MS&ADインターリスク総研、社員のウェルビーイング推進のカギは、ふとした会話の積み重ね【後編】

MS&ADインターリスク総研株式会社は、保険会社が中核となったMS&ADインシュアランスグループに属し、リスク関連サービス事業の中核としてコンサルティングによる企業経営サポートをしています。

お客さま企業・自社双方にウェルビーイング経営を伝え、推進している同社。その旗振り役であるリスクコンサルティング本部 企画室 兼 総合管理部 人事グループ部長 主席コンサルタントの森本さんに、社内向けの施策について、またその成果を伺いました(※以下敬称略)。

MS&ADインターリスク総研が再定義し広める「ウェルビーイング経営 」【前編】

プロフィール:

MS&ADインターリスク総研株式会社
リスクコンサルティング本部 企画室 兼 総合管理部
人事グループ部長
主席コンサルタント
森本 真弘

2017年よりMS&ADインターリスク総研株式会社に立ち上がったヘルスケア関連サービスを所管する「健康・医療サービス開発室」に配属、健康経営に取り組む企業の支援、また自社での取り組みに着手する。企業価値向上をゴールとして目指す「健康経営」の本質を伝え続け、現在は「ウェルビーイング経営」と称して、社員のWell-beingを高め、企業価値を向上させる経営戦略の担い手となる。

この記事でわかるポイント

  • MS&ADインターリスク総研株式会社は社員の多様性理解を深めるため、部門横断の交流機会を重視しています
  • 趣味を語る「My Favoriteランチ会」や社長とのテーマ対話などを実施しています
  • 若手主体でサンクスカードの仕組みを社内開発し、感謝を送り合う文化を醸成しています
  • 一人ひとりが自分のWell-beingを考え、語れる風土を目指しています
  • うまくいかなかった施策も学びとして捉え、「まずはやってみる」姿勢を大切にしています

「やってみよう」が育むWell-being

――貴社内でウェルビーイング経営を広めるにあたり、成果が出た取り組みについて、教えてください。

特に、社員同士のコミュニケーション施策には力を入れてきました。コンサル業界特有の課題かもしれませんが、お客さまの要望にお応えすべく常に時間に追われながら忙しくしている傾向が強く、担当領域も縦割りとなりがちで、部門間の交流や複数の部門をまたいで顔を合わせる機会は多くありません。仕事上の交流がないと同じ社内でも人とのつながりが拡がりづらいと感じます。同じ会社で一緒にはたらくメンバーのことを理解せずに「多様性の尊重(コアバリュー)」を掲げても、ただの理想になってしまいます。そういった思いから、まずお互いを知る機会を増やしていくことが第一歩だと思っています。

一例として、「My Favorite ランチ会」があります。お昼の時間帯にお弁当を持って会議室に集まり、登壇者の話をご飯を食べながら聞くイベントです。テーマは最近自分がハマっていることや趣味など、仕事から離れたテーマで喋ってくださいとお願いしています。社長も登壇したことがあるのですが、社長の話を聞きながらみんなご飯を食べているというラフさも“いい感じ”を醸し出していると思います。口頭発表でも構わないのですが、日々の仕事で忙しいにも関わらず、がっつりとプレゼン資料を作ってきてくれる社員が多いですね(笑)。「好きなこと」にはパワーが出るんだなと改めて実感します。リアル参加とオンライン参加を合わせて最大70人が一同に会する機会となっています。

そのほか、社長が主催する「フランクミーティング」で社長と直接話せる機会が設けられたのですが、全社員との対話が一周したタイミングで少し趣向を変えて続けてみようとなり、毎回話し合いのテーマを決め、そのテーマについて社長と語り合いたい人に集まってもらうという企画も行いました。ちなみに初回のテーマは「自分が社長だったらイの一番に実施すること」でした。

また、導入している企業も多いと思いますが、「サンクスカード」の取組みも行っています。当初は外部システムを導入しようと考え、予算手当もしていたのですが、若手社員たちが「僕たちが作ります」と申し出てくれて、社内のプラットフォームで簡単に感謝や「いいね!」が送れる仕組みを作ってくれました。

さらに、年末行事として恒例化しつつあるのが「リアル脱出ゲーム」です。コロナ禍が去り、リアルで一同に会する機会をということで発案されたのですが、チーム編成を会社側で決め、普段接点のない社員同士を同じチームにして、老若男女入り混じるような形で開催します。これによって、普段話したことのない人たちに接点が生まれ、ゲームの過程では若手の発想の柔軟さとは対照的に、「老」社員が何もできずにただ舌を巻いているだけといったシーンも多々見られました(笑)。世代・性別を問わず一人ひとりの個性が活かされ、発揮されてこそ、課題解決に近づける!といった「多様性尊重(当社コアバリューの一つ)」の重要性を改めて植え付ける効果もありましたね。

――反対に、あまり成果の生まれなかった施策もありますか?

