採用DXとは?実現のステップや成功するためのポイントを解説

企業説明会や採用面接のオンライン化など、採用市場は日々急速に変化しています。

自社のニーズに合致する人材を採用するためにも、採用市場における自社の優位性を確立していく必要があり、オンライン化が進む今「採用DX」が注目を集めています。

 「採用業務のオンライン化は出来たが、内定まで繋がらない」
 「選考辞退、内定辞退に困っている」
 「自社に合った人材を採用したい」

本記事では、こうした課題を抱えていらっしゃる企業担当者に向けて、採用DXの目的や意義、実現させるためのステップについて解説します。

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目次

「DX」とは

DXとは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略です。2018年12月に経済産業省により発表された「DX推進ガイドライン」では以下のように定義されています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

つまりDXとは、データやデジタル技術(=Digital)を用いて既存のビジネスやプロセスに変革(=Transformation)を起こし、競争力を強化することで売上や利益を向上させることと解釈できます。

DXとは

なおこのとき、「業務におけるITツールの活用」でとどまることがないように注意が必要です。

アナログデータをデジタル化することは「デジタイゼーション」、ITツールを導入するなどしてビジネスプロセスをデジタル化することは「デジタライゼーション」と呼ばれ、DXとは区別されます。

DXのフェーズ

【参照】『いちばんやさしいDXの教本』(株式会社インプレス)

「既存のビジネスやプロセスのデジタル化」にとどまらず、そのことによって「新しい価値を創出し、企業それぞれの目的を達成する」ことがDXの鍵です。

企業が取り組むべき3つのDX -プロセスDX、ワークスタイルDX、ビジネスDX-

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採用DXとは

では、「採用DX」とは何でしょうか。採用DXとは、先ほどのDXの定義も鑑みると、「データやデジタル技術を用いて既存の選考フェーズや組織を変革し、優秀な人材を継続して確保すること」を指します。

対象となるのは「認知」「応募」「選考・内定」「入社・活躍」の各採用プロセスです。

採用DXの対象

既存の選考フェーズをデジタルに置き換えるだけではなく、「データやデジタル技術を用いた中長期的な戦略を立て、組織レベルで優秀な人材を獲得し、定着を推進する」という、広範なパースペクティブが求められます。

採用DXはCX(候補者体験)とEX(従業員体験)の向上が鍵

採用DXを実現させるために注力したいのが、「CX(候補者体験)」と「EX(従業員体験)」の向上です。

採用DXでは、CX(候補者体験)とEX(従業員体験)の向上により、

 ・採用候補者から選ばれる企業
 ・優秀な人材が入社し、はたらき続けてもらえる企業

になる構造をとっているからです。

採用DX=CX+EX

CX(候補者体験)とEX(従業員体験)とはどのようなものなのか、次に詳しく説明します。

CX(候補者体験)向上によって選ばれる企業になる

CXとは、採用候補者の体験(Candidate Experience)の略語で「採用候補者が企業のことを知ってから選考を終了するまでの全ての体験」のことです。

デジタル技術の普及やコロナ禍の影響から、オンライン説明会やオンライン会議ツールによるカジュアル面談など、従来の方法とは異なる採用方法が主軸になりつつあります。

例えば、説明会をオンライン化したことで、学生が自宅から参加できるため、参加ハードルが下がりエントリー数が増加した企業もあります。

一方で、各選考フェーズにおいて下記のような課題が生じています。

選考フェーズ オンライン化による採用課題の例
認知 ・学生、転職者向けの合同説明会やオフラインイベントが実施しづらい
・SNS等で、第三者によって企業にとって不利な評判が公開されてしまうことがある
・情報が一方通行となりやすく、手応えが感じられにくい
応募 ・候補者が多くの企業に応募しやすい反面、志望度がわかりにくい
選考・内定 ・面接のオンライン化により、双方の印象が伝わりづらい
・オフィス訪問を行えず、社内の雰囲気やはたらくイメージを伝えにくい
入社・活躍 ・インターンシップや内定者交流会といったイベントが実施できず、入社意欲が不安定になる
・リモートワークの場合、入社した実感が持ちにくい
・フォローアップやモチベーション維持、社内文化が浸透しにくい

これらの課題は、「オフラインで行っていた業務をそのままオンラインに置き換えたことによる弊害」と捉えることもできます。そのため、自社発信の記事や動画のコンテンツに投資するといった、採用CXの再設計が求められます。

オンライン時代の採用における新しい採用CXを設計することで、自社に強い採用基盤を作り「採用候補者から選ばれる企業」となることができます。

採用候補者に自社のファンになってもらう仕組みづくりは「採用マーケティング」と呼ばれています。以下記事で詳しく解説していますので、あわせてご参考にしてください。

関連記事「採用マーケティングとは?実践のためのステップを解説!」を見る

EX(従業員体験)向上によって、はたらき続けてもらえる企業になる

一方でEXとは、従業員の体験(Employee Experience)の略語であり「自社で従業員としてはたらく期間における全ての体験」を指します。採用とEX向上がどのように繋がるのか、不思議に感じる方もいるかもしれません。

