ビジネススキル研修を導入することは、社員一人ひとりのスキルアップのみならず、組織運営においてもメリットをもたらします。とはいえ、ビジネススキルという言葉の持つ意味は幅広く、体系立てた理解とともに、自社や社員のニーズに合った研修の選定が必須です。
本記事では、おすすめの研修プログラムを一覧で紹介するとともに、ビジネススキル研修効果を高めるポイントや選定基準を解説します。研修の導入により今ある課題を解決したい方も、研修の見直しを図りたい方もぜひ参考にしてみてください。
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ビジネススキル研修を実施すると、社員一人ひとりのスキル向上に加え、組織全体の活性化にもつながります。
・求められるスキルが多様化しており、どのようなプログラムを組めばよいかわからない
・階層別に研修を実施するノウハウがない
そのような方に向けて、階層別に研修プログラムの一例を紹介した「人材育成課題を解決する”社員研修”のススメ」を公開しています。
ビジネススキル研修の実施・見直しを検討している方は、ぜひ一度ご覧ください。
ビジネススキル研修とは
ビジネススキル研修とは、仕事に関するあらゆるスキルの向上を目的とした研修を指します。個々の社員のスキルアップが、結果として企業や組織の成長や活性化につながることが理想です。
「ビジネススキル」が表す範囲は非常に広いため、漠然と研修やワークを受けるだけでは期待した効果は得難いのが現状です。受講前にどのようなスキルを向上させたいかを明確化しておきましょう。
1955年にハーバード大学のカッツ教授が提唱した「カッツ理論」では、ビジネススキルを3種類に分類しています。
-
- ヒューマンスキル:対人関係において良好な関係を構築し、維持していく能力を指します。リーダーシップやコミュニケーション力、交渉力といった要素に細分化されます。
- テクニカルスキル:日々の業務を遂行していく能力やそれに付随する知識や技術を表します。PC操作スキルや商品知識、営業スキルなどが該当します。
- コンセプチュアルスキル:「概念化力」とも呼ばれ、物事の本質を捉えて判断する能力のことです。ロジカルシンキング(論理的思考)やクリティカルシンキング(批判的思考)、柔軟性など本スキルの表す範囲は多岐にわたります。
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階層ごとに求められるビジネススキル
スキルアップの対象となるビジネススキルは、社員の階層によっても異なります。例えば、入社したばかりの新人にはマナーや電話対応などのビジネススキル、管理職には組織のマネジメントスキルが必要となります。ここでは、階層別に研修内容の具体例を紹介します。
【新人・若手社員】基礎的なビジネススキルを身につける
入社まもない社員や2~3年目の若手社員には、社会人としてのビジネスの基本や、自立して仕事を回せるような段取り力が必要です。これには、仕事をするうえで必要な基本的な姿勢やマナーも含まれます。
こうした階層を対象とした研修を通して、いち早く自立し自社で活躍できる人材へと成長できるようスキルを身につける環境を与えます。
【中堅社員(管理職)】管理職としての立ち振る舞いを学ぶ
中堅社員はこれまでのプレイヤーからステップアップした、管理職としての立ち振る舞いが求められます。組織の中での位置づけなどのマインド面やチームの動かし方といった具体的な手法など、組織や仕事というものに対して新たな視点を習得させていきます。
【経営層】経営的視点を養い、大局的な問題解決能力を鍛える
次世代のリーダーとなりうる経営層にはより大局的な視座が求められます。組織経営の中核を担う彼らには、自ら主体的に組織を牽引するスキルや与えられたリソースで成果を出す力が重要です。
経営層のスキルアップは、企業の成長にダイレクトに影響するといっても過言ではありません。
ビジネススキル研修の導入で期待される効果
本章ではビジネススキル研修を実施する際の期待される効果についてご紹介します。自社で狙いとする効果と照らし合わせて参考にしてみてください。
1. 社員一人ひとりのスキルアップ
研修を実施することでまず考えられる効果は、社員一人ひとりのスキルアップです。基本的にビジネススキル研修は、研修ごとにテーマや課題が掲げられていることがほとんどです。
