テレワークの課題・デメリットは?具体的な改善策と成功事例を解説

テレワークを導入する企業が増え、改めて課題や問題点が見えてきました。

 ・上手に労務管理をするためのコミュニケーション方法とは?
 ・セキュリティやコストの課題はどう解決する?

といった課題に直面している企業も少なくないでしょう。

本記事では、テレワーク導入で分かってきたメリット・デメリット、成功している企業の事例を紹介します。

のべ9万人を対象にした継続調査から紐解くテレワーク時代のマネジメントとは

コロナ禍で急速に拡大したテレワークですが、各企業や職場ではどのような課題が発生し、どう変化していったのでしょうか?

「テレワークの現場では部下・上司それぞれどんな課題を抱えているのか?」
「状況把握が難しい中でテレワークマネジメントを成功させるためのポイントは?」
「コミュニケーションの質に直結するICTツールを使いこなすには?」

パーソル総合研究所で実施した、のべ9万人を対象にした継続的な調査データから紐解いた【テレワーク時代のマネジメントの教科書】をお届けします。


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目次

テレワークの導入状況

政府が推進を後押ししている働き方改革や新型コロナウイルス感染拡大の影響で、テレワークを導入する企業が増えました。

東京商工リサーチが企業を対象に実施した調査では、テレワーク実施について、1回目の緊急事態宣言時には17.6%から56.4%へと上昇し、その後、緊急事態宣言解除後には低下するものの、2回目の緊急事態宣言時には38.4%に再上昇していることがわかります。

テレワークの導入企業の割合

 

【出典】東京商工リサーチ「新型コロナウイルスに関するアンケート調査」を基に作成

また、パーソル総合研究所が行っている全国のテレワーク実施率推移の調査では、2020年3月のテレワーク実施率は13.2%でした。2020年4月の緊急事態宣発令後には27.9%に上昇し、2022年7月まで多少実施率は低下しているものの、テレワークは一定定着していることがうかがえます。

テレワークの実施率

 

【出典】株式会社パーソル総合研究所「第七回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する調査」

企業や職種によってテレワーク実施率に差が

厚生労働省の資料によると、従業員規模が大きくなるにつれ、テレワークの実施率も高くなる傾向にあります。また、パーソル総合研究所の調査結果によると、テレワーク実施率は業種や職種によって差があることが分かりました。

業種では情報通信業などが高く、卸売業や小売業などが低くなっています。職種ではコンサルタントやWEBクリエイティブ、企画・マーケティングなどが高く、財務・会計・経理・法務、生産技術・生産管理・品質管理などが低くなっています。

業種別テレワーク実施率

 

職種別テレワーク実施率

 

【出典】株式会社パーソル総合研究所「第五回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」

テレワーク導入後に企業が抱えている課題や問題点

テレワークの導入によって、さまざまな課題も見えてきました。

日本労働組合総連合会(連合)の調査によると、コミュニケーション、業務効率、時間管理、人事評価、進捗管理、情報セキュリティなどの項目で課題があることが分かります。

上記課題は、テレワークのデメリットとして認識されがちです。これらをクリアすることが、テレワーク導入を成功に導くカギになりそうです。

テレワークのデメリットだと感じていること(複数回答)

 

【出典】日本労働組合総連合会「テレワークに関する調査2020」

課題1.コミュニケーション不足

テレワークでは従業員同士や上司とのコミュニケーション不足になりがちです。

いつでも声を掛けることができたオフィス環境とは異なり、テレワークは主に自宅や個人だけの空間で仕事を行うため、業務内容の確認や、業務進行上のトラブルが発生したときの意思疎通が難しくなります。

課題2.時間管理

テレワーク、特に在宅勤務の場合、勤務時間とそれ以外の時間との区別がつけづらいことから、長時間労働になりがちです。

労務管理も難しくなります。業務開始時間や終了時間の管理はもちろん、子どもがいる従業員の場合、子どもの世話で作業が中断されることもあるでしょう。いわゆる「中抜け」の問題です。テレワークでは、その管理を企業が適正、平等に行うことが難しくなります。

