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事業等のリスク

当社グループは、2022年3月期においてリスクマネジメント委員会を4回開催し、「IT関連リスク(個人情報漏えい、システム障害等)」「企業買収投資に伴うリスク」「プライバシー侵害リスク」「自然災害等の有事に関する事業継続リスク」「気候変動に伴うリスク」「人権侵害リスク」といった事業への影響度や社会からの期待・関心が高いグループ重要リスク6項目を選定しました。2022年度以降はこれらの重要リスクを中心に定期的なモニタリングを実施する予定です。
また上記のグループ重要リスク6項目を含め、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす主要なリスクは以下の表に記載のとおりであります。当社経営者が認識する当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与えるリスクに関し、発生の蓋然性及び事業への影響の度合いを鑑み、重要と考えられる順に記載しております。当社グループは、これらリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありません。

主要なリスク一覧

重要度
順位
リスク名称
グループ
重要リスク
(1)
IT関連リスク(個人情報漏えい、システム障害等)
(2)
企業買収投資に伴うリスク
(3)
プライバシー侵害リスク
(4)
自然災害等の有事に関する事業継続リスク
(5)
気候変動に伴うリスク
(6)
人権侵害に関するリスク
(7)
法令遵守等コンプライアンスに関するリスク
(8)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するリスク
(9)
景気変動によるマクロ経済の変化に関するリスク
(10)
人材の育成・確保におけるリスク
(11)
海外事業展開に伴うリスク
(12)
技術革新によるリスク
(13)
競合によるリスク
(14)
人口構造の変化に対応できないリスク

(1)IT関連リスク(個人情報漏えい、システム障害等)

a.個人情報漏えいのリスク
当社グループは、情報セキュリティ対策として、情報セキュリティや個人情報取扱いに関する規程を定めております。また、かかる規程に沿ったIT環境の構築、グループのセキュリティ統括部門を中心としたIT環境やグループ各社のセキュリティ状況の点検、従業員に対する定期的な教育の実施等、IT面と人的な面の双方から適切な情報管理体制の構築・維持に努めております。しかしながら、当社グループにおいてサイバー攻撃をはじめとした、第三者によるセキュリティ侵害、不適切なシステムの設定、従業員の不正又は過失等によりこれらの個人情報が漏えいする事態が生じた場合、当社グループのブランドの棄損、サービス利用者数の急減、企業イメージの悪化等の社会的信用の低下や損害賠償請求等の発生により、事業運営に重大な影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

b.システム障害等リスク
当社グループの事業は、国内外を問わず、コンピュータシステム及びその通信ネットワークに多くを依存していることに加え、近年の当社グループにおけるリモートワーク拡大により、当該リスクの重要性は一段と高いものとして認識しております。またシステムのメンテナンス等の一部はクラウドシステム業者含む外部業者に委託しております。そのため、不測の事態に対しては、障害発生時の体制整備、システムセキュリティの強化、通信回線やハードウェアの増強等、様々な対策を講じておりますが、これらの対策にもかかわらず人為的過誤、サイバー攻撃、広範な自然災害や外部業者のトラブル等により、コンピュータシステムや通信ネットワークが利用できなくなることにより、当社グループの業務や提供するサービスが停止する可能性があり、かかる状況が長期にわたる場合、当社グループに対する信頼性の低下を招く等の重大な影響を及ぼす可能性があります。

