失敗しないアウトソーシング先企業の選び方|手順と選定ポイント

昨今の働き方改革や、少子高齢化による労働人口の減少は、人材不足や人材難といった形で企業に影響を及ぼしています。このような中でも、限られた人材で企業成長を図ろうと、アウトソーシングの需要が高まっています。

アウトソーシングでは従来自社で行っていた業務を専門業者へ委任するため、業務コストの削減や業務の質の向上など、自社へのリターンも考えて慎重に比較・選択することが必要不可欠です

そこで本記事では、アウトソーシング先の選び方や手順、比較の視点について、実例を交えつつ紹介します。

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人手不足の影響により、自社業務のBPOを検討する企業が増えています。

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目次

なぜアウトソーシングを活用するのか

日本でアウトソーシングが普及した主な背景には、1997年を境に減少している生産年齢人口が関係しています。


【参照】首相官邸「働き方改革フォローアップ会合 参考資料」

これにより、多くの企業では慢性的な人材不足といった課題を抱えています。そこで、限られた人材で企業成長を図るため、社内業務の一部を外部に委託するアウトソーシングを活用する企業が増えています。

アウトソーシング活用の形態やメリット・デメリットなど、詳しくは以下記事をご覧ください。

関連記事「【事例有】アウトソーシングとは?メリット・デメリットを解説」を見る

アウトソーシング導入に適している業務

アウトソーシングが導入される業務は、企業によって様々です。

アデコ株式会社の「アウトソーシングの導入状況に関するインターネット調査」(2021年1月)によると、IT・運用保守・Web・データ入力・マニュアル作成・翻訳などを筆頭に、様々な業務でアウトソーシングが活用されていることがわかっています。


【参照】アデコ株式会社「【アンケート結果】アウトソーシングの導入状況・メリット・デメリットなど」

上図のように委託業務に幅はありますが、なかでも定型化しやすく自社の業務を支援するノンコア業務は委託しやすい傾向にあると考えられるでしょう。

実際にアウトソーシングが導入されている、代表的な業務を紹介します。

IT業務

IT業務は、アウトソーシングで最も活用されている領域です。具体的には、インフラの保守運用や業務プロセスのデジタル化支援、システム運用などが該当します。IT分野に精通する人材が少ない場合や、自社リソースでのシステム開発に難しさを感じている際に、検討してみると良いでしょう。


【参考】パーソルグループ「ITアウトソーシングとは?メリットや導入プロセス・活用事例を徹底解説」

経理業務

経理部門は、伝票ファイリングなどの単純作業から、毎年末に必ず行う年末調整のような専門知識が必要な業務まで、多種多様な業務を行っています。委託できる業務も多岐におよび、例えば各種請求書の発行や給与支払い・経費精算といった経理データ作成などが挙げられます。時期によっての繁閑の差が大きい業務でもあるので、最小限の社内リソースで経理タスクをこなしたい際にはアウトソーシングがおすすめです。


【参考】パーソルグループ「経理アウトソーシングとは?メリット・デメリットや委託先の選定方法について解説」

営業業務

営業業務のアウトソーシングは、商材やブランドの認知拡大やリード獲得、商談、顧客フォローまで、一連の営業フローを網羅しており、その中から自社に必要な部分を委託します。営業ノウハウに長けた人材を、必要な時に必要なリソースだけ確保できるため、繁忙期に営業部門を強化したい場合や、新規事業に伴った営業部門の拡大時に活用できます。


【参考】パーソルグループ「営業アウトソーシングとは?メリット・デメリットや具体的な事例を紹介」

コールセンター業務

顧客からの電話に対応する業務、顧客や見込み客へ架電する業務の双方で、アウトソーシングを活用できます。電話応対スキルや豊富な経験を有したオペレーターに業務を任せるため、品質向上も期待できるでしょう。直接顧客の声を聞く重要な役割を果たすコールセンター業務だからこそ、プロへの委託を考えてみるのも一つの手です。


【参考】パーソルグループ「コールセンターアウトソーシングでのメリット・注意点を解説」

人事業務

給与計算や勤怠管理といった労務管理から、面接・採用・人材育成といった人事管理まで、アウトソーシングを検討できます。特に、給与計算や勤怠管理は手間がかかる作業でもあるため、委託することで本来注力したい人材育成などのコア業務に専念することができます。また、業務フローの見直しや改善提案を受けることもできるため、自社の人事戦略を見直したい際にアウトソーシングの活用が期待できます。


