地方企業のためのノウハウ満載!「攻めの採用のコツ」レポート③~明日からできる!「ヒト」から「コト」への意識変革のための取り組み

その他 経営者・役員

「明日からできること」として、実際に何をするべきか具体的な内容を紹介する。地方の中小企業でありがちな「ヒト」探しではなく、魅力ある「コト」を訴求するための、意識改革がテーマだ。また、ワークショップの受講者の声も紹介する。

「求人シート」のつくり方 ~「口説き」と「フィードバック」を実践

地方の中小企業では通常、採用時にはハローワークに「求人票」を提出する。この求人票の書き方について市野は次のように語る。「攻めの経営を推進するための『コト』を明確化し、意識と求人要綱を書き換えることが必要です。まずは解決したい自社の経営課題・事業課題(=コト)に着目した求人内容に変革しましょう。給与や福利厚生、企業規模や地域などの『応募条件』ではない魅力で、競争力を補うのです」
『コト』を明確化した求人内容の書き方について、市野は以下をポイントとして示した(図11)。


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<図11>求職者に響くストーリー

自社の事業方針や戦略など 「なにがやりたいのか」をもとに、現状の自社では「なにができていないのか」などのボトルネックを記載。そのうえで「だからあなたが必要だ」という一貫性のあるストーリーを作ることが求職者に響く書き方だと市野は説明する。お化粧をしない(=飾らない)事業課題をそのまま書くことで、それを解決するための困難さが「やりがい」となり、だからこそあなたが必要なのだと求職者を「口説く」ことが、応募条件以外での競争力となると続けた。

ここからは受講者が各自、自社の求人シートを作成。その後、2名1組で、「口説く側(企業)」と「口説かれる側(求職者)」に分かれてプレゼンを実施した。口説かれた方は「魅力的に感じたところ」「感じなかったところ」を、メリハリをつけてフィードバックする試みだ。今回も会場内のあちこちで本番さながらに熱のこもったプレゼンが行われ、今回も制限時間を過ぎてもなお、意見交換が続いた。

制限時間終了はフィードバック内容を全体で共有。市野から「転職する気になりましたか?」と問われた受講者からはさまざまな反応が寄せられ、その都度会場は笑いに包まれた。口説かれた側のフィードバックの一例を紹介しよう。

  • 柔らかい表現はよかったが、もっと具体的な情報があるとよい
  • 地域が限定されてはいるが、新事業の企画と立ち上げに魅力を感じ、行きたいと思った
  • 抽象的だったので企業に対する固定概念を払拭するには至らず、行きたいとは思わなかった
  • 将来のビジョンと熱意、風通しの良い風土が魅力的だった。やりがいを感じて行きたいと思った
  • 理念は伝わったが、もう少し具体的な事例を聞きたかった など

どういう背景で、なぜ貴方なのか?そして、就職後はどうしてほしいのか?などの「コトから応募要件」への一貫性のあるストーリーを伝えることで、実際に相手の気持ちが動く瞬間を体感できたことは、受講者にとって自信に繋がったことだろう。

3C分析 ~自社求人の“コト”を磨くにはまず、自社の魅力を知ること

続いて市野が紹介したのが「3C分析」である(図12)。3C分析とは、自社(Company)・個人(Customer)・競合(Competitor)の分析により、競合と比べ自社の「コト」が魅力的かどうかを分析するフレームワークだ。


<図12>

市野は3C分析の必要性を次のように語る。「dodaが2015年3月に行った人材紹介サービス利用者を対象としたアンケートによれば、求人案件の応募/辞退を決定する情報として、『組織風土について』が重視されていることがわかりました。自社求人の魅力を磨き上げ、際立たせるためには相対比較が重要なのです」。

そして市野は、たった数名の採用に2千人以上の応募者が集まる「株式会社天彦産業」の事例を紹介。天彦産業は明治8年創業、社員数40名、売上約40億円の金属加工業を生業とする中小企業だが、制度づくりより風土づくりに力を入れ、社員と家族第一主義を実践することで、ダイバーシティ100選にも選定される注目企業だ。この事例について市野は、「天彦産業は企業風土を磨くことが圧倒的な採用力に繋がっていることを示す良い事例です。応募要項や条件だけに縛られることなく、従業員満足度、よい職場であるという『個社特有の風土づくり』が、自在採用力と定着力をもたらしています」と語る。

まとめ

魅力ある「コト」とは?

