2024年08月01日
2025年06月23日
営業プロセスとは、営業活動(顧客獲得、顧客へのアプローチ、商談から成約、アフターフォロー)における全ての過程(プロセス)を指します。
営業プロセスを可視化することで、ステップごとに業務状況を管理できます。組織全体へ活動指針を共有することにより、業務の標準化につながるほか、各プロセスで求められる行動がマニュアル化しやすくなり、効率化や成果最大化なども期待できます。
本記事では、営業プロセスの概要と可視化するメリット、ステップやポイントについて解説します。
【テンプレート付き】営業プロセスを可視化する方法を公開中
自社の営業活動を見直した時、「売上が特定の営業の成果に依存している」「案件の進捗が分からない」といった課題を抱えている場合には営業プロセスの可視化が有効です。
・自社の営業プロセスの指針となるものが欲しい
・自社の営業プロセスをうまく整理できていない
パーソルグループでは、そのようなお悩みを解決するため営業プロセスを可視化する方法をテンプレートとしてまとめました。営業活動に課題を抱えている方はぜひご活用ください。
目次
営業プロセスとは、「営業活動における全体の過程」を意味します。営業効率の向上には、営業プロセスの可視化が不可欠です。可視化することで、自社の営業活動の強みや課題が洗い出され、さらなる業績向上につながります。
ただし、「法人営業(BtoB)」と「個人営業(BtoC)」では営業プロセスが異なるため注意が必要です。以下では、法人営業と個人営業それぞれの営業プロセスの違いを解説します。
BtoBは、企業対企業で取引を行うビジネスモデルです。BtoBで扱う商品やサービスは、取り扱う商品も高額なケースが多く、一度成約すると継続して取引が続いたり、拡大したりするケースが多いという特徴があります。
BtoB営業のプロセスは「見込み顧客の発掘」「見込み顧客の育成」「商談」「アフターサポート」の4段階に分けられます。

見込み顧客の発掘は、営業活動の第一歩です。この段階では、潜在的な顧客を特定し、自社の商品やサービスに関心を持つ可能性があるかどうかを評価します。
効果的に見込み顧客を発掘するためには、自社のターゲット市場を理解し、どの企業が自社の製品やサービスに興味を持つ可能性が高いかを特定することで、求める見込み顧客の発掘へとつながります。
見込み顧客を発掘する手法としては、インバウンドマーケティングを活用して、ウェブサイト、ブログ、ソーシャルメディアを通じて自然に見込み顧客を引き寄せる方法や、アウトバウンドマーケティングとして電話やメール、展示会などの直接的なアプローチを使用することが挙げられます。
見込み顧客の育成は、発掘したリードを商談へと導くプロセスです。この段階では、価値のある情報を提供し、ニーズに応えることで見込み顧客との関係を構築し、信頼を醸成することが求められます。
見込み顧客を発掘する手法としては、ホワイトペーパーやケーススタディ、ウェビナーなどを通じて具体的な解決策を提示することで、顧客からの信頼へとつながるでしょう。
また、マーケティングオートメーションを活用して見込み顧客の行動を追跡して適切なタイミングで関連情報を提供することや、パーソナライズドアプローチを展開することで、顧客のニーズに合わせた個別の対応が可能となり信頼関係を深めることができます。
見込み顧客の育成が進み、アポイントが取れたら具体的な提案を行い、契約を締結するための商談へと進みます。
商談を成功させるためには、事前の準備が不可欠です。顧客のニーズや課題を深く理解し、具体的な提案を用意することが重要です。競合他社の動向や市場の状況も把握しておくことで、より効果的な提案が可能となります。
信頼構築のためには、誠実なコミュニケーションが求められます。顧客の質問や懸念に対して真摯に対応することで、自社の製品やサービスへの信頼を醸成することができます。
また、価値の提示も商談の重要なポイントです。自社の製品やサービスが顧客にどれだけの価値を提供できるかを明確に伝えることで、顧客の購買意欲を高めることができます。商談の終盤では、契約締結に向けた具体的なアクションを促し、ポイントを整理して契約に至るまでのロードマップを明確にしましょう。
契約を締結した後も、関係性を維持し、さらなるビジネスチャンスを探るためのアフターフォローが重要です。
顧客サポートを充実させ、納品後の問題が発生した際には迅速に対応することで、顧客のエンゲージメントを高めることができます。フィードバックを積極的に収集し、改善点を特定することで、製品やサービスの質を向上させることでライフタイムバリュー向上させることが実現できます。
さらに、アップセルとクロスセルの提案を通じて、顧客のニーズに応じた追加の製品やサービスを提供することで、売上を拡大し、顧客との関係を深めることができます。定期的なコミュニケーションを通じて顧客との関係を維持し、ニュースレターやイベント招待などを通じて顧客の関心を引き続けることも重要です。
【関連記事】LTV(ライフタイムバリュー)とは?計算方法や向上させる施策を解説
BtoCは、企業対個人で取引を行うビジネスモデルです。私たちが普段利用するインターネット通販やコンビニエンスストア、金融商品などがBtoC事業に該当します。

BtoCの営業プロセスは、BtoBと比較するとシンプルです。商品単価が比較的安価であることや、購買の意思決定を行うのが個人であることなどから、商品の魅力を伝えるためのマーケティング活動がプロセスの中心です。

【お役立ち資料】営業プロセスの可視化テンプレートを公開中
自社の営業活動を見直した時、「売り上げが特定の営業担当者の成果に依存してしまう」「営業プロセスが統一されていないため、各担当者の案件進捗が管理できない」と気づく方は多いのではないでしょうか?
