営業アウトソーシングとは|メリットや活用の流れ、事例を解説

「優秀な営業人材を獲得できない」「育成に時間がかかってしまっている」「営業リソースが足りない」など、営業部門に課題を抱えている企業も多いのではないでしょうか。

そのような中、注目されているのが営業アウトソーシングです。自社の営業活動に外部リソースを効果的に導入することによって、採用や育成にかかるコストの削減、営業利益の拡大につなげる動きが多くの企業で盛んになっています。

営業アウトソーシングとは何かといった基礎知識や注目される背景、導入のメリット・デメリットなどについて解説します。

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目次

営業アウトソーシングとは

営業アウトソーシングとは、自社の営業活動の一部もしくはすべてを外部に委託することを指します。

自社の営業リソースを補填する・営業の業務効率を向上させる・コストダウンを図るなど、さまざまな目的で営業アウトソーシングを導入する企業が増えています。

アデコがアウトソーシング導入企業に実施したアンケートでは、約4社に1社にあたる27.1%の企業が「営業代行」としてアウトソーシングを活用中あるいは活用を検討しているという結果が出ています。

アウトソーシングの導入状況

【参考】アデコ株式会社「【アンケート結果】アウトソーシングの導入状況・メリット・デメリットなど」

営業アウトソーシングがどのようなサービスなのか、「サービス形態」「対象領域」「料金形態」の3つの観点から解説します。

営業アウトソーシングのサービス形態

営業アウトソーシングは「営業代行」と「SPO」という2つのサービス形態に大別されます。それぞれのサービス内容や、得られる成果の違いを確認しましょう。

営業代行

営業代行は、文字通り営業活動を代行するサービスです。営業部門の人材不足をはじめとする場合に活用されます。営業のプロフェッショナルの力を借り、成果の向上を目指す企業に適した営業アウトソーシングです。

SPO

SPO(Sales Process Outsourcing:セールス・プロセス・アウトソーシング)とは、営業代行と同様に、営業活動を外部の企業が請け負うサービスです。営業代行と異なる点は、営業業務のすべてを外部委託するのではなく、自社の営業チームと分業・協業しながらチームで業務に取り組む点にあります。また、営業部門や営業プロセスなどの課題解決のフェーズから協働できるため、「成果を上げるだけでなく、営業活動の過程の見直しをしたい」などの考えを持つ企業にも適しています。

営業派遣との違い

営業職の人材派遣は、派遣会社と雇用関係にある派遣スタッフが営業活動を行うサービスです。外部人材を活用する点においては営業アウトソーシングと似ていますが、「誰が業務指示や指導を行うのか」という点が異なります。

▼指揮命令権の所在

・営業アウトソーシング:アウトソース先の責任者
・営業派遣:派遣先の担当者

そのため、企業に派遣された人材は、その企業が行って欲しい業務の指示に従って営業活動を行います。

【関連記事】アウトソーシングと人材派遣の違いとは?どちらが適しているかを解説

販売代理店との違い

販売代理店は企業の代わりに営業活動を行う業者であり、基本的には自社の名前で商品やサービスを販売します。企業と販売代理店との契約によって異なりますが、多くの場合、責任の所在や販売活動の主体は、企業ではなく販売代理店にあります。

また、販売代理店は商品やサービスを仕入れ、自社の利益につながるように販売するため、販売価格や利益は代理店が自由に設定できるケースが大半です。

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営業アウトソーシングの料金形態

営業アウトソーシングの料金形態には、主に以下の3つのタイプがあります。

料金形態 支払い内容
固定報酬型 毎月一定額の報酬を支払う。
予算の調整がしやすいが、成果が得られない場合は損失を生む恐れがある。
成果報酬型 委託先が獲得した顧客数や売上で支払う額が変動する。
成果が芳しくない場合は支払いを抑えられるが、大きな成果が得られた際は予算の調整が必要となる。
複合型 固定報酬と成果報酬型を組み合わせた料金形態。
一定額を固定にし、残りはインセンティブのような形で支払う。この形態も、成果に応じて予算の調整が必要となる。

