営業生産性とは|向上につながる施策やポイントを分かりやすく解説

営業生産性は、営業組織や個人のパフォーマンスを評価するための重要指標の一つです。

少子高齢化などを背景に15~64歳のいわゆる生産年齢人口が不足する現代において、営業生産性は企業が競争力を維持し、グローバル社会で生き残るために不可欠な要素といえます。

営業生産性はなぜ向上させなければならないのか、どのように向上させればよいのか。具体的にはどのようなアイディアがあるのか。こうした疑問に具体的なデータや事例も用いながら答え、営業生産性を向上させるためのヒントをご提供します。

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目次

営業生産性とは

まずは、営業生産性はなぜ重要なのか、営業生産性はどのように計算すればよいのかといった基本事項について知りましょう。そうすることで、初めてその低下原因や向上させるための具体的なアイディアが見えてきます。

営業生産性が重要な理由、営業生産性の代表的な計算式を見ていきましょう。

営業生産性はなぜ重要か

営業生産性は、営業努力がどれだけ効果的に結果を生んでいるかを測る指標です。

売上、利益、市場のシェアなどの目標を企業が達成するためには、営業活動において自社のリソースをどれだけ効果的に活用できているか、つまり営業一人当たりの売上、利益、顧客数など営業生産性を測り、改善のための戦略を立てることが欠かせません。

営業生産性が重要視される背景にはどのような社会やはたらき方の変化があるのでしょうか。

生産年齢人口の減少

日本の生産年齢人口は1995年の約8,664万をピークに減少の一途をたどっており、2024年の総務省の発表では約7,174万人と、29年で約18%近く減少しています。

今後もその傾向は続くことが予想され、2050年には約5,275万人とさらに2,000万人近く減少することが見込まれます。この状況で、日本の企業が競争力を維持するためには、営業生産性を向上させなければならないのは明らかです。


【出典】総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(令和6年1月1日現在)」
【出典】総務省「令和4年版情報通信白書」

働き方改革

近年、ワーク・ライフ・バランスの改善などを目的に日本でも働き方改革が推進されており、2019年には原則月45時間、年360時間の時間外労働の上限規制が導入されました(中小企業は2020年4月から適用)。

これまで長時間労働に頼りがちだった体質を脱却し、働き方改革に対応しながら成果を上げるための必要条件が、営業生産性を高めることなのです。


【出典】厚生労働省「時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」

競争の激化

現代の状況を示すキーワード「VUCA」をご存じでしょうか。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つの単語の頭文字で構成されており、社会状況やビジネスの変化が激しく予測不可能な状況を指します。

新興企業や外資系企業の参入、技術の進化、顧客ニーズの多様化などVUCAを象徴するような変化は、企業の競争を加速させています。

このような環境下では、顧客の獲得や維持のために、営業活動がより重要になります。企業は高い営業生産性を獲得することで迅速に市場の変化に対応し、効率に顧客ニーズに応えて競争力を発揮できるようになるのです。

【関連記事】「VUCAとは?意味や時代に合わせた対策・必要な組織作りを解説」を読む

営業生産性を図るために使われるKPIや計算式は?

営業生産性は「KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)」という言葉にも置き換えられます。実際の業務では具体的な数値でKPIを計測し、その改善に向けて実際の施策が講じられることになるのです。

その計算式は企業の目標や業界によって異なりますが、例えば、以下のような指標が代表的なものとして挙げられます。

営業効率

営業効率は、営業活動にかかったコストに対してどれだけの売上が得られたかを示す指標です。この比率を計算するには、特定の期間における売上を営業にかかった時間で割ります。

【計算式】
営業効率=(期間中の売上高/営業活動時間)×100%

成約率

成約率は、商談件数のうち成約につながった案件の割合を表したものです。この比率を計算するには、特定期間内に成約した件数を同期間内に得た商談数で割ります。

【計算式】
成約率=(商談件数/リード数)×100%

顧客獲得コスト(=CAC:Customer Acquisition Cost)

顧客獲得コストは、顧客1人あるいはクライアント企業1社を獲得するために必要な総額コストです。この指標を計算するには、特定期間内に営業活動に費やした総コストを獲得した顧客数で割ります。

