情シス業務をアウトソーシングする前に知りたい5つのポイントを解説

近年、人材不足や育成に課題を抱える企業が増えており、その解決策としてアウトソーシングが注目を集めています。アウトソーシングの対象としては、専門的な業務を担当する情報システム部門(情シス)も例外ではありません。業務を外部に委託することで、従業員の負担軽減や業務効率化につなげることができます。

本記事では情シス業務のアウトソーシングで委託できる内容や活用のメリット・デメリットなどについて解説しています。

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目次

情シスでアウトソーシングできる業務

情シスは、業務用PCをはじめとしたIT関連機器やネットワークなどの構築・運用・保守を担当する部門です。業務においてインターネットの利用が欠かせなくなっている現代では、企業の基幹業務を支える部門として重要視されています。

情シスの業務を一部アウトソーシングすることで、情シス部門の人材は自社のコア業務に集中し、競争力を高めることが可能になります。情シスの業務でアウトソーシングの対象となるのは、ヘルプデスク業務や社内のPC設定やIT資産管理などがあります。

アウトソーシングできる代表的な4つの業務について、詳しく紹介します。

ヘルプデスク・サービスデスク業務

顧客や従業員からの質問やトラブルに対応するヘルプデスクの業務は、アウトソーシングに適しています。上記の業務のほか、情報発信や顧客満足度調査などを行うサービスデスクも同様にアウトソーシングに適した業務です。

これらの業務には、技術的な知識やトラブル解決力のほかに、高いコミュニケーション能力などを含む幅広いスキルが必要とされます。一から人材を教育するために時間やコストをかけられない場合は、アウトソーシングを利用するのがおすすめです。

【関連記事】ヘルプデスクとは?陥りがちな課題や効率化のポイントを解説

PC設定・IT資産管理

従業員に支給されるPCやスマートフォンなどのIT機器手配や初期設定、データの移行、廃棄、周辺機器の管理などの業務は、アウトソーシングが可能です。これらの業務は、従業員の異動時や入社時など、特定の時期に負担が集中するのが特徴です。自社の従業員を専任の担当として配置した場合には、繁忙期と閑散期の業務量が大きく異なるため、人的資源が最適化されない可能性があります。

しかし、アウトソーシングであれば、必要な時期にだけ業務を依頼することが可能です。繁忙期限定で外部に委託すれば、従業員の負担が軽減されます。

ネットワーク・サーバー構築

ネットワークやサーバーの構築もアウトソーシングに適した業務です。ネットワークやサーバーの構築ではサーバー利用の目的や、規模感、端末やセキュリティといった要件をとりまとめ、それに適した環境を設計し、設定を行う必要があります。また、設置だけでなくその後の運用や保守の業務も発生するため、自社の情シスが行う際には一定の業務負担が想定されます。

アウトソーシングすることで、前述の業務負担が軽減されるのはもちろん、専門家による細やかなサポートを受けられることが期待できます。

セキュリティ対策

社内ネットワークをコンピューターウイルスから防ぐための環境構築をはじめ、従業員のIT機器におけるウイルス対策ソフトの導入、パスワードの管理などを行う必要があります。

セキュリティ対策は、一度施策を実施したからといって、将来にわたって安心が続くというものではありません。ウイルスやマルウェアの種類は年々増えており、不正アクセスの手口も巧妙化しています。社会の状況を注視し、新たな脅威が発生した場合には、早急に対策を講じる必要があります。

特にウイルスやマルウェア、不正アクセスなどに精通した委託先にセキュリティ対策業務をアウトソーシングすれば、効率的に最新かつ堅牢なシステムを社内に導入できます。一から自社で検討し、施策を実施するのに比べれば、低コストで業務上の安心が得られます。

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情シス業務のアウトソーシング先を比較する5つのポイント

情シス業務をアウトソーシングする場合、複数社を比較しながら自社に合った企業を選ぶことが大切です。ここでは、アウトソーシング先を比較検討する際のポイントを5つ挙げて解説します。

構築設計を適切にしてもらえるか

アウトソーシングは、単純にスキルのあるスタッフを投入すれば問題が解決されるわけではありません。企業ごとに様々な目的や課題があるため、アウトソーシング先がそれらを把握したうえで導入から運用、最終的なゴールまでを設計してくれるかどうかが重要です。

