2024年12月10日
2025年05月30日
製品やサービスが溢れる現代では、新規事業の立ち上げや既存事業の戦略を見直す際、市場のニーズを正確に捉えることが求められます。
マーケットインは、製品やサービスの開発・提供における考え方の一つで、市場の動向を理解し、それをもとに市場が求める物を開発・提供するアプローチです。マーケットインの考え方を取り入れることで、市場に受け入れられる物を生み出せるでしょう。
本記事ではマーケットインの意味やメリット・デメリット、対になる考え方であるプロダクトアウトとの違いを解説します。自社に合う考え方がどちらなのか分からず悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
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マーケットインとは、市場(顧客)のニーズを調査し、市場で何が求められているのかを理解した上で、それに沿う製品やサービスを開発・提供する考え方です。
マーケットインは市場の意見を前提としたアプローチであり、「市場が求めるもの」が製品やサービス開発の起点となります。
【関連記事】市場調査の方法とは?具体的なステップと実施時のポイントを解説

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新規事業開発においては、市場調査によってマーケットを知り、顧客ニーズや想定し得るリスクを把握しておくことが、事業を軌道に乗せる重要なカギとなります。
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ここからは、マーケットインで製品やサービスを開発・提供するメリットを解説します。
マーケットインのメリットの一つは、顧客満足度の向上につながりやすいことです。前述の通りマーケットインでは、市場の声をベースに開発し、顧客が今欲しいと思っている製品やサービスを届けます。顧客ニーズを意識した製品やサービス開発を行っていれば、結果として顧客満足度の向上につながりやすくなるでしょう。
顧客満足度が向上すれば、リピーターを獲得でき、LTV(顧客生涯価値)の向上にも結び付くと予想されます。顧客に「自分のニーズに合う製品やサービスを届けてくれる企業だ」と思ってもらえれば、信頼度が高まり、顧客ロイヤルティの向上にもつながるはずです。
マーケットインのメリットとして、ターゲットとなる市場が明確な状態で製品やサービスを開発・提供できることも挙げられます。
製品やサービスを開発・提供する際は、マーケティングが欠かせません。マーケティングには費用をかけようと思えばいくらでもかけられますが、ターゲットが明確であれば、適切なマーケティングコストや効果的な訴求方法を考えやすくなります。
加えてターゲットのニーズも明確であるため、製品やサービスの開発目標も立てやすくなります。具体的なニーズを収集できていれば、いつまでに進めたら良いのかの指標も見えてくるため、スムーズに開発を進められるでしょう。
前述の通りマーケットインではまず、市場のニーズを調査します。そこで具体的な市場規模や購買行動の傾向を分析するため、成果の予測がしやすいこともメリットの一つです。またどのくらいの顧客にどのくらいの期間でどの程度売れるのかを予測すれば、将来的な事業計画も立てやすくなります。
結果的に予測した成果を下回っても、原因を明らかにして再度市場のニーズを調査し分析すれば、成果の改善につながるでしょう。
事業失敗のリスクを低減できることも、マーケットインのメリットです。
市場調査や顧客分析を行った上で開発された製品やサービスは、市場の需要があるものであり、売上の見込みが立っているものです。そのためマーケットインの考え方で製品やサービスを開発・提供することで、市場に受け入れられず無駄な投資になってしまうリスクを低減できます。
マーケットインにはさまざまなメリットがあるものの、以下のようなデメリットもあります。
マーケットインのデメリットの一つは、革新性の低下です。マーケットインの手法を取ると、誰も見たことのない、予想ができないような製品やサービスの提供は難しいでしょう。
革新性が低いと爆発的なヒットはなかなか期待できません。事前調査の上で設定したターゲットには受け入れられる製品・サービスになるものの、ターゲット以外からの売上は大きく見込めないためです。
マーケットインのデメリットには、自社の強みを最大限に生かしきれないことも挙げられます。
マーケットインでは市場のニーズを重視して製品やサービスの開発を行うため、自社独自の技術や得意分野を生かせない場合もあるでしょう。
これまで自社の強みを生かした事業を展開していた企業であれば、顧客は既存の製品・サービスと新たにマーケットインの考え方で開発した製品・サービスの間にギャップを感じ、離れていってしまう可能性もあります。
マーケットインでは初めに市場のニーズを洗い出す必要があるため、リサーチに時間や費用がかかる点がデメリットとして挙げられます。
