「HRテック」とは?導入メリットと導入への4ステップ

業務改革(BPR) ICT活用 人事 IT・情報システム

採用や育成、人事評価など、人事部門の多様な業務を効率化する手段して、期待されているのが「HRテック」です。業務効率化やデータに基づいた人材戦略の策定などさまざまな効果が期待できる、HRテックのサービス内容や導入方法、導入にあたって注意すべきポイントを説明します。

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目次

企業規模を問わずに導入が始まったHRテック

「HRテック」とは、「Human Resources」と「テクノロジー」をかけ合わせた言葉です。ビッグデータやクラウド、IoTやAI(人工知能)などのテクノロジーを用いて、人事が抱える課題を解決に導くサービスや技術のことです。

日本では多くの企業が、自社のサーバーを用いた「オンプレミス型」のシステムを利用してきました。しかし、オンプレミス型の管理システムは導入にも管理にも費用がかかるほか、外部からのアクセスを前提としていないものも多くありました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークが浸透し、外部から社内システムにアクセスする必要性が生まれました。そこで、オンプレミスからクラウドアプリケーションへの移行が急速に進みました。クラウド型サービスは会社の規模による価格設定が多く、中小企業も人事や労務管理にHRテックを取り入れやすくなったのです。

HRテックの7領域と導入のメリット

現在、HRテックのクラウドアプリケーションは数百以上にもなるといわれています。その種類は、採用から育成、社員の健康管理までさまざまです。HRテックは大きく7つの領域に分類できると考えられています。各領域でHRテックを導入するとどのようなメリットがあるのか見てみましょう。

1.採用

市場の大きい採用領域では、多様なサービスが登場しています。代表的なものとして、採用のオペレーション業務を自動化することで採用そのものに向き合う時間を増やす人材管理システムや、AIやデータベースを活用して、優秀な転職潜在層にアプローチするダイレクトリクルーティングツールなどがあります。

2.タレントマネジメント

企業規模が50名以上になると、人事評価や人材配置は大変な作業です。そこで重要になるのが、社員のスキルや能力を把握し、戦略的な人材配置・育成を実現するタレントマネジメントです。タレントマネジメントシステムの導入により、データベース上で社員の能力や特性を可視化。組織・人材の情報が一元化し、個々の能力を活かした適材適所への配置転換を行えるようになります。

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3.エンゲージメント

エンゲージメントとは、会社や仕事に対する社員の愛着心や思い入れを示します。社員の意識調査をデータベースとして可視化し、それを基に企業が目指す方向性の明確化やKPI達成のための具体策の策定、組織的な人事施策を行うことで、エンゲージメントの向上を図ることができます。

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4.勤怠管理

社内におけるIDカードによる打刻だけでなく、テレワークによる社外からの打刻もあります。また、フレックスや裁量労働制など勤務体系も多様化が進んでいます。勤怠管理ツールの活用することで、社員一人ひとりの情報が複雑化しても、一元的に管理することができます。給与計算にも紐づけることができるので、作業の効率化を図ることもできます。勤怠管理は人事・労務業務の中でもHRテックが導入しやすい分野なので、まずはここから始める企業も多く見られます。

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5.給与計算

給与計算に必要な要素の一つが勤怠です。HRテックのクラウドソフトで勤怠管理ができている場合、そのデータを自動で連携すれば入力の手間もなく、精度も効率も上がります。また、従来の給与計算ソフトは1台のパソコンで行われているため、給与計算を行う担当者に負担がかかる場合もありました。クラウドソフトでは、権限を与えられた人であれば、どこからでもアクセスすることが可能です。手当や通勤費など各担当者は随時情報を更新することができ、給与計算の担当者はスムーズに仕事を進めることができるでしょう。

6.健康管理

社員の健康管理も健康診断の結果や産業医の診断、面談の結果をHRテックで一元化することによって、煩雑な作業がなくなります。また、社員一人ひとりがログインしてストレスチェックができるように整えてデータ化すれば、社員の健康状態を早めにチェックすることにもつながり、心理状態の悪化を未然に防ぐこともできるでしょう。さらに、社員が産業医や保健師にクラウド上でいつでも相談や質問をできるようにしておけば、社員の安心感にもつながります。

