働き方改革のその先へ。オカムラが取り組む「働きがい改革 WiL-BE 2.0」が目指す未来

株式会社オカムラは、「人が活きる社会の実現」をパーパスに掲げ、オフィス環境事業をはじめ、商環境事業、物流システム事業、パワートレーン事業を展開しています。

1945年の創業当時から“モノづくり”に軸足をおくメーカーでありながら、時代の変化とともにモノ売りからコト売りへシフトし、より良い環境づくりのためのソリューションを提供してきました。

今年で創業80周年を迎えるオカムラは、2019年から「Work in Life」をコンセプトに「働き方改革 WiL-BE(ウィル・ビー)」プロジェクトをスタート。2023年4月には、2期目のプロジェクト「働きがい改革 WiL-BE 2.0」へとアップデートしました。「働きがい改革 WiL-BE 2.0」をどのように進めているのか。そもそもなぜ従業員のはたらきがいに注力するのか。Team WiL-BE 2.0の事務局を務める経営企画部の江川 徹さん、リーダーを務めるコーポレートコミュニケーション部の神山 里毅さんに伺いました。

プロフィール:

株式会社 オカムラ
写真左:
コーポレートコミュニケーション部
ブランディングマネージャー 神山 里毅
写真右:
経営企画部 経営企画グループ 江川 徹

この記事でわかるポイント

  • オカムラは「人生の一部としての仕事=Work in Life」の考え方を提唱し、働きがいを重視した改革を推進しています
  • 2019年に始まった「働き方改革 WiL-BE」は、2023年に「働きがい改革 WiL-BE 2.0」へと進化しました
  • 具体施策には、従業員の内発的動機を引き出す「働きがい会議」や、現場の声を直接拾う「WiL-BE2.0 CARAVAN」があります
  • 「人が活きる社会の実現」を目指し、今後も多様な現場に合った施策展開を視野に入れています

仕事は人生の一部。オカムラが提唱する“Work in Life”という価値観

――御社は、2017年より「Work in Life(ワークインライフ)」という考え方を提唱されています。これはどういった意味なのでしょうか?

江川:「Work in Life(ワークインライフ)」は、「Work(仕事)」と「Life(人生)」という2つの要素を同列に捉えるのではなく、「Lifeにはさまざまな要素があり、その中の一つとしてWorkがある」という考え方です。人生を構成するものは仕事に限らず、家族や友人との関係、趣味、学び、地域や仕事以外のコミュニティなど、多様な要素が含まれています。「ワーク・ライフ・バランス」のように人生と仕事を別々のものとして捉えるのではなく、人生の中の1つの要素として仕事があるという位置付けです。

神山:当社は、主力事業であるオフィス環境事業を始めた当初から、はたらき方やはたらく環境についての研究を行い、レポートの発行や書籍の出版も行ってきました。調査を重ねるなかで、一般的には「はたらく」や「仕事」はネガティブなものとして捉えられていることを感じていたんですね。ですが私たちオカムラは、「はたらくこと」は本来もっと前向きで、豊かに生きるための要素の1つであってほしいと思っています。当然、ライフステージや個人の価値観によって、仕事の位置付けは変わります。だからこそ、一人ひとりが「自分にとっての仕事の意味」を持てるようにしたい。そんな思いも、「Work in Life」には込められているんです。

――この「Work in Life」という考え方が、御社の方向性を形作る起点になったのですね。どのように具体的な取り組みへ落とし込んでいるのでしょうか?

江川:2019年から、「働き方改革 WiL-BE(ウィル・ビー)」をスタートしました。これは経営層直下のプロジェクトとして代表取締役が推進リーダーとなり、大きく4つのアクションを定めました。それぞれのアクションに実働部門を設定することで、具体的かつスピード感を持って推進できる体制を整えました。

オカムラの「働き方改革 WiL-BE」の体制(2019-2021)

江川:具体的には、人財開発部が主管となり、一人ひとりの成長とモチベーションを向上させる「Human Development(人財育成)」、人事部が主管となってはたらきやすい制度を作り、運用・定着を進める「Work Rule(制度)」、業務改革部が主管となってICT環境を整え仕事力と業務効率をアップする「Work Smart(デジタル技術)」、ワークデザイン研究所とスペースデザイン部が主導して自分たちではたらく環境を整える「Work Place(環境)」。これら4アクションを中心にして、働き方改革を実行してきました。

神山:新型コロナ感染症の影響もあり、在宅勤務制度やペーパーレス化の推進など、仕組みや制度の整備が一気に進み、「働き方改革 WiL-BE」を始めて約3年経った頃には、一定の成果や環境整備が整ってきたと実感できるようになっていました。そこで、今後どのように推進していこうかとWiL-BEプロジェクトのメンバーでディスカッションを行ったのです。「人的資本経営」というキーワードが世の中に浸透し始めたタイミングだったこともあり、我々はこれまで従業員のやりがいやはたらきがいについて深く掘り下げてこなかったことに気がつき、「働き方改革 WiL-BE」をアップデートする形で、「働きがい改革 WiL-BE 2.0」へと進化させました。