もともと雇用の流動化、人手不足、働き方改革推進といった社会事情から、自社社員の満足度やエンゲージメント(=EX)を高める必要性が可視化されてきました。

ただし、採用DXにおいてはそれだけでなく、EX(従業員体験)はCX(候補者体験)の向上につながるものとしても捉え直されます。オンライン採用時代におけるCX向上には、自社情報の積極的な発信が欠かせません。このときEXが良いものであれば、社員や元社員のポジティブな発信やリファラル採用も期待できます。

EXはCXに影響する

つまり、EXが向上することによって自社の魅力が増すと、結果的にCXにも良い影響を及ぼすため、「優秀な人材が入社し、はたらき続けてもらえる企業」になるのです。

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採用DX実現までのステップ

では、採用DXを実現するまでにはどのようなステップを踏むべきなのでしょうか。ここでは、担当者が行うべきことを下記4つのステップに分けて解説します。

    1. 現状のCX(候補者体験)を整理する
    2. 理想のCX(候補者体験)を再定義し、採用活動の課題を抽出する
    3. EX(従業員体験)の課題を抽出し、施策検討する
    4. 施策を実施し、定期的に見直す

1現状のCX(候補者体験)を整理する

最初に現状のCXを整理しましょう。なぜなら、近年の市場の変化によって候補者のニーズや行動が変化している可能性があるからです。

例えば、候補者が自社を認知する方法は、従来は会社説明会が主軸でしたが、現在はオウンドメディアやSNSなど多くの選択肢があります。

まずは、4P分析STP分析といったフレームワークや手法を用いて現状のCXを整理しましょう。また、これまでの採用活動で蓄積したデータを揃えておくことも大切です。

2理想のCX(候補者体験)を再定義し、採用活動の課題を抽出する

次に、自社にとっての理想のCXを再定義します。このとき、キャンディデートジャーニーマップを用いると、候補者の視点や態度から自社の採用活動を見直すことができます。

キャンディデートジャーニーマップとは

候補者の行動や思考を感情の時間軸に沿って見える化し、情報収集から応募・入社の意思決定までのストーリーを設計する手法。候補者の心理や態度変容を整理することができるので、改善施策の優先順位付けに役立ちます。

そして、再定義したCXをもとに、

 ・どのような状態を目指すのか
 ・どのようなデータが必要なのか
 ・そのデータを取得する仕組みはあるのか

を整理し、施策を検討します。

このとき、デジタル化できるアナログ業務やビジネスプロセスが残っていないか確認し、残っていればアップデートし、効率化を図ります。改善サイクルをスピーディーに回すことを意識しましょう。

関連記事「採用業務を効率化する方法5選|今すぐ見直すべきポイント」を見る

3EX(従業員体験)の課題を抽出し、施策検討する

EXにおいても、アナログ業務やビジネスプロセスのデジタル化により、効率化が図ることができる領域が無いか検討します。

例えば、

 ・ミッション・ビジョン・バリューの見直し
 ・自社発信のコンテンツに繋がるユニークな取り組みの導入
 ・社員によるSNS・オウンドメディアを通じた発信

といった踏み込んだ施策が考えられます。EXの向上は企業ブランドの価値向上にも寄与します

4施策を実施し、定期的に見直す

CXの定義、EXの検討が出来たところで、最後に採用活動の仕組みをアップデートします。

・自動的にデータを分析するITツールを導入する
・自社採用ページを立ち上げて通年化した採用活動へ対応する
・自社コンテンツの充実を図り候補者との接点を増やす

アップデート後は候補者へのアンケートなどにより動向を確認しましょう。

採用市場の変化にいち早くキャッチアップするためには、定期的に候補者の動向を確認し、見直し・改善し続けることも必要です。

採用DXを成功させるポイント

採用DXの推進にあたり、「自社にDX推進のためのスキルをもった人材がいない」「セキュリティ対策に不安がある」といった課題を抱える担当者の方もいることでしょう。このとき、外部人材を活用することも一つの選択肢として考えられます。

パーソルホールディングスのDX推進に関する最新動向調査レポートによると、DX推進にあたり、全体の6割強の企業が外部人材を何らかの形で活用していることがわかっています。

調査データ
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外部人材を活用することで、業務効率化・自動化を促進し、コア業務に向き合う時間を創出することが可能になります

また、ITツールの活用も重要です。「HITO-Linkリクルーティング」は、膨大なオペレーション業務を自動化し、「採用そのものに向き合う時間」を創出するATS(採用管理システム)です。

 

採用管理システム

属人化しやすい採用活動を可視化し、蓄積したデータをもとにデータドリブンな採用を手助けします。

HITO-Linkリクルーティングで効率化できること

・候補者データの取り込み
・面接の日程調整
・メール管理
・紹介会社との連携
・進捗管理
・データ分析

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まとめ

急激な変化をもたらしたオンライン採用時代。場当たり的な対応だけでは歪みが生まれ、採用担当者の有限なリソースを非効率にしてしまいかねません。CX(候補者体験)とEX(従業員体験)の向上から採用DXを実現し、「候補者に選ばれ、優秀な人材にはたらき続けてもらえる企業」へと改革していきましょう。

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