タレントマネジメントとは
タレントマネジメントとは、従業員一人ひとりの能力・スキル・経験といった情報を、採用や育成、配置などに活用することで、企業の持続的な成長に繋げる人材マネジメントを指します。

新規事業の立ち上げや既存事業の成長といった中長期的な経営目標の達成に向け、戦略的に人材配置や個々の能力の最大化をはかることがタレントマネジメントの要となる考え方です。
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2022年07月28日
2022年09月29日
DXの進展 やグローバル化、コロナ禍におけるはたらき方の変化など、外部環境が急速に変化し続けています。そのような中、企業が競争優位を確保するためには、経営戦略と人材マネジメントが連動した「戦略人事」への転換が重要です。
そのため、人事部門はこれまでの経験・勘・記憶に基づく運営ではなく、客観的なデータをもとにした運営への変革が求められるため、人材データを一元管理できるタレントマネジメントシステムは不可欠であるといえます。
本記事では、最適なタレントマネジメントシステムの導入に向け、タレントマネジメントで実現できることや、システム選定・導入のポイントを解説します。
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コロナ禍によって人々のはたらき方は大きく変化し、それに伴い人事・組織戦略の新たな課題も浮かび上がっています。人事施策や組織戦略の展望にお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
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今後の人事戦略の方針をご覧いただき、ご参考にしてください。
目次
タレントマネジメントとは、従業員一人ひとりの能力・スキル・経験といった情報を、採用や育成、配置などに活用することで、企業の持続的な成長に繋げる人材マネジメントを指します。
新規事業の立ち上げや既存事業の成長といった中長期的な経営目標の達成に向け、戦略的に人材配置や個々の能力の最大化をはかることがタレントマネジメントの要となる考え方です。
タレントマネジメントシステムは、タレントマネジメントを実現するために、人材データを集約・一元管理し、高度な意思決定を可能にするシステムです。
人事管理システムと混在されがちですが、人事管理システムは勤怠や給与などの情報を管理します。戦略的な場面での活用もありますが、給与計算など労務管理における活用がメインです。
一方、タレントマネジメントシステムはスキルや資格、経歴などの人材に関するすべてのデータを管理し、蓄積されたデータをもとに計画的な人材育成や戦略的な人材配置に活用します。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2019年7月~9月に行った「人事のデジタル化に関する実態調査」によると、タレントマネジメントの導入状況として「導入している」が21.5%、「導入を予定している」が20.8%、「導入を検討している」が33.8%との結果が出ています。
7割以上の企業が既に導入、もしくは前向きにタレントマネジメントシステムの導入を考えていることがわかります。
多くの企業でタレントマネジメントシステムの活用が広まる背景には、大きく3つの要因があります。
パーソル総合研究所の調査「労働市場の未来推計2030」によると、2030年には労働人口が約644万人も不足すると推計されています。
今後も人材不足が続くことが予想されるため、新たに採用するだけではなく、今いる人材が最大限の成果を発揮できる環境をつくるかという視点が重要です。
タレントマネジメントシステムを用いて人材データが可視化されることで、より効果的な人材育成や人材配置を検討でき、パフォーマンスの最大化につながるでしょう。
DXの進展やグローバル化など、外部環境が急速に変化し続けている中、新卒一括採用や終身雇用をはじめとした日本型雇用の形が少しずつ変容しています。3Kと呼ばれる従来の経験・勘・記憶をもとにした運営に限界がみえている中、企業が競争優位を確保するための戦略人事への転換が求められています。
パーソル総合研究所の「人事部大研究」によると、人事情報の一元管理ができている企業ほど、戦略人事が実現できている傾向が顕著に見られました。
戦略人事を推進するためには、人材データを一元管理して活用するタレントマネジメントシステムが不可欠であるといえます。
時代とともに個人の仕事に対する意識やはたらき方に対する価値観が多様化し、人事業務が複雑化しています。従来の画一的な人材マネジメントではなく、従業員一人ひとりに最適な人材マネジメントが求められています。
そこで、多様な人材のパフォーマンスを最大限発揮できる人材マネジメントを実現する手段のひとつとして、タレントマネジメントシステムの活用が進んでいます。
タレントマネジメントシステムにはどのような機能があり、またどのように活用できるのでしょうか。代表的な機能を詳しく見ていきます。
これまで紙やExcel上で管理し、社内に点在していた人材データが集約・一元管理できるようになります。
情報のアップデートなど管理工数が削減され、人事業務が効率化します。また、情報が見える化され、共有も容易になるため、人事戦略の策定や経営の意思決定にも人材データが活用できます。
従業員が持つスキルや過去の経験、キャリア志向といった情報をもとに、異動配置のシミュレーションがシステム上で作成できます。
また、検索機能を用いることで、求める条件を満たした人材の発掘や、プロジェクトに最適なメンバーのアサインもスピーディにできるでしょう。