そうですね。交流の場・お互いを知る場を増やそうと取り組みをしてきた中で、コミュニケーションスペースに設置したコーヒーメーカーは、苦い結果になりましたね(笑)。本来は「ちょっと一緒にコーヒー飲もうよ」「隣の席でコーヒー飲んでもいい?」というきっかけからイノベーションの種になるようなコミュニケーションが生まれることを期待していたのですが、導入時期がコロナ禍で、飲食しながら会話することが躊躇われる時期だったこと、日常の忙しさも相まって、ついつい自席に持ち帰って飲むことが常態化してしまい...。でもこれも、やってみての学びですよね。この気づきを踏まえて、新たな施策に繋げられたらと思っています。

出会い頭にふと会話が生まれる、その瞬間を積み重ねて

――取り組みの成果のその後について、教えてください。

イベント自体が盛り上がることはもちろん嬉しいですが、その後、参加した社員どうしが廊下ですれ違った時に短い会話を交わすようになり、「あの企画、メチャメチャためになりました」と声掛け頂く機会が増えることがそれ以上に嬉しいですね。My Favoriteランチ会で、とある女性社員が、学生時代に自分でもプレイしていたくらい「野球が大好き」という内容をプレゼンしてくれたのですが、そのプレゼンを聞いていた野球好きの社員たちで「じゃあ野球一緒に見に行こう!」と盛り上がって、観戦会が企画されたこともありました。

ガーデニング好きが高じて、それまで大好きだった旅行に行けなくなったとプレゼンした人もいましたが、その後「オフィスの観葉植物が元気ないんだけど、対処法を聞いてみよう」とその社員が頼りにされる機会・会話が生まれたこともあります。そうした新しい交流が生まれるきっかけになっています。

ウェルビーイングという言葉は今や口にしない人を見つけることが難しいほどに広がっています。しかし、その捉え方はまちまちですし、何をウェルビーイングと感じるかも、人それぞれだと思います。当社では、まず一旦は、前野先生の「4因子」を踏まえた「幸せ」であり、「社会的健康」が高まった状態、と捉えてもらうことでよいと考えています。その上で、一人ひとりが自分のウェルビーイングを口にし合い、意見し合う、有識者のお話しを聞くなどしながら、軌道修正もしつつ、自身にとってのウェルビーイングを固め、追求していってもらえばよいと思っています。委員会では、ウェルビーイングに関わる有識者のお話しを伺う機会も設けています。また、徐々にですが、委員会が企画する取組みではなく、社員任意の企画や各組織での自主的な取組みが見られるようになってきました。文化・風土として定着しつつあることの現れだと嬉しく思っています。こうした取組みを通じて、主体性が発揮され、自己効力感も高まり、社内での多様なつながりや居場所が作られ、「この会社ではたらけて幸せだ」「何だかやる気が湧いてくる」と実感してもらうことが重要ですので、一つひとつ積み上げて行きたいと思っています。

――最後に、ウェルビーイング経営を推進し続ける秘訣を教えてください。

ウェルビーイングを推進する担当者が持っていて欲しいのは、「ウェルビーイングが社員にも企業にも必要なのだ」と信じる熱い想いと、それを伝え続ける努力。そして、「やってみよう」の気持ちだと思います。社内で広く展開し、社外にも公開するとなると、ネガティブな反応が気になってしまいますし、実際にそのような声も聞こえてきます。ですが、あれこれ気にし過ぎてしまうと、無難すぎるカタチだけの取組みになったり、具体的な行動・施策に移せなくなってしまいます。お客さま企業へコンサルティングを提供する場合も、具体策に落とし込み、実行動に移せる取組みでなければ、意味がありません。社内での取り組みはその試金石にもなると思っていますので、少し思い切った取組みであっても、まずは実行に移し、軌道修正が必要になれば速やかに切り替え、うまく行かないときには反省して次につなげれば良いのだと思っています。少し思い切ったくらいの取組みを、まずやってみて手ごたえを確かめ、振り返り、またやってみての繰り返しの中で、ウェルビーイングを実感する、或いはその意義を感じ取ってくれる社員を一人でも増やしていこうとする前向きな姿勢、多少批判的な声があってもめげないマインドが重要だと思いますね。そのためにも、社外を含めて、同じ志を持つ方々を見つけ、つながりを持っておくことは意識した方がよいと思います。

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