2024年03月05日
2025年06月02日
新興国の成長に伴う国際競争の激化や、慢性的な人材不足により、製造業を取り巻く経営環境は一段と厳しさを増しています。さらに、国内市場の成熟化や縮小、IT人材の不足といった課題に加え、多くの国内企業が保有するレガシーシステムを起因とした経済損失の問題を指す「2025年の崖」も差し迫っています。こうした状況の中で、DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務効率化の重要性が一層高まっています。
しかし、DXの取り組み方や効果は、当然ながら業種によって一律ではありません。本記事では、製造業DXの重要性をはじめ、導入によるメリットや直面する課題、必要とされるスキルなどについて分かりやすく解説します。
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目次
製造業DXとは、ものづくり企業がデジタル技術(テクノロジー)を活用し、業務効率化や新たなビジネスモデルの構築を目指す取り組みを指します。
そもそもDXは、デジタル技術を活用して業務やビジネスモデルを変革し、企業価値を向上させることを意味します。
製造業においては、アナログ業務のデジタルへの移行による自動化や、生産ラインの省人化による生産性向上が代表的な取り組みとして挙げられます。加えて、デジタルデータの一元管理や、需要予測に基づく生産管理により、無駄の削減が可能になります。さらに、AI(人工知能)を活用すれば、不良品の検知や設備異常のアラート、在庫管理の自動化など、さまざまな業務の最適化も行えます。
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製造業DXにはさまざまな取り組みがありますが、大きく「バリューチェーンDX」「サプライチェーンDX」「エンジニアリングチェーンDX」の3つの視点に分けると整理しやすくなります。それぞれの特徴について詳しく説明します。
なお、これらの視点は独立しているわけではなく、サプライチェーンDXやエンジニアリングチェーンDXの取り組みが、最終的にバリューチェーンDXへとつながるケースも少なくありません。自社のDX推進を考える際の参考として、それぞれの視点を適切に組み合わせることが重要です。
バリューチェーンDXは、製品やサービスのライフサイクル全体において価値を最大化し、顧客体験の向上を目指す取り組みです。例えば、AIチャットボットを活用した顧客対応の自動化や、大規模データ分析を活用した市場調査・製品開発が挙げられます。これにより、顧客ニーズを的確に捉え、より高い付加価値を提供することが可能になります。
【関連記事】チャットボットとは?仕組みや導入のメリットを徹底解説
サプライチェーンDXは、生産から流通までのプロセスを最適化し、供給ネットワーク全体の効率を向上させることを目的としています。具体的には、IoTを活用して機械の状態をリアルタイムで監視し、生産中断のリスクを低減する仕組みや、AIによる正確な需要予測を活用して生産計画や在庫管理を最適化する手法などがあります。これにより、無駄を削減しながら安定した供給の実現が可能です。
エンジニアリングチェーンDXは、製品開発の効率化や市場投入までの時間短縮、省人化によるコスト削減を目的としています。例えば、デジタルツイン技術を活用して仮想空間上で試作や検証を行い、開発期間の短縮やロボット導入による作業の自動化を進める取り組みがエンジニアリングチェーンDXに該当します。これにより、開発コストの削減や生産性の向上が期待できます。
製造業においてDXが必要とされる背景には、主に以下の4つの要因が考えられます。
近年、経営環境は急激な変化や予測不可能な事態が多発し、「不確実性の時代」とも称されています。これは、変動性(Volatility)、不確実性(Uncertainty)、複雑性(Complexity)、曖昧性(Ambiguity)の頭文字を取った「VUCA」という言葉でも表現されています。例えば、原材料やエネルギー価格の高騰、気候変動による異常気象や自然災害の増加、新型コロナウイルス感染症の流行拡大によるサプライチェーンの寸断など、企業経営を直撃するリスクが増加しています。これらの不測の事態に対応し、事業を継続するためには、DXを通じた業務改善や競争優位性の確保による経営基盤強化が必要です。
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近年は、少子高齢化に伴う総人口および生産年齢人口の減少により、国内市場の成熟化と縮小が進行しています。これにより、製造業においても生産と消費の両面で市場規模の縮小に直面しています。海外市場への進出を図る企業もありますが、設備投資や人材育成などの負担が大きいのが現状です。
このような状況下で、国内市場での競争力を維持し、差別化を図るためにはDXの推進が有効だと言えます。