神山:「働きがい改革 WiL-BE 2.0」では、これまでの4アクションはそのまま継続しつつ、新たに「従業員の声を聴き、従業員が主役になれる」取り組みを加えました。それが「Inner Communication(社内活性)」です。コーポレートコミュニケーション部が主管となって、従業員同士の関係性やエンゲージメントを高めるための社内施策を進めていく役割を担っており、私がそのリーダーを務めています。

オカムラの「働きがい改革 WiL-BE 2.0」の体制(2023-)

従業員の声を聞く。はたらきがいを育む社内コミュニケーション

――新しく加わった「Inner Communication」は、社内コミュニケーション施策の推進とのことですが、どういったことから始めたのでしょうか?

神山:まずは、現場ではたらく従業員の声を聞く仕組みづくりから動き出しました。ただ、オカムラには全国に80拠点以上のオフィスがあり、約4000名の従業員が在籍しています。「どのようにして従業員の声に耳を傾けたら良いのか」、さらに「はたらきがいについて聞かれて、従業員は答えられるのか」といった意見があがりました。ディスカッションを重ねた結果、2つの代表的な取り組みが生まれました。それが「働きがい会議」と「WiL-BE2.0 CARAVAN」です。

「働きがい会議」は2023年からスタートし、全従業員が自分自身のはたらきがいについて考える取り組みです。各部門の部門長が実施責任者となり、部門単位で「働きがい会議」を実施しています。恐らく多くの人は、「あなたにとってのはたらきがいとは?」と突然聞かれても、すぐには答えづらいですよね。だけど、「はたらいていて良かった瞬間は?」と聞かれると「そういえば」と具体的なエピソードが思い起こされます。Inner Communicationチームが作成したワークシートをもとにして日々の仕事を振り返り、やりがいを実感した瞬間を見つけて、そういった機会を増やしていくためには今後どうしたら良いかを考える。そしてグループワークでディスカッションしながら、一人ひとりはたらきがいが異なることを共有し、相互理解を深めていくのが「働きがい会議」です。

「働きがい会議」の様子

江川:「働きがい会議」は、上司と部下が今後のキャリアについて話し合う育成面談にも良い影響を与えています。オカムラではキャリア面談が制度として義務づけられているのですが、「働きがい会議」での対話が事前にあることで、よりスムーズにキャリアについての話ができるようになっています。

神山:2つ目の「WiL-BE2.0 CARAVAN」は、各アクションのリーダーが全国の拠点を訪問し、はたらきがいの向上に向けて従業員の要望やアイデアに直接耳を傾ける取り組みです。そこでは、業務に関する小さな改善要望から、組織のあり方に関わる大きな提案まで、さまざまな声が寄せられます。対応可能なものは、各アクションでスピーディーに施策へ展開し、大きな判断を伴う提案については、年2回開催している「WiL-BE推進委員会」にて経営層への提言を行っています。

「WiL-BE2.0 CARAVAN」での様子

江川:「WiL-BE2.0 CARAVAN」を通じて実現した事例や、「働きがい改革 WiL-BE 2.0」の取り組み内容は、オウンドメディアである「Okamura Live : )(オカムラライブスマイル)」にて社内外への発信をしています。

――「働きがい会議」で個人のはたらきがいを見つめ直し、「WiL-BE2.0 CARAVAN」で広範囲のはたらきがいに向き合えるのですね。

経営層の本気と専門チームが生む、スピードある改善力

――1つ気になったのですが、「WiL-BE2.0 CARAVAN」において現場ではたらく従業員からの要望はすぐに出てきたのでしょうか?従業員数も多いと、経営層との距離感もあり、すぐに発言しづらい気もしました。

江川:おっしゃる通り、「WiL-BE2.0 CARAVAN」を始めてすぐの頃は、拠点を訪れてディスカッションの場を設けても、なかなか意見が出てきませんでした。日々、目の前の業務もあるなかでは、「言ってもなかなか変わらないのでは」「どこまで届くのか分からない」といった、戸惑いや不安の声があがることもありました。それでもTeam WiL-BE 2.0としては、はたらきがいを高めていきたいということを根気強く伝え、はたらきかけを続けてきました。

神山:当社は経営層のコミットメントが非常に強く、「地方拠点の従業員も含めて、全従業員のはたらきがいを考えてくれ」という経営直下の依頼があります。各アクションリーダーはもちろんのこと、経営層たちがこのプロジェクトに対して真剣に向き合っているんですね。

