コンプライアンスとは?実際の違反例、企業に必要な対策を解説

企業活動において「コンプライアンス」の重要性はますます高まっており、法令や社内ルールを守るだけでなく、社会的な信頼を得るための基盤といえます。実際、違反による企業の倒産やブランド毀損も増えており、対策の遅れは経営リスクにつながりかねません。

本記事では、コンプライアンスの基本的な意味や重要性、実際に起きた違反事例を交えながら、企業が取るべき具体的な対策までを分かりやすく解説します。

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「ハラスメント」が66.0%で最多

ハラスメントや情報漏洩など、コンプライアンス違反は企業の信頼や業績に大きな影響を与えます。自社の対応状況を正確に把握できていない場合、潜在的なリスクを見過ごしてしまう可能性があります。

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目次

コンプライアンスとは

コンプライアンス(Compliance)とは、法律だけでなく、企業倫理や社会規範、社内ルールを守って誠実に行動することを指します。

一般には「法令遵守」と訳されます。しかし、企業のコンプライアンスは、単に法令を守るだけではなく、企業倫理や社会規範に沿って、公正・公平に業務を行うという広い意味を含んでおり、顧客・取引先・株主・従業員などステークホルダーからの信頼を得るための重要な考え方となっています。

近年では「コンプラ」と略されることも多く、言葉の浸透とともにその重要性も高まっています。

内部統制との違い

コンプライアンスと内部統制の違い

コンプライアンスと混同されやすい言葉に「内部統制(Internal Control)」があります。両者は密接に関連していますが、その目的と範囲が異なります。

    • 内部統制:企業が健全かつ効率的に事業を行うために、自社内に構築・運用する仕組みやプロセス。金融庁は内部統制の目的を「業務の有効性及び効率性」「財務報告の信頼性」「事業活動に関わる法令等の遵守」「資産の保全」と定義
    • コンプライアンス:内部統制の4つの目的のうち、特に「事業活動に関わる法令等の遵守」に焦点を当てた概念

つまり、コンプライアンス体制の構築は、有効な内部統制の前提条件といえるでしょう。

【関連記事】内部統制とは?4つの目的や基本的要素・進め方をわかりやすく解説

コーポレートガバナンスとの違い

「コーポレートガバナンス(Corporate Governance)」も、コンプライアンスと関連の深い用語です。日本語では「企業統治」と訳されます。

    • コーポレートガバナンス:株主の利益を守るため、経営者を監視し、規律を守らせる仕組み。社外取締役の設置や取締役会の機能強化などを通じて、経営の透明性や公正性を高め、持続的な成長を促すことが目的
    • コンプライアンス:コーポレートガバナンスが有効に機能するための前提となる価値観や行動規範

つまり、コーポレートガバナンスという大きな枠組みの中で内部統制という仕組みが機能し、その根幹をコンプライアンスが支えているという関係性で捉えると分かりやすいでしょう。

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【関連記事】コーポレートガバナンスとは?定義や目的、強化する施策をわかりやすく解説

コンプライアンスが注目される背景

コーポレートガバナンスは、企業が社会的責任を果たし、持続的に成長するための仕組みです。その目的は、不正や不祥事を防ぎ、企業活動の透明性を高めること、そして経営の健全性を保ちながら企業価値を高めていくことにあります。

企業不祥事の増加と経営リスクの拡大

データ改ざんや粉飾決算などの不祥事に加え、近年ではコンプライアンス違反が原因で倒産に至るケースも増えています。企業規模に関係なく、コンプライアンスの不備は経営を揺るがす重大リスクとなっており、大手企業だけでなく、中堅・中小企業にとっても他人事ではありません。

SNSの普及によるリスクの可視化と増大

スマートフォンやSNSの普及により、誰もが簡単に情報を発信できる時代になりました。従業員の不適切な言動が「バイトテロ」として拡散・炎上する例も多く、一度拡散された情報は「デジタルタトゥー」として半永久的に残ります。企業のブランドイメージや信頼を回復するのは極めて困難です。

