2025年08月28日
オーナーシップとは、自分の仕事や役割に対して主体的に関わり、責任を持って行動する姿勢を指します。変化の激しい時代において企業が成長を続けるためには、従業員一人ひとりがこの「自ら動く力」を発揮することが不可欠です。
本記事では、オーナーシップを持つ人材を育成するメリットや、実践的なマネジメント方法、効果的な研修サービスについて解説します。
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目次
オーナーシップとは、従業員が自身の仕事や役割に対して当事者意識を持ち、責任を持って主体的に取り組む姿勢のことです。オーナーシップを発揮することで、個人のパフォーマンス向上や、顧客との信頼関係強化、さらには組織全体の活性化につながります。
単に「上司に指示されたからやる」といった受け身の姿勢ではなく、業務や組織全体の取り組みを自分ごと化する意識と、自ら考えて行動する自律的な姿勢が求められます。
近年のビジネス環境は変化が著しく、VUCAの時代から、さらに予測不可能なBANIの時代へ突入しています。BANIとは、脆い(Brittle)、不安(Anxious)、非線形(Non-Linear)、不可解(Incomprehensible)の頭文字を取った言葉で、論理的な予測が通用しにくく、感情的な揺らぎが伴う状況を表す概念です。こうした状況において企業が持続的に成長するためには、従業員一人ひとりのオーナーシップ発揮が欠かせません。
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フォロワーシップとは、組織やチームの目標達成のために上司やリーダーを支えながら、主体的にリーダーや他のメンバーに働きかける姿勢を指します。具体的には、「リーダーの方針を自分ごととして受け止める」「リーダーの指示に従って成果を上げるだけでなく、自発的に意見を述べる」「先回りしてチーム内の調整役を担う」といった行動が挙げられます。
フォロワーシップが「リーダーを支え、目標達成をサポートする」という側面が強いのに対し、オーナーシップは「自らが目標を設定し、達成に向けて推進する」という点を重視します。
どちらも「主体的に考え、自ら動く」という点では共通していますが、状況に応じてオーナーシップとフォロワーシップが両方発揮されると、組織やチームの創造性や活性化につながるでしょう。
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リーダーシップとは、組織やチームを目標達成に導くために必要な能力や行動を指します。明確なビジョンを掲げて周囲を巻き込みながら、適切な方向へと牽引することが期待されます。
一方、オーナーシップは個々が自分の業務に責任を持ち、主体的に取り組む姿勢を意味します。リーダーシップが「人を導く力」であるのに対し、オーナーシップは「自ら行動し、結果に責任を持つ力」と言えるでしょう。
リーダーシップとオーナーシップは、どちらも役職や立場に関係なく、あらゆるポジションの人材に必要なものです。プロジェクトの成功や組織全体の成長を推進するためには、リーダーシップやオーナーシップの育成が欠かせません。個々のメンバーがリーダーシップやオーナーシップを発揮することで、マネジメント・管理職層の負担が軽減され、よりスムーズで自走力のある組織の構築が可能になります。
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キャリアオーナーシップとは、自身のキャリアを環境や企業任せにせず、自らの意思と責任で主体的に形成していこうとする考え方です。具体的には、自身のスキルや経験、興味関心を見つめ直し、将来の目標を定め、それに向かって学びや行動を積み重ねていく姿勢を指します。
オーナーシップが「現在の業務や組織に対する主体的な関与」であるのに対し、キャリアオーナーシップは「自らの将来のキャリア形成に対する主体的な関与」である点が大きな違いです。
キャリアオーナーシップとオーナーシップは密接に関連しており、日々の仕事にオーナーシップを持って取り組み定期的に業務経験を振り返ることで、自分の強みや今後の可能性を把握でき、結果的にキャリアオーナーシップの土台が育まれます。キャリアオーナーシップを持つ人材は、自身の成長や目標達成のために現在の業務に対してより主体的に取り組む傾向にあります。
このように、オーナーシップとキャリアオーナーシップは相互に好循環を生み出す関係にあると言えるでしょう。
オーナーシップを持つ人は、目の前の業務にとどまらず、組織全体の成果や目的を見据えて行動します。指示された仕事をこなすのではなく、「自分の行動がどのような影響を与えるのか」を考え、主体的に取り組む姿勢が特徴です。ここでは、オーナーシップを持つ人に見られる3つの特徴と、それぞれの具体例を紹介します。
オーナーシップを持つ人は、自身の担当業務だけでなく、周囲の状況を理解し、常に「自分には何ができるか」という視点で考え、行動できます。組織の一員として課題を自分ごととして捉え、解決に向けて自らが積極的に関与する姿勢が見られます。具体的な行動例は以下の通りです。