本書ではそのような悩みを解決するため、営業プロセスを整理し、「可視化」する方法をテンプレートとしてまとめました。
営業プロセスを可視化することで、以下2つのメリットが期待できます。
営業における「属人化」とは、業務のノウハウ・プロセスがチーム内で共有されず、業績が社員個人の営業スキルに依存している状態です。属人化の状態を放置していると、万が一チーム内で高業績のメンバーが退職してしまった場合に、急激に組織全体としての営業力が低下しかねません。
営業プロセスを可視化してチーム内で共有できていれば、メンバー全員が共通の行動指針に基づき、継続的に安定した営業活動を実現できます。
加えて、「あの人との商談ではアフターフォローの説明がなかった」など、営業個人の行動により顧客にマイナスな印象を与えるリスクも回避できるため、営業プロセスの標準化は必須といえるでしょう。
【関連記事】属人化が発生する5つの原因|対策ポイントを分かりやすく解説
営業プロセスを可視化すると、営業活動の根本的な問題(ボトルネック)が浮き彫りになることがあります。
例えば、商談相手から見積もりの依頼まではもらえるのに、その後の成約率が低い状況だとすると、見積もり提出後のフォローが不十分であることに気付くかもしれません。この場合、検討状況の確認連絡や再訪問をプロセスに組み込むなどして、営業活動の最適化を図ることができます。
では、どのように営業プロセスを可視化すればよいのでしょうか?
パーソル総合研究所では、営業プロセスを可視化したものを「営業プロセスマップ」と呼んでいます。顧客の「商談開始(スタート)」と「受注・拡大(ゴール)」に関わる道筋が網羅的に書かれた「地図」のようなイメージです。各プロセスに対して「マップ」を見ながら、まずは最短ルートを探し、与件を勘案してルートを設定・修正しながら、個別の最適な「商談攻略」シナリオを確定していきます。
ここでは、営業プロセスマップの作成ステップについて解説します。
まずは、顧客の購買プロセスを設定しましょう。BtoCではカスタマージャーニーマップとも呼ばれます。そして、各プロセスにおける顧客の期待を仮説立てます。
この際重要なのは、あくまでも各プロセスにおける顧客の期待を考えることです。新規顧客や関係性の薄い顧客の場合、どこか一つのプロセスが原因でその後の商談が進まなかったり、取引が停止してしまったりする可能性があるためです。

次に、ステップ1で整理した顧客の購買プロセスにおいて、顧客との信頼関係を構築するために必要な営業プロセスを定義します。顧客の購買プロセスから逆算して営業プロセスを考えることで、効果的なアクションをとりやすくなります。
例えば、顧客がまだ認知・関心・検索の状態にある場合は、予算は確保していないことが多く、すぐに製品やサービスを購買してくれる可能性は低いでしょう。そこで営業プロセスとしては、「顕在化している課題」や「予算を確保するための承認プロセス」をヒアリングし、顧客が具体的に検討できる状態に進むように働きかける必要があります。
ただし、あまりにも顧客の購買プロセスに寄り添いすぎると、営業プロセスのステージが細分化し、実際の営業活動にフィットしない可能性があるため注意しましょう。
営業プロセスが定義できたら、各プロセスにおける主要な営業活動を記述していきます。例えば、課題共有のプロセスで必要な営業活動は、「同業界の解決事例を提示する」「課題の優先順位を確認する」などが挙げられます。
顧客の期待に応えるために必要な活動を記述していくと、各プロセスで20~30項目になるでしょう。成果につながる質の高い提案を行うためには、顧客の抱える課題やニーズのヒアリングが重要です。そのため、顧客との直接的な接点となる項目を優先的に実施しましょう。
各プロセスにおける営業活動の整理が完了したら、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスなどそれぞれの役割を整理します。明確に役割分担をしておくことで、営業活動の無駄をなくし、最短距離で受注まで至ることができます。
さらに、各プロセスで活用するツールやシステムなどを必要に応じて記述していきます。例えば、関心のプロセスでは製品カタログを用意したり、検討段階のプロセスでは提案書やROIの作成などが挙げられます。
最後に、作成した営業プロセスをもとに、各プロセスが次のステージに移行するための条件、つまり顧客が購買へ近づくための条件を定義しましょう。