適用される料金形態は、アウトソーシング業務の内容によって異なります。アウトソーシング先の候補企業から提案を受けた際は、自社の予算を勘案し、費用対効果を試算して検討しましょう。

営業アウトソーシングが注目を集める背景

営業アウトソーシングが注目される背景には、2つの要因があります。

1.営業人材の定着が難しい

営業職に限らず、日本は少子高齢化に伴う労働人口の不足が課題になっています。中でも、営業職はノルマ達成やクレーム対応といった業務に追われる場合もあり、離職率が高い傾向にあります。

実際に、日本労働調査組合の調査では、「あなたは退職を考えている、もしくは考えたことがありますか?」という問いに対して、全体の約8割が「はい」と回答しています。

このように人材の獲得や定着が困難な営業において、人手をいかに確保して営業力を維持・向上するかは多くの企業が直面している課題であり、その解決策の一つとしてアウトソーシングが活用されています。

【関連記事】営業組織のあるべき姿とは?強い営業組織をつくる方法を解説

2.営業のあり方の見直しが進んでいる

限られた営業人材で生産性を維持・向上させるために、CRM(顧客管理システム)、BIツール(ビジネス・インテリジェンス)などのITツールを積極的に活用する流れが加速しています。

一方で、これらのツールを導入し効率的に活用をするためには、社内に点在するデータを集約・名寄せする仕組みや、運用体制の構築、データの分析・レポーティング能力を有した人材を必要とします。そのため「導入を検討しているが、現状で社内に推進できるITやDXにっ精通した人材がいない」といった理由で、導入が後回しになっている企業も多いのが実情です。

そこで、営業アウトソーシングを活用し、外部の知見を取り入れることでITツールの導入をはじめとするデジタル化を進める企業が増えています。

【調査レポート】10,000人の営業実態調査

パーソルグループでは、全国の営業・顧客10,000名を対象に「営業実態調査」を実施しました。調査を通じて得た結果から、いまの営業の実態を紐解いたレポートを公開していますので、ぜひご活用ください。

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【関連記事】CRMとは?基本機能や選定・比較方法、メリットを分かりやすく解説

営業アウトソーシングのメリット

具体的に営業アウトソーシングを導入するメリットとして、コストの削減や営業部門の拡大、強化などが挙げられます。3つの観点から、営業アウトソーシングのメリットを紹介します。

1.採用・教育コストの削減

自社で営業人材を採用する場合、求人広告や人件費に加え、一連の営業フローやセールストークを学ぶための座学やOJTといった教育にも時間やコストがかかります。

営業アウトソーシングを活用すれば、必要な期間と予算に応じて経験豊富な営業スタッフを確保できるため、採用や教育にかかるコストを大幅に削減できます。

また、営業ノウハウや経験が豊富なプロのスタッフから直々に学べるのも、大きなメリットです。顧客の新規開拓・アポイント・クロージング・提案資料作成・顧客リスト作成など、さまざまな業務ノウハウを学ぶことで、営業組織全体のスキルアップにつながるでしょう。

2.営業部門の拡大

新規事業の立ち上げや、自社拠点のない地域での営業展開を考えた際に、営業アウトソーシングは有効な手段です。

例えば、都市部以外の地域で新たに営業活動を展開するとなると、店舗やオフィスの確保や、既存リソースの分配が必要になります。この場合、営業アウトソーシングを活用すれば、既存の営業体制を大きく変更せずに、新規事業を立ち上げたり、自社拠点のない地域で営業活動を開始したりできます

3.繁忙期における営業部門の強化

季節や時期によって需要が変動する製品やサービスを扱っている場合、繁忙期は営業人員が不足し、閑散期はむしろ人員が余ってしまう問題が発生します。営業アウトソーシングを活用すれば、営業人員が必要な時期にスポットで人員を確保することが可能です。

これにより、閑散期には自社の営業スタッフのみで対応し、繁忙期には外部リソースを活用するなど、柔軟なリソース調整が実現します。

営業アウトソーシングのデメリット

営業アウトソーシングを検討する際は、活用におけるデメリットに関してもしっかり把握しておきましょう。3つのポイントを意識することで、より効果的な営業アウトソーシングの実現に近づきます。

