情シスのアウトソーシングは有効?委託できる業務やメリットを解説

近年、人材不足や育成に課題を抱える企業が増えており、その解決策としてアウトソーシングが注目を集めています。専門的な内容を扱う情報システム部門も例外ではありません。業務を外部に委託することで、従業員の負担軽減や業務効率化につなげることができます。

本記事では情シス業務のアウトソーシングで委託できる内容や活用のメリット・デメリットなどについて解説しています。

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目次

情シスの業務をアウトソーシングすべき理由

情報システム部門(以下情シス)は、業務用PCをはじめとしたIT関連機器やネットワークなどの構築・運用・保守を担当する部門です。業務においてインターネットの利用が欠かせなくなっている現代では、企業の基幹業務を支える部門として重要視されています。

その重要な部門である情シスの業務もアウトソーシングが可能です。ここでは情シスの業務をアウトソーシングすべき3つの理由について解説します。

安定的なIT人材の確保

情シスの業務をアウトソーシングできれば、社内でのIT人材の確保について頭を悩ませる必要がなくなります。

日本の多くの企業では、ITシステムが限界を迎え、2025年にはこれらによる経済損失が最大で12兆円発生すると経済産業省で試算されています。問題を防ぐためには、情シスが企業内の既存システムの見直しや刷新を行う必要があり、情シスの業務範囲はこれまで以上に拡大するものと考えられています。

しかしながら、少子高齢化による労働人口の減少を背景に、現在では多くの企業でIT人材不足が問題になっています。2036年には国内人口の3人に1人が65歳以上になると言われており、雇用状況はさらに悪化することが予想されています。

アウトソーシングを活用したIT人材の確保は、これらの問題から発生し得るトラブルを未然に回避し、企業が成長を続けていくための手段として注目されています。

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情報システム担当者の負担軽減

アウトソーシングを利用して、情シスの業務の一部を外部に委託できれば、担当者の負担は軽減されます。

情シスの業務範囲は多岐にわたります。他部署との兼任や「ひとり情シス」のような状態では、担当者に負担がかかりすぎてしまう場合があります。また、特定の従業員がすべての業務を抱え込むことにより、業務やノウハウの属人化が発生します。組織内で業務に関する十分な情報が共有できず、業務遂行が困難となった際にそれを引き継ぐことができなくなります。

属人化している業務でも、アウトソーシングを行うことで業務フローの見直しを行い、属人化の排除と業務継続性を高めることができます。複雑な業務を扱うことが多い情シスの業務負担を軽減するとともに、空いた時間でコア業務に専念することができます。

採用コストの削減

アウトソーシングを利用すれば、新たな人材を採用するコストを削減できます。

人材の採用活動には一般的に、求人広告の出稿費や面接にかかる人件費など、多大なコストが発生します。予定していた期間内に採用できなければ、採用活動をやり直さなければならなくなり、コストはさらに膨れ上がります。しかし、アウトソーシングすれば、採用にかかるコストを大幅に削減しながら、優秀な人材を業務に投入できるようになります。

ITリテラシーの確保

情シスのアウトソーシングを提供しているような企業では、その企業自体にITに関する専門的な知識と業務に関するノウハウを持っています。そのため、アウトソーシングする業務に関しては高いITリテラシーに基づいて業務を遂行してもらうことができ、品質向上へも効果的です。

また、IT技術は情報の更新が早いため、通常業務などがある中で特定の従業員が全てに対応することは難しい場合があります。しかし、高い専門性をもつアウトソーシング先の担当者と業務にあたることで、従業員が知識やノウハウを得られる機会ができ、企業全体のITリテラシー向上が期待できます。

アウトソーシングできる業務

情シスの業務をアウトソーシングすることで、情シス部門の人材は自社のコア業務に集中し、競争力を高めることが可能になります。情シスの業務でアウトソーシングの対象となるのは、ヘルプデスク業務や社内のPC設定やIT資産管理などがあります。

アウトソーシングできる代表的な4つの業務について、詳しく紹介します。

ヘルプデスク・サービスデスク業務

顧客や従業員からの質問やトラブルに対応するヘルプデスクの業務は、アウトソーシングに適しています。上記の業務のほか、情報発信や顧客満足度調査などを行うサービスデスクも同様にアウトソーシングに適した業務です。

これらの業務には、技術的な知識やトラブル解決力のほかに、高いコミュニケーション能力などを含む幅広いスキルが必要とされます。一から人材を教育するために時間やコストをかけられない場合は、アウトソーシングを利用するのがおすすめです。