提案時に自社と同じ視点で問題解決にあたってくれるアウトソーシング先かどうかが、比較する際のポイントになるでしょう。

【関連記事】業務設計とは?最適化に向けた取り組み方とフレームワーク

運用コストの最適化につながるか

アウトソーシングの場合、ワークフォースマネジメントが肝になります。ワークフォースマネジメントとは、人材の活用や配置の最適化によって、対応品質や業務量を落とさずに人件費を抑えるマネジメント手法です。この手法を取り入れた運用体制を構築していなければ、生産性が低いにもかかわらず運用コストがかかるなどのデメリットを被ることになってしまいます。

アウトソーシング先を比較する際には、ワークフォースマネジメントに基づいた運用体制があるか確認してみましょう。

【関連記事】コスト削減とは?メリットや具体的なアイデア、成功事例を解説

業務品質の向上につながるか

せっかくコストをかけてアウトソーシングするなら、業務品質の維持・向上が見込めるかは大切なポイントです。アウトソーシング先が単に業務を請け負うだけでなく、現状分析から改善策立案、改善活動までのPDCAサイクルを回せているか、過去の事例などから確認しましょう。

委託後の改善提案を行ってもらえるか

自社と同様に、アウトソーシング先も業務を行ううちに独自のナレッジやノウハウが蓄積されていくはずです。また、外部の視点だからこそ、改善点が見えてくることもあります。従来のやり方を指示通りに続けるのではなく、必要な場面で改善提案を行ってくれるアウトソーシング先の存在は心強いでしょう。アウトソーシング先の教育体制についても確認しておくと、比較検討する際の判断材料になります。

継続して安定運用ができるか

近年、自然災害やパンデミックなどによって不測の事態が起こった場合でも、事業を継続できるようにリスクマネジメントを万全にしておくことの重要性が叫ばれています。自社だけでなく、アウトソーシング先についても、有事にも安定的に運用できる体制が整っているかどうかは重要なポイントです。リカバリーに必要な人的資源・物的資源(モノ、カネ、情報)・体制が確保されているか確認しましょう。

情シスの業務をアウトソーシングすべき理由

ここでは情シスの業務をアウトソーシングすべき3つの理由について解説します。

安定的なIT人材の確保

情シスの業務をアウトソーシングできれば、社内でのIT人材の確保について頭を悩ませる必要がなくなります。

多くの企業では、かつて導入したITシステムの運用が限界を迎え、2025年にはこれらによる経済損失が最大で12兆円発生すると経済産業省で試算されています。重大な損失を回避するには、情シスが企業内の既存システムの見直しや刷新を行う必要があり、情シスの業務範囲はこれまで以上に拡大するものと考えられています。

しかし少子高齢化による労働人口の減少を背景に、現在では多くの企業でIT人材不足が問題になっています。2036年には国内人口の3人に1人が65歳以上になると言われており、採用をめぐる問題はさらに深刻化することが予想されています。

アウトソーシングを活用したIT人材の確保は、これらの問題から発生し得るトラブルを未然に回避し、企業が成長を続けていくための手段として注目されています。

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テクノロジーの進化とともに需要が高まり続けるIT人材。アウトソーシングでの人材確保も注目を集めていますが、他の手段もあります。本資料ではIT人材確保のための手法について、5つの心得とともに紹介します。

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【関連記事】IT人材とは?不足の背景や育成・採用方法、必要なスキルを解説

情シス担当者の負担軽減

アウトソーシングを利用して、情シスの業務の一部を外部に委託できれば、担当者の負担は軽減されます。

前述の通り、情シスの業務範囲は多岐にわたります。担当者が他部署との兼任だったり、「ひとり情シス」のような状態だったりする場合、担当者に負担がかかりすぎてしまうケースがあります。また、特定の従業員がすべての業務を抱え込むことにより、業務やノウハウの属人化が発生します。組織内で業務に関する十分な情報が共有できず、業務遂行が困難となった際にそれを引き継ぐことができなくなります。

アウトソーシングを行うことで業務フローの見直しを行い、属人化の排除と業務継続性を高めることができます。複雑な業務を扱うことが多い情シスの業務負担を軽減するとともに、空いた時間でコア業務に専念することができます。

採用コストの削減

アウトソーシングを利用すれば、新たな人材を採用するコストを削減できます。

人材の採用活動には一般的に、求人広告の出稿費や面接にかかる人件費など、多大なコストが発生します。予定していた期間内に採用できなければ、初めから採用活動をやり直さなければならなくなり、コストはさらに膨れ上がります。一方、アウトソーシングなら、採用にかかるコストを削減できる上に、即戦力の人材を確保しやすいというメリットがあります。

