カスタマーサクセスとは|立ち上げ方や成功のポイントを解説

カスタマーサクセスとは、製品やサービスを利用する既存顧客との関係性を深め、顧客の成功を支援する概念です。顧客に製品やサービスを継続して利用してもらうには、導入後のさまざまな支援が欠かせません。

本記事ではカスタマーサクセスの基礎知識や導入のメリット、業務内容などについて詳しく解説します。後半ではカスタマーサクセスの導入事例も紹介しているので、自社で新たにカスタマーサクセスチームを立ち上げたいという方は、ぜひ参考にしてください。

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これから「カスタマーサクセス」に取り組む、または、今まさに「カスタマーサクセス」への取り組みを始めた、そのような時に、何を目標としたら良いのか、どのような指標を見たらよいのか、迷うことも多いのではないでしょうか?

本資料では、カスタマーサクセスのご担当者が着目すべき指標と目標設定のポイントについてご説明します。
顧客がサービスを通して成功(目的を達成)するために、求められる考え方をまとめました。ぜひお役立ていただければ幸いです。

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目次

カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセスは、製品やサービスを購入した顧客との関係を強固にし、顧客の成功を支援する概念です。カスタマーサクセスの担当者は、顧客に製品やサービスを最大限に活用してもらい、自社が得られる価値が最大化するよう、さまざまなサポートを行います。

顧客にとっての成功とは、以下のような状態です。

    • 製品やサービスを導入し、業務効率化や利益増大につながった
    • 製品やサービスを使用して満足できた

製品やサービスを利用して良かった、良い結果に結び付いたと感じたら、顧客は「これからも継続してその企業の製品やサービスを使おう」と思うはずです。顧客が継続して利用してくれればその分ライフタイムバリュー(顧客生涯価値)の向上が見込め、企業の利益の増大につながります。

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カスタマーサクセスの注目度が上がった背景

カスタマーサクセスは、近年になって注目度が上がってきています。カスタマーサクセスは、以下3つの背景により、注目されるようになりました。

SaaS市場の拡大

背景の一つはSaaS市場の拡大です。これまでのビジネスは、一つの製品を売ったら取引が完了する「売り切り型」が主流でした。しかし、月額料金や年額料金を支払い続ける「サブスクリプション型」の料金体系が主流のSaaSが普及したことで、企業は顧客に少しでも長く自社のサービスを利用してもらい、利益を増大させるための工夫が必要になりました。

企業が顧客との長期的な関係保持を重要視するようになったことが、カスタマーサクセスへの注目が集まった理由の一つです。

営業スタイルの変化

営業スタイルの変化も、カスタマーサクセスが必要とされる理由に挙げられます。前述の通り、SaaSビジネスは継続して利用してもらうことが重要であり、契約がゴールではありません。売り切り型のビジネスでは発注してもらうまでが営業活動でしたが、サブスクリプション型のビジネスでは契約がスタートであり、どれだけ継続して利用してもらえるかによって利益が変動します。そのため契約後も顧客との接点を持ち続け、製品やサービスの利用を継続してもらえるような働きかけが求められるのです。

競合他社との差別化の必要性

機能面を重視して製品やサービスを開発しても、競合他社が同じ機能を持つものを開発すれば、差別化を図れなくなります。類似した製品やサービスが溢れる現代では、社内の限られたリソースを最大限に活用し、顧客対応の質を高めることで競争力を維持できます。カスタマーサクセスによって独自のサービスを顧客に提供できれば、競合他社との差別化を図れるでしょう。

カスタマーサクセスと営業の違い

企業の利益を追求する点はカスタマーサクセスも営業も同じですが、役割や業務内容は異なります。

営業の役割は一般的に、顧客となり得るターゲットへアプローチし、商談を成立させることです。一方でカスタマーサクセスは、商談成立後に利用を継続してもらうためのフォローをする役割を担います。業務内容は企業によって異なりますが、営業の場合はアポイントの獲得や商談、契約書類の準備などが主であり、カスタマーサクセスの場合は後述するようなサービス導入・活用支援やアップセル・クロスセルの提案などが主な業務です。

ただし、上記はカスタマーサクセスと営業を厳密に分けた場合における違いであり、企業によっては一人の担当者が両方の業務を一貫して行う場合もあります。

カスタマーサクセスと営業を分業した場合、製品やサービスの利用前後で対応する担当者が変わってしまうため、顧客体験が途切れ途切れになってしまうかもしれません。一貫した顧客体験を提供した方が、顧客にとって良いという考えの下、一人の担当者が営業からカスタマーサクセスまで全てを対応する形式をとる企業もあります。

