2023年08月07日
2023年10月11日
社内DXとは、社内のアナログデータをデジタル化したり、デジタルを使って業務プロセスを変革していく取り組みです。社内DXは、多くの業務を抱える大企業において特に効果的であり、業務改善一つでも経営へ大きな影響を与えます。
本記事では、社内DXについて具体的な進め方や成功のポイントを紹介します。他社の事例も合わせて解説するため自社のDX計画の参考としてください。
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自社機能や仕組みのDX化に取り組む企業が増加していますが、推進するにはいくつかのポイントを押さえることが大切です。
・DXが社内で推進できていない
・DX推進施策や効果について詳しく知りたい
そのような方に向けて、【DX推進を成功に導く人材採用・人材育成・組織設計と成功事例】を公開しています。
社内のDX化にお悩みの方はぜひご活用ください。
目次
社内DXとは、デジタル化によってバックオフィス業務を効率性や生産性を向上させ、組織全体の体制やはたらき方を変革する取り組みを指します。
具体的な例としては、経費精算や契約書管理、人事、顧客管理などの業務をAIやRPA、クラウドサービスなどを活用して効率化する取り組みが挙げられます。自動化による省人化やヒューマンエラー削減が図れるほか、データの一元管理による無駄の縮小や、業務を無人化することによる生産性向上も実現できます。
そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、組織がAIやIoT、ビッグデータなどの先端IT技術を活用してビジネスモデルや組織を変革し、競争力を獲得する取り組みを指します。この変革の範囲は社外向けのサービス・製品だけでなく、直接顧客とは関係しないバックオフィス業務にも及びます。
社内DXは企業におけるDX取り組みのうち社内に限定したものを指し、主にバックオフィス業務を変革することで、生産性の向上や効率化を目指します。そもそもDXとは何か、全体像や取り組み内容を確認したい方は以下もご覧ください。
社内DXが必要とされる理由はいくつかありますが、デジタル変革により全社的なDXの足掛かりになることと、経営へ与えるインパクトが大きいことが大きな理由として挙げられます。またBCP対策になる点も、企業で社内DXが必要とされる理由のひとつです。
DXはビジネスモデルや組織を変革して競争力を獲得する取り組みですが、対象範囲が広く具体的な施策がイメージしにくいと感じる人もいます。社内DXがめざす業務効率化や生産性向上は、ツールの導入やアナログ作業のデジタル化など、手段や効果がイメージしやすく、手を付けやすい領域です。
全社的なDXと社内DXは異なるものではなく連続した取り組みです。まず社内DXの実践に取り組むことで、実績を積み上げ競争力を獲得した先に、顧客や取引先をも含めた全体的なDXへと発展させることが可能です。
社内DXによる改革は、企業規模が大きいほど経営へのインパクトは増加します。理由としては、大企業は中小企業と比較し、業務数や業務に携わる従業員数が多いため、業務プロセスの改善が経営へ影響しやすいことが挙げられます。
例えば、交通費精算業務におけるチェック作業をRPAの導入により自動化した場合、大企業であれば数万人分の作業が削減できるため、莫大な時間削減効果が生まれます。
業務に必要なデータをクラウド上で一元管理したり、オンライン会議システムおよびチャットツールを導入したりするなど、社内DXを推進することは、そのままBCP対策につながります。
大規模な自然災害や事故が発生した際に、事業を中断させない、または中断した場合でも早急に復旧を行うための計画をBCP対策と呼びます。浸水による装置故障や建物の破損といった目に見える被害だけでなく、出勤が困難になったことにより事業継続できなくなるケースもあり、適切な対応を取ることが必要です。
社内DXを円滑に進めるためには、プロジェクト計画の策定が必要です。計画に沿ってプロジェクトを進めることで、時間やコストのムダを省き、スムーズに進めることができます。具体的には以下のような6つのステップで計画を作成していきます。
はじめに「なんのために取り組むのか」「実現すればどのような効果があるのか」など、社内DXの目的を明確にします。めざす目的や目標を決定し、経営層、IT部門、業務部門で共有することで、社内DXに対して共通認識を持ち、齟齬が起きるのを防ぎます。
