リスキリングでプログラミングを学ぶ方法|おすすめ言語と学習方法

デジタルの力で業務効率化やビジネスモデルの変革を目指すDX(デジタルトランスフォーメーション)。その推進に欠かせないのが、DX人材の育成です。なかでも実務に直結するプログラミングは、DXの実現に切り離せない分野となっています。

実際には、どのようなプログラミング言語習得に取り組む必要があるのでしょうか。本記事では、おすすめのプログラミング言語とDX人材を育成するポイントについて紹介します。

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推進や人材不足の深刻化など、企業を取り巻く環境が変化し続ける今、リスキリングが注目を集めています。

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目次

リスキリングでプログラミングを学習する前に習得したい知識

業務でプログラミングを行うにあたって、前提として持っておくことが重要となる知識・経験・スキルとして、ネットワーク、クラウドサービス、セキュリティの3つを紹介します。

ネットワーク関連

システムはインターネットと接続するものがほとんどです。そこでシステム開発においてもネットワークの知識・経験が重要となります。具体的には、TCP/IP、Bluetoothなどの通信プロトコル、LAN/WANの知識などです。

クラウドサービス関連

クラウドサービスとは、インターネット上で提供されるサービスの総称です。代表的なクラウドサービスには、AWS(Amazon Web Service)、GCP(Google Cloud Platform)があります。

プログラマーは、クラウドサービスを利用してシステム開発や運用を行うことがあります。そのため、クラウドサービスを扱うには、各サービスの特徴や仕組み、設定方法などを理解する必要があります。

セキュリティ関連

総務省の発表によると、サイバー攻撃関連通信数は、2018年から3年で2.4倍、2016年から5年で3.7倍に増加しており、多くの攻撃関連通信が観測されています。また、2021年に観測されたサイバー攻撃関連通信数は各IPアドレスに対して18秒に1回に相当します。新たなシステムがローンチされるたびに、その脆弱性を突く、新たなサイバー攻撃が出現します。

【出典】総務省 令和4年「情報通信に関する現状報告の概要ー第2部第7節 サイバーセキュリティの動向」より加工・作成

このようなサイバー攻撃の増加に加え、サイバー攻撃そのものが、複雑化かつ巧妙化していることもあり、企業にとって、サイバーセキュリティに関する対策は必要不可欠です。そのため、企業の外部・内部のセキュリティリスクを常に把握し、安全管理策をアップデートし、組織的・技術的な体制を整える必要があります。

リスキリングで学習したい「プログラミング言語」おすすめ5選

プログラミング言語とは、コンピュータに動作を命令するための言語です。プログラミング言語を活用することで、Webサイト構築や顧客データを高速で処理するなど、顧客のニーズに応えるシステム開発やサービス創出を実現します。

プログラミング言語は数多くあるため、どの言語を選択するかが重要です。プログラミング言語の選択時に着眼するポイントは、学習難易度、活用分野の幅などがあげられます。加えて、どのような業務に活用するのか、プログラミング初心者の習得スピードを重要視するのか、など目的に沿ったプログラミング言語を選定するのが最善と言えるでしょう。

ここでは、業務に直結する汎用性の高いおすすめの「プログラミング言語」を5つご紹介します。スクリプト言語としてPython、Ruby、JavaScript、コンパイラ言語としてC++、スクリプト言語・コンパイラ言語両方の特徴を持つ言語としてJavaをご紹介します。

1.Python

PythonはAI開発における機械学習やデータ分析でよく使われているプログラミング言語です。ビックデータから品質を左右する要因を突き止め、改善につなげるためのレポートを作成する業務などに使われています。

Pythonは例えば以下の業務に活用されています。

    • 自動車走行データを活用した安全運転診断スコアの開発
    • レコメンド / 検索アルゴリズムのプロダクト実装
    • 機械学習モデルの学習・評価に必要なログ設計

Pythonの特徴は、以下です。

    • ExcelやWordの操作:ExcelやWordなどMicrosoft社製品の操作の自動化が可能
    • ライブラリが豊富:機械学習やデータ分析の分野で多くのライブラリが提供されており、高度な機能を簡単に利用できる

