【事例あり】総務業務の効率化アイデア|効率化のプロセスも解説

総務部門は業務範囲が広く、担当者は多くの知識や社内調整を必要とします。そのため「業務が属人化しやすい」「社内外の問い合わせにより業務がストップする」など、業務改善の課題を抱えているケースが少なくありません。

本記事では、総務部門を取り巻く課題を見ていくとともに、具体的な解決策や業務効率化へのプロセスについて解説します。

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働き方改革、労働力不足が加速する中、企業における生産性向上への意識が高まっています。テレワークなど多様なはたらき方の導入も求められるようになった今、職場環境の課題は把握できているでしょうか?

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目次

総務の抱える課題と、今こそ求められる業務効率化

総務とは、会社組織の全体を円滑に動かすために、事務や管理業務をはじめ、さまざまな業務を担う部署・部門です。担当する業務は、企業によって異なりますが、一般的には下記の業務が中心になります。

    • 対外的・社内の窓口業務
    • 備品管理
    • 社内管理
    • イベントの企画・運営

また中小・ベンチャー企業では、従業員の社会保険の加入手続きや異動に関する手続きなど、人事や労務の仕事も含んだバックオフィス全般を担当していることもあります。

関連記事「バックオフィスを効率化する方法|よくある課題の解決策」を見る

少子高齢化などの影響人材不足が進む今、企業にとって業務効率化の推進は不可欠となっており、総務も例外ではありません。総務が抱えている課題と、効率化が必要な理由は3つあります。

    1. 業務範囲が広く、属人化しやすい
    2. 人手不足が深刻で、リソースに余裕がない
    3. 戦略総務へのシフトが求められている

1.業務範囲が広く、属人化しやすい

総務は組織全体に関わる業務を幅広く担当しており、経理や人事といった部門に分類されない仕事が総務の担当になるケースは多くあります。また、「困ったら総務」といった立ち位置になりやすさまざまなタスクが突発的に生じることや企業独自のルールも多いことから、業務属人化が起こりがちです

そのため「担当者の離職によって業務がストップしてしまう」「長時間労働が発生してしまう」といった事態が発生してしまいます。

マニュアルがあればよいものの、担当者が日々のタスクに追われているとマニュアル化する工数を確保することも難しいでしょう

2.人手不足が深刻で、リソースに余裕がない

日本では、少子高齢化に伴い生産年齢人口が減少し、総務に限らず人材獲得競争が激化しています。

総務を取り巻く課題

特に総務は業務量が多い反面、直接的に利益をもたらす部署ではないため、人員を割く意思決定が難しく、少数の業務遂行を余儀なくされるケースも少なくありません。

関連記事「人手不足の現状と原因|6つの解決策・事例も解説」を見る

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少子高齢化は企業の深刻な人材不足を招くと言われており、2030年には600万人以上もの人手不足が予測されています。本資料では、労働力不足への対策として今から取り組むべき2つの施策例、組織づくりのポイントを紹介します。

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3戦略総務へのシフトが求められている

戦略総務とは、定型化した業務を受動的に行う従来の総務部門とは異なり、企業が抱えている課題を解決するために、業務や社内の環境などを能動的に改善し続ける総務部門の在り方を指します。

テレワークの浸透など、企業・組織を取り巻く環境が急激に変化している中、そのような変化に対応すべく、総務が主体となってアクションをとることが求められています。

戦略総務にシフトするためには、ノンコア業務の効率化が不可欠です。戦略総務については以下の記事で詳しく解説しています。

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目的別|総務業務の効率化を図るアイデア

総務業務の効率化を実現する方法は、目的によって異なります。ここでは、

の2つのケースについて見ていきます。

コア業務の質を向上させたい場合

人材不足の中、日常的に発生する定型業務に時間を取られ、本来戦略的に推進していきたいコア業務に手が回らないといった課題を抱えている場合、いかにして日々の定型業務の負担を減らすかが課題解決の鍵となります。このような課題の場合は、主に「RPAの導入」「アウトソーシングの活用」が有効と考えられます。