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違い

カスタマーサクセスと似た言葉にカスタマーサポートがあります。どちらも「CS」と略されるため、特にカスタマーサクセスに初めて取り組む企業の場合、どのような違いがあるのか整理できていないこともあるのではないでしょうか。

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いも、その役割にあります。カスタマーサポートは、顧客からの問い合わせに対応するのが主な役割です。姿勢は受け身であり、対応することで顧客満足度を上げることが目的です。一方でカスタマーサクセスの役割は、前述の通り製品やサービスの利用を継続してもらうためのフォローをすることで、能動的に顧客に関わります。目的は顧客の成功を支援し、企業の利益を上げることです。

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カスタマーサクセスを導入するメリット

ここからは、カスタマーサクセスを導入するメリットを解説します。

顧客満足度の向上

カスタマーサクセスを導入するメリットの一つは、顧客満足度の向上が見込めることです。カスタマーサクセスは、顧客のニーズや課題を捉え、適切なアドバイスやサポートを行います。それによって顧客は製品やサービスを使いこなせ、高い満足を得られるでしょう。顧客満足度が向上すれば、離脱防止やリピート購入につながります。

CXの向上

CX(顧客体験)の向上につながることも、カスタマーサクセス導入のメリットの一つです。CXとは、顧客が製品やサービスの購入から利用するまでの全体的な体験を指す言葉で、製品やサービスの使用感だけではなく、企業との接点を通じて顧客に生まれる感情や反応なども含まれます。カスタマーサクセスの導入により、顧客が製品やサービスをさらに活用できるようになれば、CXも向上するでしょう。

【関連記事】カスタマーエクスペリエンスとは? 概要や向上させる施策・事例を紹介

クロスセル・アップセルへの誘導

カスタマーサクセスの導入におけるメリットには、クロスセル・アップセルへの誘導がしやすくなることも挙げられます。クロスセルとは、顧客がその時点で利用している製品やサービスに加え、関連する別のものもセットで利用してもらうセールス手法です。一方でアップセルは、利用中の製品やサービスよりもグレードの高いものに乗り換えてもらうセールス手法です。

カスタマーサクセスは、顧客の課題やニーズをくみ取り、「別のツールも併せて導入してもらう方が良いのではないか」「より機能が充実した製品・サービスにグレードアップしてもらう方が良いのではないか」といった考えが浮かべば、すぐに提案できます。このような提案をスムーズに行えるのは、製品やサービスの導入後も顧客とコミュニケーションを取り続けているからこそであり、カスタマーサクセス導入の大きなメリットです。

LTVの向上

カスタマーサクセスを意識することで顧客との接点が適切に維持され、顧客単価の向上や購入頻度の増加、継続期間の延伸へとつながっていくことで、LTV(ライフタイムバリュー)が高まります。LTVとは日本語で顧客生涯価値といい、顧客が自社製品の利用を開始してから終了するまでに、自社にもたらす利益のことです。

カスタマーサクセスが前述した顧客満足度・CXの向上やクロスセル・アップセルへの誘導に取り組むことで、LTVが向上していきます。

【関連記事】LTV(ライフタイムバリュー)とは?計算方法や向上させる施策を解説

課題・ニーズの分析による製品やサービスの磨き込み

カスタマーサクセス導入のメリットの一つには、顧客の課題・ニーズ分析により、製品やサービスの磨き込みができることも挙げられます。カスタマーサクセスは、常にさまざまな顧客から課題やニーズをヒアリングしており、その中から重要な声を開発部署に届けることで、製品やサービスの改善につなげられます。

カスタマーサクセスの業務内容

カスタマーサクセスの業務内容は企業によって異なりますが、以下のような内容であることが一般的です。

    • 導入支援
    • 活用支援
    • クロスセル・アップセルの提案
    • 更新フォロー
    • ヘルススコアチェック
    • 契約更新フォロー
    • ユーザーコミュニティの運営
    • 開発部署への製品やサービスのフィードバック

それぞれの業務について、具体的に解説します。

導入支援

顧客と契約を結んだ後は、カスタマーサクセスの担当者が導入支援(オンボーディング)を行います。顧客が製品やサービスの利用をスムーズに始められるよう、以下のようなことを実施します。

    • アカウント設定
    • 製品やサービスの初期セットアップ
    • 製品やサービスの基本操作方法のレクチャー
    • 今後のサポート体制の案内
    • チュートリアルの提供 など