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ITリテラシーの確保

情シスのアウトソーシングを提供している企業には、ITに関する専門的な知識とノウハウがあります。そのため業務遂行レベルが高く、対応品質の向上も期待できる点がメリットです。

また、IT技術は情報の更新スピードが早いため、特定の従業員が全てに対応しきれない場合があります。高い専門性をもつアウトソーシング先の担当者にサポートしてもらうことによって、従業員が知識やノウハウを得られる機会ができ、企業全体のITリテラシー向上が期待できます。

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情シスの業務をアウトソーシングするメリット

ここでは、情シスの業務をアウトソーシングするメリットを4つ挙げて説明します。

業務負荷の軽減

前述の通り、アウトソーシングを行うことで、情シスの業務の負担軽減が期待できます。

特に「ゼロ情シス」や「ひとり情シス」と呼ばれる、社内の情シスの数が極端に少ない状況の場合には、特定の担当者だけに負荷がかかり、業務に対するモチベーションが低下したり、休職や退職につながってしまったりする恐れがあります。

アウトソーシングを利用すれば、各従業員あたりの負担は少なくなります。空いた時間をコア業務などの利益に直結するような業務にあてることができれば、社員のモチベーションアップはもちろん、ひいては企業の成長にもつながります。

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属人化の解消

情シス業務のアウトソーシングは、業務の属人化を防ぐのに有効です。

業務に関する情報やノウハウを特定の従業員のみが有している場合、従業員が突然の体調不良や離職などで不在になってしまうと、「業務の進め方を社内の誰も知らない」という状況に陥ってしまう可能性があります。情シスの業務の多くは、組織が健全な運営を継続していくために必要不可欠であり、このようなトラブルが発生すると、組織全体が大きな影響を受けかねません。

情シスの業務をアウトソーシングすれば、客観的にもフローや進捗が明らかになるため、直接業務に携わっていない従業員でも「どのような状態で業務が進められているのか」をいつでも把握できます。

【関連記事】属人化が発生する5つの原因|対策ポイントを分かりやすく解説

人件費の削減

情シスの業務をアウトソーシングすれば、人件費の大幅削減も期待できます。

アウトソーシングが採用コストの削減につながることは前述の通りですが、情シスを従業員として採用するのであれば、入社後の教育など、さまざまなコストが発生します。せっかく時間をかけて採用・教育しても、業務の難易度や人間関係の問題などで早期離職を招く可能性も否定できません。こうなると再び採用活動を行う必要があるため、人件費はさらに膨れ上がってしまいます。

アウトソーシングを利用すれば、採用・教育を効率化し、そこにかかる人件費を削減できます。

【関連記事】人件費削減の方法とは?メリットや注意点、事例とあわせて解説

BCP対策

BCP対策とは、自然災害や人的災害によって企業が受ける被害をあらかじめ想定し、早期復旧と事業存続を実現するためのリスクマネジメントを指します。新型コロナウイルスのまん延による社会活動の停滞が記憶に新しいように、企業が様々な外的要因によって予測不能な事態に直面する可能性は常にあります。

BCP対策で重要なのは、被害のリカバリーに必要な人的資源・物的資源(モノ、カネ、情報)・体制を確保することです。アウトソーシングによって情シス業務を社外にも分散しておくことで、たとえ有事に社内での業務遂行が困難になった場合でも、事業活動を継続しやすくなります。

なお、情シス業務をアウトソーシングするにあたっては、以下の3つの運用体制があります。それぞれメリット・デメリットが存在するため、企業ごとの目的や課題に合わせて選択するのが望ましいでしょう。

【関連記事】BCP(事業継続計画)とは?策定手順や注意点をわかりやすく解説

オンサイト運用

オンサイト運用とは、アウトソーシング先の担当者が社内に常駐する体制のことです。運用コストは比較的高めになりますが、担当者が社内にいるからこそのメリットを多く得られます。具体的にオンサイト運用のメリットとデメリットは下表の通りです。

