人材アセスメントを導入する4つのステップ
人材アセスメントは人材を多面的に見るために有効な方法ですが、適切な導入ステップを踏まなければ、効果を最大化できません。次の手順で進めていきましょう。
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- 目的・用途の明確化
- 測定すべき領域・項目の設定
- アセスメント手法の決定・実施
- 結果の分析・施策への反映
- モニタリング
1.目的・用途の明確化
まずは、何を目的としてアセスメントを導入するのかを明確にする必要があります。例えば、次のようなケースが考えられます。
解決したい事象 |
アセスメントの導入目的 |
慢性的なマネジメント人材不足を 解消したい |
自社で活躍しているマネジメントの特長や傾向を 明らかにし、次世代の能力開発に活かす |
新卒社員の離職率を 引き下げたい |
離職リスクの高い因子を把握し、 採用時にチェックする |
新規事業を任せるに ふさわしい人材を知りたい |
世の中のイノベーション型リーダーに多く見られる 行動特性・思考傾向に照らして人材を選抜する |
目的が不明瞭な状況で人材アセスメントを実施しても、データを蓄積するだけで終わってしまい効果が得られなかったということになりかねません。「とりあえずアセスメントをやってみて、何かに活かそう」ではなく、「〇〇を解決するために、人材アセスメントを使おう」というように、手段起点で考えないことが重要です。
2.測定すべき領域・項目の設定
次に、今回の目的に照らして場合、「何を測定すべきか」を決めましょう。
極端な話ですが、能力開発に活かそうとしているのに性格・気質など開発が難しい領域を測定しても意味がありません。たとえば、採用段階で評価や実績など他の参照情報が乏しい場合、能力傾向(得意/不得意)、志向や興味関心、動機や価値観、性格といった潜在的資質を把握することは有効だと言えるでしょう。
なお「測定項目は多いほうがよい」と考えるかもしれませんが、あれもこれもと膨大になりすぎると情報の判断が難しくなります。ここでも目的に立ち返り、必要なものを選定するようにしましょう。
3.アセスメント手法の決定・実施
目的と測定項目を踏まえて、最適な手法を選択します。
例として、ここでは世界で900万人が活用する人材アセスメント「Hogan Assessments」を紹介します。Hogan Assessmentsは、リーダーの強みとプレッシャー下のリスク行動、価値観を診断するパーソナリティテストです。
診断結果は個人・組織へそれぞれフィードバックし、目指したい姿へ導きます。「リーダーとしての特性を知りたい」「リーダーの効果的な育成がしたい」といった企業に活用されています。
4.結果の分析・施策への反映
アセスメントで得た結果を分析し、施策に反映します。例えば異動や配置の基準とすることを目的としていたのであれば、アセスメント結果を判断材料の一つとして異動検討のプロセスに取り入れます。
また、アセスメント結果を受検者に共有する場合は、フィードバックをセットで行いましょう。アセスメントの結果をただ共有するだけでは、結果をどのように受け止めればいいか迷ってしまいます。従業員の自己啓発や能力開発を目的の一部として実施したのであれば、結果をもとにどのようなアクションにつなげていくか、サポートしていくとよいでしょう。
5.モニタリング
目的に合わせて、定期的な実施とモニタリングを行いましょう。個人の能力開発の材料として実施していたとしたら、数年後に再実施することで成長がわかります。ただし、採用時のカルチャーフィットを目的として性格テストを実施するような場合は、この限りではありません。
定期的な測定は、あくまでも課題解決力やコミュニケーション力、スキルなどといった開発可能な領域を見ていく場合に有効です。