2025年03月19日
2025年06月02日
少子高齢化が進み、人材不足が深刻化する現代において、企業の持続的な成長には、省人化が不可欠な戦略となっています。省人化は、人材不足の解消だけではなく、生産性向上やコスト削減にもつながり、企業に大きなメリットをもたらします。
本記事では、省人化の概念から実現ステップ、企業の成功事例まで、幅広く解説します。ぜひ記事の内容を参考に、自社にとって適した省人化戦略を見つけ、実行に移してみてください。
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人材不足が深刻化している現代において、社員一人ひとりの生産性を向上させることが企業に求められています。
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省人化とは、文字通り「人員を省く」ことです。業務を可視化して見直し、無駄な工程を省いたり、自動化できるものはロボットやAIなどに任せたりして、適正な従業員数に調整する取り組みを指します。
例えば、飲食店ではタブレット端末を介して注文を行えるシステムや、料理を運べるロボットを導入することで、省人化を進めています。他にも「企業が顧客からの問い合わせに対し、一次対応をチャットボットや自動音声で行えるようにした」「メーカーがロボットを導入し、梱包作業やピッキングなどを自動化した」なども省人化の事例です。
省人化が注目されている一因として、企業の従業員不足が挙げられます。今後さらに少子高齢化が進むことを踏まえると、今後も従業員不足の状況は変わらないでしょう。そのためロボットやAIを活用し、必要な従業員の数を最適化する取り組みがさまざまな企業で求められているのです。
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省人化と省力化は、どちらも業務効率化のための取り組みですが、その焦点が異なります。
省人化は、従業員の人数の最適化を目的としており、業務を見直したり自動化したりすることで、人員に頼る部分を減らします。
一方で、省力化は、従業員の労力を軽減することに焦点を当てた取り組みです。例えば、重い荷物を運ぶ際にフォークリフトを使用するといった取り組みが挙げられます。業務を自動化する点は省人化と同じですが、省力化の場合は従業員数を最適化させることが目的ではありません。
少人化(しょうにんか)も省人化と同じく従業員数の最適化にまつわる言葉ですが、手法に微妙な違いがあります。
省人化は、業務の効率化や自動化によって、必要な従業員数を調整する取り組みですが、少人化は、業務量の変動に応じて従業員数を調整し、最も少ない人数で対応する取り組みです。例えば、通常時は5人で行えるものの、繫忙期は10人必要になる業務があれば、繫忙期だけ5人従業員を追加して、一定の生産性を保ちます。
省人化は、効率化の手段の一つといえます。省人化により従業員数を最適化することで、人件費などのコスト削減につながり、結果として効率化が実現します。
しかし、効率化は必ずしも省人化を伴うわけではありません。例えば、業務プロセスを改善したり、ITツールを導入したりすることで、従業員数を調整せずに効率化を図ることも可能です。
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さまざまな企業で人材不足が課題となっている昨今、省人化は企業にとって多くのメリットをもたらす取り組みです。ここでは、省人化によって得られる具体的なメリットを5つご紹介します。
少子高齢化による労働力人口の減少は、多くの企業にとって深刻な問題です。パーソル総合研究所の調査によると、2035年には1日あたり1,775万時間の労働力が不足すると推計されています。
特に、人材の確保が難しい業界や地域では、事業の継続さえ危ぶまれるケースも少なくありません。また従業員が高齢化してきており、業務を引き継ぐ若い世代が少ない場合もあるでしょう。
省人化を進めることで、必要となる従業員数を減らせば、人材不足による事業への影響を最小限に抑えられます。採用活動にかかる時間やコストを削減できるだけではなく、既存の従業員の負担を軽減し、より重要な業務に集中できる環境を作ることも可能です。
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限られた従業員数でより多くの成果を上げるには、生産性の向上が不可欠です。省人化により業務を自動化・省力化することで、生産性向上につながります。例えば、これまで人員に頼っていた作業を機械やシステムに置き換えることで、作業時間を短縮でき、人為的なミスを減らせます。
また従業員は、空いた時間により付加価値の高い業務に着手できるため、企業全体の生産性向上につながります。
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省人化によって従業員数を最適化できれば、人件費の削減につながります。自社の従業員にかかる人件費だけではなく、協力会社に支払うコストの削減も可能です。