(2)企業買収投資に伴うリスク

当社グループは、これまで企業買収や事業提携を通じて成長を遂げており、将来においても同様の手法を通じて、さらなる企業価値の向上を企図しております。
企業買収や事業提携に際しては、対象となる企業の財務内容や契約関係等について詳細なデューディリジェンスを行い、リスク回避に努めておりますが、案件の性質や時間的な制約等から十分なデューディリジェンスが実施できず、買収後に偶発債務の発生や未認識債務が判明した場合、また当該事業が、当初想定した収益計画と大きく乖離した場合、多額の資金投入が発生する可能性のほか、関係会社株式の評価替えやのれんの減損等により、当社グループの事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、買収を通じて取得した企業ののれんは、2022年3月期末において61,674百万円であり、そのうち、Career SBUに属するパーソルキャリア㈱(旧㈱インテリジェンスホールディングス)及びAsia Pacific SBUのProgrammed Maintenance Services Limitedが大きな割合を占めております。海外事業については、2020年3月期に、2018年3月期に買収した前述のProgrammed Maintenance Services Limitedのスタッフィング事業等ののれんに関する減損損失を計上するとともに、2018年3月期にはPERSOLKELLY事業に係る買収子会社も同様に減損損失を計上している観点から、事業投資案件に関しては、ガバナンス体制を強化して取り組んでいます。新たなガバナンス体制の強化策として、多額の事業投資案件に関しては専門的見地から審議した上で経営陣に対して助言する「投資委員会」を2020年4月に設置いたしました。投資委員会は、グループの投資全般に関する重要事項の審議を行うとともに、投資推進に関連した一連の知識、知見をグループの組織知として高めていくことを目的としており、審議結果をHMC(Headquarters Management Committee)に上程し、HMCの適切な判断を補完する組織となります。
また、買収した企業は、それぞれのブランド力やグループ内の相互協力により極めて有益なビジネスシナジーの創出が可能になるものと判断しておりますが、今後、経営環境や事業の状況の著しい変化、また何らかの事由によりそれぞれの経営成績が想定通り進捗しない場合、これらの資産について減損会計の適用に伴う追加の損失処理が発生し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(3)プライバシー侵害リスク

当社グループ各社では、事業運営に際し、登録スタッフ、派遣スタッフ、求職者、顧客企業、従業員等その他の関係者の個人情報を大量に保有し取扱っております。
当社グループで保有する個人情報の取扱いについては、当該国の個人情報に関する法律が適用されます。特に主力事業を展開している日本国内においては「個人情報の保護に関する法律」、「職業安定法」、「労働者派遣法」等に準拠した取扱いが求められます。これらの法令は、近年の個人情報保護及びプライバシーの権利に対する意識の高まりや、グローバル基準への適合に向けた動きにより内容が高度化しており、当社グループでは、法務と情報セキュリティの両面からこれらの解釈や運用について慎重な検討と判断を重ねております。しかしながら、これらの法令での実務面に対する要求事項は解釈の余地も多いことから、当社グループにおける解釈によっては、意図せず当社グループの個人情報取扱いが不適切と評価され、当局からの業務停止命令、個人データの提供者若しくは法人からの訴訟につながる可能性があります。
さらに法令を遵守して活用した場合でも、データ提供者の不利益又は不信感を招いたときは、当社グループのブランド及び企業イメージの低下や信用が毀損する可能性があります。また当社では、2020年度にパーソナルデータ利活用審議会を設置し、グループ全体のパーソナルデータ利活用戦略について議論することで、グループ全体で整合性のとれたパーソナルデータの利活用を行っております。新規サービスの立ち上げや新規の個人データ利活用に際しては、専門部署によるプライバシーレビュープロセスを経る体制を構築し、本人への影響を予め十分に検討し、適切な対応策を講じることで、ユーザー等の信頼を確保することに努めております。

