効率的な採用活動を実現するためのターゲット設計のステップとは
「応募は集まるものの、自社にマッチする人材が採用できない…」
「採用後の離職率の高さに歯止めをかけたい…」
このような課題は、自社が採用したい人物像をはっきりとさせ、ターゲット設計を見直すことで解消できます。ターゲット設計は、効率的な採用活動にもつながります。
【ターゲット設計で踏むべき5つのステップについて】まとめた資料を公開しておりますので、ぜひお役立てください。
タレントプール(人材プール)とは
タレントプールとは、人材を意味する 「タレント(Talent)」と、蓄えを意味する「プール(Pool)」を組み合わせた言葉で、短期的あるいは中長期的に自社の採用候補となる人材の情報を蓄えるデータベースのことです。タレントプールは人材プールとも呼ばれています。
従来の転職活動のように「企業」と「候補者」といった堅苦しい関係性ではなく、将来的な採用の可能性も踏まえ、セミナー案内の送付やメルマガ配信といった形で、企業から直接、情報発信やコンタクトを取ります。
これらを通じて、企業側は候補者の能力やスキル・近況を、応募者側は企業のカルチャーや事業内容の理解を深めることができます。
タレントプールの対象者は?
タレントプールの対象者に、明確な定義はありません。将来的に採用の可能性がある人材は全員タレントプールの対象になると言えるでしょう。
採用市場は、日々刻々と変化しています。企業が採用したいタイミングで、適切な人材が転職市場にいるとは限りません。より多くの人材をプールしておくことで、急遽欠員が出たときや事業展開や拡大のために新たな人員が必要になったときに、スムーズなアプローチができ、採用活動の効率化につながります。
▼タレントプール対象者の例
- タイミングが合わずに採用に至らなかった人
- 既に自社に関心を持っている人
- 以前、内定を辞退した人
- 以前、自社にて勤務していた人
- 自社のセミナー / 転職イベント等に参加した人
- SNS等でコンタクトがあった人 など
タレントプールが注目されている背景
タレントプールが高い関心を集める背景には、人材不足による人材獲得競争の激化や採用のミスマッチが挙げられます。
人材獲得競争の激化
人材獲得競争は激化しており、採用難易度が高まっています。
エン・ジャパンの調査「2022年人材不足の状況について」によると「現在、人材が不足している部門はありますか?」という質問に対して、82%の企業が「ある」と回答しています。また人材が不足している原因として、43%の企業が「中途採用で人員を確保できなかった」と回答しています。
このように多くの企業が人材不足に直面しており、自社の募集条件に合った人材を採用するのは容易なことではありません。そのような中で、新たな採用の仕組みとしてタレントプールが注目を集めているのです。
採用のミスマッチ
採用のミスマッチなどによって、人材が定着しないことも、タレントプールが注目される背景の1つです。
パーソル総合研究所の「就職活動と入社後の実態に関する定量調査」によると、入社後に感じる何らかのイメージギャップ「リアリティ・ショック」を受ける新社会人は76.6%にも及ぶことがわかりました。
さらに、リアリティ・ショックは離職にも大きな影響を与えていることがわかっています。
【出典】株式会社パーソル総合研究所「パーソル総合研究所×CAMP「就職活動と入社後の実態に関する定量調査」」
採用した人材が定着しないと、採用コストや育成コストに多大な損失をもたらします。
タレントプールを活用すれば、メルマガやイベントなどの活動を通して、事前に候補者とコミュニケーションを取ることができるため、企業・候補者双方を深く知ってから選考に進めます。結果、入社前後のギャップや採用ミスマッチの軽減につながります。
タレントプール活用のメリット
タレントプール活用のメリットについて、企業側・応募者側それぞれの側面から見ていきます。
企業側のメリット
採用コストの削減
タレントプールを活用することで、採用コストの削減につながります。タレントプールに登録している人材へ再度アプローチすることで、求人広告費などが削減できます。
▼候補者へのアプローチ方法例
- メールマガジンの配信
- SNSによる情報発信 / 情報共有
- 個別にコンタクトを取り近況確認 / 連絡
- 社内セミナー / 勉強会への招待 など
また、従来は求人サイトで応募があった候補者に対して、短期間で複数回の面接を行い、適性を見極めていたため、ミスマッチが多く発生していました。
タレントプールでは、候補者の適性や能力を見極めたあとに採用プロセスに進みます。そのため採用活動が効率化され、結果的に採用コストの削減につながります。
潜在層にアプローチできる
さらに、転職潜在層へのアプローチができる点もメリットといえます。
日本は積極的に転職活動を行っていない転職潜在層が多いといわれています。現段階で転職を視野に入れていないとしても、将来的に採用へとつなげられるタレントプールは、従来の手法ではアプローチが難しい潜在層の採用にもつながります。
応募者側のメリット
企業理解が深まり、入社後のミスマッチが軽減される
タレントプールを活用した場合、企業との継続的なコミュニケーションを通じて、お互いの理解を深めた上で、選考に進みます。転職サイトやエージェントを利用して、採用担当者と面接を行い、すぐに合否が決まるといった従来の転職活動とは異なります。
応募者は今後のキャリアプランについてじっくりと考えることができるとともに、事前に企業について深く知ることができるため、入社後のミスマッチを軽減されるといったメリットがあります。
タレントプールを運用する方法
タレントプールの運用は、次の手順ですすめます。
STEP1.人材要件を定義する
まず、自社にどのような人材が必要なのか、人材要件を定義します。
入社後にどのようなポジション・役割で活躍してもらうのかなど、定性的・定量的に「求める人物像」として具体化し、自社に合いそうな人材を中心にプールすることが重要です。
STEP2.人材のデータベースを構築する
次に、人材のデータベースを構築します。