削減できたコストは、新たな事業への投資や、従業員の待遇改善などに充てることができます。またコスト削減によって価格競争力を高め、顧客に還元することも可能です。
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人為的なミスは、業務の品質低下や、顧客からの信頼を失墜させる原因となります。省人化によって、ミスが発生しやすい作業をロボットやAIに置き換えることで、業務品質の向上を図れます。
繰り返し行う単純作業や、高い精度が求められる作業は、ロボットやAIの方が正確かつ効率的に処理できる場合が多く、品質の安定化にも貢献するでしょう。
省人化を進めるには、業務プロセスを見直し、デジタル技術を積極的に活用することが重要です。そのため、省人化は企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を促進する原動力となります。
DXを推進することで、業務の効率化や自動化が加速し、さらなる省人化につながるだけではなく、データに基づいた経営判断や、新たなビジネスモデルの創出など、企業の競争力強化にも貢献します。
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省人化を成功させるためには、綿密な計画と段階的な実行が不可欠です。なんとなくで進めるのではなく、明確な目的意識を持ち、現状を正確に把握した上で、適切なシステムを導入していくことが重要です。
ここでは、省人化をスムーズに進めるための4つのステップをご紹介します。
まずは、なぜ省人化を行うのかを明確にしましょう。
「従業員不足を解消したい」「コストを削減したい」「生産性を向上させたい」など、企業によって目的はさまざまです。目的が明確になれば、優先的に省人化を進めるべき業務がおのずと見えてきます。
例えば、従業員不足の解消が目的であれば、業務の中でも特に従業員数が足りていない部分の改善を優先的に進めると良いでしょう。
次に、現状の業務工程を洗い出し、可視化しましょう。
業務に何人の従業員が関わっているのか、どのくらいの時間がかかっているのか、どの業務に無駄が多いのかを把握することで、具体的にどの部分を省人化させるのかが見えます。
省人化しやすい業務は、マニュアル化しやすいものです。従業員が決まった手順に従って作業をしている業務は、ロボットやAIが代替しやすいでしょう。
なお、業務工程を洗い出す際は、現場の担当者からヒアリングを行うなど、実際に業務を行っている人の意見を聞くことが重要です。また業務フロー図を作成するなど、視覚的に分かりやすく整理することで、問題点や改善点を見つけやすくなるでしょう。
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省人化の対象となる業務を明確にしたら、次は、どのようなロボットやAIなどを導入すれば、その業務を効率化できるのかを検討します。
まず社内でロボットやAIに何をどうしてほしいのか、要求を整理し、要求仕様書を作成します。次に、自社またはベンダーへ依頼し、省人化システムに必要な機能や実装方法を整理する要件定義を行います。その際、省人化システム導入の費用対効果を試算できていると投資判断が容易になります。
ロボットやAIを導入する際は、自社の業務内容や課題に合わせて、適切なものを選定することが重要です。複数のベンダーから提案を受け、比較検討することで、より適切なシステムを選べます。検討するときは、システムを導入することでどの程度の省人化が図れるのか、どのくらいのコストを削減できるのかを可視化して比較しましょう。
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導入するロボットやAIが決まったら、実際にシステムを導入し、運用を開始します。ロボットやAIの導入は、単にソフトウェアをインストールし、初期設定をすれば終わりではありません。従業員への研修や、システムの運用ルールの策定など、導入後のサポート体制を前もって整えることが重要です。
また導入した後は、定期的に効果を測定し、必要に応じた改善を繰り返しましょう。PDCAサイクルを回し、継続的に改善を繰り返すことで、省人化の効果を最大化することができます。
省人化は、多くのメリットをもたらす一方で、注意すべき点もいくつか存在します。導入前にリスクを理解し、適切な対策を講じましょう。
ここでは、省人化を行う際に注意すべき3つのポイントをご紹介します。
省人化を実現するためには、システムの導入や設備投資など、相応の初期コストが発生します。例えば、ロボットを導入する場合、ロボット本体の費用だけではなく、設置費用やメンテナンス費用なども必要となります。またAIを導入する場合、AIの開発費用や学習データの収集費用などが発生します。これらのコストを事前に見積もり、資金計画を立てておくことが重要です。
