企業成長の躍進はマネジメントから。新任マネジャーの第一歩を支援する「マネジャーになる研修」とは

どの会社にも存在している「マネジャー」層は、組織の成長には欠かせない存在です。その活性化はどの企業にも普遍的な課題であり、様々な育成策が行われてきました。しかし、昨今はマネジャーに求められることが増え、その変わるマネジメントの在り方に企業としての育成も難しくなってきています。そこで、今回は最も重要だと言われるマネジャーへの移行期に何をなすべきかについて、改めて注目しました。

【最新調査】組織マネジメントの実態レポートをご覧いただけます

人材やはたらき方が多様化し、「組織マネジメント」の重要性が高まっています。

パーソルグループでは、管理職および一般職1,000名を対象に調査を行い、 【組織マネジメントの実態調査レポート】を作成いたしました。

採用・離職、上司・部下の認識ギャップ、キャリアなどに焦点を当て、 組織マネジメントにおける課題や取り組みについてまとめたものです。

組織作りやマネジメントに課題を抱える経営・人事の方、管理職の方のご参考になれば幸いです。

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組織の要であるマネジャー層が抱えている課題

まず、現在のマネジャーはどのような環境下に置かれているのでしょうか。

部門管理にも自身の業務にも追われるマネジャー層は、どの会社でも多忙な日々を送っています。また近年では働き方改革・ハラスメントなどの法遵守・ダイバーシティ対応なども全て「マネジメント業務」として中間管理職が担っており、負担は増す一方です(パーソル総合研究所「中間管理職の就業負担に関する定量調査」2019)。人手不足や業務増加を背景に自身の業務や後任・部下育成に手が回っていない実態が明らかになっています。

企業の抱える課題例

さらに部下育成に時間が取れない中、「部下との世代間ギャップによる意思疎通」に関する難しさがマネジメント業務の困難さに拍車をかけています。役職定年や再雇用により年上部下が増えたことなど、部下との付き合い方も多様化しており、悩みも増しているようです。

一方、部下が自身に求められていることをきちんと理解し、積極的に行動してくれれば、マネジャーの負担感は軽減します。部下の積極的行動を引き出すことができるマネジメントこそ、マネジャー自身の負担感を減らすことにも繋がるとの結論が出されていました(HITOレポート2020.1 vol.14「中間管理職の受難」)。

そこで求められるのは、「信頼・承認のマネジメント」です。部下を信頼し、目指す方向性をきちんと共有し、能力発揮を支援し、さらに適切な評価をすることで、積極的に部下が動く状況をつくりだします。

「私が目指している方向に部下が動いてくれない」とマネジャーが思っているとしたら、「信頼・承認のマネジメント」スタイルになっていない可能性が高いでしょう。部下を細かく管理する「マイクロマネジメント」に寄り過ぎてしまうとマネジャーの負担が増え、部下の積極性も損なわれてしまう可能性があることは注意すべきです。

管理職が抱える業務上の課題

そもそも「マネジャーになれている」のか?

多くの場合、マネジャーに昇格するのはプレイヤーとして実績を出した人です。自分で動き、自分で成果をつくりだすことに長けていた「スタープレイヤー」であっても、マネジャーになった時点で「自分の役割は変わった」と認識し、行動を転換する必要があります。「自ら動いて成果を出す」のではなく「自らも動き、他者と協同して成果を出す」のがマネジャーの役割です。

その転換に気づく機会がないと、マネジャーになっても自分が一番成果を出そうと行動したり、自分の考えを部下との面談で押しつけてしまったり、プレイヤー時代と変わらない行動を続けてしまいがちです。結果的に部下の信頼を損ない、自ら仕事を抱え込んでパンクし、チームが機能しなくなる……という事態にもつながりかねません。

そうならないために、「マネジャーになる」とはどういうことかを新任時に一度“インストール”することが必要なのです。一度基本を身につければ、そこから自身で応用していけるようになります。

新任時にこそ“正しいマネジャー作法”習得を

そこでパーソル総合研究所では、新任管理者向けの「『マネジャーになる』研修」を開発しました。

通常のマネジメント研修と異なる点は、「マネジャーへの移行期に伴う挑戦課題」に焦点をあて、「他者を通じて成果を出す」ための基本要素に絞った点です。マネジャーとしての好スタートに向けた基礎固めに活用してもらうことを目指しました。