社内DXを進める前に、どの部門、どの業務に影響が生じるのかを洗い出し、プロジェクトの対象範囲を決定します。これにより取り組む範囲が明確になり、不要なタスクの発生によるプロジェクトの遅延や肥大化を防ぎます。
次にスコープに対して、社内DXに対する期待や意見を収集・確認します。現場から収集した要求事項を一覧化し、要求事項の重要度に沿って優先順位を決定します。また要求事項では、すべての業務要件・システム要件を取り込む必要はありません。網羅的に一覧化できるようにすることが重要です。
自社の業務プロセスや使用しているシステムに対して現状把握を行って全体像を明らかにします(As Is)。そして現状の課題を整理したうえで、目指すべきシステムの全体像や構成、それにより業務プロセスがどう変わるかを明確にします(To Be)。
前ステップでめざすべき姿と現在の状況から、両者の差分を明確にします。その上で、どのようなシステム・ツールを導入すればよいのか具体的なシステム構成をハードウェア、ソフトウェア、通信環境といったところまで検討します。
具体的なシステム開発の内容や、作業工程・スケジュールを決定します。社内にシステムを導入する際に、どのような段取りで現場に入れていくかも併せて検討します。
社内DXを成功させるためには経営層と現場で取り組むなど、いくつかポイントを踏まえる必要があります。ここでは抑えるべきポイント3つを紹介します。
社内DXを成功させるためには、経営層と現場の双方を巻き込む必要があります。各部門の取り組みが欠けてもうまくいきません。経営層と現場がそれぞれの役割を果たすことが不可欠です。
例えば、経営層は、システム刷新の重要性やDX人材の確保・教育コストなどの投資に対して正確に理解することが重要です。その上で、テクノロジーを活用した将来のビジョンを示すことが求められます。社内DXによりどのような効果があるのかを具体性を持って伝えることも必要です。明確に示すことにより、IT部門や業務部門はビジョンを実現するための取り組みがしやすくなります。
一方現場は、社内DXの意義や重要性を理解した上で、確実に遂行することが求められます。マネジメント層は、経営層と現場担当者との間をつなぎ、日常業務に支障がないようにしながら新たなシステム・ツールを導入できるように配慮します。
AI時代を勝ち抜く高度IT人材の強化と非IT人材へのリスキリング戦略
Chat GPTの急速な普及で、AI活用が非常に身近なものになってきました。データとデジタル技術の戦略的活用が、生産性向上のみならず企業価値の創造にも大きく寄与します。
企業としてこうした変化に対応していくためには、全社DX(全社単位でのデジタルトランスフォーメーション)を進めていく必要があります。
本冊子では、全社DXの過程で生じがちな人材面の課題として、非IT人材のリスキリングと高度IT人材の強化について取り上げました。
取り組む際のポイントや事例についてご紹介しています。全社DXを進めるうえでの一助となれば幸いです。
社内DXを実施する前に、業務プロセスの整理を行いましょう。規模が大きな企業では、各部門が独立して連携がとれていない「組織のサイロ化」や、部門ごとにシステムを導入する「IT環境のサイロ化」が起こりやすくなります。サイロ化が発生してしまうと各部門間での連携が十分に行われないため、業務効率の悪化やコスト増加などの問題が発生します。
また、限られた範囲でDXを行う「スモールスタート」は、導入ハードルが低く柔軟に対応できるメリットがありますが、大企業では業務がかえって複雑化してしまう可能性もあります。
例えば、営業部門でクラウド型の契約書管理システムを、経理部門で請求書発行用のシステムを導入するといったケースがあります。各部門の業務効率化は実現しますが、全社的な視点で見るとシステム同士の連携が取れず、システム間でデータを転記する作業が新たに発生してしまい、逆に業務効率の低下を招く可能性があります。
このような問題を防ぐためには、個別最適でシステムを導入するのではなく、全体を俯瞰したうえで最適なシステムを選定します。まず全社で業務の棚卸を行い、体系的に業務プロセスを整理して課題を洗い出します。そして、明らかになった課題に対してシステム導入を検討することが重要です。
DX推進に関する最新動向調査レポート~企業規模別・担当業務別に見る課題と取り組み実態~
パーソルグループでは、経営・人事・IT担当者1500名への調査を行い、 企業のDX推進に関する課題と取り組みについて回答をまとめた 【DX推進に関する最新動向調査レポート】を無料で公開しています。
近年多くの企業で活発化している「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」推進のためのご参考にしてください。