課題3.業務効率や生産性の低下

テレワークの導入にあたって、業務効率や生産性の低下を懸念する声をよく耳にします。

パーソル総合研究所が、職場に出勤して仕事をするときの生産性を100とした場合のテレワーク時の生産性の評価を聞いた調査によると、平均で84.1という結果になりました。しかし、この数値はあくまで平均値です。100以上と評価した割合は35.2%あることも分かりました。

テレワークにおける生産性

 
【出典】株式会社パーソル総合研究所
「第四回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」

業種や職種によっても、その感じ方が異なるようです。業種では情報通信業などが、職種では情報処理・技術職、商品開発、間接部門(人事・総務・経理など)で「100以上」と評価した割合が高くなっています。

業務効率や生産性の低下は、懸念されるほど感じられていないというのが実情で、定型的業務の生産性は、むしろ高まっているようです。

課題4.人事評価が難しい

従業員の人事評価もテレワーク導入のハードルとして認識されているようです。テレワークにおける人事評価が難しいといわれる理由は主に3つです。

・勤務状況を実際に見ることができない
テレワークでは上司が従業員の様子を直接見ることができないため、適切な評価が難しくなります。人事評価では、成果に至るまでのプロセスも評価に反映することもありますが、テレワークでは評価材料が減ってしまいます。

・評価基準が不明確
テレワークでは業務プロセスを評価することが難しくなます。そのため、従来どおりの評価基準を適用すべきか、目標管理制度に基づく成果主義を導入した方が良いのか、迷う企業があるようです。

「在宅勤務の場合はどうする?」「サテライトオフィスの場合は?」など、テレワークのスタイルの違いを評価基準にどう当てはめるかも、企業側にとっては悩みの種となっているようです。

・手続きが滞る
人事評価書などにハンコを押印しなければならないルールだと、テレワークでは手続きが滞ってしまう可能性があります。

課題5.労災認定の難しさ

テレワークをする従業員にも、出社してオフィスワークを行う従業員と同様に労災保険法が適用されます。労災と認定されるためには、「業務遂行性」と「業務起因性」の2つの要件を満たさなければなりません。

▼業務遂行性
労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態。
つまり、労働災害発生時に仕事をしていたかどうかが問われる。

▼業務起因性
業務または業務行為を含めて、労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態に伴って危険が現実化したものと経験則上認められることを指す。

テレワークでも、この業務遂行性と業務起因性に照らし合わせ、負傷や疾病が発生した具体的状況によって、労災が適用されるかどうかが判断されます。例えば、就業時間内であっても、私的行為が原因の場合は労災とは認められません。

私的行為には次のようなケースが考えられます。

 ・ 休憩時間にコンビニにランチ買いに出た際、転んでケガをした
 ・ 業務の合間に育児をしたら、ぎっくり腰になった
 ・ 個人宛の宅配便を受け取るとき、ドアに手を挟んで指を骨折した

ケガの原因が業務行為によるものか、私的行為によるものか、証明するのが難しいのがテレワークです。特にまわりにほかの従業員がいない在宅勤務の場合、「証人」はいません。テレワークでは労災認定が難しいとされるのは、こうした点に理由があるようです。

課題6.情報セキュリティ上の課題

オフィスで使用するパソコンは社内ネットワークに接続され、インターネットとの出入口は外部のスパイウェアなどによるネットワークからの攻撃や、不正なアクセスから社内ネットワークをガードするファイアウォールなどでガードされています。

しかしテレワーク、特に在宅勤務では直接インターネットへ接続することが多くなるため、外部からの攻撃や不正なアクセスを受けるリスクが高まります。これによって、取引先とのメール内容や顧客名簿、社内サーバーにアクセスするためのIDやパスワードなどが外部に流出する可能性が出てきます。