顧客満足度やCXの向上には、早期に製品やサービスの導入効果を実感してもらうことが重要です。そのために、製品やサービスの主要な機能や利用方法をスムーズに理解してもらえるような施策を実行しましょう。

なお、最近は導入支援をカスタマーサクセスの担当者が直接行うのではなく、DAP(デジタルアダプションプラットフォーム)といったデジタルツールを用いて行うことも増えています。DAPは、導入した製品やサービスの定着を促進させるツールです。どのような製品・サービスでも、導入してから顧客が使いこなせるようになるまでには、説明会の実施や問い合わせへの対応など一定のコストがかかります。そこでデジタルツールを採用すれば、基本的には顧客が自ら不明点を解決できるようになり、導入支援にかかるコストを削減することができます。

活用支援

導入支援後は、顧客が製品やサービスを最大限活用できるよう、さまざまなサポートを行います。利用状況の調査やヒアリングを行い、何か困っていることはないか、利用してみて新たに生じた課題やニーズはないかなどを確認しましょう。具体的な業務内容としては、以下が挙げられます。

    • 定例ミーティングの実施
    • ウェビナーや勉強会の実施
    • 他社事例の共有
    • 顧客満足度調査の実施
    • 問い合わせへの対応 など

重要なのは、顧客が製品やサービスに対して価値を見いだせているのか、利用した成果が出ているのかを確かめることです。その上で顧客満足度を上げられるよう、さまざまな支援を行いましょう。

クロスセル・アップセルの提案

クロスセル・アップセルの提案を行うことも、カスタマーサクセスの業務の一つです。日々のコミュニケーションから得られた課題やニーズをもとに、適切なタイミングで提案することが重要です。前述の通り、クロスセル・アップセルへの誘導ができれば、LTVの向上につながり、企業全体の利益も増大します。

またクロスセル・アップセルを提案し、顧客にグレードアップした製品やサービスを活用してもらうことで、より顧客満足度が向上し、長期的な関係構築につながるでしょう。

業務内容としては、クロスセル・アップセル提案の場を作るためのヒアリングや、追加機能の導入・アップグレードに関するお得なキャンペーンの提供などが挙げられます。

カスタマーサクセスでは、より長く顧客との関係性を保ち続けることが重要です。そのためクロスセル・アップセルの提案は、利益だけを追い求めて顧客からの信頼を失わないよう、顧客視点に立って行いましょう。

ヘルススコアチェック

定期的にヘルススコアチェックを行うことも、カスタマーサクセスの業務の一つです。ヘルススコアは、顧客が自社の製品やサービスを継続して利用するかどうかを測る指標です。ヘルススコアを算出する際は、一般的に以下のような情報を収集します。

    • 契約内容(プランや更新回数など)
    • 製品やサービスの利用頻度・人数
    • Webサイトやコミュニティでの行動履歴
    • セミナーや交流会への参加歴
    • NPS(ネットプロモータースコア)
    • 顧客満足度 など

これらの中から、ヘルススコア算出の指標となる項目を決め、スコアの計測方法を定めます。

ヘルススコアチェックの結果、スコアが低い顧客には早急にアプローチをすることで、解約を未然に防ぐようにします。

契約更新フォロー

サブスクリプション型の製品やサービスの場合は、契約更新のタイミングでフォローすることも業務内容の一つです。顧客は多くの場合、契約更新時に製品やサービスの利用を見直します。製品やサービスに不満があったり、うまく活用できていなかったりした場合、更新せずに解約してしまうかもしれません。契約更新の時期が近づいたら、更新してもらえるような働きかけが重要です。

業務内容としては、以下のような内容が挙げられます。

    • 次期の見積書作成
    • 今後さらに活用してもらうための提案書作成
    • 契約更新の交渉

顧客が一定期間製品やサービスを利用して、満足している状態であれば、契約更新をしてくれる可能性が高いといえます。契約更新のタイミングに限らず、日々の活用支援を怠らないことが重要です。

ユーザーコミュニティの運営

ユーザーコミュニティの運営も、カスタマーサクセスの業務内容の一つです。ユーザーコミュニティとは、顧客同士が情報交換できる場を指します。

既存顧客のリアルな声を聞ける点は、コミュニティ運営のメリットの一つです。また製品やサービスの活用方法を顧客同士で共有してもらうことで、顧客のエンゲージメント向上につながる点もメリットです。加えてコミュニティの存在は、新規顧客の獲得にも貢献します。

