プロ人材活用のススメ②「7割が県外からの採用」宮崎県プロ人材拠点マネージャーが語る、地方企業ならではの“勝ち方”

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地方創生と東京一極集中の課題解消を目指す内閣府の「プロフェッショナル人材戦略事業」(以下、プロ人材事業)に取り組む宮崎県。本記事では、宮崎県プロフェッショナル人材戦略拠点(以下、プロ人材拠点)の永山マネージャーに、プロ人材事業の具体的な取り組みと成功事例、そして“地方企業ならではの勝ち方”をご紹介いただく。

■直近1年で採用実績が倍増、約7割は県外から採用~成果を生む宮崎県における取り組みとは?

宮崎県プロフェッショナル人材戦略拠点 マネージャー
国立大学法人宮崎大学 客員教授
延岡観光協会 経営政策アドバイザー
永山 英也 氏

宮崎県プロフェッショナル人材戦略拠点のマネージャーの永山英也氏は、1981年に宮崎県職員に採用されてから36年間、人事、畜産・口蹄疫復興対策局長、商工観光労働部長、総合政策部長、などを歴任。2017年3月に宮崎県庁を退職後、2018年4月から現職を務める。快活で包容力に溢れ、経営者が何でも話したくなる人柄と、稀に見る豊富な経験とネットワークを活かして宮崎県企業の成長に、人材支援の面から尽力を続けている。

永山氏は、宮崎県の特性と現状を次のように分析する。「宮崎県は新幹線などの交通インフラがなく、立地、地理的条件に恵まれていません。全国的な人口減少、働き手不足の中でも、若者の流出が特に顕著で、全国の地方自体の中でも特に危機感を持たなければならない状況と認識しています」

プロ人材拠点の現状と成果について、永山氏は「危機感の高まりと共に知名度も上がり、企業からの相談とオファー件数が増えてきました。設置から2年半でおよそ90件であった依頼が、2018年4月からの1年間で100件を超えるなど、ほぼ倍増のペースです。採用実績も過去2年半の14名から、直近1年間では42名にまで増加しました。年齢では30代~50代がほぼ均等です。宮崎県の特徴としては、約7割が県外からの流入である点です。全国では6割が県内となっていますので、これは特筆すべき成果と言えるでしょう。この拠点は同じフロアに宮崎県企業成長促進プラットフォーム(公益財団法人 宮崎県産業振興機構 企業成長促進室)もあり、地元の金融機関との連携により財務的な支援も行っています。私と石田室長で宮崎銀行の支店長会議にも参加して、企業の人材、財務などの課題を速やかに解決するよう、連携を図っています」

また、UターンではなくIターンが多いという点も、想定外の成果と永山氏は語る。「もちろん、家族がいる方は居住環境が重要なポイントですが、採用希望者からするとあくまで二次的な要素です。企業のヒアリングにおいても、最も強調するのは自分がどのくらい必要とされているのか、その仕事が面白いかといった“やりがい”を重視する昨今の傾向です。地方の中小企業であっても、ほかの誰でもない、あなたの力が必要だ、という熱意を正しく伝えることができれば、人材を獲得できるというのが実感です」

これらを踏まえ、永山氏はプロ人材拠点の役割を、求人の背景を深く理解し、魅力的なやりがいを提示する手助けをすることだと語る。「採用希望の企業はもちろん、人材会社にもいかに興味を持ってもらうかが重要です。そのために、人材採用に悩みを抱える経営者にインタビューし、求人票をより魅力的なものに支援をすることが我々の役割と言えます」

■経営を担う“ハイレベル人材”に要望がシフト ~プロ人材拠点が「真の経営課題の顕在化」も支援

企業側からの実際の相談内容について、永山氏は次のように話す。「当初は財務、人事、営業といった職種の人材獲得や、技術開発、産学連携といったものが多かったのですが、ここにきて経営をサポートできる”ハイレベル人材”関する相談が増えてきました。本当に解決すべき課題は何か?企業の成長や発展を相談する相手が社内にいるのか?それを担う人材が必要なのではないか?といった具合に、真の課題を顕在化することもプロ人材拠点の役目だと思っています。地方の中小企業は、これまで社長自身がすべてを決めてきた企業がほとんどです。今後の経営について多角的に見ることができ、社員を見守れるような人材や、いずれ事業を継ぐ自分の息子をサポートしてくれるような人材が欲しい、というケースもあります。しかし、今までの人材募集はハローワーク、あるいは地縁血縁、県や銀行の紹介、またはそのOBを採用することがほとんどでしたから、そういった人材は見つからないのでは、という諦めがあるようです」