▼こんなときも要注意
無料Wi-Fiが利用できるカフェなどでモバイルワークを行う場合

無料Wi-Fiには暗号化キーが公開されていたり、暗号化されていなかったりする場合があります。暗号化されていないと、通信内容やパソコン内の情報が筒抜けになってしまうリスクがあります。

課題7.データ共有の問題

オフィスワークでは従業員が1カ所に集まって業務を行うため、データの共有はオフィス内にファイルサーバーを設けるといったシンプルな方法で行われます。一方、テレワークでは従業員がそれぞれ異なる場所で業務を行うため、従来の方法ではデータの共有がしづらくなります

紙資料の存在も無視できません。オフィスワークでは、探したい資料はキャビネットなどからすぐに取り出すことが可能ですが、テレワークではできません。資料を探すため、わざわざ出社しなければいけないという事態も起きてしまいます

課題8.コスト上の課題

「テレワークを導入するには多額の費用が必要」「中小企業には負担が大きい」といった声をよく聞きます。

テレワークの導入費用には主に次のようなものがあります。

 ・パソコン、タブレット、スマートフォンなどの情報通信機器
 ・Web会議ツール、チャットツール、勤怠管理ツールなどのビジネスツール
 ・インターネットの利用に欠かせない通信回線

テレワークとは無縁だった企業が、これらすべてを導入しようとすると、コストが気になるのも無理はありません。

テレワークの課題・デメリットの改善策6つ

ここまでテレワークの課題を説明してきましたが、それぞれ適切な対策を取ることで課題解決につながります。 本章では、改善策を6つご紹介します。

1.クラウドサービスを活用する

クラウドサービスとは、利用者が手元のコンピュータで利用していたデータやソフトウェアをインターネット上で必要に応じて利用できる仕組みを指します。クラウド上にデータを保存して運用することを「クラウド化」といいます。

クラウドサービスには次のようなものがあります。

・グループウェア
メール、スケジュール、掲示板、ファイル共有、ワークフローなど、日々の業務で使用する機能をまとめたツールです。グループウェアを活用すれば、情報共有をスムーズに行うことができます。Microsoft 365などが代表的です。

・プロジェクト管理ツール
プロジェクトの進捗管理をスムーズに行い、計画的に業務を進めるためのツールです。テレワークで生じる「誰が何をやっているか見えづらい」といった課題を解決する手段の一つです。

・オンラインストレージ
契約書や請求書といった紙ベースの資料・帳票類をデータ化しサーバーに保管すれば、ペーパーレス化の実現が可能になります。データ共有が可能になれば、テレワークなのにわざわざ出社して資料を探すといったこともなくなるでしょう。

・ワークフローシステム
ワークフローとは、「承認・決裁の流れ」を指します。ワークフローシステムを導入して、この流れを電子化すれば「脱ハンコ」が実現し、意思決定のスピードアップが可能になります。

関連記事「「紙」と「ハンコ」がキーワード。法務のテレワークはデジタル化で推進」を見る

・勤怠管理システム
自宅などにいながら、Webブラウザやスマホアプリを通じて「出勤」「退勤」を打刻できるシステムです。集計も自動化されるため労務管理業務の効率化も期待できます。

業務管理・仕事可視化ツール「MITERAS(ミテラス)仕事可視化」
一人ひとりの勤務実態と作業内容を可視化し、「誰が、いつ、どれだけの時間、どんな仕事をしているか」が客観的に把握することができます。

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2.コミュニケーションツールを導入する

テレワークでは従業員同士や上司とのコミュニケーション不足になりがちです。このような課題解決に有効とされるのがコミュニケーションツールです。コミュニケーションツールには次のようなものがあります。

・Web会議システム
距離や場所といった物理的な制約を超え、インターネットを通じて従業員同士が顔を見ながらミーティングを行えるツールです。資料や画面を共有しながら効率良くコミュニケーションを取ることが可能です。Zoomなどが代表的です。

