2024年12月11日
2025年05月30日
世の中にさまざまな製品やサービスが溢れる現代では、顧客に選ばれるためのマーケティング活動が重要です。
マーケティング活動において意識したい概念の一つに「顧客価値」があります。顧客価値とは、顧客が製品やサービスに対して適正だと感じる価値です。顧客価値を向上させることで、競合との差別化ができ、自社の製品やサービスが選ばれるようになるでしょう。
しかし、顧客価値を向上させるといっても、具体的にどのようなことを行えばよいか分からないという方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、顧客価値の概要や重要性と併せて、顧客価値を向上させる10個のアイデアを紹介します。顧客価値の向上を図る際に、ぜひ参考にしてください。
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顧客価値とは、顧客が「製品やサービスに支払ってもよい、適正な金額だと感じる価値」です。顧客が製品やサービスに対して感じる価値は、製品やサービスそのものの機能面における価値もあれば、購入までの体験における価値や、製品やサービスを利用したときの感情面における価値もあります。顧客はこれらの価値が自分が支払うコストに見合っている、あるいはコストを上回ると感じると、購入に至ると考えられます。顧客価値は顧客側が判断するものであり、製品やサービスを提供する企業側が考える価値とは異なるものです。
顧客価値を測ることで、製品やサービスが顧客にとってどの程度の価値があるのかを認識できます。企業が利益を拡大するには、顧客が感じる価値をさまざまな角度から捉え、顧客価値の向上を図ることが重要です。

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ではなぜ顧客価値は重要なのでしょうか。顧客価値の向上に取り組むべき背景や、取り組む意義を3つのポイントに分けて解説します。
顧客価値が重要だといわれる背景には、顧客の購買行動の変化があります。
これまではフロー(買い切り)型のビジネスモデルが主流でしたが、2010年頃からストック(蓄積)型のビジネスモデルにシフトしていきました。ストック型のビジネスでは、顧客が継続して購入をしなければ利益につながらないことが多くなります。顧客に長く製品やサービスを利用してもらうには、顧客価値の向上に取り組む必要があります。
また2004年に電通が提唱した購買行動モデル「AISAS(Attention(認知)・Interest(興味)・Search(検索)・Action(行動)・Share(共有))」では、購買行動はActionでは終わらず、Shareまでを含むとされています。そして顧客は以前よりも、購入するか否かの判断にUGC(User Generated Content/ユーザーが自ら生み出すコンテンツ)を重視するようになりました。これまでは企業がマス広告を展開すれば売上に結びついていましたが、インターネットやSNSが普及し情報が溢れる社会になったことで、企業側の宣伝文句ではなく、顧客が発信するUGCを起点とした購買行動が多く見られるようになりました。
顧客に製品やサービスについて共有してもらうには「この製品やサービスは誰かに共有する価値がある」と思ってもらう必要があるため、顧客価値が重要視されるのです。
顧客価値が重要だといわれる2つ目の要因は、製品やサービスのコモディティ化です。コモディティ化とは、新規参入時は価値の高い製品やサービスであったものが、市場の活性化により他社との差別化が難しくなり、両者の価値の差がなくなることを指します。生産技術の発展により、新規参入のハードルが下がったことで市場が成熟していき、コモディティ化が進みました。
コモディティ化が進む中で製品やサービスを他社と差別化して利益を確保するには、「購入後のサポート体制を整備する」「ブランディング施策を行う」など、価格や機能以外の価値を含めた顧客価値を向上させる必要があります。
ライフタイムバリュー(LTV)の向上につながることも、顧客価値が重要だといわれる要因の一つです。LTVは日本語で「顧客生涯価値」と呼ばれます。その名の通り顧客が生涯で企業にもたらす価値のことで、一般的に顧客に長く製品やサービスを利用してもらうほど、LTVは向上します。