CSR(企業の社会的責任)への意識の高まり

現代の企業には、利益の追求だけでなく、環境や人権への配慮、地域社会への貢献といった社会的責任(CSR)を果たすことが求められています。コンプライアンスの徹底は、その基本であり、社会から信頼される企業であるための必須条件となっています。

コンプライアンス違反の最新事例

コンプライアンス違反と聞くと、横領や粉飾決算といった重大な犯罪をイメージするかもしれません。しかし、実際にはもっと身近な業務の中にもリスクは潜んでいます。ここでは、最近多く見られる事例を紹介します。

多様化・複雑化するハラスメント

現在、企業で大変多く見られるコンプライアンス違反の一つがハラスメントです。中でもパワーハラスメントは、その形態が年々複雑化しています。

例えば「これは指導か、それともパワハラか」と判断が難しいケースや、部下が過剰に反応する「ハラスメントハラスメント(ハラハラ)」に悩む管理職が増えています。結果として、指導を躊躇したり、自身が精神的に追い詰められて休職に至ったりするケースも見られます。

また、上司から部下への一方的なパワハラだけでなく、「同僚間」や「部下から上司への逆パワハラ」も増加しています。例えば小売業の店舗では、ベテランアルバイトが新任店長に引き継ぎをしない、意図的にシフト変更を求めるなど、不適切な振る舞いも問題となっています。

情報セキュリティ・管理に関する違反

DXの進展に伴い、情報セキュリティに関するリスクも多様化しています。例えば、従業員が職場での不適切な行為を撮影・投稿する、いわゆる「バイトテロ」は、企業の信用を一瞬で失わせかねません。

また、顧客情報や従業員の個人情報を不注意で漏洩させてしまうケースもあります。例えば、コンビニなどで顧客の名前を他の顧客の前で読み上げるような、悪意のない行動が原因となる場合もあります。

ほかにも情報関連のコンプライアンス違反としては、以下が挙げられます。

  • インサイダー取引:未公開情報を基に株式などを売買する行為
  • 知的財産権の侵害:他社のデザインや音楽、文章などを許可なく使用する行為

誠実性を欠いた行動による信頼低下

直接的な法令違反に至らなくても、不誠実な行動が企業の信頼を損なうケースもあります。最近ではカスタマーハラスメント(カスハラ)への対応不備も、コンプライアンス上の問題として挙げられます。顧客からの度を越えたクレームや不当な要求に対し、従業員を守るための適切な措置を講じないことは、安全配慮義務に反する可能性があるためです。

さらに、以下のような対応もコンプライアンス違反に該当します。

  • 採用選考における不適切な質問(本籍や思想・信条など)
  • 合理的な理由のない不当な解雇

こうした行為は、従業員や就職希望者からの信頼を損なうリスク要因です。

コンプライアンス強化が形骸化する3つの課題

多くの企業がコンプライアンスの重要性を認識し、さまざまな取り組みを行っています。それでも違反が後を絶たないのは、施策が“形だけ”になってしまう課題が存在するためです。中でも企業がつまずきがちなポイントは、以下の3点です。

1.施策が継続されない

担当者の異動や退職をきっかけに、それまで行っていた研修や取り組みが中断されてしまうことがあります。コンプライアンス強化は単発のイベントではなく、継続的な取り組みとして組織全体に根付かせることが重要です。

2.研修が形骸化・マンネリ化している

「パワハラはダメ」「情報は適切に管理する」といった内容が繰り返されるだけでは、従業員の意識は変わりません。特に、動画を流すだけの一方通行な研修では、実効性が乏しくなります。

3.組織風土に課題がある

「何かあっても意見を言いにくい」「上下関係が絶対的」といった閉鎖的な組織風土は、違反行為が起きやすくなります。問題があっても見過ごされたり、表面化しにくくなったりするため、早期対応が難しくなります。

コンプライアンスを強化するために企業が取り組むべき対策

コンプライアンス違反を未然に防ぎ、組織の信頼性を高めていくためには、具体的にどのような対策を講じるべきでしょうか。ここでは、企業が取り組むべき主な対策を紹介します。

