DX銘柄とは?制度概要や認定企業の取り組みをわかりやすく解説!

経済産業省は、東京証券取引所(東証)に上場している企業のうち、DXを推進し、ビジネスモデルの変革に挑戦している企業をDX銘柄(デジタルトランスフォーメーション銘柄)として選定しています。

本記事ではDX銘柄の詳細について、審査内容や認定メリット、また、実際にDX銘柄を獲得した企業の取り組み事例などを通して解説していきます。

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目次

DX銘柄とは?制度の概要を解説

DX銘柄とは、東京証券取引所の上場企業のうち、DX推進に向けた仕組みを有し、優れたデジタル活用の実績を生み出しているとして経済産業省から認定された企業のことです。ここでは、DX銘柄制度の概要や、認定で得られるメリットなどについて解説します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DXとは、デジタル技術の導入による業務の効率化はもちろん、既存のビジネスモデルや組織体制の変革や新たな価値創造を進める取り組みのことを指します。

DXについて、詳しくは「【図解あり】DXとは?意味や取り組み内容・必要性をわかりやすく」の記事も併せてご覧ください。


【出典】経済産業省「デジタルガバナンス・コード2.0

DX銘柄の概要

DX銘柄は、東京証券取引所に上場している約3,800社のうち、DX推進に向けた優れた取り組みをしている企業として認定する制度です。経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)、東京証券取引所が共同して選定しています。


【出典】経済産業省「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)

DX推進の体系とDX銘柄の位置づけ

DX推進に向けた評価基準については、DXの推進レベルに基づき、4段階に設定されています。

【出典】経済産業省「DX認定制度概要~認定基準改定及び申請のポイント~」より加工・作成

DX推進に必要とされる戦略や体制などにこれから取り組む事業者は、「DX-Ready以前レベル」に位置付けられます。その上位に位置づくのが、DX推進に必要な要件がすでに整備されている「DX-Readyレベル」の企業です。このレベルの企業に対する評価制度としては、DX認定制度があります。

そして、DX認定事業者のうち、ステークホルダーとの対話(情報開示)を積極的に行い、将来性を期待できる事業者が、さらに上位のレベル「DX-Emergingレベル」「DX-Excellentレベル」に該当します。これら「DX-Emergingレベル」「DX-Excellentレベル」に対する認定制度のうち、上場企業に対するものがDX銘柄、中堅・中小企業等に対するものがDX Selectionです。

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DX銘柄取得のメリット

DX銘柄を取得することで、企業には次のようなメリットが生まれます。

DX推進企業としてアピールが可能に

DX銘柄に選ばれた企業は、経済産業省や独立行政法人情報処理推進機構(IPA)などからお墨付きを得られます。また、DX銘柄のロゴも活用できます。

株式市場で注目される

DXへの先進的な取り組みをする企業として株式市場で紹介されることで、新たな投資家の獲得や、株価への良い反応がみられる可能性もあります。

DX推進体制の強化

DX銘柄への申請に向けた取り組みは、組織全体での問題意識の共有や士気の向上につながります。

DX銘柄チャレンジ時の留意ポイント

DX銘柄を取得するには、申請に向けて具体的にどのような準備が、必要になるのでしょうか。ここでは、DX銘柄の選定プロセスや評価のポイントについて解説します。

3段階の選定プロセス

DX銘柄の選定プロセスは、以下の3段階で実施されます。

①アンケート調査への回答

DX銘柄の審査へ応募する最初の取り組みは、東京証券取引所に上場している企業を対象として行われる「DX(デジタルトランスフォーメーション)調査」への回答です。この回答内容に基づいて、続く一次・二次審査が実施されることになります。

②一次審査

アンケート調査への回答結果に基づき、DXの推進状況について評価が行われます。また、3年平均のROE(Return On Equity・自己資本利益率)に基づくスコアリングが行われます。ROEとは、企業が自己資本、つまり株主からの出資を、いかに効率的に活用しながら利益を上げているかを測る指標です。

③二次審査

二次審査では、アンケート調査への回答内容のうち、「記述回答(企業価値貢献、DX実現能力)」に関する評価が行われます。


【出典】経済産業省「『DX銘柄2023』選定に向けたアンケートの調査項目を公表します
経済産業省「デジタルガバナンス・コード2.0
経済産業省、株式会社東京証券取引所、独立行政法人情報処理推進機構「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)