例えば、前述の若手社員向けのビジネススキル研修の場合、段取り力や仕事の回し方といった具体的な手法を学ぶことで、実務経験との相乗効果が生まれ、OJTのみで教育するよりも早く独り立ちできることが考えられます。対象者や目的にフィットしたビジネススキル研修を導入するというのが重要なポイントとなるでしょう。
具体的なスキルやその詳細は、次章の「ビジネススキルの研修プログラム」でご紹介します。
2. 組織の活性化
社員個々人のスキルアップは主体的な行動変容を促し、中長期的に見て組織や企業の活性化をもたらします。研修によって問題解決力や生産性が向上することで、チームというより広い視点から考えて、周囲にプラスの影響を与えるでしょう。
また、管理職の社員が研修を通じてマネジメントスキルや人材育成力を身につけることも、組織の活性化につながります。
ビジネススキル研修は幅広いラインナップがあるため、自社の組織の弱点を補強するようなテーマを選択するのも一案です。
3. 人材の流出防止
研修を通して仕事のやりがいを見出し、理想の自分像や自身の役割を認識した社員はモチベーションが高まります。モチベーションの高まりは、仕事に対するエンゲージメントの高まりをもたらし、人材の流出防止につながります。
パーソル総合研究所の『HITO vol.16 はたらく人の幸福学』によると、新たな学びによる「自己成長」や自分ごとで仕事を進める「役割認識」は、はたらく幸せを構成する因子と認識されています。そして、はたらく幸せを実感する割合が高い方が、転職意向が低く継続して就業する意向が高いことが分かっています。
このことからも、社員自らがスキルアップなどの成長を実感できることや、社内における自らの役割を再認識し主体的に仕事に取り組むなどといった、ビジネススキル研修を通しての変容は人材流出の防止に効果的と言えるでしょう。
失敗しないビジネススキル研修の進め方
ビジネススキル研修に限らず、研修プログラムはただ実施するだけでは意味がありません。受講者が現場で実践に移せるよう、研修を設計・実施することが大切です。
30年・21,000社以上の人材開発実績をもつパーソルグループでは、1社1社にあわせた最適な研修プログラムをご提供します。
ビジネススキル研修のお困りごとは、ぜひお気軽にご相談ください。
ビジネススキルの研修プログラム
仕事が複雑化、多様化しているなか、ビジネスで求められるスキルも増えています。そのため、優先順位を付けて研修を選ぶことが大切です。本章では、ビジネススキル研修のプログラム例を整理し、想定される対象者や特徴などを一覧にしました。組織に最適な研修を選定しましょう。
ビジネスマナー研修
特徴 |
業界にとらわれず、汎用性のある基礎的なビジネススキルをテーマとする |
目的 |
学生から社会人への意識の切り替えや若手の独り立ち |
対象者 |
新入社員や入社2~3年目の若手社員 改めてビジネスマナーを学び直す必要のある中堅社員やベテラン社員 |
プログラムの目標 |
社会人としての基本的なマナーや仕事に対する取り組み方・段取り力などを習得する |
学習の流れ |
基本的なビジネスマナーを習得し、若手社員に求められる役割を理解。グループワークなどを通じて主体的な姿勢を学ぶ |
ビジネススキル基礎研修は、主に新入社員や入社2~3年目の若手社員を対象としたものです。社会人としてあるべき基本的なマナーや仕事に対する姿勢、仕事の段取り力などを学びます。
入社まもない社員には学生から社会人としての意識の切り替えを促し、その段階をクリアした若手社員へは研修を通して自立して活躍できる社員になれるような学習機会を与えます。
また、中堅社員やベテラン社員の中にも研修対象となる人材がいるケースもあります。ビジネスマナー研修を受けても、年月が経つに連れてその知識や作法が曖昧になっているケースや、以前とはマナー自体が変化しているケースもあるでしょう。上司や先輩として見本となる振る舞いを見せるためにも、改めてビジネスマナーを学び直すことも大切です。
ビジネスマナーを学ぶものは社会的な背景もあり、オンライン形式での実施も増えています。オフラインで開催されるものは、グループワークなどを通じて実践的に主体的な仕事の進め方や段取り力などを習得していきます。
コミュニケーション向上研修