【計算式】
顧客獲得コスト=期間中の顧客獲得費用/期間中の顧客数

これらの方法を用いることで、営業チームのパフォーマンスを定量的に把握し、改善策を立てる基盤をつくることができます。また、これらの指標は相互に関連しているため、複数の指標を組み合わせて分析することが一般的です。

営業生産性と営業効率化の違い

営業生産性と関連してよく耳にする言葉に「営業効率化」があります。両者の違いはどこにあるのでしょうか。営業効率化は、営業生産性を向上させるための重要な手段の一つです。

効率的な営業プロセスを実現することで、営業担当者はより価値ある活動に集中でき、結果的に売上や成約率を高められます。

効率的なプロセスが確立されると、営業担当者は既存顧客との関係を深めたり、新たなリードを獲得したりするための余裕が生まれ、これが生産性の向上につながります。

営業生産性はその効率化の成果を測る指標です。企業は効率化を進めることで、最終的には営業部門全体の生産性を向上させられます。

営業生産性が向上しない4つの原因

営業生産性が向上しない原因は多岐にわたります。なかでも典型的な原因について4つのポイントが挙げられます。

営業外業務が多く、顧客と直接対面する時間が取れない

営業の業務において最も本質的なのは顧客と面談し、直接的に価値を提供している時間ですが、資料作成などの準備や社内業務に時間を取られ、営業の主業務である商談活動に思うように時間が割けないという方は少なくないのではないでしょうか。

McKinsey & Companyの調査では、複数の日本企業で社内会議への出席や稟議書作成など顧客への価値提供へ直接つながらない社内対応に対し、全体の2~4割の時間が割かれていることが分かっています。


【出典】McKinsey & Company「日本の営業生産性はなぜ低いのか」

優秀な営業パーソンの知見が可視化されていない

優秀な営業パーソンのスキルやノウハウをあなたの会社ではどれだけ可視化できているでしょうか。従来OJTなどを通して“見て学ぶ文化”の強かった日本の営業組織では、顧客とのコミュニケーション方法や必要な準備、提案のポイントなどが「暗黙知」となってしまっている場合が少なくありません。

自社のKPIを達成するためにどのようなタイミングで提案を行ったのか、顧客の依頼から成約に至るまでどのくらいの期間を要しているのかなどについてまずは目に見える「形式知化」することが重要です。

営業ノウハウの共有が進んでいない

営業パーソンの知見が可視化されていても、それらが共有、活用される環境が整っていなければ営業生産性の向上にはつながりません。成功している営業戦略や手法を組織内の資産を蓄積し活用するための仕組みを整えることで、社員の効率的な成長を促し、チーム全体が安定したパフォーマンスを発揮するようになります。

営業ノウハウの共有に当たっては、マネジャーのコーチングやティーチングのスキルも重要となります。

SFAやCRMなどセールステックの活用が進んでいない

営業ノウハウの可視化や共有、リアルタイムのストックに当たって効果を発揮するのがSFA(Sales Force Automation=営業支援システム)、CRM(Customer Relationship Management=顧客関係管理)といったセールステックです。

これらのツールは、顧客データの管理、営業活動の追跡、効果的なリード管理、営業成績の分析など、多岐にわたるプロセスを支援するために設計されています。

多様かつ複雑な情報を収集・蓄積するに当たって従来のアナログな手法では限界があります。例えば、顧客にとっての顧客はどのような企業なのか、競合先はどのような企業なのかといったBtoB営業で重要なデータを蓄積し分析するためは、セールステックの活用が求められます。

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営業生産性を向上させる4つの施策

営業生産性を向上させるためにどのような施策を講じればよいのでしょうか。先述の内容も踏まえて具体的に4つのポイントで解説します。

生産性に直接貢献しない作業の削減・アウトソーシングを進める

営業プロセスにおいて顧客に直接価値を提供することにつながらない作業を抽出し、その時間削減やアウトソースすることは営業生産性の向上につながります。例えば、社内会議や定例報告資料作成、稟議書など各種申請書類への押印などにあなたの会社ではどのくらいの時間が費やされているでしょうか。

トップ営業パーソンの活動を可視化し、彼らがどのような活動をしているのかだけでなく、“何をしていないのか”まで分析して、その考え方の平準化に取り組んでいきましょう。

