2024年03月29日
2025年02月05日
リスキリングという言葉は耳にすることが増えたものの、具体的にどのように取り組み、どのようなメリット・効果が得られるのかまではわからない方も多いかもしれません。
本記事では、リスキリングの成功事例や効果を感じている企業の割合を紹介します。リスキリングの導入によって、どのようにDX推進、人材育成を成功に導いたかが掴める内容になっていますので、リスキリングの導入を本格的に検討する上でぜひご参考にしてください。
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DX推進やIT人材不足の深刻化の対策として、2025年も引き続きリスキリングに注目が集まっています。
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リスキリングとは、現在とは異なる職務や新たな分野のスキルを獲得する/させることを指します。企業が従業員に新たなスキルを習得させることで、DX推進の加速や人材不足の解消、採用コストの削減、自律型人材の育成などが期待されます。
リスキリングについては、以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】リスキリングとは?DXとの関連性、企業が推進すべき理由を解説
では、実際リスキリングを推進している企業はどのような効果を感じているのでしょうか。
パーソルイノベーションの調査によると、7割以上の企業がリスキリングの成果を実感していると答えています。
また、具体的にどのような成果を実感しているかを聞くと、「実務でスキルが活用できた」「人材の再配置が可能になった」「従業員満足度が向上した」が上位となりました。
企業規模別でみると、スタートアップ企業は「離職率が低下した」という回答が最も多くなっています。また、業種別でみると、通信情報サービス業は「業務でスキルが活用できた」、製造業は「採用ポジションが充足した」が最も多くなっており、業種別に異なる傾向が出ています。
ここではリスキリングを実施している企業の成功事例をご紹介します。リスキリングの導入でどのようなメリットが得られるのか、どのようにDXを推進していけばよいのかイメージを掴む上で参考にしてください。
エアコンなどの空調設備の製造販売を行っているダイキン工業株式会社では、全役員・経営幹部から新入社員までの全社員(従業員)を対象とした社内ユニバーシティの「ダイキン情報技術大学」を設立しました。受講する社員(従業員)は2年間業務を行わずAIの勉強に集中できるメリットがあります。2023年度末までに1,500人のデジタル人材輩出を目標として、階層別のカリキュラムでリスキリングに取り組んでいます。
製品の不具合事例をAIで分析し早期メンテナンスにつなげる技術や、画像処理技術、MI(Materials Informatics)を活用した開発期間の短縮、生産性向上、品質向上などで一定の成果を上げています。
加えて2021年4月以降、約500人の再雇用者全員を対象とした1年間の研修を実施し、今までの自分の強みを生かしながら若手のAI技術者とベテランの協業も積極的に促進しています。
大手電機メーカーの株式会社日立製作所は2019年9月のESG説明会で、「社会価値の創出を牽引する人財戦略」を発表し、その中で「デジタル人財の強化」を掲げました。人工知能(AI)を駆使したシステムがグループ全体で導入され、社員(従業員)のリスキリング(Reskilling)を促進しています。
また同社のDXサービス事業である「Lumada」を牽引できるデジタル人材創出で2021年度までに3万人規模に強化する方針を打ち出しました。現在は、国内グループ企業を含めた全社員(従業員)16万人にDX研修を実施しています。
西川コミュニケーションズ株式会社は、電話帳の印刷など紙媒体の印刷事業が1990年代後半以降に、携帯電話やインターネットの普及によって受注減に直面しました。そこで、時代に対応して生き残るために、デジタル分野を中心とする事業構造への転換を決意。
2013年にリスキリングのための「教育プロジェクト」を開始し、以下のような取り組みを実施しました。
こうした取り組みの結果、学び続ける組織風土の醸成に成功しました。実際に社員のスキル習得につながり、デジタル分野の知見を持つ社員が少なかった状況から、以下のようなデジタル人材の育成・確保を実現しています。
また、3DCGを用いたビジュアル制作や、AI技術を通じたマーケティングの支援事業を展開。それが軌道に乗り、デジタル事業など非印刷の事業は、同社の売上高の約半分を占めるほどに成長しました。リスキリングによって事業構造の転換を実現した好例といえるでしょう。
ある企業では、DX推進に向け、組織の拡充・体制強化が必要となっていましたが、IT人材が不足していました。また、IT人材の採用競争は激しく、外部採用しても自社ビジネス・業務に対する理解が求められるため、戦力化までに時間がかかるという課題も抱えていました。
そこでパーソルイノベーションの「リスキリング キャンプ」を受講することで、IT初学者向けにIT基礎から専門知識まで、5ヶ月間で段階的に知識習得を行うカリキュラムを設計しました。
加えて、テクニカルコーチによる学習フォロー(面談・質疑応答)や、キャリアコーチングによるマインド面での支援も実施することで、5ヶ月のトレーニングを経て、IT未経験営業職社員全員がITコンサルタントとしてデビューしています。内部人材のリスキリングによって、計画的にIT人材を確保できる仕組みの確立に成功しています。