特徴 |
新入社員から経営層向けまで各階層を対象としたプログラムがある |
目的 |
社内での人間関係や意思疎通を円滑に図り、業務の生産性を上げる |
対象者 |
コミュニケーションに課題を抱えるすべての階層の社員 |
プログラムの目標 |
社会人としての基本的なマナーや仕事に対する取り組み方・段取り力などを習得する |
学習の流れ |
基本的なビジネスマナーを習得し、若手社員に求められる役割を理解。グループワークなどを通じて主体的な姿勢を学ぶ |
どの階層のビジネスパーソンにも一定の課題として認識されているコミュニケーション。ひと言でコミュニケーションスキルと言っても、立場が変われば周囲へのアプローチ法も変化するため、身につけるべきコミュニケーションスキルは階層によって異なります。
社員の現状にあったコミュニケーションスキル研修を選択し、意思疎通の円滑化を図るとともに、業務の生産性の向上につなげていきます。
コミュニケーション向上研修のラインナップは非常に豊富なため、話す・伝えるという発信力に重点を置くもののみならず、相手の主張を聞く・受容するといった双方向型の対話力を伸ばす研修も多く見受けられます。
コミュニケーションスキルを磨くには実践が重要です。そのため、多くの研修がロールプレイングなどでアウトプットの機会を設けています。
ロジカルシンキング研修
特徴 |
ロジカルシンキングの基礎から企業戦略に活かせる高次元のものまでさまざま |
目的 |
論理的思考力を鍛え、実務での問題発見、解決に活かす |
対象者 |
論理的思考力を習得したいすべての社員 |
プログラムの目標 |
ロジカルシンキングを身につけ、実務において物事の本質を捉えた問題発見および解決を実践する |
学習の流れ |
基礎レベルでは基本的な概念や思考法を学習し、応用編になるにつれ、より具体的、実践的な手法を学びワークなどで実践する |
仕事の複雑化、多様化によって、業務を進める上での正解がないことも増えてきた昨今。物事の本質を見極めて、問題を発見、解決していく論理的思考力がより一層求められるようになりました。
ロジカルシンキングは階層を問わず多くの社員に求められるため、プログラムの対象も広範囲におよびます。本スキルを鍛えることで、実務において、本質を論理的に捉えて問題発見や解決までのプロセスをスムーズに行えるようになります。
研修においては、座学での学習に加えてワークでの実践を行い知識の定着化を図ります。
ビジネス文書・ライティング研修
特徴 |
ビジネス文書の作成スキルや部下の文書の添削に特化した研修 |
目的 |
正しい言葉遣いをもとにした、読み手に伝わりやすい文章を書けるまたは添削ができる |
対象者 |
若手社員や外国人労働者、添削については部下を指導する役職者など |
プログラムの目標 |
ビジネス文書作成スキルが向上し、実務での当該業務の生産性があがる |
学習の流れ |
文章の書き方を体系的に学び、文書ごとの事例を参考に実践を行う |
業界・職種を問わず必要とされるビジネス文書の作成やライティングスキルの向上を目的とする研修です。
最近は、増加傾向にある外国人労働者向けに特化したプログラムも用意されています。また、文書を作成する側のほかに、添削する機会のある役職者向けの研修もあります。
ビジネス文書は、メールや報告書・企画書・議事録・稟議書などさまざまです。受講を通して、ライティングスキルを実務に活かすことで、文書作成の効率化といった生産性の向上につながります。
プレゼンテーション研修
特徴 |
企画段階からプレゼンテーションの作成、発表までプレゼンテーションに関する幅広いスキルが対象 |
目的 |
プレゼンテーションの基本からより高度なノウハウを習得し、実務に応用する |
対象者 |
新入社員から中堅社員 |
プログラムの目標 |
聞き手が納得し、行動変容をもたらすようなプレゼンテーションスキルを習得する |
学習の流れ |
まずは基礎的なノウハウを学習。資料の作成法や話し方に重点が置かれる。より高度になると、リサーチ力や企画力、業界別のポイントをおさえた研修へと移行する |
プレゼンテーションは多くの社会人が何らかの形で経験するものです。新入社員や若手などのプレゼンテーション経験が浅い社員には、基礎知識から習得する必要があります。
