アントレプレナーシップとは?新ビジネス創造に欠かせない必要スキル

事業拡大・事業開発 人事

日本の国際競争力が年々低下しているなか、復活の鍵を握るのが「アントレプレナーシップ」を発揮できる人材だといわれています。アントレプレナーシップとは何か? アントレプレナーシップを発揮する人材を育成するためのポイントについてご紹介します。

【テレワークでのマネジメントガイドブック】『VUCA時代・テレワークの導入で今こそ考えるべき人財育成』

【テレワークでのマネジメントガイドブック】
『VUCA時代・テレワークの導入で今こそ考えるべき人財育成』

資料をダウンロードする

目次

「アントレプレナーシップ」とは?

アントレプレナーは、フランス語で「仲介人」や「貿易商」を表す言葉で、今では「何もないところから事業を立ち上げる人」という意味で使われることが一般的です。「アントレプレナーシップ(entrepreneurship)」は、それに「状態、性質、地位、役職、技能、能力、集団」を表す接尾辞「ship」を加えた言葉で、以下のようにさまざまな定義があります。

アントレプレナーシップの定義の一例

「企業家精神。新しい事業の創造意欲に燃え、高いリスクに果敢に挑む姿勢」

デジタル大辞泉(小学館)

「イノベーションを武器として、変化の中に機会を発見し、事業を成功させる行動体系」

ピーター・ドラッカー(経営学者)

「コントロールできる経営資源を超越し、機会を追求する姿勢」

ハワード・スティーブンソン(米ハーバード・ビジネス・スクール教授)

姿勢と定義されることもあれば、行動全体と定義されることもあります。この記事では、アントレプレナーシップをドラッカーが唱える「イノベーションを武器として、変化の中に機会を発見し、事業を成功させる行動体系」として使用します。

アントレプレナーシップはテレビに登場するようなひと握りの起業家でなければ発揮できない、というわけではありません。企業内の新事業や新商品開発のプロジェクトリーダー、何代も続く家業で変革を試みる後継者、起業を目指す学生など、多くの人々がアントレプレナーシップを発揮しています。

アントレプレナーシップは競争力回復の鍵

今、アントレプレナーシップが求められる最大の理由は、低下する日本の国際競争力を回復する鍵と考えられているからです。また、はたらく個人の目線で見ると、雇用形態の変化に対応するための資質ともいえます。

日本企業に不足しているアントレプレナーシップ

国際競争力の指標の一つに、国際経営開発研究所(IMD)が発表している「世界競争力ランキング」があります。1992年までは同ランキングで1位だった日本ですが、徐々にランクが下がっていき、2020年版では34位と過去最低を記録しています。

同ランキングは約300の指標で順位が決められますが、特に低かったのが「企業の俊敏性」「起業家精神」に対する採点です。また、「大企業の効率性」も低位に沈んでいます。

世界競争力ランキングの日本総合順位の推移

 

【出典】三菱総合研究所「IMD『世界競争力年鑑2020』からみる日本の競争力」

また、同年鑑の調査結果からは、「幹部の国際経験」「外国の考え方に対する社会の開放性」「グローバル化に対して社会が肯定的か」に対してネガティブな回答が多く、日本企業や社会の国際性が低いことが明らかになりました。

さらに、経営コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(BCG)が発表したイノベーション企業ランキングトップ50では、日本企業は36位と37位に2社がランクインするにとどまり、日本企業にはイノベーションを起こす力が不足しているという評価が表れています。

こうしたことから、新たな価値を見いだしていく考え方や姿勢によってイノベーションを創出し、グローバル化にも対応できるアントレプレナーシップを持つ人材が、競争力回復のために、企業や社会から強く求められています。

はたらく個人にとっては、雇用形態の変化に対応する鍵

はたらく個人にとってもアントレプレナーシップを発揮することは重要な資質となりつつあります。終身雇用や年功序列に代表される日本型雇用システムは崩壊しつつあります。
指示を待つ人材ではなく、自発的にビジネスに取り組んで結果を追求する人材や、新たなことに積極的に挑戦してイノベーションを創出する高い創造意欲を持って行動できる人材が、ますます求められるでしょう。

アントレプレナーシップの発揮には複数のスキルが必要

アントレプレナーシップを発揮する人材は、どのようなスキルや資質が備わっているのでしょうか。一般的には、次のようなスキルや資質が挙げられています。これらは一つあれば良いというわけではなく、複数を持つことが望まれますが、足りない場合はそれを補うパートナーと組むという発想でも問題ありません。

アントレプレナーシップを発揮しやすい人材の資質

・リスクに対してポジティブである
・未来をイメージできる
・解決したい社会問題がある
・自分に対する自信がある
・優れたマネジメント能力ある
・新たなビジネスモデルやイノベーションを生み出す創造性がある
・人脈・人的ネットワークの構築力
・学び続ける精神
・力強いリーダーシップ

特に「リスクに対してポジティブである」「未来をイメージできる」「解決したい社会課題がある」の3つは基本的な資質と考えられています。

リスクに対してポジティブである

ネガティブに考えず、かといって過去の成功体験にも引きずられず、常に前向きでいられること。リスクに対してもポジティブな姿勢を保てることは、新たな事業を起こしたり、新商品を開発したりするために不可欠な資質です。

