2024年03月15日
2025年06月02日
DXを推進する上で、自社のビジネス改革を担うプログラマー人材の育成は必要不可欠です。プログラミング学習の効果を高めるポイントには、学習目的の明確化、ソースコードの読解力向上、期日設定、ピアラーニング、反復学習の実践があげられます。
しかし、従業員任せの学習、社内リソースだけを活用する学習では限界もあります。
本記事では、DX推進担当者が知っておきたい、プログラミング学習で得られるメリット、プログラミング学習におすすめのプログラミング言語や学習効果を高めるポイントについて徹底解説します。
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目次
現代のビジネスにおいて、プログラミングスキルを持つ人材はますます重要になっています。これは、DXが加速されるにつれて、プログラミングが必要となるためです。
経済産業省が定めた「デジタルスキル標準」の「DX推進スキル標準」にはDX推進に必要な人材類型が定義されています。
ソフトウェアエンジニアは「DXの推進において、デジタル技術を活用した製品・サービスを提供するためのシステムやソフトウェアの設計・実装・運用を担う人材」とされています。
インターフェース(フロントエンド)やサーバーサイド(バックエンド)の機能の最適化や、クラウドインフラの構築など、その領域は幅広くあります。そのため、ソフトウェアエンジニアとして活躍する人材の育成には、プログラミング学習が必須となるわけです。
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前章ではプログラミング学習が求められる背景を紹介しました。本章では、プログラミング学習を通したプログラミングスキルの向上で得られる3つのメリットを解説します。
プログラミングを習得することで、社内のIT部門が外部の開発会社に依存する必要がなくなります。これにより、企業は自社のビジネスニーズに合わせたソフトウェアを開発でき、内製化も推進されます。
社内でソフトウェア開発を行うことで、知識や経験を蓄積し、技術力を向上できます。さらに、自社内でソフトウェアを開発することで、開発プロセスをより効率的に管理できます。これは、外部の開発会社に依存する場合に比べて、コミュニケーションにかかるコストや時間を削減できるためです。
次章で紹介する学習におすすめのプログラミング言語を使用し、社内ソフトウェア、自社アプリ開発などが実現できます。
データ分析によって、企業が保有する膨大なデータから、問題点や改善点を抽出できます。そのため、業務プロセス改善においても、データ分析は非常に有効です。プログラミング学習によって、データ分析を行うスキルが身につけられます。
データ分析による業務プロセス改善のメリットは以下です。
データ分析によって、業務プロセスの中で無駄な作業や手順を発見し、削減できます。その結果、業務時間を短縮でき、生産性が向上します。
データ分析によって、人為的ミスを削減できます。例えば、手作業で行っていたデータ入力作業を自動化することで、入力ミスを防げます。
データ分析によって、業務プロセスの中で自動化できる部分を発見し、自動化ツールを作成できます。これにより、ニーズに合わせた自動化ツールを作成できます。
次章で紹介する学習におすすめのプログラミング言語の1種であるPythonは、データ分析に適したプログラミング言語です。
プログラミング学習によって、幅広い分野でプログラミングスキルを活用できます。例えばデータ分析、AI開発、Web開発、など分野は多岐にわたります。
データ分析においては、Pythonなどのプログラミング言語を使ってデータ分析を行い、それによって、企業が保有する膨大なデータから問題点や改善点を抽出できます。
AI開発においては、Pythonを使った機械学習やディープラーニングなどの知識が必要です。これらの技術を使って、音声認識システムなどを開発できます。
Web開発においては、JavaScriptのプログラミングスキルが必要です。また、Webデザイナーとしても、HTMLやCSSを使ったWebページの制作にプログラミングスキルが役立ちます。
プログラミング学習をするには、多数あるプログラミング言語の中から言語を選定する必要があります。ここでは、従業員に学習してもらう際、学習効果が高いおすすめのプログラミング言語としてPython、Java、JavaScriptの3つをご紹介します。
Pythonは、AI開発における機械学習やデータ分析でよく使われているプログラミング言語です。ビックデータから品質を左右する要因を突き止め、改善につなげるためのレポートを作成する業務などに使われています。
Pythonのシンプルな構文は、初心者が習得しやすく、様々な用途向けのライブラリ群が充実しているため、その適用範囲も広い点に特徴があります。
また、Pythonを使ったプログラミング教育の効果については、多数の研究が行われています。例えば九州大学では、Pythonを使ったプログラミング教育は、C言語を使った教育よりも効果的であることが報告されています。
Pythonは以下のような業務に活用されています。
Javaは、多くの企業での社内システムに使用されており、特にビジネスアプリケーションやWebアプリケーションの開発に適しています。オブジェクト指向言語であるため、大規模なシステム開発に用いられています。
またJavaは、学習効果が高い言語の1つです。オンライン上に多くのリソースがあり、学習に役立つチュートリアルやコースが豊富にあります。
Javaのメリットには、ライブラリやAPIが充実していること、自由度の高い実行環境、処理速度が速いこと、セキュリティ面が優れていることなどがあげられます。