製造業では、慢性的な人材不足と従業員の高齢化が進行しており、今後さらにものづくりを担う人材の減少が予測されています。「現場力の維持・強化」が重要視される製造業において、現場での技術や知識の継承が困難になる恐れがあります。この課題に対応するため、DXを活用して業務の効率化や自動化を進め、人材不足を補う取り組みが求められています。
日本の製造業では、2025年までに多くの基幹システムが老朽化し、維持管理が困難になると予測されています。これを「2025年の崖」と呼び、DXの推進などを怠ると、最大12兆円の経済的損失が生じる可能性があります。この問題を回避し、持続的な成長を遂げるためには、DXの推進によるシステムの刷新や業務プロセスの見直しが不可欠とされています。
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製造業DXは、実際にどの程度進んでいるのでしょうか。
下図のグラフは、製造業のDXの取り組み状況に関する調査結果です。2021年の段階で「実施していない、今後も予定なし」と回答した企業は57.2%でした。なお、「実施していない、今後実施を検討」も加えると、調査時点でDXを実施していない企業は77.2%。このことから、製造業DXはいまだ浸透しておらず、業界が直面する課題を解決するにあたってDXを推進することが急務と言えるでしょう。
製造業DXを推進すること、どのようなメリットが得られるのでしょうか。代表的な5つのメリットについて解説します。
製造業DXに類似する取り組みは、DXという言葉が用いられる前から進められていました。その代表例が、2011年にドイツで提唱された「インダストリー4.0」です。これは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)やデジタルツールを活用し、製造現場の自動化・効率化を目指す動きで、製造業DXの基盤とも言える取り組みになります。その後、2010年代後半から盛んに用いられるようになったDXの流れに沿って、製造業DXという言葉が使われるようになりました。
近年では、AI(人工知能)やロボット、RPAなどの導入が進み、業務効率化とともに、よりスマートな生産体制が整備されています。さらに、デジタル技術を活用することで、新たな市場の開拓やビジネスモデルの創造につながることが期待されています。
デジタル技術(テクノロジー)の導入により、製造工程全体のデータ化・可視化が進み、データを活用した客観的な意思決定や未来予測が可能になりました。これにより、投資や人材配置の最適化を実現したり、経営の効率化につなげやすくなったりするなどの世の中の変化が起きています。
具体的には、販売予測や顧客ニーズの分析による生産計画の最適化、製品の異常検知やロスの削減などが一例です。こうした取り組みにより、企業のリスクマネジメントが強化され、経営の安定性とレジリエンス(回復力)の向上が期待されます。
製造業DXの推進により、業務の可視化・簡素化が進み、機械と人材の適切な役割分担が容易になります。技術継承の仕組みも整備しやすくなり、慢性的な人材不足に対応しやすくなるでしょう。さらに、業務効率の向上は職場環境の改善にも寄与し、社員(従業員)の満足度や定着率の向上が期待できます。
従来の製造業では、長年の経験や熟練技術を持つ個々の職人に依存するケースが多く、業務の属人化が課題でした。しかし、DXを導入することで、業務の標準化やナレッジのデジタル化が進み、特定の人に頼らない生産体制の構築が可能になります。
例えば、AIやデジタルツインを活用すれば、ベテラン技術者のノウハウをデータ化し、誰でも活用できる仕組みを整えられます。これにより、技術継承が円滑に進み、事業の継続性が確保されるとともに、新たな人材の育成も促進されるでしょう。
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市場環境が目まぐるしく変化する中で、企業が競争力を維持・強化するためには、環境変化に適応するための自己改革能力(ダイナミック・ケイパビリティ)が求められます。DXを活用すれば、環境の変化に迅速に対応できる柔軟な組織づくりが可能です。
例えば、クラウドやAIを活用したデータ分析により、市場の動向をリアルタイムで把握し、需要の変化に応じた生産調整が容易になります。また、デジタル技術を駆使することで、新規事業への参入やビジネスモデルの変革がスピーディーに行えるようになり、競争優位性を確保できます。

DXの必要性が認識されている一方で、実際の導入が進んでいない企業も少なくありません。では、製造業DXを推進する際にどのような課題があるのでしょうか。3つの視点を挙げて解説します。
DXは、単にデジタル技術を導入すれば成功するものではありません。重要なのは、自社の経営ビジョンや事業計画と連携し、明確な目的を持ったDXの推進です。変革への意識が不十分なままデジタル化を進めても、単なる業務のIT化に留まり、本来の目的である競争力強化やビジネスモデルの変革にはつながりません。