最終的には、相手を納得させ行動変容につなげるようなプレゼンテーションが理想とされているケースが多く、より高度なレベルでは、リサーチや企画のスキルも習得します。業界別の研修では、例えば想定顧客像を絞り込むなど、より実務的かつ具体的なスキルが学べます。
ファシリテーション研修
特徴 |
会議の進行役という狭義のファシリテーターから商談などの対外的な場で活躍するスキルを対象としたものも |
目的 |
実務における利害関係者の合意形成を円滑に行い、次のアクションへと導くスキルを身につける |
対象者 |
チームリーダーなど中堅社員、役職者 |
プログラムの目標 |
優秀なファシリテーターに求められるスキルを習得し、会議などの生産性を上げる |
学習の流れ |
座学で基礎的な知識を学習し、模擬会議などのアウトプットによりスキルの定着化を図る |
ファシリテーションとは一般的に「会議を円滑に進行する手法」として知られているビジネス用語です。ファシリテーション研修では会議の進行役であるファシリテーターのスキルアップを図り、会議の生産性を上げることを目標としているものが多くあります。
研修の対象者は、ファシリテーターの役割を与えられている一定の階層以上の社員です。会議において、利害関係の異なる参加者から意見を引き出し納得感のある合意形成へと導くことが優秀なファシリテーターの仕事です。
研修では知識のインプットのほかに、模擬会議といったアウトプットの場を設けてスキルの定着化を図ります。
マーケティング研修
特徴 |
マーケティングの基礎から経営的な視点まで習得可能 |
目的 |
階層や職務ごとのマーケティング領域に関する課題を解決する |
対象者 |
業務にマーケティングスキルを必要とする社員や事業戦略に関わる経営層 |
プログラムの目標 |
顧客や市場のニーズを的確に見出し、自社の戦略や実務に活用する |
学習の流れ |
マーケティングの基礎知識や概要を学習し、ディスカッションやフレームワークなどで実践的な活用法をアウトプットしていく |
モノやサービスが売れる仕組みをつくることをゴールとするマーケティング。その目的達成のために行う活動の一つひとつが、マーケティング研修の内容となります。
価値観が多様化している現代、業界や職種問わずマーケティングの視点が必要とされるビジネスパーソンは多く、企画、広報、販促といった部門以外の社員を対象としたプログラムもあります。上位階層は事業戦略に活かせるマーケティングを学びます。
まずはマーケティングの基礎知識を習得し、与えられたテーマに沿ったグループディスカッションなどで実務への活用法を学んでいきます。
リーダーシップ研修
特徴 |
次世代の経営層候補となりうるリーダーがマインドや人材育成スキルなどを習得するもの |
目的 |
リーダーに求められる役割を理解し、チームや組織を主体的に牽引する |
対象者 |
中堅社員以上のリーダー的な役割を担う社員 |
プログラムの目標 |
自社に合ったリーダー像や必要なスキルを習得し、実務に活用する |
学習の流れ |
リーダーに求められる役割の理解をはじめとし、チームマネジメントや人材育成の手法などを学習する。研修の場におけるアウトプット機会は少ない |
リーダーシップ研修は、名称を問わずチームや組織を牽引する役割を担う社員を対象としたもので、企業にとって次世代の経営層の候補となりうる社員のスキルアップを図ります。
研修では、リーダーに求められるマインドや、マネジメント、人材育成といった具体的な手法を習得します。リーダーには、組織運営力をはじめ、目標や進捗の管理力、コミュニケーション力などの幅広いスキルが求められます。そのため、プログラムの内容もさまざまです。
リーダー研修のプログラムは、対象者によって異なります。管理職であればメンバーの動かし方、中堅社員であれば仕事の任せ方やテレワークでのリーダーシップ、次世代リーダーであれば人を動かす話し方やアイデアのビジネス化力が求められます。
導入の際は、自社の求めるリーダー像に合った研修を選定し、対象社員の現状を考慮して過不足のないよう配慮が必要です。
プロジェクトマネジメント研修
特徴 |
プロジェクトを担うプロジェクトマネージャー(PM)向けに特化 |
目的 |
プロジェクトマネージャーという立場特有の役割を理解し、主体的にプロジェクトを成功に導く |
対象者 |