評価のポイント

ここでは、DX銘柄の選定における評価のポイントについて解説します。

一次審査では、「デジタルガバナンス・コード2.0」の内容に基づき、以下の項目に基づいて審査が行われます。

①ビジョン・ビジネスモデル
②戦略
(1)組織づくり・人材・企業文化に関する方策
(2)IT システム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策
③成果と重要な成果指標
④ガバナンスシステム

続く二次審査では、応募企業の具体的な取り組みが、以下の枠組みに沿って審査されます。

①企業価値貢献
(1)デジタル技術を用いた既存ビジネスの深化
(2)デジタル技術を用いた業態変革・新規ビジネスモデルの創出
②DX実現能力
③ステークホルダーへの開示

DX銘柄における審査では、回答内容に関する具体的な取り組みの有無が重視されます。DX認定が「DX-Readyレベル」、つまりDX推進への準備ができた段階であることに対し、DX銘柄はDX推進への具体的な取り組みが進み(DX-Emergingレベル)、かつ優れた実績につながっている(DX-Excellentレベル)ことが認定の根拠となるためです。

DX銘柄を取得した企業の事例紹介

実際にDX銘柄を取得した企業は、具体的にどのような取り組みを実践しているのでしょうか。本章では、2023年にDX銘柄事業者となった企業の紹介と、その中から複数の企業をピックアップして取り組み内容を検証します。

2023年選出のDX銘柄企業一覧

2023年に選出されたDX銘柄企業は、以下の通りです。応募総数は451社、そのうち、DX銘柄に選出されたのは32社でした。この選出企業のうち、特に優れた取り組みをした2社に対して「DXグランプリ」が送られました。さらに、3年連続でDX銘柄に選定され、過去にDXグランプリに選定されている企業3社が、「DXプラチナ企業2023⁻2025」として選出されています。この他、応募企業の中から、注目される取り組みを実施している19社が「DX注目企業」として認定されました。

【出典】経済産業省「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)

DX銘柄取得企業の取り組み事例3選

本記事では、2023年にDX銘柄を取得した企業の中から3社を抽出し、具体的な取り組みについて紹介していきます。

①株式会社大林組

国内外の建設事業に加え、開発やグリーンエネルギー事業、新領域ビジネスなどを展開する総合建設業の大林グループは、DXによるビジネスモデルの革新や、それを支えるデジタル基盤の変革を推進しています。

この戦略の骨子は、「生産DX」によって業務プロセスの変革と建設事業の情報基盤強化を進め、それらを「全社的DX」の「4つの柱」が下支えする、というものです。「4つの柱」とは、「社内データの活用」「システムのスリム化」「業務の自動化・省人化」「デジタル人材の育成」で構成されています。

グループの中核を担う株式会社大林組は、社長直轄の本部組織としてDX本部を設置しました。さらに、DX本部内にはデジタル教育課が設置され、「Di-Lite(※)」に沿って「IT・ソフトウェア領域」「AI・ディープラーニング領域」「数理・データサイエンス領域」での資格取得を推奨しています。

(※)「Di-Lite」とは、デジタルリテラシー協議会が設定したビジネスパーソンのデジタルリテラシー向上に向けて整備された共通のリテラシー範囲のこと。

【出典】経済産業省、株式会社東京証券取引所、独立行政法人情報処理推進機構「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」p33~34
株式会社大林組「DX本部の新設について
デジタルリテラシー協議会「デジタルリテラシー協議会とは

②株式会社IHI

重工業を主体に、資源・エネルギー、社会インフラ、産業機械、航空・宇宙の4分野で事業展開をする株式会社IHIは、DXへの取り組みとして「ライフサイクルビジネス(LCB)の拡大」と「CO2排出/削減量を管理・環境価値化するデジタルプラットフォーム」を掲げています。

「LCBの拡大」では、顧客情報のデータ収集・分析や、各事業の特性に合わせた業務プロセス改革を進めることで、統合的なビジネスモデル改革の推進を図っています。また、「CO₂排出」に関連する取り組みでは、CO₂削減量のトークン化(カーボンクレジット)や、ブロックチェーンを活用した、流通ネットワークの構築に挑戦しています。