そのため、まずは自社が目指すべき姿を明確にし、DXの方向性を定めることが重要です。経営層がリーダーシップを発揮し、全社的にDXの意義を共有することで、スムーズな推進が可能となります。
製造業DXを進める上で、多くの企業が直面するのが「既存の製造工程の何を変革するべきか」という判断基準の設定です。自社の経営課題や製造プロセスのボトルネックを把握し、優先順位をつけて取り組む必要があります。そのためには、現場の業務課題を細かく整理し、DXによる改善策を検討することが求められます。
また、DXの推進に伴いデータの利活用が進むため、それを支えるデジタル基盤の整備も重要です。しかし、製造業はもともと設備投資にかかるコストが高く、DXのための投資判断は慎重になりがちなのも無理はありません。限られた予算の中で、どの領域に投資するのかを見極める必要があります。資金面での課題がある場合は、補助金や税制優遇制度の活用を検討することも有効な選択肢となります。
製造業DXの推進には、自社事業や製造現場について熟知し、デジタル技術を活用できる人材が欠かせません。具体的には、データ分析やシステム設計に精通したエンジニア、DXを主導できるマネジメント層など、多様なスキルを持つ人材が必要になります。こうしたスキルを持つ人材の確保・育成に向けた取り組みは、製造業DXの導入と並行して行う必要があります。
しかし、DX人材への需要は高まり続けており、専門スキルを持つ人材の確保は容易ではありません。そのため、新卒・中途採用の強化に加え、外部人材の活用や社内のリスキリング(学び直し)による育成を並行して進めることが重要です。特に、既存社員への教育は、業務への理解度が高いため、即戦力となる可能性が高く、効率的なDX推進につながります。企業として、長期的な視点で人材育成に取り組むことで、DXの定着と持続的な成長につながるでしょう。

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多くの企業ではデジタルスキルを持つ人材の不足や、現場での定着が課題となっています。このような背景のもと、全社的なDX推進や職種特化型のスキル習得が求められています。本資料では、PERSOLグループが提供するデジタル人材育成支援プログラムの概要やカリキュラム、導入事例などについて詳しくご紹介します。
製造業DXを推進するには、どのようなスキルを持つ人材が必要なのでしょうか。本章では、製造業におけるDX人材に求められるスキルと育成の方法について解説します。
製造業DXで求められるスキルには、以下の4つが求められます。
システム思考とは、業務の一部分ではなく、全体の流れや複数の工程の関連性を踏まえてビジネス全体の最適化を図る能力のことです。
製造業では、各工程のデジタル化が進んでいるものの、それらを単体で導入するだけではDXの本来の効果は得られません。DXを推進する人材には、デジタル技術を活用しながら、経営ビジョンや事業戦略に基づき、製造工程全体を設計・運用できるスキルが求められます。
例えば、部門間のデータを連携させる基盤を構築すれば、業務の効率化だけでなく、新たな付加価値の創出も可能になります。
データサイエンスとは、統計学や情報工学、AI(人工知能)などの技術を活用し、得られたデータから有益な知見を導き出す研究領域のことです。
製造業では、データ分析による生産性向上や販売予測、プログラミングを活用した製造プロセスの最適化など、多方面でデータ活用が進んでいます。今後、IoTやAI、ロボット技術の発展に伴い、より高度なデータサイエンスの能力が必要になるでしょう。
製造業DXを進めるためには、適切なデジタル技術(テクノロジー)の導入や運用の知識だけでなく、現場の業務を深く理解することも不可欠です。製造業では、現場・現物・現実を重視する「三現主義」の考え方が基本とされており、実際の製造プロセスや課題を把握できなければ、適切なデジタル技術の導入は困難と言えます。DXを担う人材には、現場の視点を持ちながら、技術導入の方向性を検討できる能力が求められます。
製造業には、原材料の仕入れや輸送、製造、販売、顧客対応など、多くの部門が関わるため、関係者との円滑な連携が欠かせません。DXの推進にあたっては、各部門の課題やニーズを把握し、全体の最適化を図る調整力が求められます。また、デジタル技術の導入に伴い、新しいシステムの運用方法を社内で共有し、理解を深めてもらう役割も重要になります。

【無料DL】成果につながる!DX人材育成の実践事例集
本資料では、製造、サービス、ITなど多様な業界で実践された4つのDX人材育成事例を紹介します。テクノロジー活用を軸にした業務改革や社員の意識変革、PM力の強化、非IT職のリスキリングなど、各企業の具体的な取り組みを通じて、自社のDX人材育成のヒントをお届けします。