新任のプロジェクトマネージャーやプロジェクトの進行に課題を抱える社員 |
プログラムの目標 |
プロジェクトのゴールを的確に捉えてチーム全体のPDCAを回し、期限内に最良の結果を出す |
学習の流れ |
進捗管理や交渉力といったPM本人に必要なスキルを習得しつつ、マネジメント力などのチーム全体を牽引する能力も身につける |
プロジェクトマネージャー(PM)とは、ある現場やプロジェクトを任された社員を指します。IT分野でのシステム開発におけるプロジェクトの責任者を表す場合もありますが、業界を問わずプロジェクト型の業務形態をとっている企業もあり、ビジネススキル研修においては一概にこの限りではありません。プロジェクトなどの進行にあたり一定の責任を持った社員を対象にスキルアップを図るのが、プロジェクトマネジメント研修です。
プロジェクトマネジメント研修では、基礎的な概論だけでなく、実際にプロジェクトを管理・運営するうえで必要な目標設定からその管理までの一連の流れを体系的に学びます。
プロジェクトマネジメントに必要な「「Quality(品質)」「Cost(コスト)」「Delivery(納期)」を学ぶとともに、組織の戦略や変革を効率的に遂行できるマネジメントスキルを身につけることが期待できるでしょう。
マネジメント研修
特徴 |
新任からベテランマネージャーまで、各々の課題に対応した研修がある |
目的 |
マネジメントスキルを高め、チームや組織の成長に寄与する |
対象者 |
マネージャーなどの名称を問わず、部下やチームを管理する立場にある社員、一般的な管理職 |
プログラムの目標 |
マネジメントスキルを活かしてチームや組織に成果をもたらす |
学習の流れ |
一般的なマネジメントの基礎を学習し、自身の抱えるより具体的または高次の課題に適した内容を受講する |
一般的な管理職などを対象としたマネジメント研修は、いわゆる「マネージャー」になりたての新任者からベテランまで幅広い管理職のスキルアップを目的とするものです。研修プログラムもさまざまで、ひと言で「マネジメント研修」と言っても、率いる組織の大小や立場によって課題が異なるという現状が伺えます。
マネジメントスキルの向上は、当該社員のみならずチームや組織の成長にも好影響を与えます。新任者にはプレイヤーからマネージャーへの意識の切り替えやマネジメントの基礎を学習する機会を与え、既任者などには、例えば「人材育成に悩んでいる」や「より経営的な視点を身につけたい」といった具体的な課題に対応する研修を選定しましょう。
ネゴシエーション研修
特徴 |
営業現場での条件交渉を「準備」「戦略の立案」「実行スキル」のフレームで体系的に習得する |
目的 |
ネゴシエーションを体系的に学び、利益の損出防止と営業効率の向上を図る |
対象者 |
セールスマネージャー セールス |
プログラムの目標 |
3者(お客さま、セールス、セールスの会社)が何らかの成果を得るネゴシエーションを行う 1回だけでの取引きに終わらせず、長期的な関係づくりにつなげる |
学習の流れ |
ネゴシエーションの戦略的準備の方法と、最終的に合意を得るまでのネゴシエーションスキルを学ぶ |
ネゴシエーションとは、交渉や折衝を意味する言葉です。特に営業の現場では、社内や顧客との間で交渉する機会が多く発生します。
ネゴシエーション研修では、セールスの現場で交渉や折衝の役割を担う社員のスキルアップを図ります。ネゴシエーションを個人の資質に頼っていた場合、得られるはずに利益を逃してしまうリスクがあります。
研修で体系的な方法を学ぶことにより、利益の損出防止につなげ、営業の効率化を目指します。ネゴシエーションにおける準備方法とともに、話し合いの方向づけや相違の解消方法、最終的に合意を得る方法といったスキルの習得が、主な研修内容です。
座学だけではなく、ディスカッションやロールプレイにより、実践的なスキルを身につけていきます。
人材育成の課題にあった、研修プログラムの選び方
パーソルグループでは、ビジネススキルの実践力を培うプログラム策定や事後のフォローアップなど、企業課題に合わせたプログラムの考案・見直しを提供しています。
ビジネススキル研修の開催・実施にあたってのお困りごと、お悩みはぜひお気軽にご相談ください。
ビジネススキル研修の実施形式
ビジネススキル研修の効果を高めるには、実施方法を工夫することも有効です。