・RPAの導入

RPAとはロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation)の略で、AIや機械学習・ルールエンジン等の技術を活用し、従来人的に行っていた業務を自動化するツールや仕組みのことです。

例えば、備品管理や経費精算のような繰り返しの業務においては、人的に行うよりも大幅に工数の短縮を期待できます。また、データの打ち間違いや計算ミスといったヒューマンエラーを減らすことにも繋がり、業務品質が向上するといったメリットもあります。

RPAについては、「RPAとは?メリットや導入時の準備、注意点を徹底解説」の記事でより詳細に解説しています。

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・アウトソーシングの活用

煩雑化・分散化・属人化しやすい総務部門の業務は、アウトソーシングの活用も効果的です。ノンコア業務をアウトソーシングすることで、自社の従業員がコア業務に専念できるようになります。また、知見のあるアウトソーサーを活用することで業務品質の底上げが期待できるほか、アウトソースを進める際には自社の業務フロー整理が必要なため、業務の効率化も期待できます。

総務のアウトソーシングについては、「総務アウトソーシングとは|メリットと導入・運用時のポイント」の記事でより詳細に解説しています。

会社全体の業務を効率化したい場合

会社全体の業務効率を図る場合は、「業務のペーパーレス化」「チャットボットなどのITツールの導入」が有効です。

・業務のペーパーレス化
ペーパーレス化は、多くの企業で導入が進んでいますが、一部の書類作成に紙が用いられている・稟議承認のための書類の受け渡しや押印といった業務が残っているといったケースも考えられます。

2022年1月に「電子帳簿保存法」が改正されたことにより、

 ・帳簿類・・・仕訳帳や売上帳など
 ・決算関係書類・・・損益計算書や貸借対照表など
 ・各種書類・・・契約書や領収書、見積書、請求書など

といった、これまで紙ベースで保存していた各種帳簿や書類を、電子データとして保存することが可能となりました。つまり、国としてもペーパーレス化を推進しており、企業も率先して取り組むべき内容ともいえます。

全社でペーパーレス化を推進することで、書類を印刷する手間や稟議承認の作業、書類を管理・検索する工数の削減が期待できます

・チャットボットなどのITツールの導入
ITツールの導入も有効です。例えば、今までは来客時に受付担当が一人ずつ対応していたものを、受付システムを導入することで、受付担当を介することなく、直接用事がある従業員を呼び出すことができれば、コストの削減に繋がります。

また、社内の問い合わせに対してもチャットボットなどのツールを活用し、自動で回答する仕組みを作ることで、総務担当者が問い合わせのたびに業務を止める必要がなくなり、コア業務に集中できるようになります。

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総務業務を効率化するためのプロセス

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業務効率化は、総務部門にとっても重要な課題となっています。前述したように、総務の仕事は組織全体に関わるものが多いため、総務部門の業務効率化が実現すれば、組織全体の効率化にも寄与します。

ここからは、実際に総務を効率化するための4つの手順について具体的に解説します。

    1. 現状分析、課題整理
    2. 具体的な改善策の検討
    3. 実行
    4. 効果測定、見直し

1.現状分析、課題整理

まずは、総務部門が抱えている業務をすべて棚卸しして、課題を把握します。

業務をすべて洗い出すことで、「担当者が一人しかおらず、その人がいなくなると回らない可能性がある」「慣例として行ってきていたが、必要ない業務だった」など、潜在的な課題を発見できます。

課題の洗い出しは「ECRS」のフレームワークを活用すると効率的です。

▼ECRSの4原則

  • E:Eliminate(排除):業務をなくせないか?
  • C:Combine(結合と分離):業務をまとめられないか?
  • R:Rearrange(入替えと代替):順序を変更し、効率化できないか?
  • S:Simplify(簡素化):より単純にできないか?