前述の通り、現在主流となっているストック型のビジネスは、顧客が継続して購入しなければ利益につながりません。継続してもらうには顧客価値が重要であり、顧客価値を高めて継続してもらうことで、結果的にLTVの向上につながります。
【関連記事】LTV(ライフタイムバリュー)とは?計算方法や8つのアイデア
顧客価値には2つの基本要素があり、顧客の期待度合いに応じて4つのレベルに分ける考え方があります。ここからは、顧客価値の基本要素と4つのレベルについて見ていきましょう。
顧客価値は「機能的価値」と「情緒的価値」の2つに分けられます。顧客価値を高めるには、両方の視点から製品やサービスの価値を捉えることが重要です。
機能的価値とは、製品やサービスが持つ機能面の価値です。例えば、自転車であればペダルをこいだら車輪が回る機能、ドライヤーであればスイッチを入れたら温風が出る機能など、その製品やサービスを成立させるためになくてはならない、必要最低限の機能を指します。
機能的価値は、同じカテゴリであれば他社の製品やサービスも同様に持つ価値であるため、差別化ができません。顧客価値の向上のためには、機能的価値以外の部分で差別化できないかを検討する必要があります。そこで次に紹介する「情緒的価値」の向上を図ることが求められるのです。
情緒的価値とは、顧客が製品やサービスに対して抱く感情面・精神面の価値です。例えば、自転車であれば「スムーズにペダルをこげるので乗り心地が良い」や「デザインがおしゃれで好き」、「ブランドを周囲に自慢できる」などの感情が、情緒的価値に当たります。
顧客に継続して製品やサービスを利用してもらうには、情緒的価値を高めることが重要です。その製品やサービスを利用することでどのような情緒的価値が得られるのかを顧客に訴求できれば、他社との差別化につながるでしょう。

顧客が求める価値は、期待度合いに応じて4つのレベルに分けられます。それぞれのレベルの特徴を解説します。
基本的価値とは、顧客が製品やサービスに求める最低限の価値です。前述した機能的価値があるかどうかが、判断の基準になります。顧客は「基本的価値は必ず備わっている」という認識でいるため、もし基本的価値が備わっていなければ、クレームに発展する可能性がありますし、再度購入されることはないでしょう。
自転車における基本的価値の提供例としては「ペダルをこいだら前に進む機能を備える」「ブレーキをかけたら車輪が止まるように設計する」などが挙げられます。
期待価値とは、顧客が製品やサービスに対して「このレベルは当然提供されるだろう」と想定している価値です。期待価値が備わっていなかった場合、クレームにまでは発展しなくとも満足度は下がり、再度利用することはないでしょう。
自転車の期待価値の提供例には「最初からタイヤの空気を十分に入れた状態にする」「しっかりと数メートル前を照らせるレベルのライトを付ける」といった、一般的に備わっている設備・機能の提供が挙げられます。
願望価値とは、顧客が製品やサービスに対し「このレベルが提供されたらうれしい」と思っている価値です。願望価値はあくまで加点要素であり、備わっていなくても大きく満足度が下がることはありませんが、備わっていると満足度が上がり、継続利用につながる可能性が高まります。
願望価値は顧客によって求める内容が異なりますが、例えば「自転車の購入後に無料で点検サービスを付ける」ことは、願望価値の提供に含まれるでしょう。
予想外価値とは、顧客の期待・予想を大きく上回る価値です。予想外価値の提供ができれば、顧客満足度は大幅に高まるでしょう。
自転車店における予想外価値の提供例としては「チェーンの動きが悪いと点検を依頼されたが、タイヤやライトの点検も同時に行った」といった内容が考えられます。
続いて顧客価値の測定方法を紹介します。顧客に製品やサービスのさまざまな面を評価してもらい、どのような価値が提供できているのかを判断しましょう。
顧客価値は、以下の計算式で算出できます。
「利益がコストをどれだけ上回ったか」が顧客価値となります。なおこの計算式における利益とは前述した4つのレベルの価値など、顧客が受け取るすべての価値を指し、コストには費やした金額や時間、精神的なストレスなどが含まれます。
