【水田・高橋】「はたらいて、笑おう。」で目指す世界とは

2017年7月1日、新ブランド「PERSOL(パーソル)」の旗印のもと、テンプホールディングス、テンプスタッフ、インテリジェンス、そしてインテリジェンス ビジネスソリューションズと、グループ主要4社が商号変更を行った。

ビジネスシーンの人材流通、人と組織の生産性向上を責務とし、社会の成長の一翼を担うインフラとして、同社がこれから見据えるのはどのような未来か? 代表取締役社長CEOの水田正道氏と取締役副社長COOの高橋広敏氏に話を聞いた。

はたらいて笑うために、何が大切か

7月1日をもって、グループの主要4社が名実ともに「パーソル」として、新たな船出を迎えました。

水田 私はこの「はたらいて、笑おう。」というフレーズを、理屈抜きにすごく気に入っているんですよ! 我々がこれからやるべきことに、一番フィットしているような気がして。

高橋 現実として僕たちは、複数の事業会社が統合されて「パーソル」となったわけですけど、これはテンプスタッフ創業者の篠原欣子さんからバトンを受け継いだ水田さんが、2代目としてその系譜を守りながら、いかにパーソルを大きく育んでいくのかという勝負ですよね。

水田 そうですね。それぞれの出自がどこであるのかは、もはや関係ない。これからパーソルとして「はたらいて、笑おう。」というタグラインにのっとって、一丸となって会社と社会を良くしていくことを考えなければいけないと思う。

水田正道

水田正道

MIZUTA MASAMICHI

パーソルホールディングス
代表取締役社長CEO

1959年生まれ。青山学院大学経済学部卒業後、リクルート入社。1988年、テンプスタッフ創業者の篠原欣子氏にヘッドハンティングを受け、同社に転職。2013年6月、テンプホールディングス(現パーソルホールディングス)およびテンプスタッフ(現パーソルテンプスタッフ)代表取締役社長就任。2016年6月より現職。

高橋 確かに、ブランドタグラインを決めるにあたって、多くの候補が挙がっていましたけど、今やこれしか印象に残っていないですものね。それだけ腹落ち感があったということでしょう。

水田 誰だって笑顔のない人と一緒に仕事をするのは嫌ですから(笑)。だからこれは、自分たちを含む、すべてのはたらく人々へのメッセージなんですよ。

高橋 パーソルは、人が朝から晩まで必死に仕事をし続けるためのインフラを目指すのではなく、一人でも多くの人が、自分の仕事に意義ややりがいを感じながらはたらけるように、あるいは好きな仕事に巡り合えたという充実感を持って生きていけるように、その機会を創造するのが役割です。

そうした思いをすべて内包しているのが、「はたらいて、笑おう。」という言葉なんですよね。

水田 仕事が楽しくないということは、人生が楽しくないということだから、これはあまりにも寂しい。

何より、笑いは免疫を活性化させ、ストレスを低下させるという点でも体にいい。人生を幸せにする一番大切なことです。

では、はたらいて笑うにはどうすればいいかというと、大前提として僕は、“目先の問題と逃げずに向き合う誠実さ”が欠かせないと思う。

ちょっと古いと思われるかもしれないんですが、少々の不満があっても「石の上にも三年」の真摯な精神を持つことが大切だと思うんです。

高橋 その通りですよね。転職サービスを提供している企業としては、矛盾があるように思われるかもしれませんけど(笑)。

高橋広敏

高橋広敏

TAKAHASHI HIROTOSHI

パーソルホールディングス
取締役副社長COO

1969年生まれ。早稲田大学卒業後、インテリジェンス(現パーソルキャリア)入社。2008年12月、同社代表取締役兼社長執行役員に就任。テンプホールディングス(現パーソルホールディングス)との合併を経て、2013年6月より同社取締役副社長。2016年6月より現職。

水田 要は、一定期間を誠実に仕事と向き合って過ごし、相応の成長が得られた上で、次のチャンスやステージを模索すべきということですよ。

高橋 うん、社会が発展し続けていくためには、人材が流動的であることは非常に重要です。われわれはポジティブな流動化を担う力にならなければいけません。

水田 何事も二面性があり、例えばインフレーションにも良いインフレと悪いインフレがある。人材の流動化も同様で、ネガティブな流動化をサポートするような仕事はしたくないですからね。

高橋 実際、その点を誤解している人たちは少なくないと思うんですよ。

当人としては大真面目に将来を考えて転職やキャリアチェンジを決意したつもりが、情報不足や自己認知不足が原因で、無意識にネガティブな選択をしてしまっているケースだってあるでしょう。