このプログラムは、立教大学経営学部・中原淳教授監修のもとで設計されました。中原教授が上梓した『駆け出しマネジャーの成長論』(中公新書)が研修設計の基礎にあります。

「僕は、自分たちの世代と自分自身が直面している課題を解き明かしたくて、マネジャーを対象とした調査を重ねてきました。実務担当者とマネジャーでは、まったく異なる世界におり、マネジャーは2つの世界を移行して必要なことを学び直す必要があります。一方近年のマネジャーは、比較的若い時期に、非常に多様化が進んだ職場に、突然任命されて、さまざまな雑事に忙殺されながら、マネジメントをしていくことが求められています。新任のタイミングで移行期であることを意識し、『マネジャーになっていくこと』を地道に実践していくことが重要です」

と中原教授は語り、新任マネジャーが乗り越えるべき挑戦課題を7つ挙げました。

基本を身につけた人こそ、成果を出す

その課題とは、①部下育成、②目標咀嚼、③政治交渉、④多様な人材活用、⑤意志決定、⑥マインド維持、⑦プレマネバランスです。

中でも「部下育成」と「目標咀嚼」の実践は重要だと言います。「上位目標をかみ砕いて説明し、部下たちの納得形成ができないと、部下育成そのものもできなくなってしまいます。すると、部下の成果を期待せずに、自分ですべてやろうとしてします。結局プレマネ(プレイングとマネジメント)のバランスが崩れ、さらに自分で動く量が増え、目標咀嚼する時間もなくなっていく・・・・・・という悪循環が起こってしまうのです」と中原教授は指摘し、逆に「どうやって目標をかみ砕いて伝えていくか」「部下を育成するとはどういうことか」をしっかり押さえれば、好循環に変えていけると述べています。

研修の内容も、まずは「部下育成」と「目標咀嚼」を押さえるのが基本構成です。特に「仕事の与え方」において、どのように部下と向き合い、どう目標を伝え、振り返りやフィードバックを実施するのか。向き合う姿勢から具体的な働きかけ方まで、ワークで体感しながら学び、実務に活かすことができるつくりになっています。

7つの挑戦課題

リフレクションとアクション・テイキングの循環を起こす

さらに中原教授は、

「リアリティ・プレビュー」(これから起こる現実を知る)
「リアリティ・アクセプト」(自分の置かれている現実を知り、受容する)
「リフレクション」(経験から学び、自らの行動を振り返る)
「アクション・テイキング」(自分なりのやり方を蓄え、次のアクションをつくっていくこと)

をスパイラルのように回しながら進んでいくことが、マネジャーとしての成長を促すと指摘します。そのスパイラルを経て本丸の「リフレクション」と「アクション・テイキング」の循環に入っていくのです。

この「『マネジャーになる』研修」も、効果を上げるためには実務との連動が欠かせません。そのため、「リフレクション」の機会を用意する目的で、半年後のフォローアップ研修実施も組み込むよう推奨しています。研修で学んだ後実践してみて、それを振り返ってこそ成長につながります。

また、研修の設定時期も検討が必要です。たとえば「『マネジャーになる』研修」の場合、目標設定面談の後よりも前に実施した方が、実践に活かしやすいといえます。新任マネジャーとしてプレッシャーも大きい中、的確な時期に必要なサポートを受けられる機会を設けていくことは、本人の成長にも組織の活性化にも有効です。

中間管理職は、上と下の板挟みになりがちと言われます。しかし中間管理職が結節点としてのいいハブになると、職場全体が活性化し、ひいては組織の成長に大きな影響を及ぼします。そのためにもプレイヤーからマネジャーへの過渡期にいる、新任管理職の支援体制を再検討してみてはいかがでしょうか。

パーソル総合研究所

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中原淳教授プロフィール

立教大学経営学部教授 中原淳(なかはら じゅん) 東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院人間科学研究科、メディア教育開発センター(現・放送大学)、米国・マサチューセッツ工科大学客員研究員、東京大学大学総合教育研究センター等をへて、2018年より現職。専門分野は人的資源開発論、経営学習論。単著(専門書)に『職場学習論』(東京大学出版会)、『経営学習論』(東京大学出版会)、『人材開発研究大全』(東京大学出版会)。一般書に『研修開発入門』『駆け出しマネジャーの成長戦略』『アルバイトパート採用育成入門』など、その他共編著多数。

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