DXとは?導入のメリットや推進のための3つのステップを解説!成功事例も紹介

DXは、デジタル技術を活用してビジネスモデルや業務プロセスを変革し、競争力を高める取り組みを指します。しかし「DXとは具体的に何か?」「どのようなメリットがあるのか?」と疑問に思う方もいるかもしれません。

そこで本記事では、DXの意味や導入のメリットを解説しながら、DX導入を成功に導く3つのステップを詳しく解説します。ぜひ、組織のDX推進に役立ててみてください。

この記事でわかるポイント

  • DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して業務やビジネスモデルを変革することです
  • 企業価値の向上や業務効率化、新たな顧客体験の創出などを目的に、DXを実施します
  • DXの導入には経営層の関与や現場の理解、継続的な学習の場づくりが欠かせません
  • 一方で、DX推進における障壁としては人材不足や具体的な推進方法が不明なケースもあります
  • 導入における具体的な3つのステップと、企業のDX成功事例も紹介します

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、データやデジタル技術、AIなどを活用しながら業務負荷を軽減したり、組織や企業文化を変革したりすることを指します。テクノロジーの進化を受け入れて、生活や仕事に取り入れながら既存の価値観を変える目的で行われます。

経済産業省の「デジタルガバナンス・コード(要約版)」では、DXを以下のように定義しています。

“デジタル技術やツールを導入すること自体ではなく、データやデジタル技術を使って、顧客目線で新たな価値を創出していくこと。”
引用:デジタルガバナンス・コード 実践の手引き(要約版) (経済産業省)
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-chushoguidebook/tebiki-yoyaku.pdf

ちなみにDXの概念は、2004年にインディアナ大学の副学長であるエリック・ストルターマン氏が提唱したのがはじまりです。その後、時間をかけながら世界中にDXの概念が浸透していきました。

IT化やデジタイゼーション(デジタル化)との違い

IT化やデジタイゼーションとDXの違いは、目的であるか手段であるかです。DXは、組織や業務フローの「変革」が目的で行われます。

一方でIT化やデジタイゼーション(デジタル化)は、「従来のアナログ業務をデジタルツールに置き換えること」を指します。そのため、IT化やデジタイゼーションはDX推進のための手段のひとつに過ぎません。

企業にDXが求められる理由と現状

インターネットが発展してさまざまなサービスや生活様式、はたらき方が増えてきた昨今。海外と取引を行う企業や、在宅ワークを活用したはたらき方を推進する企業が増えてきました。変化を続けるグローバル市場で勝ち抜くためにも、DXが求められています。

しかし、DXを推進する際の初期費用やツールを維持するためのランニングコスト、DX推進の際に組織全体の協力が必要になるなど、さまざまな理由から導入ができていない企業も多いのが現状です。そのため、経営資源が豊富な大企業の方が、比較的DXを導入できている傾向にあります。

DXに向けた取組に着手する企業は年々増加している一方で、段階4に達している企業は6.9%と少ない状態であることから、DXの進捗状況は依然途上段階にある。

引用:2024年版 中小企業白書 DX(デジタル・トランスフォーメーション) (中小企業庁)
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2024/chusho/b1_4_7.html

DXを導入するメリット

DXを導入するメリットは、主に以下の4点です。

  • ●    業務の生産性が向上する
  • ●    データを活用して客観的な意思決定を推進できる
  • ●    レガシーシステムを刷新できる
  • ●    従業員のはたらき方を柔軟にできる

それぞれ詳しく解説します。

業務の生産性が向上する

業務の生産性が向上するのは、DX導入におけるメリットです。DXを導入すると、さまざまな業務がデジタル化されて業務フローが見直されます。ヒューマンエラーを減らしたり、ITツールやロボットなどを用いて業務を自動化したりすることで、従業員一人ひとりに余力が生まれるでしょう。

新たに生まれた時間は、ほかの優先度の高い業務に人的資源を割くことが可能です。また、社内のデータをデジタル化することで、ペーパーレスも推進できます。

データを活用して客観的な意思決定を推進できる

DXの導入によりデータの活用が進むと、客観的な意思決定ができるようになります。主観に基づく判断は、組織の戦略や方向性を不安定にして問題の根本的な解決を妨げ、あらゆるリソースの無駄遣いを引き起こす可能性があります。データを収集・分析し、活用することで、より効果的な意思決定が実現できるでしょう。

データを一括管理できる

データを一括管理できるのも、DX導入におけるメリットです。複数のシステムや媒体に分散しているデータをひとつにまとめることで、検索や照合にかかる時間を削減できます。必要なタイミングでスピーディーに必要な情報を取り出せるようになるため、生産性向上にも寄与するでしょう。

