「アイデアクリエイター」という肩書きで、日々SNSに新しいアイデアを発信し続けているいしかわかずやさん。直近では大手雑貨店とコラボし、「カステラに見えるスポンジ」といったユニークなアイテムを発売しました。そんないしかわさんは、デザインの力によって楽しく行動を促す姿勢や、本業と副業を両立し“はたらくWell-being”を体現している点が評価され、「はたらくWell-being AWARDS 2025」Future Generations Relations部門を受賞しました。
今回はいしかわかずやさんに、アイデアクリエイターとして活躍するまでの軌跡や、自身が“はたらくWell-being”を実現するためにどのような取り組みをしているのかを伺います。
プロフィール:
アイデアクリエイター いしかわ かずや
1991年生まれ。千葉県出身。大学ではカーデザインを専攻し、2016年大手IT企業にデザイナーとして新卒入社。自社ブランディングの部署に配属され、現在は生成AIに携わっている。大学在学中からデザインコンペに多数出品し、受賞率は9割以上。主な受賞歴は、「シヤチハタ・ニュープロダクト・デザイン・コンペティション」12th・13th・14th 3年連続受賞、宣伝会議賞2次通過など。これまでにアイデア発想に関する本を2冊出版。コロナ禍をきっかけにSNSやYouTubeチャンネルでアイデアを発信し、フォロワー40万人以上。2024年11月にカステラスポンジが全国のロフトで発売され、今では様々なメーカーやアミューズメント施設とコラボしながらグッズ制作するなど商品企画コンサルティングを手掛けている。
大学時代に参加したコンペが“アイデアクリエイター”の目覚めだった
――いしかわさんのSNSには、「お醤油を差すとイルカがシャチに変わる醤油皿」や、四角形のガムテープなど、とてもユニークなアイテムが掲載されていますね。
チェックしていただきありがとうございます!どちらも自信作なのでとても嬉しいです。
――「アイデアクリエイター」という肩書きは初めて聞きました。どんな活動をしているのか教えてください。
新卒で入社したIT企業での勤務を本業としながら、副業でアイデアクリエイターとして活動しています。
コンペに参加したり、SNSやYouTubeなどのSNSで自分のアイデアを発信したりしながら、企業とコラボしてオリジナル商品の開発をすることも。またアイデアにまつわる書籍の出版や企画のコンサルティング、発想力を鍛えるコミュニティ運営など、「アイデア」が軸であれば活動は限定していないんですよ。
――アイデアクリエイターのほかに、本業をお持ちとは驚きました!現在はどんなはたらき方をされているのですか?
週5日間は会社員として生成AIに関連した仕事をしつつ、自分の時間でアイデアクリエイターの活動をしています。
――ところで、いしかわさんはどのようにアイデアクリエイターへの道を歩まれたのですか……?
僕は幼い頃から、とにかくモノづくりが大好きだったんですよね。絵を描いたり、工作したり、空想したものを具現化したり。なので、工業系の大学に進学してプロダクトデザインを勉強していました。大学院にも通い、当時は車のデザインを学んで3Dモデルを使って自分の考えたものを形にしていましたね。
アイデアクリエイターとして目覚めたのは、大学1年生の時。大学が千葉県習志野市と共同して、地元のお土産の「馬のサブレ」をテーマにしたコンペを開催したんです。当時はグラフィック系のデザインを学んだことがほぼなかったため、鉛筆書きのスケッチを1枚提出しました。すると、作りこんだパネルやモックを提出した先輩たちに混ざり、まさかの賞を獲得したんです。
そのときに、「アイデアが本質をついていれば、見せ方がシンプルでも評価される」ということに気付き、さまざまなコンペに応募するようになりました。一時は、アルバイトをせずにコンペの賞金で生計を立てていましたね。
――生計を立てられるほど、コンペで賞金を稼いでいたとは!
とはいえ、いち学生としての活動だったので、時期が来たら周りの学生と同じように就職活動を開始しました。周りからは「カーデザインの職に就くのだろう」と思われていましたが、メーカーで先輩に囲まれて仕事するよりも同年代に囲まれて仕事をしてみたいという思いがあり、それならなんとなく「ITだろう!」という単純な考え方から(笑)、IT企業の採用試験を受けました。
本業と副業が生み出すシナジー
――たくさんあるIT企業の中で、なぜ今の会社を選んだのですか?