未来をイメージできる

自発的に考える人材という観点からも、先々を見据える能力は欠かせません。また、目標に向けてリアリティーを持って取り組むためには、未来を明確にイメージする能力が極めて重要です。

解決したい社会課題がある

やりたいこと、解決したいことが自分の中に明確にあり、それらと向き合いながら取り組んでいこうとする「志」を持っていることも、アントレプレナーシップに必須の資質です。

アントレプレナーシップ教育には座学と実践が不可欠

ではこうしたスキルを備えた人材を、企業はどう採用・育成できるのでしょうか。

答えの一つは、アントレプレナーシップ教育を受けた人材を採用することです。文部科学省では、世界と肩を並べるスタートアップを支える支援体制構築のため、大学生を対象に、アントレプレナーシップ教育を推進しています。希望する学生すべてが受講できる環境を拠点都市の関連大学で整備し、拠点都市の産学官による、起業に向けた実践的な講座を開設しています。

また、「次世代アントレプレナー育成事業(EDGE-NEXT)」として、複数の大学が連携したコンソーシアムに対して、アントレプレナー育成のための実践プログラムの開発やネットワーク構築・体制整備などを支援し、アントレプレナーシップ醸成を図っています。こうした人材は、これからのビジネスには不可欠な存在となるでしょう。
社内でアントレプレナーシップを育成する場合は、イントレプレナー教育をするのが一般的です。イントレプレナーは「社内起業家」を指します。

アントレプレナーとイントレプレナーの違い

アントレプレナー 起業家
イントレプレナー 社内起業家、企業内起業家

イントレプレナーは、社内ベンチャーを中心に進められることが多く、社内で新しいアイデアを打ち出し、企業の一部門として新しい製品・サービスという具体的な形にし、事業化していく推進者です。そこで求められるスキルは、強いビジョンと卓越した行動力です。イントレプレナーの育成には、座学だけではなく、実践が不可欠です。志をどう持つべきかを教育するとともに、課題を持たせて新たな事業を立ち上げさせたり、新規事業開発室のような組織に配属したり、実体験が不可欠です。すでに社内ベンチャー制度などを導入し、イントレプレナーを育成・支援するプログラムを実施している企業も少なくありません。

しかし、企業の風土や文化がアントレプレナーシップの発揮を阻害するケースがあります。企業はアントレプレナーシップを発揮しやすい環境をつくることが、育成よりもさらに大切です。

アントレプレナーシップを発揮しやすい企業とは

アントレプレナーとイントレプレナーの最大の違いは、イントレプレナーがアントレプレナーシップを備えた「社員」である点です。社員であるため、社内に蓄積されているリソースを活用できたり、社内のさまざまな部門の協力を得られたりというメリットがあります。

一方で、新しいアイデアが既存事業を基準として評価されてしまう懸念もあります。組織全体が旧来の考えから脱却できなければ、新事業の重要性や価値が社内で共有されず、その推進を制約し、停滞あるいは頓挫させてしまう可能性もあります。社内に蔓延(まんえん)している “常識”を払拭できなければ、ビジョンと行動力を持った人材がいたとしても、事業を成功に導くことはできません。それはつまり、アントレプレナーシップを活かせる企業風土や文化の有無なのです。

米国の大手化学メーカーの3Mでは、研究者が勤務時間の15%を業務に関係なく、自分の好きな研究に自由に使うことができる「15%ルール」を設けています。加えて、同社には失敗を許容する風土があり、失敗から生まれた技術でロングセラー商品を生み出してもいます。この事例から社内の新事業、企業家を生み出しやすい企業の条件が挙げられます。

アントレプレナーを発揮しやすい企業とは

1.反発から守られて、失敗が認められていること
2.既存事業の成功体験を引きずらないこと、既存事業の影響が少ないこと
3.社内の制約をトップが取り払えること

企業風土や文化の改革は、大変なことです。しかし、従来の制約にとらわれず、新しい試みに積極的に挑戦できる土壌があってこそ、社員のアントレプレナーシップを伸ばし、発揮しやすくさせるといえるでしょう。

組織の革新や活性化のきっかけに

既存の評価軸や企業風土の壁を乗り越えて、アントレプレナーシップを発揮する社員によって新事業が成功すれば、新たな価値が生まれ、ビジネスのさらなる成長に向けて企業風土を変えていくことでしょう。アントレプレナーシップを持った社員の活躍は、企業組織の革新や再活性化の起爆剤になるかもしれません。市場環境が短期間で激変してしまう今だからこそ、従来の枠組みの延長線上でビジネスを展開するだけでは、持続的な成長は望めません。イノベーションを起こして新事業や新製品を創出するとともに、成功に向けて企業の体質までも改善できる可能性を秘めたアントレプレナーシップは、今後ますます重視されていくはずです。

ご相談・お見積り・資料請求等
お気軽にお問い合わせください

Webでのお問い合わせ

お電話でのお問い合わせ

0120-959-648