(4)自然災害等の有事に関する事業継続リスク

当社グループは、日本国内とAPAC地域で事業活動を展開しております。地震、台風、洪水等の自然災害、火災、停電、戦争、テロ行為等が起こり、当社グループの従業員の安全が脅かされ、または会社資産が毀損した場合、若しくはパンデミックが起こり、多数の従業員が感染、または行動制限措置により業務が制限された場合、当社グループの事業が一時的に中断され、当社グループの事業運営、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、人材サービスという事業性質上、有事には派遣スタッフの安否確認や顧客企業との契約内容の調整等、多大な顧客対応による業務負荷が予想されることから、当社グループの事業運営に影響を与えるとともに財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
かかるリスクに対し、当社グループでは当社にクライシスマネジメントの統括部署を設置し、①従業員と派遣スタッフの安全確保、②顧客・会社資産保護、③事業継続、④ステークホルダーコミュニケーションを基本方針として、有事に適切な対応をとる体制を構築しております。また、人材サービスの根幹である従業員・派遣スタッフへの給与支払い業務をグループの最重要業務と位置づけ、大規模自然災害やパンデミックが発生した場合でも給与支払い業務を継続し、従業員・派遣スタッフが生活基盤を維持するための事業継続計画を策定するとともに、定期的に訓練を実施のうえ、事業継続計画の実行性向上に努めています。なお、初動対応の迅速化・効率化を実現するため、日本国内ではITを活用した被災時の情報収集システムの整備を進めており、安否確認システムや大規模災害発生時に被災している可能性が高い拠点を自動的に特定するシステムを導入しています。
加えて、当社グループにはAPAC地域に海外駐在員がおりますが、戦争、テロ等を想定し、安全対策・教育、医療支援を実施するとともに、有事の際の安否確認ルールを策定するなど、海外駐在員の安全と健康を守るための取り組みを行っております。なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が軽減し、海外出張数が回復することを見据え、今後は海外出張者の安全対策の強化に努める予定です。

(5)気候変動に伴うリスク

当社グループは、地球規模で発生している気候変動問題に対して、気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の最終提言に賛同し、気候変動による事業へのリスクと機会を特定するシナリオ分析に基づいた開示を2022年5月より実施しております。
気候変動が当事業に及ぼす影響、及び気候関連の機会とリスクを具体化して把握するために、IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(気候変動に関する政府間パネル)などの外部機関が公表している4℃シナリオ(気候変動により自然災害の甚大さ・頻度が増加する世界)と1.5~2℃シナリオ(急速に脱炭素社会が実現する世界)をベンチマークとして参照し、分析しています。

当社グループの事業活動に伴う温室効果ガスの年間排出量は、CO2換算で約25,350トン(2021年度実績。ただし一部未確定の推定値を含む)で、そのうちの約99%が、電力の使用、車両利用時の燃料の燃焼に伴う排出です。温室効果ガス排出量に関する新たな目標として、2030年度までに、事業活動に伴う温室効果ガス*¹の排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」目標を設定しました。
当社グループでは、排出を削減するため、様々な取り組みを推進しております。
全国のオフィスにおける電力使用量を削減するため、環境配慮型オフィスづくり・オフィス生活における環境配慮を通して、オフィスにおける省エネ・省資源活動に努めています。加えて、ICTの活用により社員のテレワークを推進し、通勤回数の減少とオフィス電力使用量の削減に貢献することで、働き方改革とCO2削減の両立を目指しています。更に、オフィスで使用する電力の再生可能エネルギーへの切り替えを検討しています。
また、当社グループの事業活動のうち、特に車両利用の多いProgrammed Maintenance Services Limitedでは、電力の再生可能エネルギーへの切り替え、カーボンニュートラル拠点の立ち上げなどの取り組みを通して、排出量の削減に努めております。

*1 事業活動に伴う温室効果ガスの排出量は、スコープ1、スコープ2の合計を示しています。

(6)人権侵害に関するリスク

当社グループは、日本国内とAPAC地域で事業拠点を持ち、取引する顧客企業や個人の求職者等の方々も多国にわたっています。近年、先進国を中心として「ビジネスと人権」に関する関心は高まっており、またステークホルダーによる人権への高度な対応要求は、ESG観点により、当社グループの事業活動にも大きく影響します。これまで当社グループにおいても、パーソルグループ行動規範の制定など取り組みを進めてまいりましたが、今後は①人権方針の策定、②人権デューディリジェンスの実施、③救済メカニズムの構築等、体制整備に向けて準備を進めてまいります。
しかしながら、人材サービスを提供する当社グループにおいて、人権侵害に該当する事案が生じた場合には、各国における行政罰や当社グループの社会的信用・ブランドイメージ毀損等により、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

