アウトソーシングの導入事例|成功に導く3つのポイントとは

企業が成長を続けるための源泉となる「人材(ヒト)」ですが、日本では労働力人口(労働の意思や能力を持った15歳以上)の減少に伴い、労働力維持・確保の難易度が年々上がっています。

そのような中、注目を浴びているのが外部リソースを活用する「アウトソーシング」です。不足する労働力を補うだけでなく、経営の根幹となる課題解決や、自社が得意としない領域の業務を委託するなど、さまざまな場面で活用されています。

本記事では、アウトソーシングの導入によって、直面する課題を解決し、事業をドライブさせた事例について解説します。

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目次

アウトソーシングで解決できること

アウトソーシング(Outsourcing)とは、社内の業務の一部を外部に委託することを指します。重要な経営資源である「ヒト(人材)」「モノ(資源)」「カネ(資金)」の3方面から、抱えている課題を解決に導くことができるため、近年導入する企業が増えています。本記事をお読みの方にもご検討中の方がいらっしゃるかもしれません。

そこで、アウトソーシングの活用により具体的にどのような課題を解決できるか、導入のメリットをいくつかの観点から考えてみたいと思います。

ヒト(人材)に関する課題

多くの日本企業が抱えている課題の一つが、労働力不足です。独立行政法人労働政策研究・研修機構が2019年に全国2万社に実施した「雇用人員の過不足状況」に関するアンケートによると、66.5%の企業が、自社の雇用人員について「大いに不足している」「不足している」と回答しています。

また、企業が抱える課題は、人材を確保できないことだけではありません。人材領域の調査を行うHR総研が2021年に実施した「人材の定着に関する取り組みの実態調査」によると、自社の離職率に関して、33%の企業が「非常に高い」「高い」と回答しています。

このように企業には、激しい人材獲得競争のなか、他社と差別化して人材を獲得するだけでなく、獲得した人材をいかに定着させるかが問われています。他にも、働き方改革による「長時間労働の是正」や、高度化・複雑化・煩雑化する業務の効率化・品質の向上も、取り組まなければならない課題です。

こうした「ヒト(人材)」に関する課題を解決に導く手段の一つが、アウトソーシングです。外部の知見・スキルを取り入れることで、即戦力となる人材を確保し、事業成長を後押しすることができるからです。

またアウトソーシングの導入時に、自社の業務を可視化し、経営戦略の柱となる「コア業務」とそうでない「ノンコア業務」が整理され、ノンコア業務の遂行をアウトソーシングし、自社の従業員を本来注力すべきコア業務に集中的に投下することができます。

モノ(資源)に関する課題

労働力人口の低下や国内市場がシュリンクする日本において、ビジネスを拡大・成長させていくためには、業務をいかに効率化するかが問われています。

多くの日本企業が抱える課題として、部署や部門が細分化されていることにより、業務プロセスが明確に可視化されず、類似業務を各部署で個別に行っていることがあげられます。

このような課題に対し、アウトソーシングを導入することによって、業務のルール・フローの策定、マニュアルの整備などを通して、業務プロセスを明確化し、業務の効率化に繋げることができます。

カネ(資金)に関する課題

アウトソーシングの活用で期待できる「カネ(資金)」に関する課題として、人件費の削減および適正化が挙げられます。特に、繁忙期と閑散期の差が激しい業務領域において効果が期待できます。

経理部門においては、従業員の年末調整を行う11月〜3月や決算対応に追われる期末には、業務量が急激に増え、それ以外の期間においては余剰人員が発生するといったケースが多く見られます。しかし繁忙期に人が足りないからといって多くの人員を雇用してしまうと、閑散期に工数が余ってしまう可能性があります。

そこでアウトソーシングを活用することで、業務量に応じて適正な人員を確保・配置することで、業務を円滑に進めながらも、人件費の適正化を図ることができるようになります。