  • 会社、事業の方針、戦略、ビジョン、ミッション、社会性
  • 経営課題、ボトルネックを明らかにして伝える

3C分析でやることは?

  • 競合比較から自社が競争力ある魅力を持つのか徹底分析

中小企業の人材採用・社員定着の源泉は?

  • 求職者のやりがいになる「コト」
  • 社員の働きがいになる「風土」

「攻め」の人材採用 ~地方の中小企業もグローバルの中の1社である

最後のセクションは、大企業に負けないための、「攻め」の採用戦略への転換についてだ。具体的に、何をどう攻めればよいのかについて市野は、「地方の中小企業であっても、マーケット、それもグローバルの中の1社である、という意識を持つことが重要です」と語り、大きく以下の4項目を挙げ、その必要性を説いた。

① 人材採用活動は常に行う

好成績企業は常に人を探し、自ら売り込んでいる。ポストが空いた時だけ探す、伝統的なソースでアクセスする、求職者のみに向けて広告を出す、という従来のやり方から、優秀な人材を常に探し、採用ソースを多様に捉え、今職探しをしていない人へも自ら売り込む、といった具合に、180度考え方を変える必要がある。

② 求職者が活用する採用手法に投資する

転職ツールは多様化しており、年収によって利用するものが異なっている。パーソルキャリアが無料で提供している自社採用サイト作成ツール『jobmon』や、SNS型ツール『MyRefer』などの活用も視野に入れるべきだろう。ハローワークで失業者を探すのではなく、求職者が活用するツールを把握して、適正な投資を行うことが重要だ。

③ 「社長」「人事」「社員」全員のチームワークで選ばれる面接力

特に中小企業では、採用時の面接は人事だけが行うのではなく、従業員から経営トップまで、全員参加が重要だ。受付から部屋に案内する際、すれ違う社員が挨拶する、社長面接で前回の面談の評価を振り返るなど、採用に賭ける全社の情熱を伝えることが大切となる。

④ 競合に負けないスピード力

書類選考は3日以内、全体選考は20日以内が鉄則だ。転職者の7割以上は5社以上の企業を併願している。少なくともスピード感が理由で採用を逃すのだけは避けたいところだ。

最後に市野はまとめとして、以下を語り、約3時間におよぶワークショップを締めくくった。

ワークショップ全体のまとめ

すぐできること

① 採用課題を「自分事」として明確化する
② 「採用競合(=敵)」を徹底的に調べる
③ あらゆる採用手段を活用して「攻め」に転じる

根本的に取り組むこと

④ 「従業員満足度の高い」社風への風土変革

受講者の声

医療法人隆徳会鶴田病院
秘書室長 兼 人事部長
松下 徹郎 様

「当社では医療と介護分野で14の事業所を展開しており、多岐にわたる人材の確保に日々、悩みを抱えています。
これまで経験したことのない参加型のワークショップでした。求人票の書き方から実際の説明の仕方、口説き方を体感できて、具体的な次の手が打てる感触が掴めました。採用活動においてマクロ統計など、情報を活用する視点に欠けていたことも痛感しましたし、もっと積極的に自社の良さを知ってもらうアピールが重要だと理解できました。
今後の事業展開では県外に進出する可能性もありますので、全国的な視点でマネジメントスキルの高い方を探す必要性にも気づかされました」

株式会社デンサン
取締役 管理本部 本部長
中尾 良洋 様

「当社は公共、医療、民間のお客様に対し各種ICTソリューション、インテグレーションを提供する企業です。新規事業としてAIやIoTなど、新たな技術に対応できる人材を求めています。
人材募集におけるアピールの仕方、ものの見方と考え方も参考になりましたし、特に本質は社風だ、というお話が心に残りました。
すでにプロ人材拠点も活用しており、いくつかご紹介も受けています。全国規模で想像以上にレベルの高い方、そして、宮崎県出身の方もエントリーしてこられて驚きました。
今日の学びを参考に“欲しいヒト”ではなく“コト”を明確にして、引き続き良い人材を獲得できるよう、頑張ります」

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