2.Java

JavaはOSやハードウェアに依存しない、Webアプリケーション開発などに使われるプログラミング言語です。

Javaは例えば以下の業務で活用されています。

    • MA/CIM/CDP/CMS/BIなどのマーケティング変革に寄与する製品を用いた顧客の課題解決
    • 基幹業務システムの設計・開発・運用
    • 基幹業務Webアプリケーションの設計・開発・運用

Javaの特徴は、以下のようになります。

    • ライブラリが豊富:長年にわたって開発されており、様々な分野で使われているため、多くのライブラリが提供されており、高度な機能を簡単に利用できる
    • 処理速度の速さ:並列処理に対応しているため、速い処理速度が必要なソフトウェア開発に向いている
    • 大規模開発に向いている:大規模なアプリケーションの開発に適している

3.JavaScript

JavaScriptは、Webサイトの動作を記述するときによく使われるプログラミング言語です。

JavaScriptは例えば以下の業務で活用されています。

    • ゲームなど、エンタメコンテンツに特化したWebサイトの新規制作、運用
    • 動きのあるWebサイトの制作企画、デザイン
    • 顧客のプロダクト開発、ビジネスグロースの支援

JavaScriptの特徴は、以下です。

    • Web開発に欠かせない:Webブラウザで動作するプログラミング言語であり、HTMLやCSSと連携してWebページに動的な機能を追加できるため、Web開発に必須
    • 相互運用性:PHPなどのスクリプト言語とは異なり、JavaScriptは任意のWebページに挿入できる。また、JavaScriptはPerlやPHPなど他のプログラミング言語でサポートされているため、さまざまな種類のアプリケーションで使用できる
    • 拡張機能:開発者がJavaScriptのスニペットを書くことで、Webページの機能を拡張できる

4.Ruby

Rubyは数少ない日本国産のプログラミング言語です。Ruby on Railsフレームワークが有名で、Webサービス構築において、幅広く使用されています。

Rubyは例えば以下の業務で活用されています。

    • 製品仕様に沿って必要なメトリクス情報を簡単に作成できるツール開発
    • 開発チームからの要望に応じた機能を提供するツール開発
    • AIを活用した国内DXを牽引するプロジェクトでのWebアプリケーション開発

Rubyの特徴は、以下です。

    • 開発工数を抑えられる:Rubyは高い生産性を持つ言語であり、少ないコード量で多くの機能を実現できる。また、Ruby on Railsというフレームワークを使うことで、開発にかかる工程を大幅に削減でき、開発効率を高められる
    • 豊富なライブラリとGem: Ruby on Railsに加えて、多くのサードパーティのライブラリやGemが存在し、プロジェクトの目標達成に役立つ

5.C++

C++は実行速度の速さが特徴で、組み込みソフトウェアの開発でよく使われるプログラミング言語です。

C++は例えば以下の業務で活用されています。

    • ロボット関連ソフトウェアの開発
    • 画像処理アルゴリズムの検討、プログラミング
    • 製品開発、生産に必要となる評価ソフト・治具ソフトの開発

C++の特徴は、以下です。

    • 実行速度が速い:C++はコンパイラ言語であり、機械語に変換されて実行されるため、実行速度が速い
    • 多くの分野で活用できる:汎用性が高く、ゲームやアプリ、組み込みシステムなど、多くの分野で開発できる
    • ポータビリティ:ハードウェアに依存せずにソースコードを記述できるため、異なるプラットフォーム間での移植性がある
    • 標準ライブラリ:豊富な組み込みライブラリが用意されており、ソフトウェア開発を迅速化し、少ないソースコードで多くのことができる

リスキリングでプログラミングを学習するためにおすすめな方法

社内でプログラミング言語の学習を進める上でのおすすめ学習方法を紹介します。1つが資格で、各種プログラミング言語に応じたものがあります。2つ目が社内のリソースを活用した社内研修です。

資格取得

本記事で紹介したプログラミング言語の習得におすすめの資格は以下です。資格取得することで、各プログラミング言語の最低限押さえておくべき基礎知識を網羅的に習得できているかの判断指標にできます。