マーケットインの考え方では、製品やサービスの売上を伸ばすには、どれだけ市場のニーズに寄り添えるかが重要です。また市場のニーズは常に変わり続けるため、変化へ迅速に対応しなければなりません。開発前のみならず、継続的なリサーチが必要となるため、マーケットインではコストがかかりやすくなります。どの程度のリサーチを行うか、どこまで情報の解像度が上がったら目処を付けるかといった判断が重要となります。
マーケットインでは市場のニーズや要望を聞いて開発を進めますが、他社も同様に市場調査に取り組めば、同じような製品やサービスを開発できてしまいます。結果として他の製品やサービスとの差別化が難しくなるでしょう。
自社が先にマーケットインの考え方で開発・提供していた場合に、他社が自社の製品やサービスの改良版ともいえるものを生み出してしまえば、競合の結果負けてしまう可能性もあります。
マーケットインと対になる考え方に「プロダクトアウト」があります。プロダクトアウトとは、自社の持つ技術や強みを生かして製品やサービスを開発し、市場に投入する考え方です。市場の声をある程度は把握するものの、あくまで起点は自社であり、自社の技術力や強みをプッシュして製品やサービスを開発します。
プロダクトアウトのメリットは、自社の強みを発揮した製品やサービスの開発ができることです。他社にはない強みを持っていれば、他社との差別化を図ることができるため、その分野において確固たる立ち位置を築けるでしょう。また過去にない製品やサービスを生み出せば、爆発的なヒットにつながることも期待できます。
一方で、市場のニーズと合わなかった場合は売上が伸び悩む可能性があります。その場合、開発・提供にかかったコストが、そのまま大きな損失となってしまうかもしれません。売上が伸びなかった理由の分析にも、さらに多くのコストがかかってしまいます。
マーケットインとプロダクトアウトの主な違いを、以下の表にまとめました。
| マーケットイン | プロダクトアウト | |
|---|---|---|
| 起点 | 市場のニーズ | 企業の持つ技術や強み |
| 開発における考え方 | 市場に受け入れられる、売れる製品やサービスを作る | 企業の持つ技術や強みを生かした製品やサービスを作る |
| 応えられるニーズ | 顕在したニーズ | 潜在したニーズ |
| 想定されるリスクの大きさ | 小さい | 大きい |
マーケットインでは市場の顕在化したニーズをくみ取りますが、プロダクトアウトではまだ顧客が気付いていない、潜在ニーズに対応する製品やサービスを開発します。このようにマーケットインとプロダクトアウトはアプローチする対象がそもそも異なるため、同じ分野の製品やサービスであっても、アウトプットは異なります。
マーケットインとプロダクトアウトのどちらの考え方で製品やサービスを開発・提供すべきか、悩む方もいるでしょう。結論からいうと、どちらの考え方を取るかを明確に定める必要はありません。どちらの要素も適切に取り入れ、状況によって使い分けることが求められます。
以下はマーケットインが適しているシーンです。
一方で、プロダクトアウトが適しているのは以下のシーンです。
どちらの考え方においても、最終的な目標は自社の製品やサービスが顧客に選ばれることです。マーケットインやプロダクトアウトはそのための手段に過ぎないため、どちらの手法が良いかではなく、どうしたら顧客に選ばれる製品やサービスを開発・提供できるかを考えることが重要です。
【お役立ち資料】事業を成功に導く、市場調査ノウハウBOOK
事業を成功へと導くために欠かせないのが「市場調査」です。特に、新規事業開発においては、市場調査によってマーケットを知り、顧客ニーズや想定し得るリスクを把握しておくことが、事業を軌道に乗せる重要なカギとなります。
パーソルグループでは、市場調査の必要性と手法、プロセスを説明し、なかでも新規事業を立ち上げる際に必要なフローをまとめた【市場調査ノウハウBOOK】を公開しています。
新規事業の立ち上げや既存事業の拡大にあたって、市場調査をご検討されている方はぜひご活用ください。
マーケットインは市場のニーズに沿った製品やサービスを開発・提供する考え方です。マーケットインの考え方を取れば市場に求められているものを提供できるため、顧客満足度の向上につながり、失敗のリスクも低減できます。
ただし、市場の声を意識すると、革新性が低くなってしまったり、自社の強みを最大限には生かしきれなかったりするというデメリットもあります。
マーケットインの対になる考え方にはプロダクトアウトがあり、マーケットインとプロダクトアウトにはそれぞれメリット・デメリットがあります。対になる考え方ではあるものの、両者はアプローチする市場のニーズが異なるため、二元論で考えるべきではありません。顧客に選ばれる製品やサービスを開発・提供することを念頭に、二つの手法を柔軟に使い分けましょう。

パーソルキャリア株式会社
新規サービス開発統括部 マネージャー
白石 浩二
複数社での新規事業立ち上げ経験を経て、2022年にパーソルキャリア株式会社に入社。新規事業におけるBizDev責任者/事業責任者を歴任。現在は社内の複数の新規事業を横断的に支援する組織を率いると共に、新規事業創出プログラム『OWNERS』の設計/運営も務める。新規事業家として、起業や、様々な企業でアドバイザーも務めるパラレルワーカー。