上記で紹介した4つのスキルのうち、特に「システム思考」や「データサイエンスの知識」については、デジタル技術に関する高度な専門性が求められます。また、「調整力・コミュニケーション能力」は、DXを推進するだけでなく、仕事を進める上でのマインドセットとして、欠かせない要素です。
DX人材の育成においては、新たな人材を採用するよりも、既存社員(従業員)へのリスキリングを通して育成する方が、業務との親和性が高く効率的です。しかし、日々の業務をこなしながら新しいスキルを習得するのは容易ではなく、現場に負担がかかります。
そこで活用できるのが、パーソル総合研究所が提供する「リスキリングキャンプ」です。「リスキリングキャンプ」は、大企業向けに特化した研修プログラムで、オンラインコンテンツを活用しながら、実践的なスキル習得と定着を支援します。特に、個別最適化されたカリキュラム設計に加え、キャリアコーチやテクニカルコーチが伴走し、学びの継続と着実なスキルの定着をサポートする仕組みが整っています。
製造業DXを推進するには、デジタル技術を理解し、現場との橋渡しができる人材の育成が不可欠です。適切な研修プログラムを活用しながら、DXを支える人材の確保・育成を進めていきましょう。
DXは単なるデジタル化とは異なり、企業全体で戦略的に取り組まなければなりません。本章では、製造業DXを推進するための流れを解説します。DXは、以下の5つのステップで進めることが重要です。
DXを推進する際は、まず「何のためにDXを行うのか」という目的とビジョンを明確にすることが重要です。製造業では、ロボットやIoTの導入など、さまざまなデジタル化の「手段」が存在します。しかし、DXの本質は単なる技術導入ではなく、それらの手段を通じて「何を実現するのか」「顧客にどのような価値を提供するのか」といった視点を持つことです。
このような目的やビジョンを明確にすることで、個々の取り組みを有機的に結びつけ、DXの方向性を統一できます。また、全社的にビジョンを共有することで、従業員一人ひとりがDXを「自分ごと」として捉え、主体的に行動するようになるでしょう。
DXの目的やビジョンを明確化できたら、次は実現するための戦略を策定します。
まずはSWOT分析などを活用し、現在の自社の強み・弱み、外部環境の機会・脅威を整理することから始めましょう。その上で、DXを進めるために必要な要素を洗い出し、初期・中期・長期の計画を立てます。

例えば、DX戦略の段階的なアプローチとして、初期、中期、長期に分けて自社のあるべき姿とやるべきことを定めていきます。初期のアプローチには「関係者間での意識共有」「必要なデジタルインフラの整備」などが挙げられるでしょう。中長期的には「DX推進体制の整備」「デジタルプラットフォームの構築」などの目標を定めます。このように段階を分けて取り組むことで、計画的かつ効果的なDX推進が可能になります。

次のステップでは、DX戦略に沿った適切な人材とスキルを確保する必要があります。また、自社にどのような人材やスキルが必要か定義することで、採用や教育・育成などの施策を正しく立てられるようになります。
経済産業省が発表した「デジタルスキル標準」によると、DX人材に必要なスキルは以下5つの人材類型で分けられます。
すべての人材類型においてプロフェッショナルを確保することは、現実的に困難であり、必ずしも効率的とは言えません。重要なのは、自社のDX戦略に必要な人材とスキルを特定し、適切に確保することです。
例えば、製造業において近年注目されているデジタルツイン(仮想空間上で現実世界を再現する技術)を活用する場合、AIやIoT、VR、ARなどのさまざまな専門知識を持つ人材が必要になるでしょう。
また、DX推進は社内だけで完結するものではなく、社外との連携も重要です。単独の部署・企業で進めることが難しい場合には、DX推進部署を設置して他部署との連携を図ったり、外部の企業・専門家に協力を仰いだりと、必要に応じて連携することも視野に入れましょう。
ビジョンや戦略、人材要件が固まったら、それらを達成するための具体的な行動計画、つまり推進プロセスを策定しましょう。推進プロセスを策定する際は、以下の内容を明確にして全体のマイルストーンを設定します。
特に、ビジネスプロセスのデジタル化が十分に進んでいない場合は、まず業務のデジタル化から着手することも重要です。短期的な施策と中長期的な対応を並行して進めることで、スムーズなDX推進が可能になります。
DXの取り組みを進めたら、その成果を評価します。結果をもとに、戦略やリソース配分の見直しも行いましょう。評価のためには事前に適切なKPI(重要業績評価指標)を設定し、測定・改善することが必要です。この評価・見直しのフェーズがDX戦略のPDCAサイクルを形成し、継続的にDXを進めていくための鍵になります。
また、PDCAの速度を上げるためにも、「失敗を許さない厳格な管理」ではなく、「スピード感を持って対応できる管理体制」を構築し、組織全体のDXを推進していきましょう。
