DX推進における企業が抱える課題の変化
直近のDX関連トレンドとして、「現場主体のDX」「デジタル人材育成」「自分ごと化」の3つが挙げられる。DX推進室といった専門部隊を立ち上げる企業が増えており、いかに現場を巻き込んで推進していくか、社内でDX推進を担うデジタル人材を育てるにはどのようにすれば良いか、現場で主体的に学ぶ仕掛けづくりをどのようにするかといった課題を抱える企業が増えている。
「2020年頃まではデジタル技術をどう活用するかといったHow toにフォーカスされていましたが、2021年に入ってから組織やプロセス、企業文化や風土をどのように変革するかといったフェーズに移行している企業が増えているように感じます」(成瀬)
これまでも働き方改革等さまざまな改革トレンドがあったが、DXは“デジタル”という新たな知識やスキルを身に付けなければならないことがこれまでの改革と大きく異なる。誰かがやってくれるものではなく、経営から現場まで全社一体で取り組むことが求められる。
ここから企業が取り組むDX領域を、仕事のやり方を変える「プロセスDX」、働き方を変える「ワークスタイルDX」、新しい事業を生み出す「ビジネスDX」の3つの観点に分け、それぞれにおける事例を紹介した。
その中の1つ、プロセスDXの最新事例として、現場でDXを推進できる人材を継続的に発掘・育成したい、現場のモチベーション、主体性に繋がる風土醸成を行いたいといった課題を抱える企業の事例を紹介した。これらの課題に対して、大きく以下3つの取り組みを実施している。
① 意向醸成・発掘
例:DX推進に意欲がある人材や素質をもつ人材を育成するための公募型研修の実施
② コミュニティ化・プロジェクト化
例:組織横断型のコミュニティを形成し、勉強会やチャットを用いたナレッジ共有の仕組みづくり
③ 風土醸成
例:DX推進人材の表彰イベントやプロジェクト実績の全社共有等、イベント・広報施策の見直し
一見、DXとは関連がないように見えるが、こうした取り組みがDX推進においては重要なのだ。