人と環境の良さを感じ、「この職場でこの人たちと一緒にはたらきたい」と思ったのが理由です。今の会社は、採用試験が一番楽しかったんですよね。面接官が会社や仕事の話をするのではなく、「いしかわくんはどんなことをやりたいの?」「どんな夢があるの?」と丁寧に聞いてくれて。アイデアクリエイターとして活動したいことや、「爪痕を残したいんです!」と夢を語ると、「それいいね!」と僕の意思を応援してくれました。面接官と求職者というより、個と個で話せた感覚があったんですよね。
また社員の副業やリモートワークやフレックスといった多様なはたらき方を推奨する制度があったことも、魅力的に感じました。そうした制度を活用できるおかげで、現在、アイデアクリエイターとしての活動と両立できています。
私は入社するまで全くITの勉強をしていなかったので、新入社員の中では異端児でした(笑)。そんな個性も尊重してくれ、自社ブランディングの部署に配属されて、今は生成AIに携わっています。
――素敵な会社ですね!
「人」と言えば、私の上司も副業でTikTokerをしていて、フォロワーが100万人もいるんですよ。ユニークな環境ですよね!
その上司から「かずやもやってみなよ!」と勧められ、SNSでアイデアの発信を開始しました。その結果投稿がバズり、商品開発や書籍の出版など今につながっています。
そのおかげで、本業でも「アイデアの人」というポジションを確立できました。アイデア出しが必要な新規案件に声を掛けてもらえることも増え、仕事相手が私のことを知ってくれているとコミュニケーションも円滑になって本業でもはたらきやすくなりましたね。一方で副業でも、本業を持っているからこそ、社会人としての信頼を得やすいというメリットもあります。最近では副業で得た実績が本業への自信につながり、さらなる成果を生む…….という好循環が生まれています。
――本業と副業の両立が、シナジーを生んでいるということですか。
そうですね。本業と副業が相互に作用しあっているように感じます。昔から私を知っている大学のデザイナーの先輩からは「社会人になってアイデアの説得力が増したね」と声を掛けられることも。本業と副業で常にアイデアを考えているからか、どちらのアイデアも研ぎ澄まされてきた感覚がありますね。
――まさに“相互作用”ですね。とはいえ、2つのお仕事を並行するというのは大変なこともあるのではないでしょうか?
確かにそれぞれにいい点、大変な点はありますね。本業は多くの人と協働してプロジェクトを進めるので、さまざまな意見を聞くことができます。資金力もあるから、社会へのインパクトも出しやすい。
副業は、良くも悪くも孤独で、結果が出せるかどうかは自分次第なんですよね。自分一人で試行錯誤しなければいけない、孤独との戦いでもあります。いい点、大変な点含めて、両立している今が、私にとっては“はたらくWell-being”になっています。
――本業と副業、別々の視点がありますが、いしかわさんはどんな時にはたらきがいを感じますか?
見る人の想像を超えたアイデアを生み出すことができたときの喜びは、ひとしおですね。そうした瞬間をもっとたくさんの人に感じてほしいという思いもあり、アイデアの発想法に関する本を出したり、本業で社内人材の育成も行ったりしています。
会社の中で、部署や仕事の垣根を超えて事業のアイデアを出せる人が増えたら、会社のパフォーマンスもあがるはず。僕の発想法を伝えることで、少しでもはたらくことが楽しくなってもらえたら嬉しいです。
はたらくことは人生。自分らしく活躍できる場所を見つけることがWell-beingにつながる
――今後の目標を教えてください。
5年後という中期視点でいえば「アイデア×タレント」という新しいポジションを切り拓く、第一人者になりたいですね。僕は、人が物を購買する理由は2つあると思っています。1つ目は、プロダクトそのものに良さがあるケース。2つ目は、それを売っている人にタレント性があり、付加価値があるケースです。アートの領域では「このアーティストが作ったものだからほしい!」という2つ目の動機が成り立つのですが、100円ショップや雑貨屋に並んだ便利グッズの領域ではまだその第一人者がいないように思います。だからこそ、僕がその第一人者になりたいですね。そして「いしかわかずやブランド」だけのアイテムが並ぶ店を作りたいと思っています。また、将来的には教育機関を作りたいとも思っています。
――教育機関!壮大な目標です。
僕自身子どもの頃から、人と違ったものの見方をしてきました。しかしそれが受け入れられる場面は多くなく、むしろ疎外されることのほうが多かった。けれど今はその能力が仕事になっているし、そのおかげで楽しく生きることができています。
もし僕と同じように、みんなとは違ったものの見方をする子供がいたら、それを肯定してあげたい。「みんな違って、みんないいじゃない!」と言える教育機関や教育コンテンツがあったら、子どもの頃の僕も救われると思うんですよね。
――「ありのままの自分で生きられること」を肯定したいということですね。
そうですね。「自分の能力や特性というある種の“制約”を持ったまま、努力でどこまで跳躍できるのかを知りたい」という自分自身への期待も含まれているかもしれません。
仕事は人生の中でも多くの時間を占めます。大げさに言ってしまえば、はたらき方=人生とも言えます。はたらく時間も自分らしくいられたら、自然と“はたらくWell-being”が満たされますし、言わずもがな人生の幸福度が高まるのかなと感じています。