2025年08月25日
フォロワーシップとは、リーダーに従うだけでなく、組織のゴール達成のためにリーダーや組織に対して発揮する主体的な影響力を指します。優れたフォロワーシップは、リーダーシップと対になり、組織全体のパフォーマンスを飛躍的に向上させる力を持っています。
本記事では、フォロワーシップの考え方からその重要性、具体的な行動例、育成ポイント、そして組織にもたらす効果までを詳しく解説します。
【お役立ち資料】フォロワーシップを高めるマネジメント方法を解説

組織の成果が伸び悩む背景には、「部下の受け身姿勢」や「リーダー依存のマネジメント」が潜んでいるかもしれません。いま必要なのは、メンバーが主体的に行動するための「フォロワーシップ」を育む仕組みです。本資料では、タイプ別のフォロワー特性や実践的なマネジメントの工夫を解説。
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目次
フォロワーシップについてはさまざまな考え方があります。昨今は、フォロワーシップとは組織のゴール達成のために、リーダーや組織に対して発揮する主体的な影響力であるという考え方がより重要になってきました。
「follow」という言葉に表されるような「後を追う」「従う」行動だけでなく、前向きで建設的な行動やあり方を指す概念と言えるでしょう。なお、本記事では「リーダー」「フォロワー」という組織における役割と、「リーダーシップ」「フォロワーシップ」という発揮能力を区別して考えます。
VUCAと呼ばれる現代は、未来の予測が困難であり、変化が激しいのが特徴です。このような背景を踏まえると、リーダーが指示する通りに、メンバーが実行するトップダウン型のリーダーシップだけでは組織をけん引することが難しくなりつつあります。
複雑な状況下での意思決定と実行には、現場の状況を把握しているメンバーからの情報や提案が不可欠です。リーダーとの協働関係に基づきメンバーが積極的に関与することにより、より質の高い判断ができるようになります。
また、さまざまな課題が山積するなかで、新しいアイデアや解決策は多様な視点から生まれることも少なくありません。メンバーが自由に意見を表明し、知恵を出し合う環境は、組織全体のイノベーションを促進します。
このような理由から、チームを構成するメンバーによるフォロワーシップは組織の存続と発展に欠かせない要素となっています。また、リーダーとメンバーの役割を固定化させることなく、状況に応じて役割を交換しながら、互いにリーダーシップ・フォロワーシップを発揮することが、不確実性の高い現代を乗り越える強い組織の構築につながるのです。
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フォロワーシップをより深く理解するために、ここでは、メンバーシップやリーダーシップとの違いを説明します。
メンバーシップは、「member」の語源が「身体の一部や一員」を示しているように、組織を構成する一員としての所属意識や帰属意識を持っていることを示す概念です。組織においては、組織の一員としての役割を果たすことも含まれます。メンバーシップは、組織に所属する全員に関係するものです。
また、リーダーシップは組織やチームに必要な変化を起こすために、方向性を示し、人々を動機づけ、行動を促す能力や行動のことです。
これに対してフォロワーシップは、より良い実行を支え、組織の目的達成に貢献する能動的な行動を指します。リーダーシップが「変化を起こす、方向性を示す力」であるならば、フォロワーシップは「実行を支える、協働する力」と言えるでしょう。

フォロワーシップは、リーダーシップと対になり、補完し合う関係にあります。リーダーシップだけではなく、フォロワーシップも同時に機能してこそ、組織における質の高いパフォーマンスにつながります。
一般的にビジネス組織においては、リーダーシップはマネジャーやチームリーダーといった役職の人が持つべきもの、フォロワーシップはメンバーが担うものと考えられることが多いかもしれません。
しかし、状況によってはメンバーが先頭に立ち、変化を起こすためのリーダーシップを発揮することが求められるケースもあり得るでしょう。その場合は、反対にマネジャーがフォロワーシップを担う必要があります。組織での成果を最大化するには、役職にかかわらず、リーダーとフォロワーの役割を柔軟に入れ替えることが大切です。
リーダーシップとフォロワーシップが適切に機能することで、以下のような効果が期待できます。
リーダーが方向性を示すなかで、フォロワーがそれぞれの専門性や経験に基づいた建設的な意見を出し合うことができれば、より質の高い意思決定が可能になります。また、フォロワーがリーダーの方針を深く理解し、自律的に行動することで、実行スピードが向上します。
予期せぬ問題や困難に直面した際、リーダーだけでなくフォロワーも問題解決に積極的に関わることで、集合的な知恵を生み出すことができ、組織全体の適応力やレジリエンスが高まります。
フォロワーシップを実践するなかで、主体性や問題解決能力、コミュニケーション能力などが養われます。リーダーシップを発揮する上でも共通する重要な能力を獲得する経験となるでしょう。また、リーダーがフォロワーシップを率先して発揮することは、メンバーに対するフォロワーシップの見本を示す意味も持ちます。
リーダーがフォロワーに権限を委譲したり、活動を支援したりすることによってフォロワーは、主体的に活動して自身の能力を最大限に発揮できる機会を得ることができます。
フォロワーシップとリーダーシップは、どちらか一方が欠けても組織は円滑に進みません。両者が高いレベルで機能することで、組織は最大限のパフォーマンスを発揮できるのです。
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「部下が自発的に動かない…」と感じたら、リーダーだけでは解決できない組織課題かもしれません。フォロワーシップを引き出す実践のヒントを無料公開中!