ただし、顧客価値を算出するに当たり、すべての要素をこの計算式に組み込めるわけではありません。顧客が感じた利益やコストは、すべて数字で表せるわけではないからです。
定量的に顧客価値を測定したいのであれば、NPS®調査(製品やサービスを推奨したいかどうかを11段階で評価してもらう調査)や顧客満足度調査(製品やサービスの満足度を5段階や7段階で評価してもらう調査)、カスタマーエフォートスコア(製品やサービスの利用にかかる労力の指標)の測定などを行い、平均スコアを算出するのがおすすめです。
顧客価値を向上させるには、さまざまな方法があります。ここでは10個のアイデアを紹介するので、ぜひ実践してみてください。
顧客価値を向上させるには、顧客ニーズの抽出が必要です。顧客がどのような価値を求めているのかを理解するには、アンケートやインタビューなどで顧客の声を聞く方法があります。
しかし、顕在顧客ニーズは製品やサービスに求められる基本的価値や期待価値に近い内容であることが多いため、顕在顧客ニーズを満たすだけでは他社との差別化になりません。
そのため次に紹介する潜在顧客ニーズも把握し、顧客価値の向上を図るとよいでしょう。
顕在化しているニーズだけではなく、潜在顧客ニーズも把握することが、願望価値や予想外価値の創出につながります。顕在ニーズから逆算し、顧客自身も認識できていないけれど、本当は実現したいことを明確にしましょう。
潜在顧客ニーズを見つけるには、例えばアンケートやインタビューを実施するのであれば、回答に対して「なぜそう思うのか」という質問を設け、深掘りするとよいでしょう。
顧客の顕在・潜在ニーズを把握できたら、自社の製品やサービスが、顧客にどのような価値を提供できるのかを整理しましょう。整理する際は「バリュープロポジション」が何かを明確にするのがおすすめです。
バリュープロポジションとは、自社が提供できる価値であり、顧客も求めている価値であるものの、競合他社は提供できない価値のことです。競合他社との差別化はもちろん重要ですが、前提として顕在・潜在ニーズを満たしていないと顧客に選ばれません。バリュープロポジションが見つかったら、現状提供できている顧客価値とのギャップを測り、埋めていくことが求められます。
顧客ロイヤルティとは、顧客が企業や製品・サービスに対して抱く愛着や信頼の大きさです。企業や製品・サービスを好きになってもらうことで、顧客の継続利用が見込める他、顧客が周囲の人にポジティブな口コミを拡散してくれる可能性もあります。顧客ロイヤルティは、前述したNPS®調査などの指標の活用により算出が可能です。
顧客の声を聞き現状を把握できたら、どのような顧客体験が顧客ロイヤルティの向上につながるのかを考え、施策を実行に移します。顧客ロイヤルティの具体的な構築手段には、ポイント付与や継続利用特典の贈呈といったプログラムの導入が挙げられます。
新規顧客の顧客価値を高めるには、オンボーディングが重要です。オンボーディングとは、新たに製品やサービスを利用し始めた顧客が操作や機能に早く慣れるよう、サポートすることです。オンボーディングの目的は、顧客が製品やサービスをうまく使いこなせなかったことによる解約を防ぎ、利用を継続してもらうことです。
特にストック型のビジネスでは、オンボーディングプログラムが欠かせません。社内で誰がどの顧客を担当するのかを決めておき、継続的に連絡を取り、顧客との関係性を強固にしましょう。
購入後の顧客サポートをマルチチャネルで提供することも、顧客価値の向上において大切なポイントです。電話やメール、チャットボット、FAQシステムなど、さまざまな手段が用意されていれば、顧客は自分が使い慣れているツールや利用しやすいツールを選んで問い合わせができるため、顧客価値の向上につながります。
サポートをマルチチャネル化する際は、さまざまなチャネルでの顧客とのやり取りをまとめて参照できる仕組み作りが必要です。あるチャネルで問い合わせた顧客が、再度別のチャネルで問い合わせをした際、過去にどのようなやり取りがあったのかを参照できれば、その顧客の状況に合わせた対応ができます。
【関連記事】チャットボットとは?仕組みや導入のメリットを徹底解説
顧客価値の向上には、FAQ(Frequently Asked Questions)の準備も重要なポイントです。FAQはいわゆる「よくある質問」のことで、ホームページやサービスサイトなどに質問と回答を記載しておけば、顧客は問い合わせをすることなく疑問を解決できます。