具体的な業務内容としては、コミュニティサイトの管理に加え、コミュニティを活性化させる取り組みの実施が挙げられます。せっかくコミュニティがあっても、顧客に活用してもらわないと意味がないため、コミュニケーションを生む工夫が必要です。例えば、顧客にウェビナーで活用事例をプレゼンしてもらう、パートナープログラムやアワードなどを用意する、口コミサイトを作り良質なUGC(ユーザー生成コンテンツ)を生み出すなど、さまざまな方法があります。

開発部署への製品やサービスのフィードバック

カスタマーサクセスの業務には、開発部署への製品やサービスのフィードバックも挙げられます。前述の通り、顧客の声をカスタマーサクセス担当者から開発部署に届けることで、製品やサービスの改善につなげられます。

フィードバックを得る方法は、日々のコミュニケーションやアンケート調査、顧客へのインタビューなどです。社内でも特にカスタマーサクセスは顧客と日々関わっているため、リアルな声を聞けます。さまざまな顧客から得たフィードバックをもとに、製品やサービスの改善点を洗い出し、開発部署に共有しましょう。そうすることで、製品やサービスをブラッシュアップでき、顧客満足度の向上につながるはずです。

カスタマーサクセスに必要なスキル

ここからは、カスタマーサクセスに必要なスキルを5つ紹介します。

コミュニケーションスキル

第一に必要なのは、コミュニケーションスキルです。カスタマーサクセスには、顧客の課題やニーズをしっかりと理解した上で、解決策を提示することが求められます。そのため顧客へのヒアリングでは、潜在的な課題やニーズを引き出せるコミュニケーションが必要であり、解決策の提示においては顧客に共感してもらい、提案に乗ってもらえるようなコミュニケーションを取らなければなりません。

また顧客だけではなく、社内でのコミュニケーションスキルも重要です。カスタマーサクセスの担当者は営業担当や開発担当など、さまざまな人と連携を取る必要があります。あらゆる部署の人とスムーズに情報共有ができるスキルも必要です。

ファシリテーションスキル

ファシリテーションスキルも重要なスキルの一つです。ファシリテーションスキルとは、ミーティングを円滑に進めるスキルのことです。具体的には、ミーティングの出発点を決めるところから、参加者の発言を促し、出た意見を整理しながら重要なポイントを提示し議論を進め、最終的に議論をまとめるまでの一連の進行を指します。

カスタマーサクセスの業務において、顧客の課題やニーズをヒアリングしてから解決に導くには、ファシリテーションスキルが求められます。

情報分析力

顧客の課題やニーズに対して効果的な解決策を提示するには、入手できた情報を深く掘り下げて分析する力も重要です。得られた情報を分析すれば、顧客の現状を把握でき、顧客にとって最適かつ戦略的な提案を行えます。

また提案した内容が顧客にとって良かったのかどうか、結果を分析する力も必要です。

データの分析には、ツールの活用スキルも求められます。

課題の発見・解決策提供スキル

前述の通りカスタマーサクセスには、顧客の課題を見つけ、解決案を提示し、成功へ導くことが求められます。

顕在している課題を抽出するだけではなく、顧客自身が気付いていない課題も引き出すスキルが必要です。また課題を見つけるだけではなく、解決策の提示も行わなくてはなりません。

業務構築スキル

カスタマーサクセスには、0から1を作る業務構築スキルが求められます。カスタマーサクセスが解決する課題は顧客によって異なるため、顧客ごとに異なる業務フローを構築し、支援を進めることが欠かせません。これまでにない仕事を作り出す能力が、カスタマーサクセスには必要です。

カスタマーサクセスチームの立ち上げ方

ここからはカスタマーサクセスのチームの立ち上げ方を、7つのステップで解説します。

1.支援範囲の明確化

まずはカスタマーサクセスチームの支援範囲を明確にします。社内でカスタマーサクセスに割ける人数は限られている場合には、リソースの配分を考えなくてはなりません。売り上げなどの指標をもとに顧客を以下の3つのタッチモデルに分類し、それぞれに必要なリソースを考えましょう。

    • ハイタッチ:自社にもたらす利益の高い顧客。1対1で手厚くサポートする
    • ロータッチ:自社にもたらす利益が中程度の顧客。ウェビナー開催など、1対複数でサポートする
    • テックタッチ:自社にもたらす利益が低い顧客。システムなどのテクノロジーを用いてサポートする