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規範となる営業プロセスを可視化し、資産として活用する

全員の手本となるようなトップ営業パーソンの活動を可視化し、資産として定期的にメンテナンスする仕組みをつくり上げましょう。例えば、パーソル総合研究所では、準備から成約、その後のフォローアップまで可視化するためにCRP(カスタマー・リレーションシップ・プロセス)マップというフレームワークを活用しています。

また、経営方針やマーケティング戦略といった内部環境、競合や市場の動きといった外部環境など営業活動を行う上で必要な情報を蓄積する仕組みをつくり上げることも重要です。

一人ひとりの強み・弱みをアセスメントし、コーチングに取り組む

チームメンバーの一人ひとりがどのような強み・弱みを持っていて、どれくらいの生産性があるのかをアセスメントすることが営業生産性の向上に当たっては不可欠です。

ここで問われるのが管理者によるヒアリング能力です。どのようなプロセスで、何を重視して営業活動に従事しているのかを丁寧に聞き出し、そこから判明した強み・弱みに応じてフィードバックやコーチングを行うことが求められます。

セールステックやAIを活用する

SFA、CRMなどのセールステックやAIなどの活用は、営業パーソンにとって無駄な作業の削減や営業活動の可視化、営業活動のアセスメントを大きく前に進めてくれる可能性があります。

CRMによる顧客情報の一元管理やSFAによる営業プロセスの自動化、データを用いたパフォーマンス分析などセールステックを用いることで営業効率化が進み、営業生産性が高まります。

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営業生産性を向上させた事例

営業生産性向上のイメージを具体的に抱けるよう、パーソル総合研究所が営業生産性向上に携わった実際の事例を2つご紹介します。

パーソル総合研究所は、営業力強化の分野で30年以上の実績を持ち、営業力強化トレーニング「7STEPS」や営業マネジメント強化コンサルティング「X's-MAP」など数多くのソリューションを提供しています。

A社(サービスメンテナンス)の事例

ソリューション営業部の立ち上げから営業活動の可視化、成功事例の横展開にまで携わり、10年間で140%、一千億円規模の売上高アップを達成した事例です。

そもそも営業変革の必要性が十分広まっていない段階から営業手法をアップデートする意義を浸透させ、新たな営業チームの立ち上げからサポート。顧客の課題を見出し、それに合わせた解決策を提案するソリューション営業の可能性を開くことで事業領域を大幅に拡大し、大幅な営業生産性の向上を達成しました。

B社(レンタル・リース会社)の事例

顧客のターゲティングや営業戦略立案、セールステックの活用などの領域で課題を抱える企業の情報共有の仕組みづくりやCRP(カスタマー・リレーションシップ・プロセス)の可視化を行い、9年間で171%、数百億円規模の売上高アップを達成した事例です。

SFA・CRMが導入されているもののデータが活用されておらず、顧客のセグメント化も十分に行われていなかった同社。そこで、システムの見直しとCRPを用いた分析などを通してソリューション営業の前提となる環境づくりを行いました。

さらに、成功事例の横展開や顧客情報を整理するシートの作成を通じてチーム・事業部間の情報共有も促進しました。

まとめ|営業生産性は、企業全体の競争力向上のカギとなる

営業生産性は、営業組織が進化し、少子高齢化や競争の激化に対応しながら成果を上げていくために必ず意識すべき指標です。無駄な作業の削減、営業プロセスの可視化、営業ノウハウの平準化と共有、そして最新のセールステックやAI技術の活用など、そのために有効な手段は数多く存在します。

これらの施策を適切に実行することで、営業チームはより少ない労力で最大の成果を出すことが可能になり、企業全体の競争力を高めることができます。

本記事の事例やアドバイスを参考に具体的なアクションプランを立て、営業チームを強化していきましょう。

インタビュー・監修

株式会社パーソル総合研究所
営業力強化事業本部 エグゼクティブ・コンサルタント

坂口 陽一(Yoichi Sakaguchi)

富士ゼロックス株式会社教育事業部に入社後、富士ゼロックス総合教育研究所(現パーソル総合研究所)に転籍し、コンサルティング営業部門の責任者(兼プリンシパル・コンサルタント)として、自動車業界、製薬業界、金融業界など200社以上を担当。講師としては営業力、マネジメント力など研修受講者50,000名以上を修了させる。