投資対効果を検討した際、手元の資金が不足していたり、投資回収期間が長かったりした場合は、助成金や補助金制度の活用も検討しましょう。例えば、独立行政法人中小企業基盤整備機構は、IoTやロボットなどを指定のカタログから選択・導入する場合に補助金を交付しているので、ぜひチェックしてみてください(※)。
省人化を推進するためには、導入する新たなロボットやAIを扱えるDX人材の確保が不可欠です。DX人材とは、デジタル技術を活用して業務プロセスを改善したり、新たなビジネスモデルを創出したりできる人材のことです。社内にDX人材がいない場合は、採用するか従業員を育成する取り組みを行わなければなりません。
新たに従業員を採用しようと考えても、DX人材は多くの企業で求められており、採用が難しい状況です。そのため、社内研修や外部研修などを活用し、従業員のデジタルスキル向上を支援しましょう。また外部の専門家と連携するなど、社外の知見を活用することも有効です。
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省人化によって従業員の仕事が減る、あるいは、仕事内容が変わる可能性があります。従業員によっては、自分が解雇されてしまうのではないかと心配になるケースもあるでしょう。そのため、省人化を進める際は、従業員のモチベーションが低下する可能性も考慮しなければなりません。
省人化を行う前に従業員へ十分な説明を行い、理解と協力を得ることが重要です。なぜ省人化が必要なのかや、省人化によって従業員にどのような影響があるのかを、丁寧に説明しましょう。また従業員の不安や不満を解消するために、相談窓口を設けるなどの対策を取るのも一つの方法です。
従業員がよりやりがいを感じ、能力を発揮できるような環境を作ることも、省人化を成功させるためには重要です。
ここからは、パーソルクロステクノロジーが支援し、省人化に成功した事例を紹介します。
ある自動車部品メーカーでは、500kgのパレットを人が運搬するという、身体的負荷が高い作業が行われていました。高齢化が進む従業員の負担軽減と労災防止が課題となっていたこの現場に、自動搬送ロボットを導入し、安全で効率的な作業環境を実現しました。
同メーカーでは以前からロボットを導入していたものの、通路が狭くロボットが1台しか通れない、ロボットと荷物の脱着に人員が必要、ロボットの充電に時間がかかるといった課題がありました。そこでパーソルクロステクノロジーは、これらの課題を解決するために、走行調停機能の実装、荷物の自動脱着システムの開発、電池パックの効率化など、さまざまな施策を行いました。
その結果、2台のロボットを同時に稼働できるようになり、人による作業を最小限に抑え、ロボットの稼働効率を大幅に向上させることに成功しました。
省人化を成功させるには、単にロボットを導入すれば良いわけではありません。このように現状の課題を正確に把握し、適切なシステムを導入することが重要です。
パーソルクロステクノロジーが提供する「工場・物流倉庫業務の生産性向上パッケージ」は、人材不足や生産性向上が課題となっている工場・物流倉庫向けに、データの統合管理から可視化、予測・最適化、作業の自動化、業務運用までをワンストップで提供するサービスです。本サービスでは、以下の取り組みを行っています。
パーソルクロステクノロジーの強みは、コンサルティングや業務運用の請負だけではなく、人材派遣や人材紹介サービスも行っている点です。「ロボットやAIを扱える人材が不足している」「業務が増える一定の期間だけ従業員を増やしたい」といった課題にも対応しています。
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人材不足が深刻化している現代において、社員一人ひとりの生産性を向上させることが企業に求められています。
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省人化とは、業務を可視化して見直し、無駄な工程を省いたり、自動化できるものはロボットなどに任せたりして、適正な従業員数に調整する取り組みのことです。人材不足やコスト削減が課題となっている企業にとって、省人化は多くのメリットをもたらします。業務の効率化や自動化により、人材不足の解消やコスト削減、生産性向上などを実現できるでしょう。
省人化を進める際は、いきなり導入するロボットやAIを検討するのではなく、まずは省人化を進める目的を明確にし、業務工程を洗い出すことが重要です。
また省人化を進めるには、初期費用やDX人材の確保、従業員のモチベーション管理など、注意すべき点もいくつかあります。これらのポイントを踏まえ、適切な計画を立て、省人化を成功させましょう。

パーソルクロステクノロジー株式会社
事業開発本部 新規事業開発部 マネージャー
藤井 勝仁
2005年にパーソルクロステクノロジー株式会社(旧名:日産ディーゼル技術研究所) 入社。約12年間、トラック、バスなど商用車の車両開発に従事。その後、技術戦略の策定や新技術獲得、産学連携による共同研究などに従事し、現在はロボットやモビリティを用いた生産性向上に寄与する新規事業開発に取り組んでいる。