1.情報漏洩リスクの増加

営業アウトソーシングを活用する場合、委託する業務内容によっては、外部スタッフが自社の顧客情報や機密情報を扱うことになり、情報流出のリスクが高まります。そのため、秘匿価値の高い情報・商材については、アウトソーシングの導入を慎重に検討する必要があります。

活用の際は、どの情報が機密情報にあたるのか、誰が機密情報にアクセスできるようにするのか、機密情報にアクセスする場所や時間といった情報の取り扱いに関して、委託先の企業との間で明確なルールを設定することが重要です。

2.委託先への依存

営業業務を外部へ委託することで、自社に営業ノウハウが蓄積されないというデメリットがあります。特に、中長期的に自社の営業部門を自走させたい場合には、委託先への依存度の適切なコントロールが求められます。業務を丸投げするのではなく、協業を通して自社にも知見やノウハウを蓄積する仕組みを整備することが重要です。

3.独自のナレッジが蓄積されない

営業アウトソーシングを長期間続けると、自社内の営業文化や独自のナレッジが醸成されにくくなります。これは、将来的に自社での営業活動を強化したいと考えたときに、大きなデメリットとなる恐れがあります。何を目的にどのような業務を行っているのか、委託業務の全体像を把握し、自社での学習やスキルアップに活かす取り組みが必要です。

【関連記事】アウトソーシングの3つのデメリットと解消策、ポイントを解説

委託先を選ぶ際におさえるべき2つのポイント

委託先を選定する際には、支援が必要な業務範囲を明確にし、委託先の料金形態や過去の実績などを十分に検討する必要があります。最適な委託先を選ぶための2つのポイントについて解説します。

1.自社の営業活動のどこで支援が必要か

委託先を具体的に選定する前に、具体的に現状の営業活動においてどの業務で支援が必要なのかを明確にしましょう。

    • 営業プロセスの構築(マーケティングとの連携含める場合もあり)
    • 営業活動の前段階のインサイドセールスの強化(商談率向上)
    • テレアポ強化 / 商談フロー作成など
    • 営業活動における提案サポート業務(受注率向上)
    • 営業方針や戦略の策定(全体戦略)
    • 営業人材の育成、研修・データ入力などの事務作業補佐

テレアポ代行に強い企業や、営業プロセスの立案や改善に強い企業など、営業アウトソーシング先の企業によって、それぞれ提供しているサービスや得意分野に違いがあります。最適な委託先を選定するためにも、まずはどのような業務を委託するのかを明確にしましょう。

【お役立ち資料】業務整理ノウハウBOOK -業務の見える化チェックシート付き

営業アウトソーシングを行うならば、まずは業務内容の整理・洗い出しを行い、支援が必要な業務内容を見きわめることが重要です。本資料では、具体的な業務洗い出しのステップを紹介しています。

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【関連記事】営業戦略を立案するための6ステップと8つのフレームワークを解説

2.自社ニーズにマッチした実績があるか

営業アウトソーシングを提供する企業は、営業に関するプロを多く有していますが、業種・業界によって得意不得意があります。委託先を選定する際には、過去にどのような実績があるのかを必ず確認しましょう。

確認すべきポイントとして、以下の項目が挙げられます。大きい・多いほど優れているわけではなく、自社に合った規模感や人数などの実績があるかどうかを見定めることが重要です。

・過去に担当した業種や業界
・取り扱っている企業の規模感
・案件の平均継続期間
・案件ごとに派遣するスタッフの平均人数
・オンラインを活用した営業の実績

【関連記事】失敗しないアウトソーシング先企業の選び方|手順と選定ポイント

営業アウトソーシングの活用事例|ビッグローブ株式会社様

ビックローブ株式会社様は、中堅・中小企業向けに、SIM・回線などの通信サービスやクラウドサービスを提供する企業です。同社は、Web経由の顧客獲得には強みがありものの、顧客のニーズや悩みに対応したサポートには課題を抱えていました。