(7)法令遵守等コンプライアンスに関するリスク

当社グループは、自らが事業を展開する国又は地域の法令等を遵守する必要があります。特に、人材サービスを行う当社グループは、労働関連法令の遵守を重視しております。当社グループでは、コンプライアンスを、法令遵守に留まらず、より広範に、「社会からの要請や期待に応え、誠実に事業活動を行っていくこと」と捉え、それを実現するために、2019年度に「パーソルグループ行動規範」を制定し、当社グループの役職員には、公正、正直、敬意及び誠実さをもって行動することを求めております。
当社グループでは、事業の拡大に合わせ、コンプライアンス統括部署を設置し、コンプライアンス関連規程の整備や継続的な教育・研修の実施、グループ内部通報制度の整備等、コンプライアンス体制を整備しております。しかしながら、当社グループに適用される法令等に違反する事態が生じた場合、または社会からの要請や期待に応えられなかった場合は、当社グループの社会的信用やブランドイメージが毀損し、経営成績に影響を与える可能性があり、次のa、b、cに記載するリスクが考えられます。

a.人材派遣事業
当社グループの主要な事業である人材派遣事業は、国内においては「労働者派遣法」に基づき、労働者派遣事業の許可を受けて行っている事業であります。現時点で、当社グループにおいては、労働者派遣法に基づく労働者派遣事業の許可の取消事由に該当する事実はないものと認識しておりますが、今後何らかの理由により当社グループ各社及びその役職員が労働者派遣法に抵触した場合、当社グループの主要な事業活動全体に支障を来たすことが予想され、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。なお、労働者派遣法及び関係諸法令については、これまでにも労働環境の変化に応じ改正が適宜実施されており、当社グループではその都度、当該法改正に対応するための諸施策を採っております。今後、更なる改正が実施され、大きな運用変更が生じた場合、当社グループの今後の事業運営方針並びに経営成績に少なからず影響を与える可能性があります。

b.人材紹介事業・求人広告事業
当社グループが行う人材紹介事業及び求人広告事業は、国内においては「職業安定法」に基づき、有料職業紹介事業の許可を受けて行っている事業であります。現時点で、当社グループにおいては、職業安定法に基づく有料職業紹介事業の許可の取消事由に該当する事実はないものと認識しておりますが、今後何らかの理由により当社グループ各社及びその役職員が職業安定法に抵触した場合、当社グループの主要な事業活動全体に支障を来たすことが予想され、当社グループの財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。なお、職業安定法及び関係諸法令については、これまでにも労働環境の変化に応じた改正が適宜実施されており、直近では、2022年3月に、一部の求人広告事業の届出制を創設する内容の法改正が行われました。当社グループでは法改正の都度、当該法改正に対応するための諸施策を採っております。今後、更なる改正が実施され大きな運用変更が生じた場合、当社グループの今後の事業運営方針並びに経営成績に少なからず影響を与える可能性があります。

c.受託請負事業
当社グループが行う受託請負事業は、事務業務などの業務コンサルティングや業務運営・管理、IT・エンジニアリング領域の製造・開発など多岐にわたります。また、官公庁・地方公共団体・民間企業等の様々な顧客からの事業を受託しております。これら事業の遂行に当たり、顧客の要件を満たすことが第一ですが、特に官公庁・地方公共団体から受託している事業に関しては、その成否が日本社会全体又は地域社会に強く影響する場合もあります。当社グループでは、事前にアセスメントを行ったうえで受託判断を行うとともに、事業開始後も適切に遂行・運営されるように努めております。しかしながら、特に公共性の高い事業を適切に遂行・運営できなかった場合は、当社グループの社会的信用やブランドイメージが毀損し、経営成績に影響を与える可能性があります。