神山:また、「声が届いた」という実感を持ってもらうために、実際に改善された事例を積み重ねていくことも大切だと考えています。たとえば、キャリア採用の従業員から「社内ネットワークを広げたい」という声があがった際には、「Human Development(人財育成)」アクションのチームがキャリア採用向けの研修を企画。全社のキャリア採用従業員を集める研修を開催し、“入社同期”のような横のつながりを築く場を提供しました。
他にも、「拠点オフィスの改装をしたい」という声があがったときは、「Work Place(環境)」アクションのチームがまず全国の拠点調査を行い、改装の必要があるオフィスを洗い出し、経営層に提言。そこから、優先順位の高いオフィスに関しては、1年以内に改装もしくは移転を実施しました。

――1年以内!かなりスピード感がありますね。

神山:やっぱり、経営層がコミットしていることと、各5アクションに主管部門がしっかり割り振られていることが、スムーズな実行につながっているのだと思います。

江川:また、各部門のリーダーたちは、それぞれの分野のプロフェッショナルです。
だからこそ手戻りが少なく、実現性が高いのだと思います。たとえば、人事制度に関する意見であれば「Work Rule(制度)」を担う人事部のリーダーがすぐに答えられますし、社内システムに関することならDX戦略部と情報システム部が対応できる体制があります。経営層の本気と各アクションリーダーの専門性が相乗効果を生み出し、「Okamura Live : )」で事例を発信することで「発言すれば実現する可能性がある」「言っても無駄じゃない」と感じてもらえるようになってきました。実際、我々も従業員からの発言が徐々に増えてきたと感じています。

会社、顧客、社会が「活きる」ために、本気で改革を推し進める

――なぜ御社は経営層もコミットし、これほど真摯に「働きがい改革 WiL-BE 2.0」に取り組んでいるのでしょうか?

神山:実は私たちは、ただただ従業員の満足度を上げたくて取り組みを行っているわけではありません。最大の目的は、パーパスである「人が活きる社会の実現」を叶えるためです。どうすれば「人が活きる社会の実現」ができるかと考えたときに、まずはオカムラではたらく従業員一人ひとりが「活きる」状態でなければならないと私たちは考えています。オカムラではたらく従業員が「活きる」ことで、会社が「活きる」。そして我々のソリューションを提供する顧客も「活きる」、それが結果として社会が「活きる」ことにつながっていく。従業員一人ひとりのはたらきがいを高めた先に、会社があり、顧客があり、社会があります。この「人が活きる社会の実現」というパーパスの実現のために、経営層も真剣に「働きがい改革 WiL-BE 2.0」に向き合っているんです。

――2023年4月から「働きがい改革 WiL-BE 2.0」をスタートし2年が経ちましたが、お2人は、従業員の“はたらくWell-being”を高めるためには何が大切だと感じますか?

江川:そうですね。私は、一人ひとりがはたらくなかで「何を考えているのか」「何に価値を感じるのか」を知ることが大切だと思っています。だからこそ会社として、「働きがい会議」などを通じて考える機会を提供し、「なんのためにはたらくのか」「なぜはたらくのか」と問いかけています。まずは自分を知ることが、“はたらくWell-being”を高める一歩になるのではないかなと感じていますね。

神山:私は、働きがい改革を推進するWiL-BE 2.0メンバーである我々が、活き活きしているかどうかが重要だと思っています。各アクションのリーダーたちと週に1回会議を行っているのですが、そこでは「従業員のはたらきがい」をテーマに熱く議論することもあれば、和気あいあいと話し合うこともある。さらに場所を居酒屋にかえて延長戦、なんてことも。そうした様子を見ると、推進メンバー自身が楽しくはたらいていて、“はたらくWell-being”が高いなと感じます。けっこう個性的なメンバーが揃っていると思うのですが(笑)、「はたらきがいを高める」という共通の目的のもと、それぞれの専門領域で力を発揮している。この前向きな雰囲気こそが、プロジェクトを推進する原動力になっていて、それが従業員にも広がっていくのではないかと思っています。

――最後に、今後の展望を教えてください。

江川:Team WiL-BE 2.0としては、まだまだ従業員のはたらきがいの向上には伸びしろがあると感じています。たとえば、工場などの生産現場ではたらく従業員のはたらきがいには、十分にアプローチできていない部分があるのが現状です。これまではホワイトカラーの従業員を中心に取り組んできましたが、生産部門は業務内容や環境が異なるため、また別の施策が必要になると考えています。今すぐにこれ、という施策があるわけではないので、これからに向けて考えていきたいことの1つです。

神山:「はたらきがい」というテーマには終わりがありませんし、ひとつの取り組みで劇的に変化するものでもないと感じています。だからこそ、経営層をはじめ「働きがい改革 WiL-BE 2.0」に本気で真剣に取り組んでいます。一過性の満足度ではなく、日々の仕事のなかで一人ひとりが自身の“はたらくWell-being”を感じながらはたらける環境を、これからも創っていきたいです。

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