過去に採用などで自社となんらかのつながりがあった人材以外にも、採用サイトに窓口を設け、自社に関心をもつ人材に登録してもらう、FacebookやLinkedInなどSNSを活用する方法もあります。
STEP3.定期的に候補者とコミュニケーションを取る
人材のデータベースを構築したら、定期的に候補者とコンタクトを取り、自社への関心度を高めていきます。一度は自社に興味を持ってくれた候補者でも、その後コンタクトがなければ時間とともに企業への興味は薄まってしまいます。
そのため、SNSやメールを活用して自社の情報を発信したり、交流会などのイベントを開催し直接会う機会を作ったり、定期的にアプローチすることで候補者の関心を維持していくことが大切です。
タレントプール活用のポイント

タレントプールは、導入すれば採用プロセスの効率化やコスト削減につながるものではありません。実際にタレントプールを導入したものの、課題を抱え上手く運用できていない企業も多く存在します。
MyReferが、企業の採用担当者を対象に実施した調査では、「過去選考に進んだ応募者をタレントプールして蓄積・活用していますか?」という質問に対して、蓄積・活用していると回答したのは14.6%でした。
また、活用する上でのハードルとして、「スカウトのタイミングが分からない」「タレントプールから求める人材を見つけられない」といった理由が挙げられています。
タレントプール運用上の課題
【出典】株式会社Myrefer「【タレント・アクイジション実態調査vol.2】タレントプール採用に関する実態調査」
では、導入したタレントプールを効果的に活用するためには、どのようにすればよいのでしょうか。ポイントは以下の3点です。
定期的なコンタクトでつながりを絶やさない
タレントプールの導入を成功に導く最大のポイントは、情報発信やコンタクトをこまめに取り続け、候補者とのつながりを絶やさないことです。
タレントプールに入っている候補者の多くは、潜在的には転職のニーズを持っているものの、直近での転職は考えていないケースがほとんどです。そのため、企業側から定期的にコンタクトをしなければ、いざ採用を考えた段階で既にコンタクトが途絶えてしまっている可能性が高くなります。
採用を進めたいときにすぐに連絡が取れるような関係を構築するために、継続したアプローチが大切です。
候補者の転職意思を分析・把握する
アプローチをするだけでなく、メルマガの開封率や送付頻度、メッセージに対する返答、社内セミナーへの参加有無を計測し、候補者がどれくらい転職の意思を持っているのか分析しましょう。
例えば、
-
- 以前と比べてメルマガの開封頻度が高まった
- 自社のリクルートページに遷移している
といった行動が見られた場合は積極的にアプローチすべきと言えるでしょう。
データベースを常に最新の状態にする
タレントプールを導入していても、データが古ければ意味がありません。プールしている人材データは随時更新しましょう。
一方で、人材データが増えることで、管理やアップデートに時間がかかり、かえって採用コストが膨らんでしまう可能性もあります。自社が求める人材の洗い出しを行い、マッチする人材を絞り込んでおきましょう。
タレントプールの活用事例
ここではタレントプールを活用している企業の事例を紹介します。
事例1.会社全体でリファラルを推進
ある外資系コンサルティングファームでは、社員紹介によるタレントプールの構築に取り組みました。採用に成功した場合にはインセンティブを提供するという方針を決め、各部門の部門長にも協力を仰ぎ、企業全体でリファラルを促進しました。
また、タレントプールを用いながら定期的にイベントの案内を発信し、選考要素を削減。イベントに来場した人に対して、誰がどのように声をかけるかといったコミュニケーションプランまで設計した結果、多くの採用に結び付きました。
事例2.退職者に向けた「出戻り採用」を推進
ある大手外資系企業では、退職時にニュースレターの配信可否を確認し、退職者をデータベース化しています。
データベースに対して、求人情報やOB・OG会の開催情報に加え、退職者の復職情報などを定期的に配信。結果、出戻り採用が定着し、退職者の応募が自然と集まる状態になっています。
タレントプールの活用に役立つツール
最後に、パーソルグループが提供するタレントプールシステム「HITO-Link CRM」を紹介します。

HITO-Link CRM(ヒトリンク シーアールエム)は、SNSのフォロワーやイベントの参加者・過去の応募者など、さまざまなチャネルで接点を持った候補者をプールしていくことができるタレントプールシステムです。
▼HITO-Link CRMでできること
・候補者のナーチャリング
メールの開封状況やWebページの閲覧状況を蓄積。タレントの興味や転職意欲を分析できる・ワークフローの自動化
特定の条件に達したタレントのステータスは自動更新。手間なくタレントプールが最新化される
まとめ | 候補者との継続的なコミュニケーションがカギ
本記事では、タレントプールとは何かといった基礎知識から、活用のメリットやポイントについて解説しました。採用マーケットにおける競争が激化している今、タレントプールは企業が求めている人材を適切なタイミングで獲得するために有効な手段の一つです。
しかし、ただタレントプールを導入すれば良いわけではなく、どのように候補者と継続的にコミュニケーションを図るのかが非常に重要です。定期的なメルマガ配信やSNSでの情報共有などを通じて、候補者の転職ニーズや適性などを分析することが成功のポイントと言えるでしょう。
効率的な採用活動を実現するためのターゲット設計のステップとは
「応募は集まるものの、自社にマッチする人材が採用できない…」
「採用後の離職率の高さに歯止めをかけたい…」
このような課題は、自社が採用したい人物像をはっきりとさせ、ターゲット設計を見直すことで解消できます。ターゲット設計は、効率的な採用活動にもつながります。
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