与えられた役割や業務、個人の目標に対して責任感を持ち、成果やプロセスに主体的に関与・改善しようと行動します。困難な状況に直面しても自ら解決に向けて動き、必要に応じて周囲のメンバーを巻き込みながら、目標達成に向けて粘り強く取り組む姿勢が特徴です。具体的な行動例として、以下が挙げられます。
オーナーシップを持つ人は、個人の目標達成や評価にとらわれず全体最適を意識した行動が見られます。 組織全体としての成果も重視するため、チームメンバーとの助け合いにより組織の成果に貢献しようとします。 具体的な行動例は以下の通りです。
現代のビジネス環境では、従業員一人ひとりが主体的に考え、行動する「オーナーシップ」が強く求められています。その背景には、変化の激しいビジネス環境や少子高齢化による人材不足といった課題があります。ここでは、現代のビジネス環境でオーナーシップが求められる理由を解説します。
テクノロジーの進化や市場ニーズの多様化により、現代のビジネス環境はますます複雑化しています。こうした環境においては、トップダウン型の指示だけではスピード感ある意思決定ができず変化に対応しきれません。
現場レベルでの判断力と行動力がより重要となるにつれて、従業員一人ひとりがオーナーシップを持ち、主体的に課題を見つけ、解決に向けて動く力が求められています。オーナーシップを発揮できる人材が多い組織ほど、変化への対応力やイノベーション創出のスピードも高まります。
日本では、少子高齢化による生産年齢人口の減少が深刻な課題となっています。限られた人材で成果を最大化するためには、一人ひとりが自律的に考え、幅広く貢献することが求められます。
オーナーシップを持つ人材は自身の担当業務にとどまらず、組織全体への影響を考え行動します。その結果、周囲と相互に補完し合いながら、組織としての成果創出も実現します。また、多様なはたらき方が広がる現代において、従業員が自ら考え、行動するためにもオーナーシップが欠かせません。
従業員のオーナーシップを育成することは、個人だけでなくチーム・組織単位で大きなメリットをもたらします。ここでは、特に重要な3つのメリットを解説します。
従業員がオーナーシップを持つことは、個人の成長とキャリア形成に大きく寄与します。例えば、「与えられたこと」だけでなく、「やりたいこと」や「気づいた課題」にも挑戦するため、自ら成長機会を広げていくことができます。
その結果、自分ならではの経験や強みが増え、将来の選択肢が広がっていきます。こうした主体的な取り組みが積み重なることで、自分らしいキャリア形成が可能になるでしょう。
組織が市場の変化に対応するためには、従業員が自ら課題を発見し、柔軟に行動できる体制を構築することが不可欠です。オーナーシップを持つ従業員が増えることで、現場からの問題提起や改善提案が行われ、トップダウンとボトムアップの両面から変化に対応できる、適応力を持った強力な組織へと成長します。
また、外部環境の変化に対して能動的に行動する文化が根づくことで、組織全体の柔軟性が高まり、競争優位性の確保にもつながります。
さらに、オーナーシップを持つ従業員が多ければ、主体的に組織の課題発見と改善提案の取り組みを行うため、業務の効率化が期待できます。業務におけるボトルネックの解消や管理職の負担軽減といった効果が生まれ、組織全体の生産性が向上するでしょう。
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オーナーシップは、チームや組織全体の課題解決力を高める上で非常に重要です。一人ひとりが自律的に考え周囲と連携しながら行動することで、情報共有や建設的な議論が活発になります。
また、チーム全体の目標達成に貢献しようとする意識が高まるため、他責や問題放置といったトラブルが減り、チーム間の信頼関係や協働的な解決力が向上します。
オーナーシップは個人の資質だけでなく、企業の制度やマネジメントによっても育まれます。ここでは、従業員のオーナーシップを育成するための具体的なマネジメント手法を3つ紹介します。
従業員がオーナーシップを持ち業務に取り組むためには、上司が組織の目標やビジョンを日頃からメンバーに伝えることが大切です。メンバーの中で組織のビジョンが明確になることで、仕事の「意味」や「目的」が見えるようになり、自分の役割に納得感を持って取り組むことができます。その前提として、上司自身がビジョンを理解し、体現しているかという点も重要なポイントとなるでしょう。
また、ビジョンの共有だけでなく、従業員個人の目標設計と連動させることも欠かせません。組織目標と個人目標の関連性が持てるように支援することで、メンバー自身の行動や成果が組織全体にどう貢献するのかを実感できるようになります。結果として「やらされている」という感覚が減り、主体性がより高まりやすくなります。
日頃の業務や、今後のメンバーのキャリアについて期待を伝えることも、オーナーシップを育むために有効です。「どんな行動を期待しているのか」「なぜ期待しているのか」といった背景を明確にし、具体的に期待を伝えることで、「自分ならできるかもしれない」という自己効力感の向上につながり、主体的に動こうとするオーナーシップを育みます。
ただし、メンバーの状況によっては期待がプレッシャーとなる可能性もあるため、一方的な押し付けにならないよう日々のコミュニケーションからメンバーを観察し、一人ひとりに沿った期待を伝えることをおすすめします。
