シニア雇用が進む背景
シニア雇用が進む背景には、大きく3つの要因があります。
生産年齢人口減少に伴う慢性的な人手不足
パーソル総合研究所「労働市場の未来推計2030」によると、2030年に644万人の人手不足となる推計されています。
産業別にみると、サービス業、医療・福祉業分野では特に大きな不足が予測されます。この人手不足を解消するための一つの手段として、はたらくシニアを増やすことが考えられています。シニア人材がはたらきやすい労働環境を整備し、就労を促すことで、男女合わせて163万人のシニアの活躍が期待できます。
高年齢者雇用安定法の改正
「高年齢者雇用安定法」の改正も、シニア雇用を後押ししています。2013年の改正では、定年年齢を65歳未満に定めている事業主は、65歳までの安定した雇用を確保するために、以下3つのいずれかの措置を実施するよう規定しています。
高年齢者雇用確保措置
- 65歳までの定年の引き上げ
- 65歳までの継続雇用制度の導入
- 定年の廃止
また、2021年の改正では、定年年齢を65歳以上70歳未満に定めている事業主または継続雇用制度を導入している事業主に対し、以下5つのいずれかの措置を講じる努力義務が規定されました。
高年齢者就業確保措置 ※努力義務
- 70歳までの定年の引き上げ
- 70歳までの継続雇用制度を導入
- 定年制を廃止
- 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
- 70歳まで継続的に以下事業に従事できる制度の導入
ー事業主が自ら実施する社会貢献事業
ー事業主が委託、出資等する団体が行う社会貢献事業
これにより、ますますシニアがはたらきやすい環境が作られていくでしょう。
はたらく意欲があるシニアの増加
はたらく意欲があるシニアが増加していることも背景のひとつに挙げられます。内閣府の調査「平成26年高齢者の日常生活に関する意識調査」によると、現在就労している60代の約8割が「70歳以降もはたらきたい」と回答しました。
また、シニアの就業者数、就業率はともに拡大傾向にあることも、同調査で明らかになっています。多くのシニアが、「生涯現役」を望んでいることがわかります。