・ビジネスチャット
SNSのような操作性や利便性を兼ね備えた、ビジネス用のコミュニケーションツールです。メールとは異なるレスポンスの早い手軽なやりとりができます。業務連絡だけでなく、アイデア会議なども気軽に行うことができます。

3.テレワークに向く業務の明確化と役割分担の見直し

テレワークを初めて導入する際に、「オフィスで行っている業務すべてをテレワークしなければならない」と考えがちです。しかし、テレワークには向いている業務と向いていない業務の明確化がテレワークを成功に導く大切なポイントの一つです。

また、従業員の仕事をひとくくりにして、テレワークの向き不向きを判断するのは避けたいところです。

現時点でテレワークに向かないと考えられる仕事であっても、業務プロセスを見直したり、ICTツールを導入したりすることでテレワークが可能になることもあります。これを認識することも、テレワークを導入するためには欠かせないプロセスです。

関連記事「我が社にもテレワーク導入を!総務・人事のチェックポイント」を見る

4.人事制度の見直し

完全在宅勤務でなければ、テレワークは業務の一部と考えられるので、従来の人事制度や賃金制度を見直す必要はないとされます。

一方、テレワーク主体の労働者、オフィスに出勤する頻度が低い労働者について業績評価を適用する場合、業績評価に基づく従来の就労規則を変更する必要があります。

人事評価にあたっては厚生労働省が次のような注意点を挙げています。

・業績管理や人事評価について、テレワークを行う労働者に対し通常の労働者と異なる取り扱いを行う場合は、その内容を説明することが望ましい。
・仕事の成果に重点を置いた評価を行う場合は、評価者に対して労働者の勤務状況が見えないことのみを理由に不当な評価を行わないよう注意喚起することが望ましい。


【出典】厚生労働省「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」

関連記事「テレワーク浸透で顕在化した労務管理の課題。成功の鍵は、自律を促す環境づくりとITツールの導入」を見る

5.情報セキュリティ対策

会社からテレワーク環境が提供されていない場合、一般的に次の点に留意する必要があるとされています。

・修正プログラムの適用
・セキュリティソフトの導入および定義ファイルの最新化
・パスワードの適切な設定と管理
・不審なメールに注意
・USBメモリ等の取り扱いの注意
・社内ネットワークへの機器接続ルールの遵守
・ソフトウェアをインストールする際の注意
・パソコン等の画面ロック機能の設定


【出典】独立行政法人 情報処理推進機構「日常における情報セキュリティ対策」

また、総務省の「テレワークセキュリティガイドライン」では、情報セキュリティ対策の大枠として次のように示されています。

・経営者は、テレワークの実施を考慮した情報セキュリティポリシーを定め定期的に監査し、その内容に応じて見直しを行う。
・管理者は、システム全体を管理する重要な立場であることを自覚し、情報セキュリティポリシーに従ってテレワークのセキュリティ維持に関する技術的対策を講じるとともに定期的に実施状況を監査する。
・勤務者は、テレワーク作業中は、利用する情報資産の管理責任を自らが負うことを自覚し、情報セキュリティポリシーが定める技術的・物理的及び人的対策基準に沿った業務を行い、定期的に実施状況を自己点検する。


【出典】総務省「テレワークセキュリティガイドライン第4版」

6.テレワーク導入はローコストで可能

テレワーク用に適したクラウドサービスやグループウェアなどICTシステムの多くは初期導入費が低く、利用料は月払いがほとんどです。中小企業にとってもさほど大きな負担にはなりません。さらに、国や自治体の助成金、補助金を利用すれば、少ないコストでテレワークの導入が可能です。

【出典】一般社団法人日本テレワーク協会「テレワークに関する助成、補助」

ICT・クラウド活用によるテレワーク導入時におけるメリットや期待される効果は?

