%以上の達成に向けた取り組みの加速が求められています。しかし現状では、多くの企業で女性役員候補となる女性管理職層の不足が課題となっており、短期的な登用だけでなく、将来を見据えた人材パイプラインの構築が急務となっています。
そこで、パーソルグループは企業規模別の女性管理職比率の実態と女性管理職比率アップのための取り組みについて調査し、 女性管理職比率の高い組織から見る、女性活躍推進のためのポイントをレポートにまとめました。女性活躍推進に課題をお持ちの経営・人事部門の皆さまはぜひご活用ください。

株式会社パーソル総合研究所
トレーニングパフォーマンスコンサルタント
射水 和香子(いみず わかこ)
大学卒業後、化粧品メーカーの美容部員を経て、大手人材サービス会社にて人材派遣、総合受付業務委託、海外人事HRテック導入等の法人営業およびプロジェクトマネジメントを経験。約3年間営業チーム長として15名のマネジメントも行う。
主に女性、若手社員のキャリアを支援すべく、社内研修や個別面談を多数実施。キャリアカウンセリング学習者の育成にも携わっている。
保有資格