経営トップが率先して取り組む

コンプライアンス強化の出発点は、経営トップの明確な意思表示です。「なぜ重要なのか」「違反は決して許さない」という強いメッセージをトップ自らが発信し続けることで、従業員の当事者意識が生まれ、組織全体の意識改革につながります。

通報・相談窓口を機能させる

内部通報制度は、設けるだけでは不十分です。匿名性の確保や外部機関の活用など、実際に“使える”仕組みにすることが大切です。ポスター掲示や定期的な周知によって存在を浸透させ、通報によって不利益を被らない安心感を築くことも忘れてはなりません。

コンプライアンス研修を定期・継続的に実施する

研修は単なる情報提供の場ではなく、「なぜそのルールが必要なのか」「自分はどう関わるのか」を考える機会です。一度きりでは効果が薄く、法改正や社会の変化に合わせて内容を更新しながら、定期的に実施する必要があります。全従業員が繰り返し学び、実践できる状態を維持しましょう。

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コンプライアンス研修を実施する際のポイント

多くの企業でコンプライアンス研修が実施されていますが、「毎年同じ内容でマンネリ化している」「効果が実感できない」といった課題もよく聞かれます。従業員の行動変容につなげるためには、次のようなポイントを押さえることが大切です。

階層別に伝えるべきことを明確にする

全社員に同じ研修を行うだけでは、どうしても内容が薄くなりがちです。例えば以下のように対象者の職位や役割に応じて、伝えるべきメッセージを具体化・深掘りしましょう。

  • 新入社員・一般社員向け:違反を見聞きした際の「相談・通報の重要性」を強調。ハラスメントの傍観も黙認と同じだと認識させることが重要です。
  • 管理職向け: 自身が加害者になりうるという意識を促すと同時に、「これは指導の範囲だろう」といったグレーな判断が、実はアウトであることをケーススタディで伝えます。

コンテンツの「質」と「受けやすさ」を両立する

受講率向上には、「内容の質」と「手軽さ」の両立がカギです。動画などの教材は5~10分程度にまとめ、テストや確認問題を加えると効果的です。特に、アルバイトやパートなどシフト制ではたらくスタッフが多い職場では、スマホでいつでもどこでも受講できる仕組みが実用的です。全員が「受けられる」状況をつくることが、強化の第一歩です。

双方向性を取り入れ、効果を測定する

一方的に話を聞くだけの研修は、参加意識が生まれにくく定着もしづらくなります。事前・事後テストや簡単なアンケートなどを通じて、双方向性を持たせることで、「自分のための研修」という認識が生まれます。こうしたデータを次回研修の改善に反映すれば、PDCAを回す仕組みとしても機能し、継続的な質の向上が可能になります。



【関連記事】コンプライアンス研修とは?テーマ例や目的、内容と実施のポイント

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ハラスメントや情報漏洩など、コンプライアンス違反は企業の信頼や業績に大きな影響を与えます。自社の対応状況を正確に把握できていない場合、潜在的なリスクを見過ごしてしまう可能性があります。

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まとめ

コンプライアンスとは、単なる「法令遵守」にとどまらず、企業が社会規範や倫理に基づき、誠実に行動するための経営基盤です。ハラスメントの複雑化、SNSによる情報拡散、CSR意識の高まりなど、外部環境が変化し続ける中で、その重要性はますます高まっています。

コンプライアンスの強化は、一度きりの対策で終わるものではありません。まずは現状を把握し、トップの姿勢・体制整備・教育の継続が組織文化としての定着につながります。盤石なコンプライアンス体制を構築し、すべてのステークホルダーから信頼される企業を目指しましょう。

取材協力

パーソルイノベーション株式会社
Comic Learning Company 代表
事業責任者・経営学修士(MBA)

仙波 敦子

出版業界にて約300点の書籍企画・編集及び海外版権売買・海外大統領招聘PJなどの事業開発に携わった後、通信制高校N高等学校通学コースの事業責任者として新規開校を牽引。その後、業界最大級の教育Webメディアの運営責任者、慶応義塾大学SFC研究所での研究開発などを経て、AIベンチャーの経営企画部部長として組織開発・IPO準備に従事後、現職。