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アウトソーシングの導入事例


ここからはアウトソーシングの導入により、課題解決に導いた事例を3つ紹介します。

事例① 営業事務業務の効率化と業務体制の強化
事例② 財務部・経理部の一体運営で10年先を見据えた体制確立
事例③ 専門的知見やノウハウの蓄積

事例① 営業事務業務の効率化と業務体制の強化

電気機器の製造販売を行うA社(従業員規模1,000人以上)では、約30の営業部で事務機器をそれぞれ販売しており、各営業部に数名の営業事務スタッフが所属していました。営業部が担当する業務範囲は、顧客先への訪問や提案・契約手続きから事前調査・機器に関する書類作成、設置など非常に多岐におよびます。

商品の特性上、繁忙期と閑散期の差が激しく、繁忙期には営業担当者が営業事務の業務を行う必要があったため、本来注力すべき顧客訪問や商談に時間が割けないといった課題がありました。また、同時に30ある営業部では、それぞれ業務プロセスや記帳方法が若干異なっており、業務が属人化・煩雑化していました。

そこでA社では、業務量の大幅な増加が見込まれる新サービスの展開を検討しているタイミングで、パーソルテンプスタッフのアウトソーシングを導入。営業事務業務の効率化と繁忙期の体制強化に取り組みました。

具体的には、まず営業事務業務の効率化のために、パートスタッフの配置を実施。業務のルール・フローの策定、マニュアルの整備、教育研修を行い、短期間で既存の業務に対応できる体制を構築。並びに、営業部ごとに属人化・煩雑化している業務フローの見直しに着手。顧客ごとの差や共通内容を整理して効率的なルールや業務プロセス、帳票などを構築しました。

続いて、繁忙期の体制強化を目的として、今まで人が対応していた業務を自動化する「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」を導入。業務の効率化を図るとともに、入力ミス・重複などのヒューマンエラーを防止する仕組みを整えました。

結果、プロジェクト開始から1年で業務量を従来よりも10〜20%削減することに成功しました。加えて、年間約1,000時間の工数を削減することができ、加えて入力ミスの激減によりチェック項目およびミス発生後のリカバリ工数が削減され、品質向上とともに納期の短縮を実現しました。

【参照】パーソルテンプスタッフ株式会社「製造業(電気機器)様の事例」

事例② 財務部・経理部の一体運営で10年先を見据えた体制確立

情報通信業を行うB社(従業員規模1,000人以上)では、社員数の減少に伴い、従来社員が行ってきた業務を派遣社員にシフトしていましたが、経理・財務部門では人材の入れ替わりが少なかったことから、業務の属人化が起こっていました。

また、経理部と財務部が独立して運用されており、それぞれで派遣社員の採用を行っていたため、片方の部が忙しい時期に、もう片方の部は手持ち無沙汰という状態が生まれており、時期によっては余剰人員、それに伴うコスト増という課題を抱えていました。

そこで、パーソルテンプスタッフのコンサルタントが、現場のヒアリング及び業務調査〜分析を実施しました。過去の類似実績での経験を活かし、コア業務とノンコア業務に切り分け、社員がコア業務に注力できる環境を整備。また、属人化している業務内容を洗い出し、ノンコア業務のマニュアルやFAQの作成など可視化し、業務の標準化を推進しました。

また、それぞれ独立して運用されていた経理部と財務部の統合に着手。定量的な工数や共通・類似業務を明確にした上で、一体化した効率的な業務運用を提案しました。結果的に、スタッフのマルチタスク化が進み業務効率化に繋げるとともに、繁忙日にパートスタッフを活用することで、繁閑期でも最適な人員が行える体制構築を実現しました。

【参照】パーソルテンプスタッフ株式会社「情報通信業様の事例」

事例③ 専門的知見やノウハウの蓄積

ある自治体では、自治体が運営する就業支援事業(2011年運用開始)において、ハローワークや民間の転職事業に比べて認知度が低く、参加者(求職者)を集められないのではといった懸念を抱えていました。

また、ただ参加者を集めるのではなく、「自治体の支援が必要な方々をしっかりと見極めること」、そして企業とのマッチングに加えて、「社員が長期にわたりはたらき続けられる環境を整えること」に不安を抱えており、パーソルテンプスタッフが雇⽤創造・就業⽀援アウトソーシングという形でサポートを開始しました。