レガシーシステムを刷新できる

DXを導入するメリットのひとつに、レガシーシステムを刷新できる点も挙げられます。レガシーシステムとは、古い技術やソフトウェアで構築されたシステムを指します。レガシーシステムの例として、たとえば部門ごとに連携できないものや、サポート終了、運用が属人化しているシステムなどが該当します。

レガシーシステムを使用し続けると、システム障害の発生や、保守・運用におけるコストが増大するといったデメリットがあります。DXの導入に際して、これらのシステムを新しいものに置き換えることで、より安定的な運用ができるでしょう。

従業員のはたらき方を柔軟にできる

従業員のはたらき方を柔軟に変えられるのも、DX導入のメリットです。ITツールの導入や、これまでアナログだった業務をデジタル化することにより、リモートワークの推進やフレックスタイム制の導入など場所や時間にとらわれないはたらき方を実現しやすくなります。

また、AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用することでルーチンワークが効率化され、クリエイティブな業務に時間を割けるようになります。結果として一人ひとりのはたらき方が多様化し、柔軟に変化していくことができるでしょう。

DXが推進できない理由

一見メリットが多い、DX導入。しかし、推進できていない企業も多いのが現状です。DXを推進できない理由の例として、以下の4点が挙げられます。

  • ●    DX推進の目的が不明確だから
  • ●    レガシーシステムに依存しているから
  • ●    対応できるIT人材がいないから
  • ●    具体的な推進方法がわからないから

一つひとつみていきましょう。

DX推進の目的が不明確だから

DXが推進できない理由として、目的が不明確である点が挙げられます。DXを導入する際、従業員はシステムやツールなどの使い方を新たに覚える必要があります。

デジタルツールの活用に慣れていないメンバーは、新しいことを覚える点に負担を感じる場合もあるでしょう。目的が不明確なまま進行するとDXを推進する意義を見出せず、従業員の協力を得られない可能性もあります。

レガシーシステムに依存しているから

レガシーシステムに依存しているのも、DXを推進できない理由のひとつです。レガシーシステムに依存する理由として、経営層のデジタルリテラシーが低く、レガシーシステムを使い続けるデメリットやリスクを把握していないケースがあります。

また、既に機能しているシステムを維持する方が、刷新するよりもコストがかかりづらい場合もあるでしょう。ほかにも、従業員がレガシーシステムの操作に慣れていて、新しいシステムの導入に対し拒否反応を示すためにDXが推進できないケースもあります。

対応できるIT人材がいないから

DXの導入には、組織の状況に適したシステムの開発や新たなITツールの選定など、ITに関する知見が求められます。しかし、社内に対応できるIT人材がいないため、DXが推進できていないケースもあるでしょう。

具体的な推進方法がわからないから

具体的な推進方法がわからないのも、DXが推進されない理由のひとつです。実際に多くの企業でDXの重要性を理解してはいるものの、どのような手順で導入していくか、そもそもどこから始めるべきか不明確なため、推進できない場合があるでしょう。

実際にDX推進に投資したコストに対する効果を見極めるのも難しく、具体的なアクションに写せないケースもあります。

DX導入における具体的な3ステップ

続いては、DX導入における具体的な方法を3ステップで紹介します。

ステップ① 目標設定とDX戦略の策定

はじめに、DXを導入して実現したい目標を設定します。「業務効率化」「顧客体験の向上」「はたらきやすい環境を整備して人材の定着を目指す」など、企業によってさまざまでしょう。従業員が全員同じ方を向けるよう、可能な限り具体的に目標を設定するのが望ましいです。

また、目標設定にあわせて、組織全体でDX戦略の策定も行いましょう。DX戦略の策定と同時に現状を把握し、どれくらい理想と乖離があるか認識するのも大切です。

ステップ② DXツール・技術の選定と導入

DX戦略を策定したら、次は具体的なツールや技術の選定・導入を行います。一部の業務工程に負荷が集中していたり、ミスが頻発したりする業務を先に把握しておくとよいでしょう。DXツールや技術を導入し、優先的な改善を目指します。

ツールや技術の選定において社内にITに明るい人材がいない場合は、コンサルタントやベンダーなど、プロに依頼するのもおすすめです。自社でIT人材を育成するよりも、コストを抑えられるかもしれません。

ステップ③ 組織とカルチャーの改革

ツールや技術を導入して終わりではなく、組織の構造やはたらき方、企業文化の変革も必要です。従来の業務フローに慣れている従業員にとって、新しいツールや技術を使いこなすのは難しいと感じる場合もあるかもしれません。そのため、ツールや技術を使いこなせるようにする教育も同時に行っていくことが大切です。