社内DXを推進する際、事業部門とIT部門でのデジタル知識の違いが大きいと、十分な意思疎通が困難になることが想定されます。そこで、円滑なコミュニケーションを図るためにも各部門担当者のリテラシーを高める必要があります。
リテラシーに差がある状況下では、業務プロセスの可視化スキルやデジタル化による課題解決力を持ち、十分に活用できる人材が不可欠です。デジタル人材を育成する仕組みを持たない場合は、社内でデジタル技術に関心がある人材を選抜し、教育を行う方法があります。経済産業省が公表しているDXリテラシー標準に基づいて教育プログラムを提供するのも良い方法です。
業務部門の担当者は、技術の専門家である必要はないものの、技術の価値を理解して、技術がビジネスの課題解決にどう役立つのかを理解する力が必要です。
【DX人材育成】DXをリードする人材を育成するポイントとは
多くの企業においてDXが推進されていますが、DX人材の採用市場は競争が激しいため、推進できるスキルを持った人材を社内で育成する企業が増えてきています。
本資料では、DX人材を社内で育成する際のポイントや準備すべきことについてまとめました。
DX人材の不足にお悩みの方はぜひご覧ください。
社内DXの成功事例として経済産業省が公表している「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」のうち、社内DXに取り組む2社の事例を紹介します。また、事例において成功となったポイントも解説しますので、自社の社内DXの計画の参考としてください。
カメラや事務機器製造から始まったリコーは、ものを製造する会社から“はたらく”を変革するデジタルサービスの会社への転換をめざしDXを推進しています。同社ではAIを重点強化技術と位置づけトナー工場に導入、従来熟練技術者が行っていた品質管理やデータ制御を自動化し、生産性を2倍にしただけでなく、不良品発生率を低減しました。
社内DXのポイントは、業務においてAIを十分に活用できるように生産技術者がAI技術を習得することからスタートしたことにあります。これによりAI導入で失敗しがちなAI技術者の業務知識不足という根本的な課題を解決しました。
タイヤ事業をコア事業とするブリヂストンでは、「2050年、サステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社へ」というビジョンを掲げ、DXに取り組んでいます。
同社では、高速度現象の可視化や計測技術を強みとするノビテックと共同で、熟練のスキルが必要な航空機用タイヤと建設・鉱山車両用タイヤの製造に対してIT技術を活用した技能伝承システムを開発しました。これは、熟練技能員が長年の経験によって培ったタイヤ成型に使われるゴムに関するノウハウをAIで定量化し、見える化したものです。これにより生産性向上や高品質な商品の安定供給を実現しています。
ポイントは、AI活用により各従業員が個人で持っている業務に関する知識を言語化し、全体で共有できるようにしたことです。これにより言語化するのが難しかった匠の技を、技術として確実性を持って効果的に継承できるようになりました。
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社内のDX化にお悩みの方はぜひご活用ください。
社内DXの推進は、効率性や生産性を高める手段としても、また組織全体のDXを実現するための第一歩としても重要なプロセスです。しかし正しい戦略を描けずに見せかけで終わってしまったり、短期的に効果を求めるあまり各部門が拙速にツールを導入して結果的に効率を落としたり、セキュリティリスクを増大させたりする問題が起こるケースも見られます。
着実に社内DXを実現するためには、決められたビジョンを実現するための手段として社内DXを位置づけ、全社でゴールに目指して取り組むことが必要です。本記事で紹介した成功のポイントを押さえて、自社の社内DXに活用していただければと思います。
パーソルイノベーション株式会社
『Reskilling Camp(リスキリング キャンプ)』(旧:学びのコーチ)事業責任者/Founder
柿内 秀賢
法人向けリスキリング支援サービス『Reskilling Camp(リスキリング キャンプ)』(旧:学びのコーチ)事業責任者としてリスキリングを支援。
自身も人材紹介事業の営業部長から、オープンイノベーション推進部立ち上げやDXプロジェクトの企画推進、新規事業開発を担う過程にてリスキリングを体験。