ある企業では、主力商品がパッケージソフトへ移行したことに伴って、IT分野の知見を有するエンジニアへのニーズが高まっていました。過去に体制補強に取り組んだものの、OJT中心であったため戦力化までに時間を要し、大人数への展開には失敗します。
そこでパーソルイノベーションの「リスキリング キャンプ」を導入し、受講後に学習内容をスムーズに実践できるよう、ケースを用いて実際に手を動かして学ぶなど、アウトプット重視のカリキュラムを設計しました。
また、職種転換に伴う不安や悩みをキャリアコーチがサポートし、仲間と共に学ぶ環境も構築することで、メカエンジニアをアプリエンジニアにリスキリングすることに成功し、人材の拡充も実現しました。さらに、自社製品に精通した内部人材を育成したことで、技術組織の体制強化も達成するなど、大きな成果を得ています。
管理部門スタッフを業務改善推進者へリスキリングした事例もあります。ある企業では、事業環境の変化に対応するため、既存業務を効率化して社員を高付加価値業務へシフトさせる必要がありました。そこで、ツール導入やツール活用研修などを試みるものの、既存業務に追われる中で現場業務の変革が進まない状態が続いていました。
現状打破のため、パーソルイノベーションの「リスキリング キャンプ」に相談。3ヶ月間の学習プログラムを通じて、以下のような支援を受けました。
その結果、同プログラム終了後には、各スタッフが主体的に業務改善に取り組むようになりました。組織内でのナレッジ共有や取り組みの横展開を通じて、組織全体の生産性向上も見られたようです。
調査の結果から、リスキリング実践において成果を実感している企業の特徴は、次の5つです。
1.トップダウン(経営主導)型
2.指標を定めた運用
3.大企業
4.情報通信サービス系
5.業務の効率化
上記のような企業はリスキリングとの相性がよく、とくに取り組むべき企業だといえます。特徴について詳しく解説します。
トップダウン(経営主導)型でリスキリングを行っている企業では、過半数が成果を実感できています。リスキリングは人的資本経営の柱となる施策の一つです。ポイントとして、中長期的な企業価値向上を図り、本質的な人的資本経営に取り組もうとする経営者側の強い意志が、成果に表れていると読み取れます。
指標を定め運用している企業では9割が成果を実感していました。自社の専門性に合わせて求められる新たなスキルが明確化されているからこそ、指標がしっかり定められていると考えられます。リスキリングによって社内の人材を育成し、戦力化できる点で事業成長につながる形の結果が得られているのでしょう。
成果実感が高いのは中小企業よりも大企業であるという結果でした。これは、大企業は中小企業に比べ人事機能が、充実している点も大きく影響していると考えられます。中小企業の場合、人事担当者が1人で何役も業務を担っている、デジタルスキルに詳しくない等の理由から、リスキリング施策を自社で行う余裕がないことも要因であると推測できます。
情報通信サービスは、製造業に比べリスキリング成果を実感しやすいという結果が出ています。情報通信サービスの場合「新しい職種・役割にアサインできた」「難易度の高い職種・役割にアサインできた」ことが理由に挙がります。新しいスキルの習得が職種・役割のアサインに直結しやすく、目に見えて実感できていると捉えてよいでしょう。
業務の効率化で具体的な成果を感じている企業が多いという点では、社員のリスキリングによるDX推進で、作業の自動化や手順の削減が実現したと考えられます。
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DX推進やIT人材不足の深刻化の対策として、2025年も引き続きリスキリングに注目が集まっています。
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パーソルイノベーションが提供する「リスキリングキャンプ」は、実現したいゴールや対象者のスキルに応じた最適なカリキュラム設計と、アウトプット前提の実践向け学習設計によって企業のリスキリングを支援する研修サービスです。
プロのキャリアコーチが受講者一人ひとりの理解度に合わせてフォローアップを行うため、着実に実践向けスキルを習得しながら継続して学習することができます。
スキル・マインドの両面を効果的にサポートすることで企業のリスキリングを成功へと導きます。リスキリングや自社のDXにお悩みの方はぜひお気軽にお問合せください。
パーソルイノベーションの調査では、リスキリングに取り組む日本企業は約4割でした。そのうち、大企業の取り組み率が6割、中小・スタートアップ企業に比べ2倍以上の数であることが分かりました。既にリスキリングを実施している企業では、まだ取り組みを開始していない企業と知見の蓄積に大きな開きを生む可能性があります。
事例で挙げた企業や、その他リスキリングに成功している企業は自社で学習プラットフォームを構築し、社員の学習の場を形成しているところも多く見受けられます。しかしその一方で、人的、時間的余裕がない、高度なデジタルスキルを持ち合わせていないといった悩みを持つ企業が存在するのも事実です。
リスキリング施策に対する人事の負担解消のためにも、外部のリスキリング支援サービスの活用をお勧めします。