(8)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するリスク

2020年初頭からのCOVID-19感染拡大による世界的な経済活動の急激な収縮といった予見が難しい事象が発生し、主に2021年3月期において、当社グループの事業運営及び経営成績に大きな影響を及ぼしました。COVID-19感染拡大による経営成績への影響度合いは2022年3月期において大幅に縮小しましたが、今後の感染拡大の状況や政府による行動制限の程度と継続期間次第では、再び当社グループの事業運営及び経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。国内事業につきましては、人材派遣事業では、派遣スタッフが在宅勤務をできる環境づくりに努めておりますが、小学校等の臨時休校をはじめ、何らかの事由により派遣スタッフの有給休暇の取得が増加、遅刻や早退等で勤務時間が減少した場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、マーケティング領域では、店舗の営業時間短縮等の影響を受ける可能性があります。人材紹介事業では、面談の対面式からオンラインへの切り替えが進んでおりますが、COVID-19の感染拡大により、企業の採用活動抑制の動きがみられた場合、採用決定まで時間の長期化や、採用見送りなどの影響を受ける可能性があります。海外事業につきましては、各国の感染拡大の程度により、状況が大きく異なりますが、一部の地域において2022年3月期も影響を受けました。アジア地域における人材派遣事業及び人材紹介事業では、地域により在宅勤務が行われておりますが、ロックダウン等の厳しい制限が発令された場合等において、事業運営及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。豪州・ニュージーランドにおいても、ロックダウンや移動制限が発令された場合、今後もStaffing事業及びMaintenance事業ともに影響を受ける可能性があります。

(9)景気変動によるマクロ経済の変化に関するリスク

当社グループが提供している人材サービスは、景気変動による影響を受けやすく、こうしたマクロ経済の変化にうまく対応できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。特に、他国の経済状況、国際政治情勢、地政学的状況、国際金融市場等により、事業を展開する各国の経済が大きく左右される傾向が強まっております。また、2008年の世界金融危機、2020年初頭からのCOVID-19感染拡大や地政学的状況による世界的な経済活動の急激な収縮といった予見が難しい事象が発生しております。通常の景気循環による山谷に対しては、グループ各社・各SBU・コーポレート機能を担う当社において、コスト管理を行う等の経営努力により、当社業績に与える影響を抑制するよう努めております。しかしながら、2008年の世界金融危機のような深刻な経済危機が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。特に、不況時における当社グループの収益に与える影響度の順に記載すると以下の表のとおりです。

想定される状況
影響度合
主要な該当セグメント
求人広告事業 ・企業の採用予算の縮小、採用活動の抑制による求人広告出稿数の減少

・競争の激化による広告単価の低下
・景気感応度は最も高い

・売上高の減少及び採算性の悪化
・Career SBU
人材紹介事業 ・顧客企業の採用抑制による転職決定者数の減少

・内定決定までのリードタイムの伸長
・景気感応度は高い

・売上高の減少及び採算性の悪化
・Career SBU

・Asia Pacific SBU
人材派遣事業
及び
受託請負事業
・顧客企業の人件費全般の抑制に伴う派遣スタッフ契約数の減少

・顧客企業の操業停止等による派遣契約の終了

・取引規模の大きな顧客企業の業績悪化による売上の大幅な減少

・業務受託業や人材派遣業等の常用雇用者を有する事業における、契約数の減少及び契約規模の縮小

・顧客企業のコスト削減に伴う案件のキャンセル、予算の削減による受託案件の減少
・景気感応度は相対的に低く遅行する

・売上高の減少及び採算性の悪化
・Staffing SBU

・Professional Outsourcing SBU

・APAC SBU

(10)人材の育成・確保におけるリスク

当社グループの中長期戦略の実行及び持続的な成長において、様々な分野での多様な人材の確保・育成が必要となります。当社グループビジョンである「はたらいて、笑おう。」を実現するため、当社グループのすべての従業員が仕事へのやりがいと組織への貢献意欲を持てるよう良好な職場づくりに努めております。しかしながら、今後の当社グループの成長をけん引するためのIT技術者、デジタルトランスフォーメーション推進人材及びグローバル人材等、一部の領域において、要件を満たす人材は希少性が極めて高く、これら人材の確保が想定通り進められない可能性があります。また、当社グループの目指す職場環境づくりが困難な場合には、優秀な人材の育成が想定通りに進まず、また競合他社等への流出が発生し、当社グループの事業運営が計画通りに進まない可能性があります。

(11)海外事業展開に伴うリスク

当社グループは、日本国内に加えAPAC地域においても人材派遣事業、人材紹介事業、受託請負事業等の事業を行っております。海外事業展開に際しては、支援体制及び経営管理機能の強化を進めておりますが、APAC地域各国の政治・社会情勢の急激な変化、法令改正、想定外の為替変動等、著しい事業環境変化等により同地域における明確な競争優位を確立できなかった場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(12)技術革新によるリスク