【参考】パーソルグループ「人事アウトソーシングとは|期待できる効果や選び方を解説」

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IT業務や経理業務など、さまざまな部門ごとにアウトソーシングの成功事例を紹介。現場の課題感からアウトソーシング導入後の効果、改善のプロセスをまとめています。

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アウトソーシング先の選び方

自社のリソース削減の手段として考えられがちなアウトソーシングですが、活用によるコストは発生するため、あくまでも顧客への高品質なサービス提供に繋がるかといった目線で依頼先を選ぶことが大切です。

ここでは、アウトソーシング先の検討リストを作る段階、検討先を比較する段階の2つの場合でそれぞれ説明します。

アウトソーシング先を選ぶ手順

アウトソーシング先を選ぶ手順は、大きく分けて4つあります。

 1.課題の整理
 2.目的の決定
 3.委託する業務範囲の決定
 4.委託希望業務を扱うアウトソーサーを数社ピックアップ

まずは、自社課題の整理を行います。例えば、「業務範囲を拡大したいが、人材が不足している」「IT化を図りたいが、自社内にITに精通した知識をもつ社員がいない」など、課題を洗い出していくことで、なぜアウトソーシングが必要なのかといった目的をはっきりさせることができます。委託先を選ぶ基準軸となるため、現場社員ともコミュニケーションを取りつつ、時間をかけて行うとよいでしょう。

課題の整理、目的決定が完了したら、次は委託する業務範囲を決めましょう。この時点で、どの部分を自社で行うのか、どの部分を委託するのか線引きをはっきり決めておくと、後々の委託先とのやりとりがスムーズになります。

最後に、委託希望業務を扱うアウトソーサーを数社ピックアップしましょう。一度委託すると、万が一委託先を変更する際にはコストも時間もかかってしまいます。最初に整理して明確になった目的を基準に、各企業の強みや実績を情報収集し、自社ニーズに合う企業を選定しましょう。

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アウトソーシング先を比較する際のポイント

アウトソーシング先の検討リストが作成できたら、最終的にどこへ委託するのか比較しましょう。比較する際に担当者が持っておきたい視点は、以下の4点です。

1. スムーズなコミュニケーションが可能か

アウトソーシングする業務はノンコア業務が中心と考えられますが、ノンコア業務は本来の業務を支える業務でもあるため、対応スピードが遅いとコア業務へ支障が生じる場合があります。適切な工数でスムーズに対応してくれる委託先であれば、万が一何かトラブルが発生した際もすばやく解決することができるので、重視したいポイントです。

2. 自社ニーズに合致した業務設計・提案を行ってくれるか

例えば、自社で現在利用しているソフトを変更する必要が生じるケースがあります。現行のシステムをそのまま活用可能かなど、自社に大きな負担を強いることのない柔軟な提案を行ってくれるか確認すると良いでしょう。

3. 運用中にこまめなフィードバックがあるか

社内にノウハウを蓄積していくためにも、業務設計書やレポートなどの提出に応じてくれるアウトソーシング先を選ぶと良いでしょう。こまめなフィードバックをもとにノウハウを蓄積していくことで、社内の体制に合わせてアウトソースする業務を適宜見直すことができるからです。また、将来的に委託業務を自走する際の足がかりにもなります。

4. 自社の良きパートナーになり得るか

アウトソーシング先は、自社業務を共に担っていく存在ですので、良きパートナーになり得るかどうかも大切です。丸投げで委託するのではなく、プロの知見やリソースを活用し、自社の課題解決にむけて一緒に考えていくことのできるアウトソーサーを選ぶことをおすすめします。これまでの実績や対応をもとに、信頼関係を構築していけるかを考慮しましょう。

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アウトソーシングの導入事例

それでは、実際にアウトソーシングを導入し、企業の課題を解決に導いた事例を紹介します。

グループ一体での採用活動の革新|イオン株式会社様

グループ総従業員約58万名を抱えるイオン株式会社様。労働人口減少の影響で時間給社員の採用が難しくなっており、人材確保が重要な経営課題として挙がっていました。これまでの時間給社員の採用活動は各店舗ごとに行っており、募集や面接など店舗側の業務負荷が高く、タイムリーな対応ができず、採用活動における工程ごとの課題が見えづらいことも懸念となっていました。