Webサイト上にFAQを公開している場合、アクセス解析をすることでどの質問がよく見られているのか分かります。アクセス数のデータから「顧客がどの部分に疑問を抱きやすいのか」「何に困っているのか」などが分かり、その分析結果を顧客価値の向上施策に活用することが可能です。
顧客コミュニティを設置することも、顧客価値の向上において重要です。顧客コミュニティとは、製品やサービスを利用する顧客同士あるいは顧客と企業の担当者が交流できるコミュニティを指します。コミュニティはソーシャルメディアや仮想空間など、さまざまなプラットフォームに設置できます。
顧客コミュニティがあれば、顧客は企業から手厚いサポートを受けていると感じ、顧客価値が向上するでしょう。また顧客コミュニティに参加する意識を醸成できれば、顧客の帰属意識が高まり、企業に対する愛着や信頼の気持ちが増すはずです。
顧客価値を向上させるには、CRM(Customer Relationship Management)の導入も検討しましょう。CRMは既存顧客との継続的な関係を管理するためのツールです。
既存顧客とのやり取りや購入履歴などを管理・分析することで、顧客価値の向上につながります。例えば購入履歴から顧客の好みを分析すれば、好みに合う新商品の提案が可能です。
【関連記事】CRMとは?基本機能や選定・比較方法、メリットを分かりやすく解説
MA(Marketing Automation)の導入も、顧客価値の向上につながる施策の一つです。MAとはマーケティング活動を自動化するツールで、主に見込み顧客に対するアプローチを自動で行うツールを指します。
例えばオンラインショップでMAツールを活用すれば、製品やサービスの詳細ページは開いたものの購入には至らなかった顧客へ、「お客さまがご覧になった○○は在庫が残り1点となりました」などと自動でお知らせメールを送ることができます。
【関連記事】MA(マーケティングオートメーション)ツールとは|機能や選び方をわかりやすく解説
【無料DL】顧客価値を高める「カスタマーサクセス」のポイントとは
顧客価値を向上させるためには、「カスタマーサクセス」のクオリティを高めることで他社との差別化につながり、自社の製品やサービスが選ばれるようになるでしょう。
パーソルグループでは、カスタマーサクセスの品質を向上させるために着目すべき指標と目標設定のポイントについてまとめたノウハウ資料を無料で公開しています。
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顧客価値は顧客の購買行動が変化したことや、他社の製品やサービスとの差別化が難しくなったことにより、重要性が増しています。顧客価値の向上を図ることで、顧客に選ばれる製品やサービスとなり、利益の拡大につながるでしょう。
顧客価値には製品やサービスの機能的価値だけではなく、製品やサービスを利用したときの感情面・精神面の価値である情緒的価値も含まれます。顧客に継続して製品やサービスを利用してもらうには、情緒的価値を高め、顧客の期待を上回ることが重要です。
最後に紹介したように、顧客価値を向上させるにはさまざまな方法があります。まだ実践できていない項目があれば、ぜひマーケティング活動の一環として取り入れてみてください。

パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社
ビジネストランスフォーメーション事業本部
カスタマーサクセスコンサルタント
亀山 浩史
2013年にパーソルビジネスプロセスデザインの前身にあたる会社へ中途入社。
セールスアウトソーシングとして通信キャリアや金融業界、自治体などさまざまな業界におけるフィールドセールスを担当。
2020年のカスタマーサクセスグループ新設にあたり、グループの立上げメンバーとして参画。
カスタマーサクセス支援に従事しながら、カスタマーサクセスのノウハウや知見を身に着ける。
直近では社内での組織立上げの経験を活かしつつ、クライアント企業のカスタマーサクセス組織の
新規立ち上げや既存プロセス改善など、カスタマーサクセスを軸とした組織コンサルティングを中心に活動中。