各タッチモデルの配分は、上から2:3:5程度になるようにすると良いでしょう。

なお、紹介した利益を軸にする分類ではなく、製品やサービスを企業が意図する使用方法で活用しているかどうかを軸に分類する方法もあります。

2.カスタマーサクセスチームを編成する

次に、カスタマーサクセスの活動をするチームを編成します。チームのメンバーは、全員がカスタマーサクセスのあらゆる業務を担当する場合もあれば、業務内容ごとに専任の担当者を設ける場合もあります。メンバーの得意分野やリソースに応じて決定すると良いでしょう。

3.業務フローの定義をする

チームが決定したら、大まかな業務フローを定義します。顧客が製品やサービスの導入を決定してから利用を継続してもらうまでの間に、いつどのようなアクションを取るべきかを可視化しましょう。

4.目標(KPI)を決める

業務フローが決まったら、チームの目標(KPI)を定めましょう。KPIとはKey Performance Indicatorの略で、日本語では「重要業績評価指標」といいます。カスタマーサクセスの最終的な目標である「顧客を成功へ導くこと」の達成状況を判断するための、中間指標のことです。

カスタマーサクセスのKPIとして定める主な指標は以下の通りです。それぞれの指標について解説します。

LTV

前述の通り、LTVとは日本語で顧客生涯価値という、ある顧客が生涯で自社へもたらす利益のことです。さまざまな計算方法がありますが、「年間取引額 × 収益率 × 契約年数」などの計算式で算出できます。

カスタマーサクセスには収益率を改善し、契約年数を伸ばすための、業務のDX化や継続したサポート体制の構築などが求められます。

NPS

NPS(ネットプロモータースコア)とは顧客ロイヤルティを測る指標です。アンケート調査にて、製品やサービスの他者への推奨度を0から10の11段階で質問し、値を算出します。

NPSの値には製品やサービス全体への評価が反映されるため、NPSの値が高い顧客は今後の契約継続やアップセル・クロスセルなどの見込みがあるといえるでしょう。

チャーンレート

チャーンレートとは解約率のことです。解約率は「解約者数 ÷ 顧客総数 × 100」で算出できます。

カスタマーサクセスは、顧客により長く製品やサービスを利用してもらうことで利益を追求するため、解約率を低くする取り組みが必要です。

リテンションレート

リテンションレートとは、顧客維持率のことです。顧客定着率などと呼ばれる場合もあります。リテンションレートは、前述したチャーンレートと相関関係にあり、リテンションレートが高ければ、チャーンレートは低くなります。

アップセル・クロスセル率

アップセル・クロスセル率とは、その名の通りアップセル・クロスセルに至った顧客の割合です。アップセルやクロスセルに成功すれば、その分LTVの向上につながります。

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5.ツールの導入を検討する

KPIを設定したら、ツールの導入を検討しましょう。カスタマーサクセスで活用できるツールには、以下のようなものがあります。

CRM

CRMは日本語で顧客関係管理ツールと呼ばれるもので、顧客の基本情報や過去の購入情報、コミュニケーション内容などを一括管理できるツールです。

導入することで、顧客に合わせたサポートをスムーズに行えるようになります。

【関連記事】CRMとは?基本機能や選定・比較方法、メリットを分かりやすく解説

MA

MAとはMarketing Automationの略称で、マーケティング活動を自動化・効率化するシステムです。

一般的には見込み顧客へのアプローチに活用されますが、既存顧客のフォローにも利用できます。MAを活用すれば、顧客の状況に応じたメール配信など、さまざまな業務の自動化が可能です。

【関連記事】MA(マーケティングオートメーション)ツールとは|機能や選び方をわかりやすく解説

SFA

SFAとはSales Force Automationの略称で、主に営業活動の効率化や自動化を目的とした営業支援システムです。

SFAには問い合わせから営業提案までの流れと内容が、しっかりと記録されています。その情報をもとに顧客の課題やニーズを特定し、カスタマーサクセスのプランを組み立てることが可能です。

【関連記事】SFA(営業支援)ツールとは?機能やメリット、導入ステップについて解説

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6.顧客へのアクションプランを考案する

業務フローやKPI、ツールの導入が決まったら、顧客へのアクションプランを考えましょう。ステップ3で考えた大まかなフローに沿って、具体的にどのようなアクションが必要かをまとめていきます。

