ケイパビリティとは?意味や使い方・具体例をわかりやすく解説

ケイパビリティとは、企業の「全体の組織力」や「組織固有の強み」を示す言葉です。

本記事では、目まぐるしい時代の変化に負けないビジネス実行力や企業の成長力となるケイパビリティについて解説します。

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目次

ケイパビリティとは

ケイパビリティ(capability)とは、一般的には「能力」「才能」「手腕」「力量」といった意味です。ビジネスで使われる場合には「企業全体の組織的な能力」、さらに踏み込んで「組織として持つ、他社より優位な強み」を指します。

営業力、生産力、マーケティング力など、企業が強みと認識している能力は多種多様です。営業力を例にとってケイパビリティを考えてみましょう。

営業力を、営業担当者の「個」の力で考えると、人によってバラつきがあります。それでも「きっちり成果を出せる営業マンが多いから、営業力が当社にとってのケイパビリティだ」とする考え方は、正確にケイパビリティの意味を捉えているとは言えません。

営業担当者一人ひとりの能力差や好不調の波に影響されるものではなく、「組織」として営業部門全員が継続的に顧客との接点を保てる仕組みがあり、それによって信頼を得られて好業績につながっている。このようなオペレーション面での事例があって、はじめて「営業力がケイパビリティだ」と言えるのです。

ケイパビリティを考える上で、ポイントはあくまでも「企業全体」であり、「組織」で捉えることが重要です。

なぜ今、ケイパビリティが注目されているのか?

急速なデジタル化やコロナ禍の影響など、ビジネスを取り巻く環境変化はスピード感を増しています。企業が安定的かつ長期的に存続できるよう、まず強化を図らねばならないのが、企業としての組織力。そして、そこから他社との優位性を引き出していく必要があります。そのような状況下で注目を集めている言葉がケイパビリティです。

価格設定や汎用的な技術力、あるいは景気動向をはじめとする外的要因によって揺らいでしまうものでは他社との差別化が図れず、グローバル化する社会で会社の強みを発揮することはできません。事業プロセスの川上から川下まで俯瞰で見渡して、組織全体の引き締めを図り、強みを見出していくことが大切です。

ケイパビリティの具体例

ケイパビリティを意識した事業展開で、成功の具体例としてよく取り上げられるのが、米国のIT企業です。

同企業が発表する製品の特長として、多くの人が認識しているのが、先進的なデザイン性です。それは製品単体の優れたデザインというより、新たな生活スタイルを提案し、そこに溶け込む機能美といえるもの。「オシャレでカッコイイ」というイメージが定着し、消費者の所有欲を満たしています。

モノづくりから直営店による販売手法に至るまで、高いデザイン性という一貫したコンセプトが「組織力」によって維持されている。まさしくそれが、ケイパビリティといえるのです。

コアコンピタンスとの違い

ケイパビリティの概要を見てきたところで、類似する言葉である「コアコンピタンス」について解説していきます。コアコンピタンスも、企業が持つ「能力」や「強み」を表現していますが、ケイパビリティとの違いはどこにあるのでしょうか?

ケイパビリティ活用のメリット

ケイパビリティは効果的に活用することで圧倒的な差別化要因となり、自社の優位性を強化します。ケイパビリティは事業プロセス全体で一貫して保持する「組織力」なので、他社が同等の力を持とうとしても、組織を構成するためには時間やコストの面で難度が高く、簡単に真似をすることができません。

また、外的要因に左右されない持続性のある「組織力」は、事業の持続可能性を拡大します。競争を勝ち抜く「組織力」の強みであるケイパビリティは、企業にとって経営安定の大きな骨格となるはずです。

コアコンピタンス活用のメリット

コアは「核」、コンピタンスは「能力」や「力量」、「適正」などの意味に訳される言葉。つまり、コアコンピタンスは他社には真似できない「核」となる能力です。おもに「技術力」や「製造能力」を指し、製造業の企業経営で活用されます。

コアコンピタンスは、次の3つの能力にまとめられます。

コアコンピタンスの3つの能力

1. 顧客に利益をもたらす能力
2. 他社から模倣されにくい能力
3. 複数の商品や分野に応用できる能力

コアコンピタンス、つまり他社が真似できない「技術力」があれば、市場で常に優位な地位を占めることができます。同時に、「技術力」を培ったノウハウは、その他の製品や分野に応用が利き、事業の多様性につながります。また、これら一連のメリットにより、顧客に利益をもたらします。

ケイパビリティとコアコンピタンスの違い

改めて、ケイパビリティとコアコンピタンスの違いを整理しましょう。

「ケイパビリティ」と「コアコンピタンス」における「強み」の考え方

・ケイパビリティ
組織全体で能力を発揮できる総合的な能力で、事業プロセス全体

・コアコンピタンス
他社に真似されにくい技術的な優位性で、事業プロセスの一部

ケイパビリティは「企業全体の組織的な能力」や「企業全体が組織として持つ、他社より優位な強み」とあり、組織力と集約されます。一方、コアコンピタンスは「他社には真似されにくい中核的な能力」です。

比較すると、事業プロセス全体の強みがケイパビリティであり、そのプロセスの中で技術力に代表されるキラリと光る強みがコアコンピタンスであるといえます。一つの例として、従来他社にはなかった技術で新製品が生まれ、その製造法から品質管理、販売まで効果的なオペレーションで顧客の要望に応えた場合、技術そのものがコアコンピタンス、オペレーション全体がケイパビリティとなります。