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PC設定・IT資産管理

マシンの手配や初期設定、データの移行、廃棄、PCや周辺機器の管理などの業務はアウトソーシングが可能です。これらの業務は、異動時や社員の入社時など、特定の時期に負担が著しく増えるのが特徴です。自社の従業員を専任の担当として配置した場合には、時期によって当該従業員に必要以上の負担がかかったり、手の空く時間が増えたりする恐れがあります。

しかし、アウトソーシングであれば、必要な時期にだけ業務を依頼することが可能です。繁忙期限定で外部に委託すれば、従業員の負担が軽減されます。

ネットワーク・サーバー構築

ネットワークやサーバーの構築もアウトソーシングに適した業務です。ネットワークやサーバーの構築ではサーバー利用の目的や、規模感、端末やセキュリティといった構築に関する要望をまとめ、それに適した環境を設計し、設定を行う必要があります。また、設置しただけでなくその後の運用や保守といった作業が必要であり、自社の情シスで行う際にはメンテナンスの費用やトラブル時の緊急対応などの業務負担が想定されます。

アウトソーシングすることで、前述の業務負担が軽減されることはもちろん、専門家による構築時の細かな要望への対応や、運用負担の軽減といったメリットが期待できます。

セキュリティ対策

セキュリティ対策では社内ネットワークをコンピューターウイルスから防ぐための環境構築や、個別業務であればウイルス対策ソフトの導入、パスワードの管理といった従業員機器の管理などを行う必要があります。

セキュリティ対策は、一度施策を実施したからといって、将来にわたって安心が続くというものではありません。ウイルスやマルウェアの種類は年々増えており、不正アクセスの手口はどんどんと巧妙化しています。日々の状況を注視し、新たな脅威が発生した場合には、新たな対策を立てる必要があります。

特にウイルスやマルウェア、不正アクセスなどに精通した委託先にセキュリティ対策業務をアウトソーシングすれば、効率的に最新かつ堅牢なシステムを社内に導入できます。一から自社で検討し、施策を実施するのに比べれば、低コストで業務上の安心が得られます。

アウトソーシングするメリット

情シスの業務をアウトソーシングするメリットは3つあります。ここでは、情シス業務をアウトソーシングするメリットをお伝えします。

業務負荷の軽減

前述の通り、アウトソーシングを行うことで、情シスの業務の負担軽減が期待できます。

特にゼロ情シス、ひとり情シスと呼ばれる、社内の情シスの数が極端に少ない場合には、特定の担当者に負担がかかりすぎてしまい、業務に対するモチベーションが低下したり、休職や退職につながってしまったりする恐れがあります。

アウトソーシングを利用すれば、各従業員あたりの負担は少なくなります。空いた時間をコア業務などの利益に直結するような業務にあてることができれば、社員のモチベーションアップや、ひいては企業の成長にもつながります。

属人化の解消

情シスの業務のアウトソーシングは、特定の業務や業務フローが属人化してしまうのを防ぐのに有効です。

業務に関する情報やノウハウを特定の従業員のみが有している場合、従業員が体調不良や急な退職などで不在になってしまうと、「業務の進め方を社内の誰も知らない」という状況に陥ってしまう可能性があります。情シスの業務の多くは、企業が健全な運営を継続していくために必要であり、このようなトラブルが発生すると、企業全体が大きな影響を受けかねません。

情シスの業務をアウトソーシングすれば、業務の詳細を委託先に伝える必要があり、また委託先では委託元への報告の必要もあるため、部門の従業員は「どのような状態で業務が進められているのか」をいつでも把握することができます。

人件費の削減

情シスの業務をアウトソーシングすれば、人件費の大幅削減も期待できます。

アウトソーシングが採用コストの削減につながることは上述した通りですが、情シスを従業員として採用するのであれば、そのほかにもさまざまなコストが発生します。入社後の教育コストが必要になるのは当然のことながら、せっかく採用・教育しても業務の難易度や人間関係の問題などで離職してしまうかもしれません。こうなると新たな採用活動を行う必要があるため、人件費は膨れ上がってしまいます。

しかし、アウトソーシングを利用すれば、採用のための人件費や、採用後の人材育成コストを削減できます。

アウトソーシングする際の注意点

メリットの多いアウトソーシングですが、デメリットや注意点もあります。社内にノウハウが蓄積されにくい、セキュリティの問題や情報漏えいのリスクがある、費用対効果のバランスの評価が難しいといったことです。

社内にノウハウを蓄積しにくい

アウトソーシングを利用すると、当該業務に関する社内の人材教育が進まず、ノウハウが蓄積されにくくなってしまう点には注意が必要です。情シスの業務をアウトソーシングすれば、効率的かつスムーズに業務が進みますが、例えば業務上で問題が発生した場合でも、委託元には報告がされますが、対応はすべて委託先で行われるため、詳細な対応方法などのノウハウが委託元に蓄積されることはありません。