前述の通り顧客によって支援すべき内容は異なるため、顧客の課題やニーズに適したプランを立てることが重要です。

7.社内の教育体制を整備する

カスタマーサクセスのチームを立ち上げる際は、チームメンバーの教育体制を整備することも重要です。

顧客へ自社の製品やサービスを利用してもらう施策を実行するには、メンバー自身が製品やサービスに詳しくなければなりません。また自社で行えるサポート内容についても、あらかじめチーム全員で認識をそろえておく必要があるでしょう。

カスタマーサクセスを成功させるポイント

カスタマーサクセスを成功させるには、以下3つのポイントを押さえておきましょう。

データを最大限に生かす

カスタマーサクセスを立ち上げて成果を出すには、データを最大限活用することが重要です。前述した指標やツールを用いながらデータを分析し、有効な戦略を立てましょう。

顕在化しているニーズだけではなく、潜在ニーズも理解できるよう、さまざまな情報を収集し、顧客一人ひとりに合ったサポートを心掛けてください。

部署を超えた組織全体の取り組みを意識する

カスタマーサクセスの成功には、部署を超えた組織全体での取り組みが求められます。カスタマーサクセスは営業プロセスの一部であり、マーケティングや営業といった他部署との連携が欠かせません。

他部署との情報共有により、顧客を多角的に捉えた上でカスタマーサクセスのサービスを提供できるでしょう。

顧客ごとに提供するサポートをカスタマイズする

繰り返しにはなりますが、顧客ごとに提供するサポートを変えることも重要です。顧客の状況に合わせたサポートを提供することで、顧客満足度の向上につながります。前述したようなハイタッチ・ロータッチ・テックタッチなどの区分をもとにサポート内容を変えると良いでしょう。

カスタマーサクセスの成功事例

最後に、カスタマーサクセス導入の成功事例を紹介します。

事例1.既存顧客向けのリテンションセールスの強化で解約金額を大幅抑止

とある企業は、リテンションセールス(顧客深耕・維持)を推進するためのメンバーやノウハウが不足していたり、ロータッチ・テックタッチ層へのフォローが追い付いていなかったりする状況でした。

そこでリテンションセールスの専任チームを発足させ、フロントセールスとインサイドセールスで分業を行い、少ないメンバーで効率的なリテンション活動を実施できる環境を構築。またLTVの低い顧客層に対するリテンションのプロセスを明確化し、抜け漏れの発生しにくい運用を平準化しました。

これらの取り組みと、メールと架電を併用したナーチャリング運用の徹底により、解約金額を許容金額のおよそ半分に抑えることができました。さらに既存顧客からのアポイント獲得率70%という高水準を実現。加えて、リテンション訪問をきっかけとした顧客接点の増加により、解約リスクの検知・阻止だけではなく、クロスセル目標も110%達成となりました。

事例2.顧客の声を収集・分析しカスタマーサクセスのアップデートサイクルを構築

とある企業では、顧客の声の収集が仕組み化されておらず、手法が属人化していました。加えて提供するサービスが売り切り型のため、顧客からの声が拾いにくいという課題もありました。

そこでSFAを導入し、顧客の声を一元管理できるような仕組みを整え、ナレッジを蓄積できる状態に。またサービス別にアンケート項目を作成し、運用サイクルを固定化することで、最小限の工数で顧客の声を収集可能にしました。

ユーザーがどこに不安や不満を抱えているかが明らかになったことで、ユーザー別の最適な支援を提供することが可能になり、さらに、得られた声から顧客のインサイトを得たことで、カスタマーサクセスから開発部署に対してフィードバックもできるようになりました。

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まとめ

カスタマーサクセスは、SaaSビジネスの拡大や営業スタイルの変化などにより注目された概念であり、導入することで顧客満足度の向上やCXの向上、LTVの向上などにつながります。

カスタマーサクセスを導入する際は、顧客の成功に結び付くよう、一人ひとりに合わせたサポートを行うことが求められます。CRMやMA、SFAなどのツールをうまく活用しながらデータを分析し、顧客の課題やニーズに沿って施策を検討することが重要です。

監修・インタビュー

パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社
ビジネストランスフォーメーション事業本部
カスタマーサクセスコンサルタント

亀山 浩史

2013年にパーソルビジネスプロセスデザインの前身にあたる会社へ中途入社。
セールスアウトソーシングとして通信キャリアや金融業界、自治体などさまざまな業界におけるフィールドセールスを担当。

2020年のカスタマーサクセスグループ新設にあたり、グループの立上げメンバーとして参画。 カスタマーサクセス支援に従事しながら、カスタマーサクセスのノウハウや知見を身に着ける。