ただし、競合する市場での優位性を保つために発揮する能力という点では、どちらも同じです。この2つを見極めて強化していくことが、変化が絶え間なく続くビジネス環境の中で企業が存在感を増していくすべと考えられます。

関連記事「コアコンピタンスとは? 企業成長につながる戦略策定方法」を見る

ケイパビリティの見つけ方と活かし方

いよいよ自社のケイパビリティについて考えましょう。当たり前のことをきっちりと行っているか再検証をすることが大切です。

自社のケイパビリティを見つける方法

自社のケイパビリティを見つけるためによく行われる手法が「SWOT分析」です。SWOT分析は、外部環境と内部環境、プラス要因とマイナス要因という視点で4つの項目を分析します。

「SWOT分析」4つの要素

 

SWOT分析を行うことで、事業の強みや課題を発見できます。全体の組織力を知る上では非常に分かりやすい手法といえるでしょう。また、自社のバリューチェーンを分析するのも、事業活動を機能ごとに検証できるため非常に有効な方法です。ビジネスの世界では、各業界で強化しなければならない機能がある程度決まっていると考えられます。

たとえば、半導体メーカーなら大量生産できる能力が大前提であり、製造設備に強みがないと競争には勝てません。自社が属する業界に求められている機能が本当に強いのか、しっかりと分析することが大切です。

分析にあたって忘れてはならないのが相対評価です。自社の現状を、他社と細かに比較する必要があります。他社製品を使ってみる、食べてみる、他社サービスを利用してみるといった基本的な研究・分析が大切です。他社製品やサービスを知ることで、自社で強みと思っていたことがたいしたことではなかったり、逆に弱みと思っていたことが他社以上のレベルだったりと、改めて気づくことができます。

さらに、その分析に顧客の視点が入ることで、気づきも深まります。自社製品を使用する顧客のフォローをしてはじめて正確なケイパビリティの把握につながります。

自社が思うケイパビリティと、顧客が感じてくれているケイパビリティとのギャップがあれば、後者に重点を置いたほうがよいでしょう。顧客の思い、それはつまり社会的に評価されているケイパビリティであると言えるからです。

見つけたケイパビリティを高め、組織力を磨くために

SWOT分析で発見したケイパビリティが理想とするレベルに達していないと思うことがあるかもしれません。その場合は、ケイパビリティを自社の“あるべき姿”または“なりたい姿”と捉えてみましょう。“あるべき姿”をしっかり把握できるかどうかが、ケイパビリティ強化の第一歩です。

ところが、“あるべき姿”とはいうものの、企業を取り巻く環境は今後もどんな変化を遂げるか分かりません。時の流れとともに、“あるべき姿”ではなくなってしまう可能性さえあります。

先が見えない時代に進むべき道を探さねばならないのなら、自信がなくても、まずは「これが当社の“あるべき姿”である」と定義づけすることが重要と考えられます。あるべき姿に向けて実行を重ねていく努力自体が、ケイパビリティにつながるからです。あるべき姿を定め、実現に向けて取り組みを行っていく。そして、それが本当にあるべき姿に向かう道として正しいのか、本当に成果が出る道なのかを常に検証しながら、軌道修正をかける。このPDCAの作業がうまく機能していけば、組織力はどんどん磨かれていきます。

自ら仮説を立て、実行し検証していく「仮説検証力」が、ケイパビリティを確立させる原動力です。

ケイパビリティをアップデートするダイナミック・ケイパビリティ

外部環境は今後もさまざまな変化を遂げていくことでしょう。そのため、ケイパビリティを構築する上では、環境変化への対応力が大きなカギを握ります。環境変化に合わせて組織も変革し、最適なケイパビリティにアップデートする力を、「ダイナミック・ケイパビリティ」と言います。

2015年に発表された慶應義塾大学の菊澤研宗教授の論文によれば、ダイナミック・ケイパビリティは3つの要素に分かれるとされています。

ダイナミック・ケイパビリティを構成する3つの要素

1 センシング(感知) 環境変化に伴う脅威を感じ取る能力
2 サイジング(捕捉) 環境変化を機会と捉え、既存の資源・業務・知識を応用して再利用する能力
3 トランスフォーミング(変革) 新しい競争優位を確立するために、組織内外の既存の資源や組織を体系的に再編成し、変革する能力

通常のケイパビリティは、事業プロセスの川上から川下に至るオペレーション全体を、円滑に進捗させる能力を指します。ダイナミック・ケイパビリティは、環境変化に応じて、企業が保有する資源や既存のシステムを組み換え、新たな市場に対応可能な姿に変わる力といえるものです。

今まで考えもしなかった新たな市場に進出したり、または大胆に製造工程を見直したり、DXを推進したりすることはダイナミック・ケイパビリティの概念に基づいているといえます。

まとめ|激変する時代に合わせ、“あるべき姿”へのアップデートを

“あるべき姿”を追い求める姿勢や取り組みこそが、自社の組織力、ケイパビリティの構築につながります。

外的要因に左右されないことがケイパビリティの特徴ではあるものの、新型コロナウイルスのような、現状のケイパビリティが機能しなくなるほどの影響力を持つ外的要因は、今後も起こり得るかもしれません。それに備える力がダイナミック・ケイパビリティであり、企業にとって“あるべき姿”のアップデートは常に必要不可欠です。

ケイパビリティは企業成長に欠かせない重要な能力。ニューノーマル時代に経営戦略を立てる上で、欠かせない要素といえるでしょう。

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