7.事務手続き

入退社の際の事務手続きも、人事・労務に関するクラウドソフトの使用をおすすめします。作業時間が短縮されることで、業務効率の改善につなげることができるでしょう。例えば入社の場合、入社時に必要な情報について本人がソフトに直接入力します。そうすることで、人事担当者の作業が軽減され、管理情報は随時アップデートすることができるので、最新の人事データベースとして活用することができます。

HRテック導入の4ステップ

HRテックは機能もサービスも豊富な反面、導入目的をきちんと設定しないと十分に活用できないこともあります。HRテックの導入にあたっては、以下の4つのステップに整理して進めましょう。

HRテック導入に向けての4ステップ

1.導入目的を設定する
2.ロードマップを策定する
3.サービスやツールの検討・導入をする
4.効果検証と見直しの実施

1.導入目的を設定する

なぜHRテックを導入するのか、まず目的を明確にすることが大切です。実現したいマネジメントや解決したい人事労務問題などを決め、それに対する社員の行動や体験も明確にしていきます。

2.ロードマップを策定する

明確にした目的を実現するために、数年間のロードマップを作成します。1年後や5年後にはどのような組織でどのような課題を解決しておきたいのか、またそのためにどういうプロセスを踏むのか、改革の必要性も年次ごとに考えておきます。ロードマップの作成は、現場のマネジャーやバックオフィスの管理職が一緒に議論をしながら進めることが必須です。

3.サービスやツールの検討・導入をする

ロードマップができたら、必要なツールやサービスを検討し、選定や導入を熟考します。HRテックにはさまざまなツールが存在するので、課題解決のための目的や自社の環境を考えて適切なツールを組み合わせることが重要です。ツールの導入に関しては、最初にデータの共通基盤を作った上で各ツールを紐づける、もしくは導入の必要性が迫られている部門から早めに導入していき、他の部門にも導入を展開していくという2つの方法があります。

4.効果検証と見直しの実施

HRテックを導入した後は、1年未満の短いスパンで効果実証や見直しを行っていきます。使いづらい点や気になる点があれば、別のツールに変更する、あるいはカスタマイズするなどの改善を都度行うほうが良いでしょう。特に業務の効率化は、1サイクル終わってある程度効果が見えたところで早めに改善を図りましょう。そうすることで、さらに使いやすいツールとなり、作業効率もアップします。

HRテックで採用、育成、人事考課を行うときに注意したいこと

自社に必要なサービスやツールを選定・導入し、人事や労務の業務を効率化できるHRテック。しかし、自社で集積した膨大な情報をデータ化するためには、労力が必要とされます。活用する側のリテラシーがツールに追いつかないことも想定できます。HRテックを業務に取り入れて活用するには、それなりの時間や労力、技術を要することを認識する必要があります。

また、HRテックを取り入れた人材育成や採用活動は、個人データを収集・集積することになります。結果、社員のプライバシーに関わる内容など、法律上で収集が禁止されている情報を収集してしまう恐れもあるので注意しましょう。

HRテックを信頼しすぎて採用や人事考課における重要な判断を行うと、求職者や社員から不安や疑念を抱かれることもあります。AIを使ったサービスを利用した際は最終的には人が再度検討、公正な判断をすることが大切です。例えば、ある社員の人事考課について学習型のAIを活用した場合、AIはさまざまなデータを用いて評価を行います。しかし、AIに頼りすぎるあまり、なぜその評価になったのか人事担当がその社員に細かい説明をできないということが起こり得ます。

個人のプライバシーに関わる情報をAIが収集し、評価の一部に取り入れてしまう恐れもあります。AIによる人事考課の評価は、ともすればブラックボックス化する懸念が生じることも考えられるでしょう。目標達成率や日頃の行動・勤務態度など、人事担当者や上司の公正な判断を加味することが重要です。

HRテックを活用して会社の活性化につなげる

自社にあった適切なHRテックを取り入れ、運用するまでには時間や労力がかかります。なるべく早く検討を始めましょう。

サービスやツールの選択を誤ると、十分に活用できずにかえって労力を要することにもつながります。導入にはまず目的とそれを達成するためのロードマップを作成することが大切です。また早い段階で検証や見直しを行い、より自社にあったツールを利用することでさらなる作業効率化が図れます。

すでに勤怠管理や給与計算、事務手続きなどで取り入れている企業も多く見られますが、昨今では採用やタレントマネジメント、エンゲージメントに活用する動きも活発化しています。

この機会にHRテックを活用して、人事や労務の業務改善を図り、組織や労働状況の改善、会社の活性化につなげていきましょう。

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