Javaは、以下のような業務で活用されています。
JavaScriptは、Web開発において最も重要なプログラミング言語の1つです。JavaScriptを学習することによって、WebページやWebアプリケーションをより動的でインタラクティブに再現できます。
JavaScriptは、HTMLとCSSと共にWeb開発の3つの柱の1つであり、Web開発において必須のスキルです。JavaScriptは、シンプルな構文を持ち、初心者でも簡単に学べます。
またJavaScriptは、多くのWebブラウザでサポートされているため、Web開発者にとって非常に便利です。JavaScriptを学ぶことで、Web開発におけるスキルセットを向上できます。例えば、ReactやAngularなどのフレームワークを使用する際には、JavaScriptの知識が必要不可欠となります。
JavaScriptは、以下のような業務で活用されています。
なお、「業務に直結する「プログラミング言語」おすすめ5選をわかりやすく解説!」でも詳しく紹介しておりますので、併せて一読ください
従業員にプログラミングを学習させるだけでは、不明な点が出た際に誰かに質問する環境が無く、行き詰まりや挫折に繋がりやすい点に留意が必要と言えます。そこで本章では、事業や実務に活かせるプログラミング学習における、学習効果を高めるための4つのポイントを解説します。
プログラミング学習の目的を明確にすることで、社員(従業員)の学習の方向性を定め、効率的な学習が可能です。また、研修カリキュラムの設計によって、学習内容が体系的に整理され、学習者である社員(従業員)がスムーズに学べます。カリキュラムは、初心者から上級者まで段階的に構成することが望ましいです。
例えば、以下のような構成です。
初心者向け | 基本的なプログラミング言語やアルゴリズムを学びます。アルゴリズムとは、ある問題を解決するための手順や計算方法のことです。アルゴリズムは、プログラムの基礎となり、プログラムの処理速度やメモリ使用量に大きな影響を与えます。 |
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中級者向け | 実践的なプログラミング技術やフレームワークを学びます。アプリケーション開発でよく使う機能を準備しているのがフレームワークです。フレームワークを土台にすることで、システムに必要な固有処理を追記するだけでアプリケーションを構築できます。 |
上級者向け | より高度なプログラミング技術やアーキテクチャを学びます。アーキテクチャとは、ソフトウェアの構造や設計に関する概念です。アーキテクチャは、プログラムの基盤となり、プログラムの保守性や拡張性、再利用性などに大きな影響を与えます。 |
このように、明確な目的と適切なカリキュラム設計によって、プログラミング学習効果を高めることができるのです。
プログラミング学習者やプログラマーにとって、ソースコードの読解力向上は、非常に重要です。ソースコードを読み解くことで、プログラムがどのように設計されているのかを構造的に理解でき、実践的な技術力を養えます。
ソースコードの読解は、新しい技術をより早く習得することにも繋がります。そのためには日頃からソースコードを読む習慣が大切であり、まずは自分で書いたコードを読み返すようにしましょう。
自分で書いたコードであれば、どのような処理をしているか理解しやすく、読解力の向上に繋がります。また、他人が書いたコードを自分で読むことも有効です。他人が書いたコードは、自分で書いたコードと異なるアプローチや考え方があるため、読むことを通して新たな気づきと共に、知識や技術を学べます。
ソースコードに書かれたコメントに注目することも重要です。コメントは、コードがどのように動作するかの説明のために書かれているため、プログラムの動作を理解するヒントにもなります。
学習計画において、何をいつまでに終わらせるかの期日を設定することで、従業員の目標を達成する力が高められます。また、期日が迫ってくる状況下でアウトプットを行うことで、より効率的に学習できます。期日が設定されている場合、その期日までに目標を達成しなければならないため、自ずと責任感が生まれるでしょう。
ピア(peer)とは「仲間」という意味であり、ピアラーニングは、同じプロジェクト内のメンバーと一緒に協力しながら学習するスタイルのことです。書いたコードの相互レビューによってチーム内の意思疎通力向上に繋がります。
また反復学習は、同じ内容を繰り返し学習することで、知識や技術を定着させる効果があります。反復学習を実践するには、まずは基礎的な知識や技術を身につけることが大切です。基礎的な知識や技術を習得し、その内容を繰り返し学習することで定着させられます。
ピアラーニングと反復学習に共通して大事なことは、自主的な改善を評価し、賞賛する環境づくりを欠かさないことです。このような学習環境づくりが無ければ、従業員が継続して学習することは難しくなるでしょう。
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プロのキャリアコーチが受講者一人ひとりの理解度に合わせてフォローアップを行うため、着実に実践向けスキルを習得しながら継続して学習することができます。
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プログラマー人材の社内育成という課題が山積する現在、プログラミング学習効果を高めるには、自社のみで実現できることと、できないことを分けることが大切です。社内リソースのみで人材育成が難しければ、社外リソースの活用を積極的に検討することをおすすめします。