そこで、パーソルのアウトソーシングを導入。ソリューションの一つとしてグループ合同の採用センターを立ち上げました。

募集から面談セッティングまでの業務をグループ一括で行うことで、採用の一元化を徹底。本格的な導入にあたり、まずは小規模でのトライアルを実施し、面接の設定率、参加率、合格率、採用率、採用単価などをKPI目標に設定し効果を測定しました。その後目標数値を上回る成果が出たタイミングで、本格的な導入へと切り替えています。

<成果>
応募に対してのタイムリーな対応が実現し、面接の設定率、入社数が増加。また、媒体選定も一元化したことで、媒体費や管理費などの採用コストを約3割削減できました。加えて、費用対効果が可視化できるようになり、採用人数も導入前比で180%向上しました。

関連記事「従業員58万名を誇るイオンが挑む、グループ一体での採用活動の革新とは?」を見る

アウトソーシング導入時に気をつけるべき3つのポイント

ここまで、アウトソーシング先を選ぶ際の手順や視点、事例について紹介しました。実際に導入する際にも、気をつけるべき点が大きく分けて3つあります。

1.自社の人材が育ちにくい

委託先に業務を任せきりになってしまうことで、自社内にノウハウが蓄積しづらくなったり人材が育ちにくくなったりしてしまうことが、アウトソーシングでの課題としてよくあげられます。

そのような事態を防ぐためにも、必ず自社の担当者を置き、委託先の業務を管理しましょう。委託内容についての擦り合わせやフィードバックを定期的に行うことで、自社にノウハウを蓄積していくことができます。また、将来的に自社内で自走していくことを意識しておきましょう。

2.必ずしもアウトソーシング=コスト削減ではない

アウトソーシング=必ずコスト削減ができる、というわけではありません。例えば、あれもこれもと委託範囲を広げてしまうと、比例してコストがかかります。

このような事態は、事前にアウトソーシングの委託範囲を明確に決めていないと起こりがちです。なぜ、そしてどこまでアウトソーシングをするのか、目的と委託範囲を明確にしましょう。最初の打ち合わせで、細かな部分まで擦り合わせを行うことで、ある程度のコストの想定が可能になります。また、委託後も業務改善・効率化できているかなどの効果検証を続けることで、都度委託範囲を見直していくと良いでしょう。

3.現場との温度差による反発が起きやすい

事前に現場と連携せずに、アウトソーシングの検討を進めようとするケースがありますが、こういった場合はうまくいかないことが多いです。なぜならアウトソーシングの導入は組織/ チームの方針や体制に直結するため、社内のローカルルールや業務フロー、処理手順を、現場の社員抜きで検討し進めることは現実的ではないからです。また、「あなたの業務をアウトソーシングするから、委託先の担当者に業務を引き継いでほしい」と突然言われるとしましょう。これまで誇りをもって業務を担当してきたにもかかわらず突然このような事態になれば、引継ぎが適当になってしまったり、反発が起きてしまったりする可能性があります。

「あなたは会社にとって重要な人材だから、ぜひ〇〇〇といった業務に従事してほしい」というように、担当者には事前に丁寧に伝えましょう。なぜアウトソーシングを導入するのか、理解を得ることでスムーズに導入できるでしょう。現場の社員を最優先に考えることは、アウトソーシング成功への一歩になります。

具体的な依頼業務に自信がない場合は、コンサルティングから検討を


もし、「アウトソーシングを導入してみたいけれど、何から依頼すべきかわからない」と悩んでいる際には、コンサルティングの導入を検討してみるのも一つの手です。

パーソルグループでは、経営・組織・人事の課題に対して、戦略から確実な実行まで、寄り添い型のコンサルティングで企業課題を解決します。また、各種イベント・セミナーやお役立ち資料もございます。こちらからご確認いただけますので、ぜひご覧ください。

まとめ

本記事では、アウトソーシング先の選び方、比較の視点について紹介しました。アウトソーシングは業務の効率化や質の向上を図ることができるため、今後より一層需要は高まっていくと考えられます。自社に適したアウトソーシング先を見極めつつ、上手に活用して企業成長を図りましょう。

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