そして、こうした取り組みを推進するDXリーダーの専任、ならびにDX関連人財の育成にも力を入れています。各ユニットや部門に1名以上のDXリーダーをミドル層から任命し、配置しています。また、DX関連人財の育成に向けた取り組みも進め、データ分析を実務に適用させるためのデータアナリスト研修は、2023年度までに1,000名の育成を計画しています。


【出典】経済産業省、株式会社東京証券取引所、独立行政法人情報処理推進機構「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」p51~52
株式会社IHI「『DX銘柄2023』に選定」「DX を支えるツール展開と社内データアナリスト育成

③三井物産株式会社

鉄鋼・金属や資源、機械、食料品など、様々な商材を扱う総合商社として知られる三井物産株式会社は、DXの推進に向けて、2021年3月期に「DX総合戦略」を策定しました。この戦略は「DX事業戦略」「データドリブン(DD)経営戦略」「DX人材戦略」の3つで構成されています。DX事業戦略は、各事業現場の持つデータにデジタルの力(AI・IoT、ロボティクス、ビッグデータ)を掛け合わせ、新たな価値創造と個別事業の強化を目指すものです。

DD経営戦略とは、現場に散在している各種データをDMP(Data Management Platform)に一元管理し、活用と分析の基盤を構築しつつ、未来を予測や新規事業創出につなげるものです。

これら2つの戦略(DX事業戦略・DD経営戦略)の実行に向けて必要不可欠とされているのが、「ビジネス人材」「DXビジネス人材」「DX技術人材」です。

三井物産では、幅広い事業が展開されています。それぞれの事業に精通した「ビジネス人材」にも、DXに関する基本情報が必要であることから、全役職員のデジタル標準装備に向けた教育が実施されています。また、デジタルのエキスパートである「DX技術人材」の内省化を進め、「DXビジネス人材」の育成を促進しています。「DXビジネス人材」とは、ビジネスとデジタルの特性を深く理解し、「ビジネス人材」と「DX技術人材」をつなぐことで、DX推進を加速させる役割を担います。

さらに、DX人材の育成に向けた取り組みとして「Mitsui DX Academy」が開設されました。ここでは、DXスキル研修や、実践的研修であるブートキャンプなどが実施されています。


【出典】経済産業省、株式会社東京証券取引所、独立行政法人情報処理推進機構「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」p67~68
三井物産株式会社「三井物産のDX

3社の事例に共通する取り組みとは

DX銘柄を取得した3企業に共通する取り組みには、明確なDX戦略の存在や、具体的なDXへの取り組みがあり、実際に効果を生み出していることです。

そして、それらを実行する上で3社とも重視しているのが、「人材育成」です。自社に必要なデジタル技術(テクノロジー)の把握と、それらを社員(従業員)が身につけるための効率的な学習コンテンツが、提供されています。

DX銘柄取得企業における人材育成・確保への取り組み実態

DX銘柄を取得した企業における、人材育成・確保への取り組みについては、選定プロセスの第1段階で経済産業省が実施する「DX(デジタルトランスフォーメーション)調査」の結果にも表れています。

このグラフは、DX推進を支える人材について、どのような人材が必要か、また確保に向けた取り組みをしているかを問うものです。銘柄企業においては、実に88%が「明確になっており、現状必要な人材を確保できている」と回答しました。一方、注目企業の回答結果は53%、銘柄・注目企業には選定されなかった認定事業者では44%にとどまっています。

【出典】経済産業省「デジタルトランスフォーメーション調査2023の分析」より加工・作成

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まとめ|DX銘柄を効率的に取得するには

DX銘柄の取得は、自社のDXへの取り組みが経済産業省や東京証券取引所から評価されることを意味します。それは、DX推進企業として株式市場でのアピールが可能になることはもちろんのこと、申請プロセスを通して社内のDX推進体制の強化や人材の育成につながる効果が、期待できます。

一方で、その申請項目は多岐にわたるため、対応には多くの時間や負担が発生します。申請準備を効率化するには、外部の人材研修サービスを活用することも有効です。


企画・編集/パーソルイノベーション株式会社 リスキリング キャンプ コラム編集室 三浦 まどか(所属先は公開時点の情報です)