上記で紹介したようなICT・クラウド活用により課題が解決できると、企業にとって次のようなメリットや効果が得られます。

 ・生産性の向上
 ・優秀な人材の確保や離職防止
 ・コスト削減

それぞれについて詳しく説明します。

生産性の向上

営業職・システムエンジニア・スタッフ職の業務効率化が期待できます

営業職やシステムエンジニアの場合、サテライトオフィスなどを活用すれば顧客からの問い合わせなどにスピーディに対応できます。

また、オフィスへの出勤頻度や時間を減らし、移動時間を削減することで、生み出された時間を顧客対応に充てることができます。これによって生産性の向上が可能になります。

優秀な人材の確保や離職防止

ICT・クラウドサービスの活用は、ワークライフバランスの向上に貢献します。

通勤に必要だった時間を、家族と共に過ごす時間に利用することができれば、育児や介護などの理由で、これまでは退職・休職しなければならなかった労働者の離職を防止することができます

はたらきたくても離職せざるを得なかった労働者、優秀な労働者に継続してはたらいてもらいたい企業の双方にとってメリットになるでしょう。

コスト削減

ICT・クラウドサービスを活用してテレワークを推進すれば、コスト削減が期待できます。削減が期待できるコストには次のようなものがあります。

 ・オフィス費用(オフィス賃料、複合機などのリース料、インターネット回線などの通信費、光熱費、備品費、清掃をはじめとする維持管理費など)
 ・通勤定期代などの交通費
 ・残業代
 ・自前のシステム構築費用
 ・サーバーのメンテナンス費用
 ・サーバー管理担当者の人件費

テレワーク導入で成功している主な企業の例

最後に、テレワーク導入に成功している企業の事例を見てみましょう。自社のテレワーク導入のヒントとなるポイントがあるはずです。

【参考】厚生労働省「テレワーク総合ポータルサイト|導入事例」

【事例1】株式会社リコー
本社社員の約3分の2がリモートワーク制度を利用

オフィス向け複合機やプリンター、テレビ・Web会議システム機器などを製造しているリコー。単体での従業員数は約8,000名(2020年3月末現在)です。

背景
リコーでは、最優先で取り組む全社変革テーマの一つとして「働き方変革」を位置づけ、2017年に社長直轄のプロジェクトチームとして組織化し、取り組みを進めてきました。

施策① リモートワーク制度(2018年4月~)
「リモートワーク制度」利用者数は、制度開始直前の2018年3月は238人でしたが、2019年3月には3,163人と約13倍に。2020年3月には6,000人を超え、社員の約3分の2がリモートワーク制度を利用している計算です。

施策② テレワーク・デイズへの参加
政府が実施している「テレワーク・デイズ」にも積極的に参加してきました。2019年7月と9月の2回にわたり本社を閉鎖し、約2,000人の社員が在宅勤務やサテライトオフィス勤務にする一斉リモートワークデーを行いました。この取り組みが今回のコロナウイルス感染症拡大に伴う非常事態宣言下で活かされたそうです。

施策③  人事評価制度の改訂
人事評価面での取り組みとしては、全マネージャーに対するワークショップを行い、改訂した人事評価制度について説明を実施。あわせてマネジメントの留意事項なども「リモートワーク制度運用」ガイドに記載しました。

施策④ コミュニケーションツールの整備
コミュニケーションツールを整備し、リモートワーク中は常にチャットを起動しておくことで業務状況の把握と円滑なコミュニケーションを実現しているそうです。

【事例2】株式会社キャスター
全社でフルリモートワークを導入。実施率は97%にも

キャスターは宮崎県西都市に本社を置く、オンラインアシスタントをはじめとしたリモートワークを支援する人材事業を運営する会社。従業員数は318人(2019年8月現在)です。

背景
キャスターでは「労働革命で、人をもっと自由に」を企業ビジョンとして掲げ、「リモートワークを当たり前にする」をミッションにしています。2014年9月の創業以来、全社でフルリモートワークを導入。自宅、コワーキングスペース、旅先など、すべてが職場となり、常時リモートワーク実施率は97%となっています。