また、DX戦略の定期的な振り返りも大切。実際に導入してみてどのように変化したかなど、意見交換の場をつくるとよいでしょう。現場からのフィードバックも反映させながら、適宜より最適な方向に舵を切り直していくのがおすすめです。

成功した企業のDX導入事例と成果

続いては、実際にDXを導入して成功した企業の事例と成果を解説します。

ユニ・チャーム

ユニ・チャームは、大手消費財メーカーであり、「ムーニー」や「ソフィ」などの紙おむつ・生理用品で広く知られています。

同社が導入したDXの取り組みの一つに、「手ぶら登園」サービスがあります。これは、乳幼児を育てる家庭を支援するとともに、保育園の業務負担を軽減することを目的とした紙おむつのサブスクリプションサービスです。

事前に子どもの情報やおむつの使用状況を登録し、在庫が少なくなると自動で発注できるシステムを構築することで顧客体験の向上を実現しています。

出典:ユニ・チャーム『DX注目企業2023』に選定 (ユニ・チャーム株式会社)
https://www.unicharm.co.jp/ja/company/news/2023/0601-01.html

ファーストリテイリング株式会社

シンプルで高品質、かつ手頃な価格で日常的なカジュアルウェアを購入できるユニクロを展開する、ファーストリテイリング株式会社。同社が導入したDXは、ビッグデータを活用した「必要なタイミングで、必要な分だけ、作り・運び・販売するSCM」です。

Googleと共同で開発したAIベースの需要予測モデルとビッグデータを活用し、販売計画をリアルタイムで生産計画に反映。また、在庫配分のアルゴリズムにより各国の倉庫にそれぞれ最適な配分を実現しています。

出典:有明プロジェクトについて~“情報製造小売業”の実現に向けて~ (株式会社ファーストリテイリング)
https://www.fastretailing.com/jp/ir/library/pdf/20211014_tanaka.pdf

株式会社ローソン

日々の生活で見かけることも多いコンビニエンスストア「ローソン」。同社が導入したのは、人手不足に対応するDX施策です。

2015年に、セミオート発注システムを導入しました。セミオート発注システムは、店舗ごとに最適な商品の品揃えと個数を維持できるようにAIが自動算出・発注することで販売機会や食品ロスの削減を実現しています。

出典:ローソングループ Challenge 2025の概要 (株式会社ローソン)
https://www.lawson.co.jp/company/ir/library/pdf/annual_report/ar_2023_03.pdf

第一三共株式会社

「2030DXビジョン」を掲げ、新薬の開発からサプライチェーン、販売・情報提供までの革新を目指す第一三共株式会社。同社ではAIやIoT、ロボットなどを活用して研究過程を自動化し、研究者が空いた時間で新薬についてのアイデアを捻出する時間に充てています。

また、臨床開発においては膨大なリアルワールドデータをIDAP(NTTドコモが運営するビッグデータ分析システム)に格納し、一元管理できる体制を整えています。

出典:DX - データと先進デジタル技術の活用 (第一三共株式会社)
https://www.daiichisankyo.co.jp/about_us/dx/

味の素株式会社

調味料や食品素材を中心に事業展開する、味の素株式会社。同社ではグループ全体でDXの導入に取り組んでいます。

たとえば工場でAIやロボットを積極的に活用し、人手不足に対応。各種記録に関してもアプリに移行して、リモートで現場管理を行ったり、スピード感のあるデータ分析をしたりといったことを実現しました。

出典:味の素グループの変革を支えるDXの進化・取り組みについて (味の素株式会社)
https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/aboutus/pdf/viewer/web/viewer.html?file=/company/jp/ir/event/business_briefing/main/011114/teaserItems1/01/linkList/02/link/DX_0701.pdf

DX推進により従業員と顧客がともに満足できる会社へ

DXの推進は、業務効率化や生産性の向上だけでなく、従業員の働きやすさや顧客へのさらなる価値提供を実現します。しかし実際にDXを推進する際は、具体的な目標設定とDX戦略の構築が必要です。自社にIT人材がいない場合は、外部のコンサルタントやベンダーに協力を仰ぐとよいでしょう。

また、DXを導入した後は現場の意見を汲みながら、そのつど最適な方向に舵を切り直していくのがおすすめです。実際にDX導入に成功している企業の事例も参考にしながら、よりよい職場環境の整備や顧客体験の向上を目指してみてはいかがでしょうか。

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