目標や評価に関する情報が集約され、進捗管理がシステム上でできることで、評価運用や管理における工数が削減できます。
多くのシステムは、MBOやコンピテンシー評価など幅広い評価制度に対応しているため、自社の評価運用に即した対応が可能です。
アンケート機能を活用することで、従業員に対するアンケートもシステム上で簡単に作成・運用できます。
項目も自由に設定できるため、モチベーション調査や従業員満足度調査(ES調査)も実施でき、エンゲージメント向上にも活用できるでしょう。
タレントマネジメントシステムを導入して終わりではなく、導入後の運用が重要です。システム導入で失敗しがちなポイントとその解決策を解説します。
まずは、タレントマネジメントでどのような課題を解決し、何を実現したいのか、目的やゴールを明確にすることが重要です。
採用から育成、配置、育成などさまざまな領域の中で、タレントマネジメントを通じてどのような課題を解決し、どのような状態を実現したいのか、棚卸をおこなうことで、タレントマネジメントシステムに必要な要素が明確になります。
システムを導入しても、実際に活用する従業員にとって使いづらい・わかりやすいと活用されません。そのため、従業員が使いやすいシステムになっているかどうかを意識したシステムの選定が必要です。
導入前にデモ画面を確認し、使い勝手や自社のやりたいことができそうか確認しましょう。
タレントマネジメントシステム活用の課題としてもっとも多いのは、「データを活用しきれていない」ことです。
主な理由として、システムを導入する目的やデータの活用方法を明確にしていなかったり、データ活用・分析するための体制が整っていなかったりすることが挙げられます。
タレントマネジメントの目的を達成するためにどのようなデータが必要か、データの収集方法や分析手法、どういった体制が必要か、必要な人材は社内にいるか、いない場合は採用または育成するかなどを事前に検討することが必要です。
また、データの抜け漏れやデータ形式が統一されないといった不備も発生しがちなため、データ入力時には以下の項目に注意しましょう。
さらに、データ入力の際に二重チェックを実施するなど、入力ミスやエラーの対策を行いましょう。
タレントマネジメントシステムを選定するうえで「どれが自社に合うシステムかわからない」と悩む方もいることでしょう。最適なシステムを選ぶ2つのポイントを解説します。
自社に必要な機能が搭載されているかという観点で、システムを比較しましょう。以下の表では課題に対して、対応する機能について例を挙げています。
課題例 | 機能例 |
---|---|
データはあるが、いろんな所に散らばっていて うまく活用しきれていない |
人材データの一元管理 |
現場との異動調整に工数がかかっている 異動配置を最適化したい |
異動配置シミュレーション |
次世代経営人材など優秀な人材を早期に発見し育成したい 活躍の機会を与えたい |
サクセッション機能 |
人材育成が現場任せになってしまい、 育成状況について人事が把握しきれていない |
人材プールの構築 |
一人ひとりの目標やスキルが可視化されていない | 目標管理・スキル管理機能 |
人材に関するデータを総合的に見て 経営・人事戦略へとつなげたい |
人材データの分析機能 |
また、操作が簡単か、処理速度は安定しているのか、といった観点でも比較すると良いでしょう。
サポート体制には、以下のような支援があげられます。
導入前のサポート例 |
---|
・自社の経営戦略と連動した人材/人事戦略の立案、それらと連動したタレントマネジメント施策の設計 ・施策実行に必要なデータの選定・収集方法の提案 ・自社の制度運用をもとにしたシステムの要件定義や初期設定 |
導入後のサポート例 |
・操作方法のマニュアル作成やレクチャー ・システム操作の不明点の問い合わせ対応 ・データによって可視化された課題に対する施策の提案 |
タレントマネジメントシステムを効果的に活用するためには、自社の制度や実態にそった運用設計が望まれます。自社に必要なサポート体制が整っているか、比較しましょう。
タレントマネジメントシステムは、人材の発掘から配置、育成まで幅広い場面にて活用が期待できますが、活用の幅が広い分、導入前の設計や計画、導入後の運用が重要です。システムを導入して終わりではなく、日々の運用や導入後の活用も意識しましょう。
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コロナ禍によって人々のはたらき方は大きく変化し、それに伴い人事・組織戦略の新たな課題も浮かび上がっています。人事施策や組織戦略の展望にお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
パーソルグループでは、経営・人事・マネジメント1000人を対象に、人事・組織戦略における最新動向を調査。組織戦略の展望、雇用管理や人事施策の動向についてまとめた【人事戦略 最新動向レポート】をお届けします。
今後の人事戦略の方針をご覧いただき、ご参考にしてください。
A1.タレントマネジメントシステムは、タレントマネジメントを実現するために、人材データを集約・一元管理し、高度な意思決定を可能にする仕組みです。
>>タレントマネジメントシステムは戦略人事の推進に欠かせない仕組み
A2.主に以下のような場面にて活用できます。
1.人材データベースの構築
2.人事異動・配置シミュレーション
3.目標・人事評価の管理
4.アンケート(サーベイ)
>>タレントマネジメントシステムの機能とできること
・自社の課題を解決できる機能が備わっているか
・制度構築から運用後までのサポート体制が整っているか
自社の課題をもとに、タレントマネジメントシステムの導入目的を明確にすることが重要です。
>>導入に失敗しないための3つのポイント