ロバート・ケリー教授によるフォロワーシップの理論では、フォロワーシップを「批判的思考」と「積極的関与」の2つの軸に基づき、5つのタイプに分類しています。
この分類は、リーダーシップ・フォロワーシップを機能させる上でより良いアプローチを図るヒントを与えてくれます。

模範型フォロワーは批判的思考を強く発揮し、かつ積極的に組織に関与するタイプです。リーダーの指示を鵜呑みにせず、時には疑問や懸念を示し、新たな視点で意見や提言を行います。同時に、自ら率先してチームの目的達成のために行動します。
模範型フォロワーが発揮するフォロワーシップは、組織にとって最も理想的と言えるでしょう。実行においてリーダーを強力にサポートしながら、時にはリーダーと異なる意見をチームに示す点が強みです。
一方でリーダーと異なる視点で意見を表明するため、時にはリーダーと意見が衝突する場面もあるかもしれません。そのような場面では、リーダーは新たな見方がチームにとって必要であることを受け止め、耳を傾ける姿勢が大切です。
孤立型フォロワーは、批判的思考を発揮するものの、組織への関与が低いタイプです。物事を客観的に捉える力があり、組織の課題を独自の視点で掘り下げられる点が強みと言えるでしょう。
しかし現状の問題点や改善点には気づいていても、それらを建設的に提言したり、行動に移したりすることはありません。周囲からは評論家のように映ってしまうため、潜在的な能力が組織に活かされない可能性があります。そのような状況になってしまっているのは、場合によっては、本人が不満や諦めの気持ちを抱いているからかもしれません。
リーダーは独自の意見やアイデアが組織にとって価値のあるものだと伝え、歓迎する働きかけをするとよいでしょう。また、フォロワーから出てきた意見が自分の意見と異なっていたとしても、意見を否定せず、意見を出してくれたこと自体に感謝を伝えてください。そして、その意見の優れた点を少しでも組織に取り入れるようにしたり、実現のために他のメンバーと協働する機会をつくったりすることが組織活動への積極的関与を増やすきっかけづくりとして効果的です。
順応型フォロワーは、組織への関与は積極的ですが、批判的思考を示さないタイプです。リーダーの指示や方針に対して疑問を抱かず、言われたことを忠実に実行します。リーダーが示した通りに活動してくれるため、リーダーにとってはコミュニケーションをとりやすく、頼りになる存在と思えるかもしれません。
しかし、その関係性に甘んじてしまうと、リーダーシップとフォロワーシップは適切に機能しなくなります。リーダーはフォロワーの意見を引き出すことを心がけ、さまざまな場面で「あなたはどう思いますか?」「あなたの考えを聴かせてください」と尋ねるようにするとよいでしょう。
フォロワーがリーダーの指示通りに行動することに慣れていると、リーダーはフォロワー独自の考えを引き出すのに苦労するかもしれません。継続的な問いかけを通じて、フォロワー自らが考えて意見を発信する機会をつくり続けることが大切です。
消極型フォロワーは、批判的思考も組織への関与も低いタイプです。リーダーの指示を待つばかりで、自ら行動を起こすことはほとんどありません。問題意識も低く、現状維持を好む傾向があるとも考えられます。場合によっては、その消極的な姿勢が周囲のメンバーにもネガティブな影響力を与えてしまう可能性があります。
そのような状況でも、リーダーはフォロワーに根気強く働きかけることが重要です。チームづくりに関与してもらったり、個人としての意見を求めたり、いずれかの方向性で少しずつチームとつながる機会を増やすことが望ましいでしょう。
実務型フォロワーは、批判的思考と組織への関与が中程度のタイプです。リスクを避け、安定志向が強い傾向があります。
同時に、チームのバランスを保つ上で重要な存在となるケースもあります。フォロワーがより独自の強みを発揮し、もう一歩踏み出せるように、挑戦の機会を与えるとよいでしょう。

タイプ別の関わり方や育成のポイントをわかりやすく整理しました。現場ですぐに活かせるマネジメントの工夫を無料公開中!