主体性を引き出すためには、日頃からメンバーを理解しようとする姿勢が欠かせません。上司がメンバーのスキルや経験、強みを把握し、仕事によって得られた強み、成長した点を積極的にフィードバックすることが大切です。その際、成果だけでなく、目標達成に向けて主体的に行動したプロセスや、責任感を持って業務に取り組んだ姿勢を評価することも必要になります。
また、フィードバックの場面では、上司からの視点だけでなく、問いかけを通じてメンバー自身に考えさせるアプローチを行いましょう。「どうすればもっと良くなると思う?」「目的達成のために、何から始めたら良いと思う?」といった問いかけをすることで、自ら思考し、答えを見つけようとします。
こうした評価・フィードバックによって、主体的に考え行動する力が養われ、自走できる人材へと成長が促されます。結果として、オーナーシップの定着につながり、組織全体の自走力も高まりやすくなるでしょう。
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複雑化するビジネス環境の中で企業が持続的に成長していくためには、従業員一人ひとりがオーナーシップを発揮することが欠かせません。そのためには、日々の業務を通じた成長だけでなく、意図的に学びを深める機会を設けることも重要です。オーナーシップを持つ人材を育成する上で、研修サービスの活用は有効な手段のひとつと言えるでしょう。
パーソルグループでは、企業におけるオーナーシップ育成を支援する多様な研修サービスを提供しています。ここでは、特にオーナーシップやキャリアオーナーシップの育成に効果的な3つの研修を紹介します。
本研修は、従業員が日常の業務だけでなく“新たな挑戦”に取り組み、「価値ある仕事」を自ら創り出すスキルを身につける研修です。自身の仕事を「顧客」「提供価値」「知識・技術」という視点で整理することで、仕事の“本質的な価値”を再定義し、自ら価値ある仕事を構想・実行できる人材の育成を目指します。
受講後は、業務に対する目的意識が強まり、より主体的に組織へと貢献する自律性が向上するでしょう。結果として、変化に強い「自ら動ける人材」への成長が期待されます。仕事を自分ごと化することで、オーナーシップを醸成するきっかけとなります。
本研修は、組織目標の達成と人材育成というマネジメントの本質的役割について、対話型ワークショップ形式で学ぶ研修プログラムです。マネジャー同士の対話を通じて「評価と目標の関係」「メンバーとの信頼関係構築」など、マネジメントに必要な思考プロセスやコミュニケーションの原則を再確認し、具体的な行動計画を策定します。
本研修の受講により、人材育成のための日常的な支援やストローク(承認・称賛)の重要性を理解し、評価や部下育成のスキルを職場で実践できる力を育みます。本研修のポイントを踏まえたマネジメントを実践することで、メンバーの主体的な姿勢や積極的に関与しようとする意識が育まれ、オーナーシップの醸成にもつながるでしょう。
本研修は、部下やメンバーのキャリア形成を支援するマネジャー・キャリア支援者を対象に、キャリア面談の進め方やキャリアプラン策定の手法を習得するプログラムです。相手の内省を促す問いかけや傾聴スキルを学び、支援者としての関わり方を実践的に体得します。
受講後は、メンバーの主体的なキャリア選択を尊重した支援ができるようになり、自律的な成長を引き出せるマネジメントへと進化します。また、支援者自身が部下のキャリアに関心を持ち、部下やメンバーが主体的にキャリアを考えることで、キャリアオーナーシップを引き出す土壌が育まれます。
オーナーシップは、現代の不確実性の高いビジネス環境において、企業が持続的に成長し、競争力を維持していく上で不可欠な要素です。従業員一人ひとりが「自分ごと」として業務や組織全体を捉え、主体的に行動することで、組織の生産性向上、変化への迅速な対応、そして個人の成長とキャリア形成が実現されます。
オーナーシップを育むためには、事業の目的と背景の共有や、自主的な意思決定の機会提供、プロセスと姿勢の評価、そして問いかけによるフィードバックといった具体的なマネジメントアプローチが重要です。これらの取り組みを通じて組織全体でオーナーシップを育むことで、より強く、柔軟な企業へと変革していくことができるでしょう。
【お役立ち資料】オーナーシップが育つ職場をつくりませんか?
オーナーシップを持つ従業員が増えると、組織には「自律」「挑戦」「成果への責任」といった好循環が生まれます。結果として、現場の課題解決力や組織全体の成長スピードが高まります。
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株式会社パーソル総合研究所
組織力強化コンサルティング部 キャリアコンサルティンググループ
品川 優
大学卒業後、人材サービス会社にて、人材派遣事業および委託事業の営業と、派遣社員向け教育研修の企画、キャリアコンサルティングを経験。その後、大学職員として学生のキャリア教育、就職支援事業や卒業生のキャリア支援に携わる。これまでの経験から社会で活躍する「個人」と「組織」両面からの人材育成・キャリア支援に貢献したいという想いで、2023年より現職。企業様向けキャリア研修の企画・開発、またキャリアコンサルタントとしてキャリア面談等を担当。