Pythonエンジニア認定試験

Pythonエンジニア認定試験は、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が実施している民間資格です。この試験は、Pythonの基礎的な文法を理解しているかが問われる試験で、以下の2つの区分に分かれています。

①Python3エンジニア認定基礎試験:Pythonの基礎的な文法やプログラム作成能力が問われます。
②Python3エンジニア認定データ分析試験:Pythonを用いたデータ分析の基礎や分析方法が問われます。

Javaプログラミング認定試験

Javaプログラミング認定試験は、サーティファイ情報処理能力認定委員会が主催する資格試験です。この試験は、Javaの知識とプログラミング作成能力を認定するために行われます。Javaプログラミング能力認定試験は3つの級(3級、2級、1級)に分かれています。

Webクリエイター能力認定試験

Webクリエイター能力認定試験はサーティファイ情報処理能力認定委員会が主催する資格認定です。レベルに応じてスタンダード(初級レベル)とエキスパート(初級・中級レベル)の2つの試験区分が用意されています。

Ruby技術者認定試験

Ruby技術者認定試験は、Rubyベースのシステムを設計、開発、運用するエンジニアなどを対象とした認定試験制度です。認定者は高い水準のRubyによるシステム開発能力を持つことを認定されます。

C++Certified Associate Programmer(CPA)

C++Certified Associate Programmer(CPA)は、C++ Instituteが認定するC++の基礎知識を有することを証明できる資格です。具体的には、C++の構文とセマンティクス、基本的なデータ型などの知識が問われます。

社内研修

社内でプログラミング言語の習得を進めるために、専門の講師や教材を用意して研修を行う方法です。社員(従業員)のレベルや目的に合わせてカスタマイズできるメリットがある一方で、費用や時間の調整、社内での講師人材確保が必要です。

社内研修を行う方法には、内部だけで企画する方法と、外部リソースを活用する方法の2つがあります。それぞれについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

内部だけで社内研修を企画することも不可能ではない

内部だけでプログラミングのリスキリングを目的とした社内研修を企画することも、不可能ではありません。その際には、以下の3ステップで実施するとよいでしょう。

    1. 動画やeラーニングなどで、プログラミングの全体像をつかむ
    2. 入門書や技術書を参照しつつ、自ら手を動かしてプログラミングを行ってみる
    3. プログラミングによって、実際の業務に活用できるシステムを開発してみる

このように内部だけで社内研修を企画すれば、費用は安く抑えられます。ただ、講師役の従業員は他にも業務を抱えていることがほとんどです。また、講師役自身がプログラミングやその教育について、あまりノウハウがないこともあるでしょう。

したがって、内部だけでは効率が悪く、挫折するリスクが大きくなります。また、プログラミングを実務で使えるようになるまでには、時間がかかることになるでしょう。

実際に、プログラミングスクールを運営する「株式会社SAMURAI」の調査によると、未経験からプログラマーになるまでの平均学習時間と期間は、以下のとおりでした。

独学 学校・プログラミングスクール利用 備考
学習時間 5時間30分 3時間30分 2時間短縮
学習期間 18.3ヶ月 15.1ヶ月 3.2ヶ月

この調査結果からも、外部リソースを上手に活用すれば、独学よりも短期間で実務に使えるレベルにプログラミングスキルを高められるとわかります。日々業務で忙しい従業員にとって、時間は重要なリソースであり、多少の出費があっても時間は節約する価値のあるものではないでしょうか。以上より、プログラミングのリスキリングを行うには、基本的に外部リソースの活用がおすすめと言えます。

出典:【調査レポート】現役エンジニアに聞いた。エンジニアになるまでの1日の平均学習時間と学習期間を発表

効率的なリスキリングには外部リソースの活用がおすすめ

社内でのプログラマー人材育成には、より効果的な研修プログラムを採り入れていく必要があります。その際、社内のみで講師を確保することが課題となりえます。また、外部の専門講師を招くにも、費用やスケジュール調整が必要です。