フォロワーシップは、概念を理解するだけでなく、具体的な行動に表れることで初めてその価値を発揮します。ここでは、日々の業務におけるフォロワーシップの具体的な行動例を紹介します。チームとして成果を出すべき場面で、どのようにフォロワーシップを発揮すればよいのか、リーダー・メンバーともに参考にしてください。
自分自身の考えを持ち、チームにとって必要だと思う場面で建設的な意見を伝えることは、重要なフォロワーシップです。具体的には以下のような行動が挙げられます。
リーダーが示すビジョンや方針を共有し、その実現のために貢献することが求められます。具体的には以下のような行動が挙げられます。
チーム全体の状況を俯瞰し、必要に応じてサポートすることで、チームのパフォーマンスを最大化します。具体的には以下のような行動が挙げられます。
フォロワーシップが活性化するかどうかは、一人ひとりの取り組みに加えて、組織全体の取り組みによっても大きく左右されます。ここではとくに、組織としてフォロワーシップを育成するポイントを紹介します。
チームに必要なフォロワーシップを発揮した行動を承認・称賛することで、フォロワーシップが組織に貢献することを明確に示し、チーム内のモチベーションを高めることができます。ポイントは、具体的な行動を観察し、積極的に承認することです。例えば、会議での建設的な発言、チームメンバーへの協力、チーム目的達成のための困難な課題への挑戦などが対象として挙げられます。
また、フォロワーシップの発揮による成功事例を社内で共有することで、フォロワーシップの具体的な理解を促進し、重要性をより浸透させられるでしょう。
チーム内で安心して意見を述べたり、挑戦したりできる環境がなければ、積極的なフォロワーシップは育ちません。心理的安全性の確保は、フォロワーシップ発揮の基盤となります。
そのため、誰もが自由に発言し、質問できる雰囲気づくりが不可欠です。リーダーは積極的にメンバーからの意見を求め、傾聴する姿勢を示します。自分とは異なる意見や少数意見こそ、否定せず、尊重する姿勢を示すことが重要です。
挑戦した結果、もしも期待していた成果が出なかった場合でも、成果が出なかったことを責めるのではなく、学びを見出し次に活かす文化を醸成しましょう。挑戦したからこそ学びを得た経験が、積極的な行動を促します。
万が一、チーム内でハラスメントやいじめが発生した場合には、迅速かつ適切に対応し、メンバーが安心してはたらける環境を保証する必要があります。
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一人ひとりのフォロワーシップの質の向上には、自分の強みや弱み、価値観を理解し、現状の行動を客観的に振り返り、必要があれば修正することが欠かせません。
その過程においては、チーム内でお互いのフォロワーシップに対してフィードバックを行い、チームの目的達成のために期待していることや、強みをどのように発揮してほしいかなどを共有することが有効です。フィードバックは具体的な行動に焦点を当て、客観的な自己理解や行動の改善につながるような形で行うとよいでしょう。
また、フォロワーシップに関する自己理解を深める上では、前述したフォロワーシップの5つのタイプを参照して自分自身の行動を振り返ったり、他者からフィードバックをもらったりするのもおすすめです。
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フォロワーシップが根付けば、チームはもっと強くなります。そのために、リーダーがどう関わればよいのかを解説した資料を無料公開中!