製造業DXを推進するにあたって、各企業が独自の取り組みを行っています。製造業DXを導入した3つの企業の成功事例を紹介しますので、自社DXの方針を考える際の参考にしてください。
| 課題・背景 | ビルや商業施設・病院などにおいて、部屋や設備などの使用状況に応じた効率的で手間のかからない空調コントロールが求められていた |
|---|---|
| 主な取り組み内容 | クラウド経由で空調管理を遠隔制御できる「DK-Connect」を展開 |
| 成果 | 顧客に適した空調管理の効率化により、快適性向上、エネルギー削減、管理工数削減などが可能に |
近年、ビルや商業施設・病院などの業務用空調機には「快適な環境を提供する」という従来の機能だけではなく、多様な働き方への対応やエネルギー消費量の削減などが求められています。また、設備管理者の人手不足も課題になっており、使用状況に応じた効率的で手間のかからない運用・管理が必要とされています。
ダイキン工業株式会社はこの課題に対応するため「DK-Connect」を2021年から展開しています。
このサービスは、空調機をクラウドに接続し、パソコンやスマートフォン・タブレット端末からの監視や制御を可能にするソリューションです。例えば、以下のようなことが行えます。
「DK-Connect」の展開により、顧客ごとに空調管理を効率化し、快適性の向上やエネルギー消費量の削減、管理工数の削減などに貢献しています。
| 課題・背景 | 従業員を価値創造の中核に据え、「デジタルの民主化」を目指す |
|---|---|
| 主な取り組み内容 | ノーコード開発ツールを全従業員に向けて導入 |
| 成果 | 従業員が開発し、実際に稼働しているアプリが1,500個を超え、「デジタルの民主化」を実現 |
株式会社LIXILでは従業員を価値創造の中核としており、従業員が独自にソリューションを提案できる組織を目指しています。そこで掲げたテーマが「デジタルの民主化」で、その象徴となる取り組みがノーコード開発ツールの導入です。
ノーコード開発ツールは日本の全従業員が利用可能なもので、導入から1年で開発されたアプリは2万件におよび、そのうち1500個以上が実際に正式な業務用ツールとして活用されています。
入社3年目のタイル事業部の若手社員がタイルインクの残量記録アプリを開発したり、総務部が運行記録とアルコールチェックを行えるアプリを開発したりと、部門を超えてさまざまなアプリが開発され「デジタルの民主化」に成功しています。

【無料DL】業務効率化のためのノーコード開発活用BOOK
DXの入り口としておすすめなのが、ノーコード・ローコード開発によるバックオフィス業務のシステム構築です。コストや手間をかけずに生産性向上を実現できます。本資料で詳しく解説します。
| 課題・背景 | 工事積算工程で膨大な入力業務が発生していたため、サプライチェーンでの業務効率化が必要だった |
|---|---|
| 主な取り組み内容 | クラウドによるデータ連携が可能なガラス工事積算システム「R7」を開発 |
| 成果 | 手入力業務の削減など、サプライチェーン全体での業務効率化を実現 |
AGC株式会社では、ガラス工事の見積書作成に特化したシステムを構築し、工事店や卸売店などにも使ってもらっていました。しかし、システム利用者間でのデータ連携が行われていなかったため、サプライチェーンの各工程で入力業務が発生するなどの問題がありました。
そこで新たに「R7」というシステムを開発し、利用者間でのクラウドによるデータ連携を可能にしました。これにより、手入力の削減、見積もり作業の時間短縮、入力ミスの防止など、サプライチェーン全体での業務効率化を実現しました。
【関連記事】DXの成功事例10選|他社の取り組み内容・成功の共通点を解説
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パーソル総合研究所が提供する「リスキリングキャンプ」は、受講者のスキルや企業の目指すゴールに応じた最適なカリキュラムを設計し、アウトプットを重視した実践型学習によって確実なスキル習得をサポートします。
プロのキャリアコーチが受講者一人ひとりの理解度に合わせてフォローアップを行うため、着実に実践向けスキルを習得しながら継続して学習できます。
スキルとマインドの両面から効果的にサポートすることで企業のリスキリングを成功へと導きます。リスキリングや自社のDXにお悩みの方はぜひお気軽にお問い合わせください。
製造業におけるDXは、IoTやAI、ロボット技術の活用により、属人化の回避や業務効率化、人材不足解消といった多くのメリットをもたらします。さらに、データ利活用の基盤が整えば、生産工程全体の最適化や販売予測の精度向上などが可能になるほか、新たなビジネスモデルの構築も実現できるでしょう。日本経済を支える業界のひとつとして、競争力確保や市場での差別化を図るためにも、製造業DXは欠かせない取り組みと言えます。