そこで、直販営業部隊の企画を立ち上げる際に、パーソルプロセス&テクノロジー(以下、パーソルP&T)に営業アウトソーシングを委託するに至りました。

その結果、Webからの問い合わせに対して、顧客の属性や申し込み内容に応じて「コンタクトセンター対応」と「営業対応」の2つのサポート体制で対応できる環境の整備が実現しました。顧客のニーズや悩みを汲み取った上で、最適なサポートをすることで、高い顧客満足度を達成しています。

また、パーソルP&TとビッグローブのWebマーケティングチームが連携し、顧客からの問い合わせ内容やVOC(顧客の声)をレポートする取り組みも、効果的な例のひとつです。これにより、Webサイトの改善や、Web上で見積もりが取得できるような仕組みの導入など、営業負担の軽減と顧客サポートの充実を図っています。

このような、双方がサポートし合う体制の構築によって、パーソルP&Tが支援を始めた2007年以降、モバイル回線サービスにおいては、月間の新規申し込みの約7割が追加購入に至り、またWebサイト経由の売上も3年連続で昨対比超えを達成しています。


【参照】パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社「導入事例」

【関連記事】アウトソーシングの導入事例|成功に導く3つのポイントとは

パーソルグループが提供する営業アウトソーシングサービス

パーソルグループの営業アウトソーシングサービスは、営業活動にかかわるあらゆる業務を代行します。

パーソルの営業アウトソーシングサービス

提案書や契約書、請求書など各種資料作成や、定点報告、社内決裁に至るまで、丸ごとお任せください。また、新規開拓はもちろん、既存の顧客対応も可能。ITに特化したサポートや代理店ビジネスの仕組みづくりなど、専門性の高い領域も丁寧にサポートします。

さらに、営業のプロフェッショナルが保有しているナレッジを、貴社の営業スタイルに合わせてアップデートし、委託期間が終了した後も自社で活動ができるように定期的にレポートとして共有いたします。ナレッジがシェアされることによって、組織全体のスキルの底上げにつながり、自社の営業成果に再現性が生まれて成約までの勝ちパターンを作ることができるようになります。

営業アウトソーシングをご検討中の方、営業部門に課題をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

【お役立ち資料】失敗しない営業アウトソーシング会社の選び方とは?

自社の営業活動をアウトソーシングしたいが、どのように進めればいいか・どのような会社に依頼すればいいのかお悩みではないでしょうか?

パーソルグループでは、自社の営業活動を外部に委託することを検討している方に向けて、営業代行会社の選び方、効果的な活用法についてまとめた資料を公開しています。

営業部門に課題をお持ちの方はぜひご活用ください 。

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まとめ|営業アウトソーシングで自社の営業課題を改善へ導く

営業アウトソーシングは、「コスト削減」「営業部門の強化」など、さまざまな効果が期待できる、営業部門の課題を解決へ導く手段のひとつです。導入の際は、何を目的とするのかを明確にし、委託先へ業務を丸投げせず、綿密な連携を取りながらノウハウを蓄積していきましょう。

よくあるご質問

Q1.営業アウトソーシングで委託できる業務は?

A1.営業アウトソーシングで委託できる業務は、ブランド・サービスの認知拡大やリード獲得といったマーケティング領域から、商談〜受注・カスタマーサクセスといったセールス領域まで多岐に渡ります。

>>営業アウトソーシングとは

Q2.営業派遣との違いは?

A2.営業職の人材派遣は、派遣会社と雇用関係にある派遣スタッフが業務を行います。また、アウトソーシングは委託先が業務の進め方や人員配置、育成などを一括で運用・管理しますが、人材派遣では派遣先企業の担当者が指示・指導を担当します。

>>営業アウトソーシングとは

Q3.営業アウトソーシングの料金形態は?

A3.以下3つの料金形態が一般的です。

    • 固定報酬型
    • 成果報酬型
    • 複合型(一定額を固定とし、成果に応じてインセンティブを支払う)

アウトソースする業務内容によって、適用される料金形態は異なります。

>>営業アウトソーシングの料金形態