ビジネススキル研修は、座学形式からグループワークを交えたものなどさまざまな形式があります。座学形式の研修は実施のしやすさから多く行われていますが、どうしてもインプットに寄ってしまい、その場限りの知識となってしまうこともあります。
本章では、ビジネススキル研修の学習形式について、それぞれのメリットと合わせて紹介します。自社で伸ばしたいスキルに合わせて方法を選択しましょう。
OJT
概要 |
実務を通して業務を教える手法 |
メリット |
・個人の特性にあわせて教育できる ・実務に基づくため即戦力につながりやすい ・教える側の学習にもなる |
デメリット |
・体系的な教育ができない ・業務とは別に時間を割く必要がある |
オンライン研修
概要 |
Web会議ツールを用いてオンライン上で開催される |
メリット |
・場所、時間、人数を問わず開催できる ・チャットを活用した質問 ・繰り返し学習できる |
デメリット |
・表情や仕草がわかりにくい ・通信環境の影響を受けやすい |
eラーニング
概要 |
スマートフォンやパソコンで行う動画学習 |
メリット |
・場所や時間を問わず実施できる ・繰り返し学習できる |
デメリット |
・実践的な教育ができない ・学習の進捗管理が煩雑になりやすい |
グループワーク
概要 |
与えられたテーマに対し、同じグループのメンバーと共にワークを行う |
メリット |
・交流の機会を作りやすい ・解決力や思考力を培いやすい |
デメリット |
・多数派の意見に同調してしまう ・消極的なメンバーは参加効果が低くなる |
ロールプレイング
概要 |
実際の状況に近い場面を設定し、その通りに演じる |
メリット |
・座学で学んだ知識をその場でアウトプットできる ・対面でのコミュニケーションを要する学習に適している |
デメリット |
・参加人数が多い場合は時間がかかる ・馴れ合いになると、実践的な学習にならない |
ビジネススキル研修の進め方
ビジネススキル研修の進め方には、基本的な流れが存在します。ここでは、ビジネススキル研修を進めるうえでの、計画の立て方から実施までの基本的な流れについて解説します。
1.求める人材像を定義する
はじめに、自社にどのような人材が必要なのか、定義を明らかにします。「こんなスキルを持っている」「こんなマインドが望ましい」など、具体的な姿をベースに洗い出すとよいでしょう。前述したスキルマップを活用すれば、具体的な姿をイメージできます。
2.研修内容・スケジュールを決める
人材像が定まれば、身につけてほしいスキルや、現状不足している要素が明確になります。ゴールに向けて学ぶべきことを逆算し、研修内容を決めましょう。
研修内容を決めるとともに、いつ、どのくらいの期間で実施するのかといったスケジュールについても決めましょう。
3.研修形態を決める
研修内容とスケジュールが決まれば、研修形態を決定します。ビジネススキル研修の効果を高めるには、研修形態を工夫することも有効です。
ビジネススキル研修には、座学形式からグループワークを交えたものなどさまざまな研修形態があります。ただし、形態によってメリット・デメリットが存在します。
例えば、座学形式の研修は容易に実施できるものの、インプットがメインになり、その場限りの知識となってしまうことも珍しくありません。各研修形態のメリット・デメリットを理解したうえで、適した形態を選択することが大切です。
各研修形態のメリット・デメリットは「ビジネススキル研修の実施形式」にまとめています。
4.育成後のアクションプランを設定する
研修形態を決めたら、必要なビジネススキルを身につけるためのアクションプランを設定します。例えば、以下のようなアクションプランシートを作ると良いでしょう。
育成後には、実践でのアウトプットと、新しい知見を習得するインプットの繰り返しが欠かせません。一度学習した内容をもとにアクションプランを設定したとしても、あとからプランの見直しが必要な部分に気づくケースがあります。
効果的なビジネススキル研修にするためには、PDCAサイクルを回せるようなアクションプランの設定と改善を繰り返すことが大切です。
ビジネススキル研修の効果を高めるポイント
幅広いスキルに対応しているビジネススキル研修ですが、効果を高めるには以下のポイントを押さえましょう。