事業方針や社内の業務運営、制度の運用方法も「完全にリモートで対応可能か」を前提に決定されるという徹底ぶりです。

施策① 就業規則
就業規則については、情報通信機器の貸与にかかわること、在宅勤務などはたらく場所にかかわること、情報セキュリティや文書管理のルールにかかわることなどを定め、明文化しています。

施策② 評価制度の整備
評価制度については、はたらき方や勤務場所で区別されない数値化された目標を評価軸としており、その達成度で評価が決まる制度を整備しています。

施策③ コミュニケーションツールの活用
メンバー間や上司とのコミュニケーションにはビジネスチャットを活用。チャットでコミュニケーションを取りながら業務を進めているため、返信や発信の有無、成果物の提出状況などメンバーの状態をリアルタイムに把握できるようになっています。そのため「テレワーク導入時に労働者がサボるのではないか?」という懸念はないそうです。

【事例3】株式会社はたらクリエイト
チャットをコミュニケーションだけでなく勤怠管理にも活用

はたらクリエイトは、長野県上田市と佐久市にオフィスを置き、オンラインによるオフィス業務代行事業やコンテンツ制作業務などを手がけている会社。従業員数は121名(20211月現在)となっています。

背景
同社の従業員は約90%が子育て中または介護中の女性です。子育てや介護、配偶者の転勤によってキャリアを絶つことなく、継続してキャリア形成をしていけるよう、テレワークを導入することでフレキシブルなはたらき方を可能にしています。

施策① コミュニケーションツールの活用
従業員は上田市、佐久市にとどまらず、香川在住の広報担当や東京在住の営業担当もいるそうです。上田と佐久の拠点間では定期的にWeb会議を実施。同社の顧客の多くを占める都内企業との打ち合わせにもWeb会議を活用しています。

また、社内のコミュニケーションは主にチャットで行われ、案件ごとにグループをつくってコミュニケーションを行っているとのこと。勤怠管理もチャットを活用。始業・昼休憩・中抜け・終業時はチャットツールで報告し、状況が分かるようにしているそうです。

施策② セキュリティ対策
テレワークをする際は会社支給のパソコンを持ち帰って行う規程です。セキュリティ対策としては、ネット環境について事前に確認し、常にパソコンのセキュリティが最新の状態を保つようにしています。必要に応じてVPS(仮想専用サーバー)を使うことでセキュリティが保たれた環境づくりを徹底しているそうです。

今後はより一層はたらきやすい環境づくりや事業強化を目指し、テレワーク対象者を拡大していきたい、としています。

【参考】株式会社はたらクリエイト

まとめ|テレワーク導入後の課題はクラウドサービスなどにより解決できる

テレワークを導入する企業が増え、コミュニケーションや生産性、業務効率などの面で課題や問題点が明らかになりました。これらを解決するには、クラウドサービスやコミュニケーションツールなどの活用、情報セキュリティ対策などに加え、テレワークに向く業務の明確化と役割分担の見直しなどが有効です。

労働者のワークライフバランスを実現し、優秀な人材の確保や離職防止につなげるためにも、テレワークを定着させていきましょう。

のべ9万人を対象にした継続調査から紐解くテレワーク時代のマネジメントとは

コロナ禍で急速に拡大したテレワークですが、各企業や職場ではどのような課題が発生し、どう変化していったのでしょうか?

「テレワークの現場では部下・上司それぞれどんな課題を抱えているのか?」
「状況把握が難しい中でテレワークマネジメントを成功させるためのポイントは?」
「コミュニケーションの質に直結するICTツールを使いこなすには?」

パーソル総合研究所で実施した、のべ9万人を対象にした継続的な調査データから紐解いた【テレワーク時代のマネジメントの教科書】をお届けします。


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