ECRSの順番は工程改善の優先順位を表しているため、ECRSの順番に取り組むと改善効果が高まります。

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業務効率化を進める際は、あらかじめ既存業務の棚卸しを行うことが重要です。本資料では、具体的な業務洗い出しのステップ、業務改善の進め方・コツを紹介しています。

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2.具体的な改善策の検討

洗い出した課題点について、具体的な改善と取り組みの優先度を検討していきます。抱えている課題やコスト面を加味しながら最適な手立てを選択しましょう。

改善策の一例

また、改善策が定まったら、スケジュールを設定します。改善案を実施する際の具体的なイメージを持つためにも、やるべきことをすべて洗い出し、スケジュールに落とし込んでいきましょう。

このとき、現実的なリソースやコストも考え、計画倒れとならないよう、無理のない範囲で決めることも大切です。

3.実行

実行のプロセスにおいては、優先度の高い課題、かつ効果が出やすい施策から進めていくことをおすすめします。小さな改革を進め、結果を出すことで、より大きな規模感の改革を全社的に進めていく自信に繋がります。

4.効果測定、見直し

施策を実行して終わりではなく、必ず効果測定をすることが大切です。例えば、社内向けの問い合わせ対応のためにITツールを導入したとしても、社内で周知されていないと、かえって問い合わせが増えてしまう・社内業務の遂行を妨げてしまうといったことが起こりかねません。

施策の実行の結果、課題としていた点、例えば総務担当者がコア業務に注力する時間が増えたのかといった点を定量的・定性的にモニタリングしましょう。課題が解決されていない場合、またより改善が見込まれる場合には、更なる施策を実行し、再度検証作業を行います。

このように企業が抱えている課題を解決するために、業務効率化や社内の環境整備など能動的に取り組む総務部門の在り方は「戦略総務」と呼ばれ、注目されています。

関連記事「【事例あり】戦略総務とは?求められる役割と変革のポイント」を見る

総務の業務効率化で注意すべきポイント

業務効率化に取り組む具体的な流れを理解したところで、注意点についても確認しておきましょう。本章では、陥りやすい失敗例とあわせて紹介します。

社内体制が整っているか確認する

業務効率化を進める時は、事前の社内体制の確認を怠らないようにしましょう。

例えば「会議資料などペーパーレス化を進めるべく過去の資料もすべて電子化する」とのアイデアがあったとします。取り組み自体は良いものの、過去の資料を整理したり、電子化するにあたってのルール決めなどは時間や手間を要します。

業務の効率化によって新たな取り組みに着手する場合、少なからず現場に負担がかかります。「効率化のはずがかえって業務量と負担が増えた」とならないよう、社内のリソースを確認したうえで、無理のない範囲で効率化を進めていくことが必要です。

ツールやシステムの導入=効率化、ではない

よくある失敗例として、「ツールを導入したものの上手くいかなかった」ことが挙げられます。現場の声を聞かずにツールを導入すると、使いづらく利用が浸透しなかったり、既存システムと連携できなかったりといった問題が発生しがちです。

このような失敗を防ぐには、事前にツールの導入によるメリットや使い方を従業員に周知し、使い方に困った際の相談先など伝えておくことが大切です。従業員の意識改革とあわせて進めることが、効率化実現への一歩です

また、ツールによっては導入前にトライアルできるものもあります。ツールを日常的に使うのは現場の従業員なので、事前に使用感を確かめることも有効です。

総務部門の効率化を実現した事例

総務部門の業務効率化を実現し、課題解決に導いた事例をご紹介します。

アウトソーシングを活用し、業務負荷軽減・効率化

従業員規模100〜500人の原料メーカーA社では、事業の拡大に伴い、総務部門の業務量が増加傾向にあり、従業員をコア業務に集中させたいが、日々の定型業務に追われているという状況に陥っていました。