前述した通り、情シスは企業にとって重要な部門です。将来的に自社で情シスを育成しようと思っても、ノウハウがないのでは育成することはできません。委託先にノウハウを共有してもらったり、マニュアルを作成してもらって、社内従業員への教育の機会を作ってもらったりといった対策が必要になります。

情報漏えいのリスク

情シスの業務をアウトソーシングする場合には、社内の機密情報を委託先に提供する場面も出てきます。同じ社内の業務を行っているとはいえ、アウトソーシングの委託先はあくまでも「外部」です。セキュリティ上の問題が発生したり、情報漏えいのリスクが増大したりしてしまうことを忘れてはいけません。

重要な機密情報が外部に漏れてしまうと、世間からのイメージダウンや、自社の経営面・業務面に損害が出たりするのにとどまらず、顧客や取引先にもダメージを与えることになってしまいます。場合によっては、自社の経営危機にもつながりかねません。アウトソーシングを利用する際には、委託先のセキュリティポリシーや対策状況、これまでの実績などについて事前によく調査しておく必要があります。

費用対効果のバランス

情シスの業務のアウトソーシングでは、費用対効果のバランスが取れているのかの評価が難しい点もデメリットのひとつとして挙げられます。アウトソーシングで業務を受託している企業とひと言でいっても、依頼できる業務の内容や得意な分野、スキルの高さ、サービス内容は異なります。コスト面だけを重視して、料金の安さだけでアウトソーシング先を選んでしまうと、期待した効果が上がらない可能性もあります。

依頼する際には、それぞれの企業の傾向をよく調べたうえで、自社のニーズに合致したアウトソーシング先を選択することが重要です。

アウトソーシング先の選び方

いざアウトソーシングを依頼しようと思っても、どのような委託先が自社に適しているのか、選び方で迷ってしまうことがあるかもしれません。ここでは、アウトソーシングを成功させる委託先の選び方を紹介します。

セキュリティ対策が十分にされているか

アウトソーシング先を選ぶ際には、委託先候補企業のセキュリティ対策が十分に行われているのかを確認することが重要です。特に業務上、社内の機密情報を共有しなければならない案件を委託する場合には、情報漏えいは自社にとって大きなリスクとなります。

プライバシーマークや「ISO27001」などを取得している企業であれば、情報の取り扱いなどについて適切なポリシーを持ち、ポリシーにしたがって運用していると考えられます。プライバシーマークやISOを取得していれば、通常はサイト上に掲載されているため、チェックしておきましょう。

自社の制度やシステムに合致した業務設計・提案を行ってくれるか

情シスのアウトソーシングを受託している企業でも、それぞれ対応できる業務範囲やスキルの高さ、料金体系などは異なります。漠然と価格だけで決めてしまうと、結局コストも下がらない、業務品質も上がらないと言った結果に陥りがちです。委託先がどのようなサービスを提供しているのか、事前に確認しておきましょう。

また、自社の制度やシステムに合致した提案を受けるために、「部署・企業がどのような課題を持っているか」「解決の糸口は何なのか」を事前に明確化しておきましょう。

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ナレッジ運用手法があるか

人材不足などの理由でアウトソーシングを利用したいが、いずれは自社でシステム運用を行いたいといった場合には、アウトソーシング業務に関するナレッジ蓄積の対策を講じる必要があります。委託先候補企業が以下のような運用手法に対応しているかを事前に確認しておきましょう。

    • トラブル発生マニュアルの作成
    • 社内FAQの構築
    • 定期的な情報共有

また、アウトソーシングを利用する際には、情シスの業務のすべてを委託先に丸投げしてしまうようなことは避けるべきです。委託先に任せきりになると社内にノウハウが残らず、サービスの切り替えや将来的な内製化が難しくなる可能性があります。委託先とコミュニケーションを取り、情報共有を行うよう心がけましょう。運用時は定期的にフィードバックを行い、成果・課題の見直しや改善を図りましょう。

人材育成・研修体制は整っているか

アウトソーシング先を選ぶ際には、委託先企業の人材育成や研修制度が整っているか否かにも注目する必要があります。万が一、委託先企業の知識やスキルがスタッフによってバラバラであれば、人材育成・研修体制が十分でなく、業務の上でも期待したような成果が上がらない可能性があります。アウトソーシング先企業の人材育成・研修体制は、各企業のサイトに記載されている教育制度についてのページなどで確認できます。

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まとめ|自社に合ったアウトソーシング方法・企業の選定を

情シスのアウトソーシングは、自社担当者の負担軽減や業務の効率化、コストの削減など、さまざまな点でメリットの多い手段です。アウトソーシングの活用を検討する際には、自社の目的や将来的な展望に合致したプランや企業を選択することが重要です。

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