1.習得スキルを設定し研修の目的を明確にする2.受講者自身が振り返りを行う3.研修効果のフィードバックを行う4.対面とオンライン研修を使い分ける5.座学と実践をセットで考える6.組織全体で取り組む7.中長期的に育成計画を立てる
1.習得スキルを設定し研修の目的を明確にする
習得したいビジネススキルを設定し研修の目的を具体的に定めることが、研修効果を高める上でもっとも重要です。社員のニーズにマッチしていない研修は、受け身の姿勢の原因となり効果が上がりません。
広範囲におよぶビジネススキルから目的にあった研修を選ぶために、前述のカッツ理論をもとにして、社員の対象階層に当てはめて足りないスキルを認識できるよう導くなど、社員が当事者意識を持てるよう、習得スキルや研修の目的、ゴールを設定し共有しましょう。
2.受講者自身が振り返りを行う
受講者自身が、研修の内容や現場でのスキルの活かし方について振り返りを行うことも大切です。
例えば、上表のプレゼンテーション研修で考えてみましょう。学習したスキルを実務で活用できているか振り返る際に、漠然と「できている」「できていない」と判断するのではなく、「資料を論理的にまとめられているか」「簡潔に話すことができているか」など、具体的なアクションに落とし込み振り返ることがポイントとなります。
振り返りのタイミングは、研修の終盤や終了後にし、例えば研修から1カ月後にどの程度実践できているかを振り返る機会を設けることも有効です。
これにより「受講して満足する」といった研修の形骸化を防ぐことにもつながります。
3.研修効果のフィードバックを行う
研修効果は、受講した社員のみならず上司やチームといった周囲からも振り返りを行います。ここで言う振り返りは、第三者からの効果測定の意味合いを持つもので、研修で得た知識やスキルが現場に活かされているかを客観的な視点でフィードバックします。
先のプレゼンテーション研修の例で述べると、受講者本人が「分かりやすい資料作成ができた」と思っていても、上司の視点からは改善点があるかもしれません。特に「できた」と自己評価を完了し本人が改善点に気がついていない場合、ビジネススキルの向上はそこで止まってしまうため注意が必要です。
また、周囲からのフィードバックは、達成した目標から派生して次のスキルアップを提案される機会にもつながります。
研修を受講した社員に対し、周囲が積極的に振り返りを実施していくことで、結果として課題や解決策の共有につながり、本人のみならず組織に変化をもたらすのです。
フィードバックの内容を次の課題にして新たなPDCAを回すことで、中長期的な効果も期待されます。
4.対面とオンライン研修を使い分ける
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、オンライン研修の実施が増加しています。パーソル総合研究所の「第四回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」によると、オンラインと対面を組み合わせた研修の実施が28.0%と最も高い結果となりました。
ビジネススキル研修を実施する際は、伸ばしたいスキルに応じて研修の実施形態をを決めていきましょう。
一方でオンライン研修は、「時間が削減できた」「スケジュール調整がしやすい」といった場所や時間面での効率性が向上する一方で、「受け身になりやすい」「受講者同士の交流機会が不足」のような課題も浮き彫りになっています。
これらの課題を解決するためにも、従来の研修をただオンラインに落とし込むのではなく、オンラインの強みを生かした研修を実施することが必要です。
【オンライン研修と集合研修それぞれの特徴】
例えば、意識的に交流を図るためにブレイクアウトルームを活用したグループワークを導入したり、一人ひとりの参加意識を高めるために、受講人数を講師の目が届く範囲の人数に絞って複数日開催にするなど、さまざまな工夫を取り入れてみましょう。
5.座学と実践をセットで考える
研修の効果を高めるには、座学と実践をセットで考えることが大切です。実践では、座学では想定しなかったことが多々発生します。座学の内容を実践で試し、足りない知識やスキルを認識することにより、次の課題が見つかります。