また、グループ会社4社とともに本社移転が決定したため、グループ各社の業務を整理し最適化する必要がありました。

そこでパーソルテンプスタッフでは、新オフィスにアウトソーシングを活用した「総務ルーム」を設置することによって、ワンストップで総務業務が遂行できる仕組みを提案しました。来客や取引先の対応、代表電話、庶務業務などあらゆる総務の業務をトータルでアウトソーシングすることによって、従業員が日常的に発生する定型業務に追われることなく、コア業務に専念できる環境を構築しました。

同時に、グループ会社の業務の可視化を実施。各社で類似した業務、重複した業務を洗い出し、本社総務に一元化するため、業務ルールやフロー、外部ベンダーとの連絡方法の変更を提案しました。また、グループ会社の業務引き継ぎに伴い、マニュアルを作成。来客対応や社員からの問合せ対応の業務品質を安定させるために、アウトソーシングスタッフの業務を固定化するといった仕組みを導入しました。

結果、本社およびグループ4社の総務業務を集約・効率化を実現しました。

【参照】パーソルテンプスタッフ株式会社「総務事務アウトソーシング|原料メーカー様の事例

総務カウンターの設置で、業務の属人化を解消。戦略総務へ

自動車メーカーH社では、急速に変化する外部環境に対応すべく社内異動が多くなっており、総務部門のベテラン社員の異動によって生産性が低下していました。いわゆる業務の属人化が起こっていました。

また、業務可視化・標準化・マニュアル化が十分にできておらず、業務の属人化の傾向が強く出ていました。「改善しなければ」という思いはあるものの、目先の業務に追われるなど、なかなか現状を打破できずにいました。

そこで、総務カウンターの立ち上げに着手。人員手配と並行して、業務の引き継ぎとマニュアル化を進めていきました。担当業務は26種類にもおよびましたが、現行の業務そのままマニュアル化するのではなく、システム化・ペーパーレス化などの改良加えました

結果として、1カ月で引き継ぎを完了し、総務カウンター「サポートオフィス」を立ち上げることができました。自社だけでは工数的にも対応できていませんでしたが、アウトソーシングすることによって、スピーディーな立ち上げが実現したのです。

【参照】パーソルテンプスタッフ株式会社「自動車メーカー様の事例

まとめ

本記事では、総務部門における業務効率化をテーマに、総務部門が抱えている問題点や目的別にみる解決方法、具体的な改革プロセスについて解説しました。

総務の改革を進めていく際には、どのような課題を抱えているのかといった現状把握や課題整理をするとともに、改革の目的によって最適な解決策を選択することが大切です。また、施策を実行するだけではなく、効果検証の仕組みを作りPDCAサイクルを回しましょう。

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働き方改革、労働力不足が加速する中、企業における生産性向上への意識が高まっています。テレワークなど多様なはたらき方の導入も求められるようになった今、職場環境の課題は把握できているでしょうか?

業務を効率化したい方に向けて、これまでパーソルグループが業務改善コンサルティングの現場で培ったノウハウを基に作成した『業務整理ノウハウBOOK』をお届けします。

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よくあるご質問

Q.総務業務の効率化はどのように進めればいい?

A.まず現状を分析し、自社の課題を整理した上で、どのような方法で効率化していくか、具体的な解決策の検討に移りましょう。 導入後は効果が出ているか、検証も必要です。

業務を書き出す具体的な手順や、業務効率化を進めるポイントについて、業務改善コンサルタントが現場で得たノウハウをもとにガイドブックにまとめています。ガイドブックは、以下リンクよりどなたでも無料でダウンロードいただけます。
>>業務改善コンサルタントが教える、業務整理ノウハウBOOK【業務の見える化チェックシート付き】

Q.総務業務を効率化する方法は?

A.目的によって最適な方法は異なりますが、下記の方法が挙げられます。

・RPAの導入
・アウトソーシングの活用
業務のペーパーレス化
・チャットボットなどのITツールの導入

>>目的別|総務業務の効率化を図るアイデア

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