永山氏をはじめとするプロ人材拠点のメンバーは、そんな経営者に対し、投資の意識を持って「攻めの採用」を行う必要性を粘り強く説いている。そして、人材の相談がある場合はヒアリングから魅力的な企業情報シートの作成サポートだけでなく、あらゆるネットワークを駆使して人材を探し、マッチングするまで対応を続けていく。

■全国規模の人材データベースを有する人材会社を活用する ~広い視野で人材探しを

パーソルグループをはじめとした人材サービス企業との連携の必要性を、永山氏は次のように話す。「これまで県内の、狭い範囲で人探しをしていた企業がほとんどですから、広い視野で、異なる文化と実績を持つ全国エリアをカバーする人材サービス会社の担当者と会って、人材マーケットの情報を得るだけでも、視野を広げるという意味で価値があることだと思います。」

 
出典:http://www.pro-miyazaki.jp/works/

■「貿易実務経験10年、英語堪能」なプロ人材が面接から2日で決定 ~プロ人材採用の成功事例

プロ人材事業を活用した採用事例としては、とある木材会社の話がある。海外進出を狙うその企業は、英語が堪能で実務に長けた人材を求め、プロ人材拠点に相談。給与面では大都市圏の企業にはかなわないものの、結果として大阪の企業で貿易実務経験が10年あり、オーストラリアに留学経験があり英語も堪能な女性が面接してすぐ採用となった。その女性はサーフィンが趣味で、サーフスポットとしても有名な宮崎県で働きたいという意向があり、企業の募集とマッチングしたという。
また、プロ人材事業を活用して募集をかけた経営者が、応募してきた人材のレベルの高さに驚いた、という事例もある。「全国にはこんなに優秀な方がいるのか」と驚きの声もあり、視野を広げれば、そういった人材と巡り合える機会を持てることができるのだ、と永山氏は話す。

■「海外進出を20代で任される」「平日の朝と夕方にサーフィンを楽しむ」 ~地方企業ならではの“働き方”

とはいえ、知名度や給与、福利厚生面で大企業には勝てない、だから優秀な人材は採用できない、というのが地方の中小企業の本音だろう。永山氏は、宮崎県が長年、県内就職率や県民取得が低い理由は、魅力的な働く場所がないという環境に加えて、県民の意識、風土にも理由があると語る。「これまでは企業も学校も、都市部、大企業に人を送り出して育ててもらう方が良いといった、人材流出を甘受する風土が根強かった。しかし、宮崎にはチャレンジしやすい風土があります。例えば、ある食品加工企業では、海外進出に関する実務は、20代の女性一人に一任しています。これは大企業では普通はありえないですよね。また、IT企業で働く方が、朝と夕方に、自転車で海に行ってサーフィンを楽しんでいるという話も聞きます。給与所得だけではない、ワークライフバランスを実現できる豊かな暮らしがそこにあるのです。そんなチャレンジしやすい環境とやりがい、豊かな暮らしの魅力を、全国の方にもっと知ってほしいし、宮崎の経営者にはそれこそが他県にない魅力である、と自らの力を信じて欲しいのです」

■採用支援に留まらず、意識と風土改革を促す ~宮崎県プロ人材拠点が見据える未来

永山氏は、プロ人材活用に必要なのは定着への継続した努力であると語る。「せっかく優秀な人材を採用したとしても、定着しなければ意味がありません。その優秀な人材が、宮崎県でほかのメンバーによい影響を与え、共に成長していく環境づくりへの支援が、今後のテーマです」
プロ人材事業は内閣府から3カ年の施策と言われていることもあり、人材不足の深刻さからも、この1年間が勝負どころだと永山氏は続ける。「プロ人材拠点の取り組みは、単なる採用支援の枠組みに留まりません。他の地域の人や、情報と触れ合うことで自覚が生まれる。攻めの採用を行い、これからは自分たちで育てるといった意識と、風土を変革する取り組みでもあると考えています」

経済と人材獲得の面で決して恵まれておらず、むしろ不利な状況とも言える宮崎県。産学金労官が一体となり、“オール宮崎”で局面打開に向けて、“攻めの採用”への意識改革と企業風土の変革に取り組んでいく。

「プロ人材活用のススメ③」では、実際に「プロ人材事業」を活用し優秀な人材獲得に成功した宮崎県の2つの企業の成功事例を紹介する。

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