一般的には「BANT」と呼ばれるフレームワークを用いて、情報を整理すると効率的です。BANTとは、「予算(Budget)」「決定権・決裁権(Authority)」「必要性(Need)」「導入時期(Timeframe)」の4つの条件から構成されており、主に法人営業のヒアリングにおいて活用されています。

ただし、BANT条件はソリューション型の営業との相性が良いとされており、商材によってはマッチしない可能性があります。
【関連記事】ソリューション営業とは?求められるスキルや育成方法を解説
営業プロセスを可視化する際には、注意すべきポイントがあります。
どの営業メンバーが見ても理解できるように、営業プロセスは細分化しすぎず、シンプルにまとめるのがよいでしょう。「営業フェイズ」と言い換えることもできます。フローチャートを活用して、営業の流れを視覚的に理解しやすいようにするのもおすすめです。これによって、チーム内での認識のズレを防ぎ、戦略の実行が徹底しやすくなります。
営業プロセスは抽象的な概念で終わらせず、実際にチームメンバーが活動する際の指針となるように具体的な行動に落とし込むことも重要です。同時に、営業活動でよくある課題への対応方法も明示しておけば、チームメンバーが問題に迅速に対処できるようになるでしょう。
お客さまのニーズは、時代背景やトレンドの移り変わりとともに変容を遂げていきます。そのため、営業プロセスも一度作成して終わりではなく、PDCAサイクルを回しながら日々検証し、一定期間ごとに改善を続けていく必要があります。「成約できた案件では、どの施策が効果的だったか」というように、実行内容と得られた結果を照らし合わせて振り返ることも大切です。
営業プロセスには、成約後のアフターフォローまで組み込みましょう。近年、LTV(顧客生涯価値)の向上が重要視されているように、お客さまとの関係を中長期的に構築していくことで自社の利益が拡大する可能性があります。営業プロセスにおいても、リピート購入やアップセル・クロスセルにつながるフォローを網羅しておくのが望ましいといえます。
営業プロセスを可視化した後も定期的にプロセスを見直すことで、営業活動をより効率化できます。以下では、見直す際の3つのポイントを解説します。
顧客体験とは、顧客やユーザーが企業の商品・サービスに興味を持ち、その商品・サービスを利用するまでの一連の体験を指します。
お客さまが「どのように商品を手に取り購入するか」「どのようにサービスに興味を持って契約をするか」「購入・契約後どのように利用するか」などを細かく仮説立てることで、お客さまと自社の接点が明確になります。
【関連記事】カスタマーエクスペリエンス(CX)とは?向上させるための施策や事例を解説
自社商品を購入するお客さまからの要望や、営業活動に対する満足度などを定期的に調査し、プロセスに反映します。
社内外のフィードバックは課題や改善点の洗い出しに役立つため、顧客満足度調査やユーザーヒアリングを行うなどして要望や意見を吸い上げられる仕組みをつくるとよいでしょう。
マーケティング部門やアフターサービスを行うカスタマーサポート(またはカスタマーサクセス)と密に連携を取ることも、営業プロセスの改善に役立ちます。
営業活動は決して営業メンバーだけで完結するものではありません。マーケティングやカスタマーサポートとの連携があってこそ、よりお客さまに喜ばれる商品やサービスの提供を実現できます。
アフターサービスを標準化するといった、他部門も巻き込んだプロセスを設計して協力体制を構築することも有効でしょう。
では、実際に営業プロセスにおける課題はどのようなものがあげられるのでしょうか。
パーソル総合研究所の調査によると、営業担当者が組織に対して抱いている課題感として最も多く挙がったのが、「営業活動における組織間連携ができていない」という回答でした。次いで「事例の共有、営業ツール化ができていない」「フィールドセールスが前工程や後工程に時間を割かれ、本来業務に集中できない」という回答が続いています。
こうした課題が浮き彫りになる一方で、同調査では業績の良い営業組織は業績の悪い組織に比べて、「業界理解」や「課題整理の支援」といった提案の前工程や、「購入後の継続的な情報提供」などの後工程を強化していることがわかりました。
課題を可視化し、提案前後の営業プロセスを見直すことで、営業活動の改善につながるでしょう。