メリット ・現状の体制やフローを大きく変えずに移行できる
・既存の派遣スタッフからの切り替えが可能
・業務範囲の追加を依頼しやすい
・日々の確認や報告がスムーズ
デメリット ・社内に業務スペースを用意する必要がある
・指揮命令が発生しやすいため、偽装請負に要注意
・コンプライアンス遵守のため3名以上の業務量確保が一般的
・繁忙期と閑散期における業務量の調整が難しい

オフサイト運用

反対にオフサイト運用とは、アウトソーシング先の別拠点からサポートを受ける体制のことです。下表のようなメリットとデメリットがあります。

メリット ・繁忙期と閑散期における業務量の調整がしやすい
・業務の少ない案件でも依頼できる
・自社オフィス以外に業務スペースを拡大できる
24時間365日の対応が可能
・セキュリティが整った環境で業務を行える
デメリット ・運用フローの構築にコストがかかる
・担当者の稼働が見えづらい
・サポート機器の貸出が必要になる
・既存スタッフによる運用ができない
・資産管理業務には不向き

ハイブリッド運用

ハイブリッド運用とは、オンサイト運用とオフサイト運用の双方のメリットを活かした体制のことです。具体的には、企業に常駐している担当者と連携しながら一部の定型業務を社外で対応します。オンサイト運用よりも費用を抑えられるほか、オンサイトチームの業務効率が向上したり、業務の分散による有事のリスクヘッジに効果があったりなどのメリットも得られます。

アウトソーシングする際の注意点

メリットの多いアウトソーシングですが、デメリットや注意点もあります。社内にノウハウが蓄積されにくい、セキュリティの問題や情報漏えいのリスクがある、費用対効果のバランスの評価が難しいなどが挙げられます。

社内にノウハウを蓄積しづらい

アウトソーシングを利用すると、当該業務に関する社内の人材教育が進まず、ノウハウが蓄積されにくくなってしまう点には注意が必要です。情シスの業務をアウトソーシングすれば、効率的に業務が進みます。一方で、業務上で問題が発生した場合でも、委託元には報告が行われるのみで、実際に対応に関するノウハウが委託元に蓄積されることはありません。

前述した通り、情シスは企業の健全な運営において重要な役割を果たす部門です。将来的に自社で情シスを育成しようと思っても、ノウハウがないのでは育成することはできません。委託先にノウハウを共有してもらったり、社内従業員への教育の機会を作ってもらったりといった対策が求められます。

情報漏えいのリスク

情シスの業務をアウトソーシングする場合には、社内の機密情報を委託先に提供する場面も出てきます。同じ社内の業務を行っているとはいえ、アウトソーシングの委託先はあくまでも「外部」です。セキュリティ上の問題が発生したり、情報漏えいのリスクが増大したりする可能性を忘れてはいけません。

重要な機密情報が外部に漏れてしまうと、自社の社会的信用や事業存続に損害が出るだけでなく、顧客や取引先にもダメージを与えることになります。最悪の場合、自社の経営危機にもつながりかねません。アウトソーシングを利用する際には、委託先のセキュリティポリシーや対策状況、これまでの実績などについて事前によく調査しておく必要があります。

費用対効果のバランス

情シスの業務のアウトソーシングでは、費用対効果のバランスが取れているのかの評価が難しい点もデメリットのひとつとして挙げられます。アウトソーシングで業務を受託している企業とひと言でいっても、依頼できる業務の内容や得意な分野、スキルの高さ、サービス内容は異なります。コスト面だけを重視して、料金の安さだけでアウトソーシング先を選んでしまうと、期待した効果が上がらない可能性もあります。

依頼する際には、それぞれの企業の傾向をよく調べたうえで、自社のニーズに合致したアウトソーシング先を選択することが重要です。

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情シス業務のアウトソーシング/BPOを活用したいが、どのように進めればいいのかお悩みではないでしょうか?

パーソルグループでは、そのようなお悩みをお持ちの方に、アウトソーシング/BPOの概要」「活用するメリット」「失敗しないための予防策」「委託の流れ」をまとめた【BPOのはじめ方まるわかりBOOK】を無料で公開しています。

情シスのアウトソーシングを導入するのは初めての方でも、一冊で全体の流れがわかるようになっていますのでぜひご活用ください。

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まとめ|自社に合ったアウトソーシング方法・企業の選定を

情シスのアウトソーシングは、自社担当者の負担軽減や業務の効率化、コストの削減など、さまざまな点でメリットの多い手段です。アウトソーシングの活用を検討する際には、自社の目的や将来的な展望に合致したプランや企業を選択することが重要です。