そのため、社員(従業員)がプログラミング言語を学び続ける環境の維持には、企業の支援体制が重要となります。それらの環境を実現するには、外部リソースを上手く活用することが望まれるでしょう。

最近では、リスキリングに関係する補助金も出てきました。以下に出典として紹介した厚生労働省や経済産業省の制度以外にも、さまざまな自治体や団体がリスキリングを行おうとする企業向けに補助金を出しています。プログラミングスクールや外部講座などを活用する際には、それらの補助金も活用できないか、チェックしてみましょう。

出典:雇用・労働教育訓練給付制度(厚生労働省)
出典:リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業(経済産業省)

【無料DL】リスキリングの実態調査レポート

パーソルグループでは、660名を対象にリスキリングの実態調査を行いました。企業のリスキリング実施率から対象部門、成果実感まで詳しく解説しています。

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リスキリングでプログラミング研修を実施したい企業におすすめ!Reskilling Camp「プログラマー道場」で養われる4つの力

前章では、プログラミング言語の学習方法をご紹介しました。習得のスピードアップするために、おすすめしたい研修プログラムのひとつとして、Reskilling Campが提供する「プログラマー道場」をご紹介いたします。

今やあらゆる業界でDXが求められていますが、DXの成功には、以下の3つが必要です。

    • 成長を目指し続けるマインド
    • チームでの開発力
    • 業務や工程における改善活動

しかし、多くの企業では従業員に対し上記3つを高めるための教育には十分手が回らっていません。そのため、必要な人材育成が進んでいない現状があります。ここで必要になるのが、自走力のある人材です。プログラマー道場では、自走力のある人材を育成します。

プログラマー道場で養われる4つの力は、技術力・実現力・コミュニケーション力・改善力です。

技術力:実践的なコードを書く力です。数千行のコードを書くトレーニングによって力を養います。
実現力:納期までにアウトプットできる力です。課題ひとつ一つの納期設定によって力を鍛えます。
改善力:読みやすいコードにするための改善力です。チーム活動で改善にこだわる姿勢を培います。
コミュニケーション力:チーム内でのコミュニケーションに必要な意思疎通力です。記述したコードを相互にレビューしあうことで力を高めます。

<Reskilling Camp>の「プログラマー道場」は、上記4つの力が養われることで、DX時代に評価される自走できる人材を生み出す学習プログラムです。<Reskilling Camp>では、一流のエンジニアがトレーニングプログラムを設計し、コーチとして伴走します。さらに定めたルールに沿って学びを進めることにより、学習終了後も継続できる自走力が養われます。

まとめ

DX人材の育成は、DXの推進に欠かせない要素です。実務に直結するプログラミングは、DXの実現に切り離せない分野となっています。

そこで本記事では、その中で、今回は業務に直結する主要なプログラミング言語のおすすめ5つと、おすすめ学習方法をご紹介しました。とりわけ変化のスピードが速い時代においては、社内だけでなく外部のリソースを活用した学習方法の設計と実践がおすすめです。

パーソルイノベーションが提供する「リスキリング キャンプ(旧学びのコーチ)」は法人向けリスキリング支援サービスです。デジタル人材育成におけるスキル面・マインド面の課題に対して、企業にフィットしたカスタマイズカリキュラムと独自の学習伴走メソッドを用い、各企業のリスキリング施策を成功に導きます。ぜひお気軽にお問い合わせください。

DX人材育成に必要な新規スキルの習得と定着を支援する「リスキリング キャンプ

パーソルイノベーションが提供する「リスキリング キャンプ」は、オンラインコンテンツを活用し、学習目的に応じたカリキュラム設計と、継続可能な学習につなげるための学習伴走を行う法人向けDXラーニングサービスです。学習者の現在のスキルレベルと目指すスキルレベルを考慮して到達レベルを設定し、個別最適化したカリキュラムの設計を可能にします。さらに、学習する動機付けや今後の目標などを踏まえた学習計画を支援するキャリアコーチ、そして専門的な内容を担当するテクニカルコーチが、学習者の学びをサポートします。
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企画・編集/パーソルイノベーション株式会社 リスキリングキャンプ コラム編集室 三浦 まどか