まずは参加者の母集団を形成するために、Webサイトの立ち上げを実施。説明会予約・参加への動線を整備するとともに、支援内容の紹介動画や、過去の事業参加者のインタビュー動画を掲載し、求職者の安心感や就業への意欲を高める施策を行いました。

また、いざ求職者の参加が決まったとしても、はたらくことへの不安や職場研修についていけないことを理由に離脱してしまうケースが多いことから、パーソルテンプスタッフのキャリアカウンセラーとの定期的なカウンセリングをプログラムに組み込み、参加者の不安を取り除く工夫を行いました。

長期定着に繋がる就労支援を実施するために、参加企業側にもアプローチ。面接時・入社当日・育成時に必要な組織内コミュニケーションを事前に伝える等のアドバイス支援を実施しました。結果、就業支援率約85%(うち、正規雇用率95%)を達成しました。

【参照】パーソルテンプスタッフ株式会社「自治体様の事例1」

アウトソーシングを成功させるポイント


最後に、アウトソーシングの導入を成功させるポイントについて解説します。アウトソーシングの導入は何となく人が足りないからという理由ではなく、「目的や業務内容を明確にすること」「関係者全員で認識や方向性を合わせること」「アウトソーシング導入の成果を分析しフィードバックを行うこと」が欠かせません。

アウトソーシングの目的や業務内容、範囲を明確にする

アウトソーシングの導入を決定する前に、まずは何のためにアウトソーシングを導入するのか、また結果的にどのような状態になればアウトソーシングの導入が成功といえるのかという、導入目的や成功のイメージを明確に持つことが大切です。

アウトソーシングの導入目的は、人材不足を補うことだけでなく、特定スキルを持った優秀な人材の確保・人件費の削減・社員がコア業務に注力できる環境の整備・業務の効率化・事業の継続性の担保など、さまざまです。

自社の課題と照らした上で、目的・成果を定義しましょう。その後、課題を解決するためには、現在行っている業務内容をしっかりと分析し、自社が行う業務範囲はどこまでなのか、業務にイレギュラーが発生した場合の対処方法を、委託先と密にコミュニケーションを取ることが欠かせません。

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アウトソーシングを始める際は、あらかじめ既存業務の分析を行ったうえで委託範囲を決めることが重要です。本資料では、具体的な業務洗い出しのステップ、業務改善の進め方・コツを紹介しています。

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関係者全員のコミュニケーションは丁寧に

アウトソーシングの導入を決定する時に、もう一つ気をつけなければいけないのが、社内のコミュニケーションです。現場の社員としては今まで自分たちがやってきた業務を外部に委託することに不安を感じ、反発が起こることも懸念しなければいけません。

そのため、アウトソーシング導入時には、しっかりと経営層と現場担当者が密にコミュニケーションをとり、「何のために導入するのか」「導入すると会社にとってどのようなメリットがあるのか」「導入後の既存社員のはたらき方」など認識のすり合わせを行うことが大切です。

定期的にフィードバックを設ける

アウトソーシングは、導入したら終わりではありません。導入後に、従来と比べて業務にどのような変化が出たのか、当初の目的は達成されたのか、何か大きなトラブルが発生していないかといった点を分析し、改善へと繋げることが大切です。

委託先に業務を任せきりにしてしまい、いざ、ふたを開けてみると、ミスが多く業務品質のレベルが低下してしまった、ということになりかねません。

また、自社社員では行えない高度な領域や専門的な領域のアウトソーシングに関しても、内容を把握・管理することで、自社へのノウハウや知見に繋がります。

まとめ

本記事では、アウトソーシングの導入により、自社課題を解決に導いた事例について解説しました。アウトソーシングの成功事例をみると、ただ労働力不足を解消するためにアウトソーシングを導入するのではなく、自社の課題や既存業務の分析・可視化を丁寧に実施しています。

アウトソーシング導入の際には、目的や課題の明確化、現場とのコミュニケーション、導入後のフィードバックを欠かさず実施することを意識しましょう。

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