営業プロセスを可視化したら、誰が担当しても一定の成果を創出できるよう、プロセスの標準化を目指しましょう。具体的な方法を2つ解説します。
トークスクリプトは、お客さまとの会話で役立つ質問や課題の対応策がまとめられた台本です。例えば、営業成績が良いメンバーのトーク内容をスクリプトにまとめて共有することで、チーム内の営業スキルを一斉に底上げできるでしょう。
メールテンプレートは、お客さまに送るメールの件名や本文のひな型を設定しておく方法です。見込み客への資料を送付する際や商談後のお礼を伝える際など、同じような内容を繰り返し送る場合に便利です。営業メンバーの対応品質の標準化はもちろん、業務効率の向上にもつながります。
ただし、スクリプトやテンプレートに頼りすぎると、お客さまに無機質な印象を与える場合もあります。これらはあくまで参考ととらえ、お客さまの状況に応じた柔軟な対応を心がけましょう。
【関連記事】営業に必要なスキルとは?スキルアップや可視化する方法を解説
前述の通り、営業プロセスの最適化にはツールの導入・活用が有効です。特に効果が期待できるツールとして、営業活動の可視化を支援する「SFA/CRMツール」があります。
SFA(Sales Force Automation)/CRM(Customer Relationship Management)は、営業活動を効率化し、売上拡大やスピーディーな営業活動を実現するためのツールです。顧客情報や案件の進捗、過去の商談記録を類型化、データベース化することで円滑にチーム内に共有できます。これにより営業プロセスが可視化され、効率的に管理できるでしょう。
近年はAIを搭載した製品も出てきており、顧客データをもとに最適な行動を提案することで、さらなる業務の効率化と生産性の向上が見込めます。 SFA/CRMツールの主な機能は、以下の通りです。
| 顧客情報の管理 | 顧客の基本情報や商談履歴を一元管理し、いつでも参照できます |
|---|---|
| 営業プロセスの管理 | 複数の顧客案件を管理し、各タスクの進捗状況をリアルタイムで把握できます |
| 活動記録/タスク管理 | 営業活動の詳細を記録し、チーム内で共有することで、情報の透明性を保ちます |
| データに基づく分析 | 営業活動のデータを分析し、市場動向と照らし合わせて戦略を立てられます |
【関連記事】SFAツールとは?機能や導入のメリット、ステップについて解説
【関連記事】CRMとは?機能や選定のポイントについて分かりやすく解説
【テンプレート付き】営業プロセスを可視化する方法を公開中
自社の営業活動を見直した時、「売上が特定の営業の成果に依存している」「案件の進捗が分からない」といった課題を抱えている場合には営業プロセスの可視化が有効です。
・自社の営業プロセスの指針となるものが欲しい
・自社の営業プロセスをうまく整理できていない
パーソルグループでは、そのようなお悩みを解決するため営業プロセスを可視化する方法をテンプレートとしてまとめました。営業活動に課題を抱えている方はぜひご活用ください。
営業プロセスの可視化は業務を効率化させるだけでなく、営業チームの強みや課題を洗い出す上で重要な作業です。可視化された営業プロセスを分析することで、顧客のニーズやどのような部分に魅力を感じているか、購入の意思決定に役立った商品の特徴や営業活動などを知ることができ、営業活動の課題が見つけやすくなります。
さらにAIを活用したツールを活用することで、さらなる営業効率化・標準化も目指せるでしょう。本記事を参考に、自社に合った営業プロセスの可視化にお役立てください。

株式会社パーソル総合研究所
営業力強化事業本部 営業力強化コンサルティング部 第2グループ シニアコンサルタント
河村 亨
機械商社を経て富士ゼロックス総合教育研究所(現パーソル総合研究所)に入社。教育の営業・営業マネジメントを経て「SFAの現場定着」「戦略実行」をテーマとした営業マネジメント力強化コンサルティングに従事。その後自社マーケティング部にてABM(Account Based Marketing)を構想・実践、現在に至る。PMI認定PMP。
著書に「自ら考え戦略的に動く営業集団をつくる 3つのフレームワーク」「Sales Enablement アカウント型BtoB営業における営業力強化」、共著「訪問しない時代の営業力強化の教科書」など