パーソルグループでは、チームのフォロワーシップ・リーダーシップを機能させるための研修として「多様性が活きるチームのためのリーダー行動」というプログラムを提供しています。この研修プログラムは多様化が進む職場でメンバーそれぞれの違いを活かし、適切な協働を促進するためのリーダー行動を学ぶことを目的としています。対象となるのはミドルマネジャーやプロジェクトマネジャー、プロジェクトリーダーです。
この研修プログラムは、メンバーの多様化によるチームの求心力の低下や意見の対立といった、現代のリーダーが抱える具体的な課題解決に焦点を当てているのが特徴です。また、動画やセルフチェック、マイケース、グループディスカッションを通じて、学んだ知識を職場での具体的な行動計画に落とし込み、実践することを重視しています。
| イントロダクション | ・本セミナーのねらいとゴール ・メンバーが感じるチームの状態ふり返り |
|---|---|
| 多様性が活きるチームづくりのためのリーダー行動 | ・多様性が活きるチームづくりのためのAUBEモデル ・ケース動画(メンバーのアイデアを話し合う/見本を示す/適応的にふるまう) |
| リーダー行動のセルフチェック | ・自分の強み・課題の確認 |
| リーダー行動の活用と職場での実践準備 | ・職場での実践に向けたマイケース検討 |
フォロワーシップが組織に深く浸透することで、組織全体に対して以下のような多岐にわたるポジティブな効果をもたらします。
フォロワーシップの発揮により一人ひとりが主体的に行動し、互いに協力しながら組織の目的達成に貢献することで、チーム全体の業務効率が高まり、結果として組織全体のパフォーマンスが最大化されます。
リーダーの指示を待つだけでなく、自ら考え、行動し、組織にポジティブな影響力を発揮できる人が増えれば増えるほど、より効果的な実行が可能になるでしょう。
多様な意見やアイデアが自由に飛び交う心理的に安全な環境では、新しい視点や発想が生まれやすくなります。常に改善や改革の視点を持ち、対話と実行を行うことで、イノベーションが促進されるのです。
また、変化の激しい現代において、リーダーシップとフォロワーシップが柔軟に機能することで、組織全体として変化に迅速に適応できるようになるはずです。
組織の目的を共有した上で、自身の意見が尊重され、貢献している実感が得られる環境は、従業員の仕事へのモチベーションを大きく高めます。フォロワーシップの発揮は、自身が組織の重要な一員として活動できている感覚を醸成し、エンゲージメントの向上につながります。
エンゲージメントが高い従業員は、仕事に情熱を持ち、自ら積極的に貢献しようとするため、結果として離職率の低下にも寄与するでしょう。
【関連記事】エンゲージメントとは?定義や注目される背景、高めるための施策を解説
組織の目的達成のために積極的に行動を起こし挑戦する行動、そして周囲の人が能力を発揮できるようにサポートする行動は、リーダーシップにも共通する要素です。リーダーの役割を担う上でも、フォロワーシップは欠かせない要素と言えるでしょう。
リーダーシップとともにフォロワーシップを重視する組織は、次世代のリーダー候補を育成するための土壌となり、結果的に組織の持続的な成長を可能にします。
【関連記事】リーダー育成のポイントとは?よくある課題や具体的な方法を解説
フォロワーシップは、これからの時代に組織が集団としての成果を出し、発展していくために不可欠な能力であると言えるでしょう。リーダーシップとフォロワーシップの両方を育むことにより、組織はより強固で柔軟なものとなり、持続的な成功を収めることができるはずです。
主体性のあるチームが組織を強くする
フォロワーシップを引き出すマネジメントガイド(無料公開中)
リーダーとメンバーが一体となって課題解決に取り組めるチームをつくることができれば、組織はもっと強くなります。そのカギとなるのが「フォロワーシップ」です。
「フォロワーシップを引き出すマネジメントガイド」では、心理的安全性を高めながらフォロワーを成長させる方法を紹介。
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株式会社パーソル総合研究所
ラーニング事業本部 商品開発グループ シニアコンサルタント
高城 明子
メーカーに入社後、法人営業、人材開発、マーケティングに従事。その後、企業の人材開発・組織開発コンサルティングの領域で活動。リサーチ/アセスメントの企画開発、リーダーシップトレーニングプログラムの開発、企業内のリーダーシップ開発・組織開発分野のコンサルティング・実行支援を行っている。CRRグローバル認定 組織と関係性のためのシステムコーチ(ORSCC)、HOGAN ASSESSMENTS認定フィードバックコーチ、産業カウンセラー。