そこで大切なのは、われわれがプロとして適切なアドバイスを送ることです。

人生に良いインパクトを与える仕事

パーソルにとっての理想は、仕事を通して人生を良い方向に導く一助となること、ですよね。

水田 その通りです。人材業というのは、関わる人の人生に良いインパクトを与えられる仕事です。

これを簡単な言葉に言い換えれば、「適材適所」を実現する仕事、ということになるでしょう。

誰しも自分を必要とする職場で働くのがベストですし、そういう状況でこそ人は、はたらいて笑えるはず。

これをサポートすることは、人生にプラスの影響を与えることと同義だと思います。

高橋 ただ、その適材適所を自力で実現するのは、なかなか難しい。

水田正道 高橋広敏

水田 誤解を恐れずに言えば、人の能力というのは、よほど特殊な人材を除いて、そう大きくは変わらないと思うんです。みんなに可能性がある。

だからこそ環境が重要で、自分が十分にパフォーマンスを発揮でき、高い幸福度を得られる職場といかに出会うかがその人の人生のカギになる。

高橋 組織の側から見ても、例えばベンチャー気質の人材が多いほど会社が伸びるかというと、決してそんなことはないし、大手企業で様々な経験を積んだ人材が、必ずしもベンチャーでリーダーシップを発揮できるとは限りません。

つまり、一概に会社単位で考えるのではなく、その人材が生きる環境をちゃんと掘り下げ、見極める必要があります。

昨今では、そうした人材の交流が、より活発になっているように感じます。それだけ、自分に合った環境や仕事が選びやすい時代になりつつあると言えるのでは?

水田 それはあるでしょうね。経営者として思うのは、組織というのはいろんな人材がバリエーション豊かにそろっていたほうが成長するということ。

パーソルにしても、僕と高橋さんは、すごく対照的な人間だものね(笑)。

僕は案外、社内業務のことを詳しく把握していない部分があって、いつもわからないことは高橋さんにレクチャーしてもらっている。

その半面、社外に出てお客様をまわったり、現場社員とコミュニケーションを取ったりするのが僕は好きだし得意だから、うまく両輪として回っているように思いますね。

水田正道

高橋 これがもし、僕らがまったく同じタイプだったら、一緒にやっている意味がないですからね。2人そろって営業に出ずっぱりだったら、会社も回りませんし。僕は留守番担当役員でいい(笑)。

水田 互いの人脈を見ても、対照的で面白いですよね。僕はわりと銀行や大手企業にネットワークがあって、高橋さんは伸び盛りのベンチャー企業と多くつながっている。

互いの強みが合わさって、そのままパーソルの強みとなる。まさしく多様性ですよね。企業も人材も、これが大きな武器になるはず。

人材業の先にある「元気な社会」へ

新生パーソルとして、これから目指すもの、目指す社会とはどんなものでしょうか。

高橋 1つには、人材業から脱皮したいという思いがあります。はたらき方が変わっていくのに合わせて、本当の意味で我々が貢献するためには、人材ごとに勤務先を探すだけでは足りないと思います。
極端な話、ブラック企業と呼ばれる環境にいくら人材を送り込んだところで、誰もはらたいて笑えるようにはなりませんから。もっと根本的な部分を変えていかなければならないでしょう。

水田 そうですね。ただ人材だけを入れ替えるのではなく、受け入れる側の環境まで含めて新しい提案をしていかなければ、社会を変えることはできません。

高橋 そこで重要なのは、ITなどのテクノロジーです。例えば介護業界は当面、人手不足の状態が続いていくでしょうが、人材とテクノロジーが互いを補い合うことで課題解決につながれば、誰もがはたらきやすい環境に近づくはず。

これは今後、パーソルがいっそう力を入れるべき領域だと思います。

高橋広敏

水田 そしてそのプロセスで必要であれば、国や企業とも積極的に連携すべきでしょうし、結果として一人でも多くの人材が適材適所ではたらける社会を目指したいですね。

それは世の中を元気にすることでもあります。適職が見つからないと悩んでいるのであれば、そんなときこそパーソルを頼ってほしい。

高橋 もしそれが、単なる甘えによる転職相談であるなら、われわれはプロとしてはっきりと指摘しますからね。そうすることで、本当の意味での適材適所を目指したいと考えています。

水田 人材業というのは、どうしても企業側の立場に寄っていると誤解されがちですけど、実際はそうではないんですよね。

あくまで一人一人の生き方に寄り添って、適材適所を見つけるお手伝いをする立場なので、向かう先に悩んでいるのであれば、ぜひわれわれにも一緒に考えさせてほしい。

※この記事は2017年6月の取材を基に作成し、同7月1日に掲載されたものです。

(聞き手:呉琢磨、構成:友清哲、撮影:岡村大輔)