座学と実践を繰り返し、試行錯誤することによりPDCAサイクルが回り、成長につながるのです。実際に社内プロジェクトに参画させ、実践経験の場を提供すると良いでしょう。
実践できる業務が存在しない場合は、シミュレーションや予定している業務を実験的に実施するといった環境を準備しましょう。 人材の育成方法については「人材育成の考え方|具体的な計画の立て方と事例を解説」の記事で詳細に解説しています。
6.組織全体で取り組む
研修担当者に任せきりにせず、組織全体で研修体制を構築しましょう。会社のトップから研修担当者にメッセージを伝え、研修への理解と動機付けを促すことで、組織全体が同じ方向を向いて研修に取り組めます。
組織のより高い視座から研修担当者へメッセージを伝えるにあたり、ポイントとなるのは以下の3点です。
-
- 財務的な観点(売上・利益に貢献する人材の育成など)
- 生産性の観点(仕事の効率・効果の向上につなげるなど)
- イメージの観点(会社や組織を好ましく思ってもらいたいなど)
研修担当者は、これらのポイントを理解することにより、納得度を高めて研修を実施できます。ときには上司や経営層からもフィードバックを得ることも大切です。
フィードバックによって軌道修正を図れるだけでなく、組織全体で取り組む姿勢を見せることにより、研修担当者の孤立を防げます。組織全体で研修のノウハウが蓄積されれば、人材育成の効率化や組織力の向上にもつながるでしょう。
7.中長期的に育成計画を立てる
人材育成は短期間で終わるものではありません。集中的に内容を詰め込み急激な発達を促すと、対象者の成長が急に止まることがあります。これは発達心理学で「ピアジェ効果」と呼ばれるものです。
こうしたピアジェ効果に陥らないためにも、研修で短期間に内容を詰め込むのではなく、学習と現場への落とし込みを繰り返すような長期的な育成が必要です。
失敗しないビジネススキル研修の進め方
ビジネススキル研修に限らず、研修プログラムはただ実施するだけでは意味がありません。受講者が現場で実践に移せるよう、研修を設計・実施することが大切です。
30年・21,000社以上の人材開発実績をもつパーソルグループでは、1社1社にあわせた最適な研修プログラムをご提供します。
ビジネススキル研修のお困りごとは、ぜひお気軽にご相談ください。
研修を外部委託する方法もある
研修は、社内の人材だけで実施するのではなく、外部委託する方法もあります。教育に不慣れな社員が講師を勤めてた場合、受講者に説得力を感じてもらえない可能性があります。受講者の理解度に差が出ることも想定され、結果的に効果のない研修となってしまうことになりかねません。
研修会社の講師は、人材の教育を専門としたプロフェッショナルです。専門的なノウハウを持つ研修企業であれば、実績豊富な数パターンの研修カリキュラムも用意されています。ベースのカリキュラムに加え、事前のヒアリングによって企業に合わせた独自のプログラムを追加する研修会社もあるため、自社にとって効果的な研修を実施できるでしょう。
研修に多くの時間や人件費を投入しても、定着に時間がかかり効果が見込みづらいようであれば、外部リソースを活用して時間を短縮させることは有効な手段です。結果的にコスト削減につながるケースもあるため、目的に合致した委託先を選定しましょう。
ビジネススキル研修のご相談はパーソルグループへ
求める人材像や受講対象者によって、必要な研修内容や形態は異なります。
パーソルグループでは、新人・若手向けの基礎研修から、管理職・次世代リーダー向けのマネジメント研修まで、豊富な研修プログラムを提供しています。既存の親友社員研修を見直したい方、ビジネススキル研修の見直しを検討している方はパーソルグループにご相談ください。
まとめ|課題に合ったビジネススキル研修により社員のスキルアップをはかり組織の成長につなげる
仕事内容が複雑化、多様化し、正解のない時代に求められるビジネススキルは、企業や社員の置かれている環境により多岐にわたります。そのため研修の目的を明確に設定し、最適なプログラムを実施することが非常に重要です。
課題やニーズにマッチした研修は、個人のスキルアップのみならず、組織の活性化や優秀な社員の定着といった組織力にも影響をおよぼします。研修を実施し短期的な振り返りのみで終わるのではなく、上司やチームが積極的に関わることにより中長期的な視点で研修の効果を最大限還元していきましょう。