当社グループの営む人材関連サービスは、特にITの活用が不可欠な事業であります。当社グループでは、IT技術を用い、新規サービス開発やオペレーションシステムの改善に努めておりますが、新規事業開発で高度な専門性を持つ技術者や企画者の確保や育成ができない場合、当社グループが技術革新のトレンドを正確に予測することができない、又は新技術適用の判断が遅れることで、競争力の低下につながる及び従前のビジネスモデルそのものが陳腐化する可能性があります。また、IT技術の改良や新技術導入に際し、多額の費用が発生する場合、また何らかの事由により当初想定したサービスの質の確保が難しい場合、期待した導入効果が得られない場合、更にディスラプティブテクノロジー(disruptive technology)と言われるこれまでにない発想に基づく新たなプロダクトやサービスが急速にグローバルに普及し、既存のマーケットが破壊された場合等に、当社グループの事業運営に影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
更に、企業における業務効率化や生産性向上を実現するテクノロジーとして、Artificial Intelligence(AI)やRobotic Process Automation(RPA)等の導入が急速に拡大しております。例えば、RPAの導入には一定のスキルが必要であることから、当社グループでもRPAスキル保有人材の派遣や、RPA導入支援から運用定着における研修等のサービスを提供し、新たな企業ニーズに適合すべくサービス展開を実施しております。しかしながら、技術革新における高度な専門性を持つ技術者や企画者の確保や育成ができない場合には、当社グループが技術革新のトレンドを正確に予測することができない、又は新技術適用の判断が遅れることで、競争力の低下につながる及び従前のビジネスモデルそのものが陳腐化する可能性があります。また、AIやRPAなどの新技術導入や改良に際し、多額の費用が発生する場合、また何らかの事由により当初想定したサービスの質の確保が難しい場合、期待した導入効果が得られない場合等において、当社グループの事業運営に影響を与えるとともに、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

(13)競合によるリスク

当社グループが展開している人材ビジネス市場では、各国の各分野において多数の競合他社が存在しております。これらの競合他社が当社グループと同水準のサービスを低価格で提供した場合や、当社グループのサービスを必要としないプロセスや仕組みを顧客企業に提供、若しくは社会的に浸透・普及に成功した場合、求職者等の個人や法人顧客にとってより魅力的なサービスを提供する又は当社グループがニーズに対応したサービスや機能の改善を図れない場合には、当社グループのシェアが下がり、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループにおける派遣スタッフ及び求職者等の個人の集客においては、他社の運営する検索エンジン等を利用して求人広告を掲載しているものがあります。かかるプラットフォームを提供する企業が求人広告業界における集客力を強め、独占的なポジションを確立した場合には、当社グループの集客力や経営成績に影響を与える可能性があります。

(14)人口構造の変化に対応できないリスク

当社グループの提供するサービスは、事業を展開する国の人口動態の変化の影響を受けます。現在、国内において少子高齢化が急速に進んでおり、今後、生産年齢人口の減少が更に進む可能性があります。当社グループでは、生産年齢人口の減少が進むなか、女性・高齢者・外国人の労働参加率の向上に注目し、社会やユーザーのニーズに敏感に対応できるサービスの開発や新規事業展開に取り組む等、労働市場の変化に対応した事業戦略を実行し、多様な働き方の提供と労働市場の拡大に努めております。また、労働者不足への対応として、企業におけるAIやRPA等のテクノロジーを活用した業務効率化が進んでおり、当社グループにおいても、「パーソルのRPA」という、RPAスキル保有人材の派遣、RPA導入支援から運用定着における研修等のサービスを提供し、新たな企業ニーズに合わせたサービス展開を進めております。しかしながら、当社グループがかかる変化を適時適切に把握できない、意思決定の遅れから適切なタイミングでサービスを提供できない、若しくはかかるサービス開発に想定以上のコストを要する場合、又は企業側の対応が積極的ではない場合には、労働市場の縮小が更に進むとともに、当社グループのユーザーが減少し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。