プロセスエコノミー時代の企業DX

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価値の存在する場所が、大きく変わりつつある。良い物を作ることが価値とされていたが、インターネットの台頭によって、良い物の情報が瞬時に行き渡り機能や性能での差別化が難しくなったからだ。価値を求める視線が、物が生み出される背景や工程、つまりプロセスに注がれている。話題の書籍「アフターデジタル」の著者であるIT評論家 尾原 和啓氏を招き、良い物だけでは売れない時代の新たな価値の創造について語った。

※セミナーにある経済実態、役職名は2021年9月14日時点のものです。

登壇者

IT批評家

尾原 和啓 氏

京都大学院で人工知能を研究。マッキンゼー、Googleiモード、楽天執行役員、2回のリクルートなど事業立ち上げ・投資を専門とし、経済産業省、対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザー等を歴任。現在13職目、近著「アフターデジタル」は11万部、元経済産業省大臣世耕氏より推挙。「プロセスエコノミー」はAmazon書籍総合1位。

目次

アウトプットからプロセスに価値がシフトしている時代

プロセスエコノミーとは、物の価値や付加価値が、アウトプット(完成品)から、プロセス(製作過程)にシフトしている、「良いモノ」だけでは稼げない時代の新常識である。

インターネットの台頭によって、私たちは一瞬で情報を手に入れられるようになり、高品質な物を作れるようになった。以前は、スマートフォンの新しい機種が出ると聞くと「どう変わるのだろう」と話題になることもあったが、今やどれも似たり寄ったりの機能、性能だ。行きすぎた情報社会ゆえに、良いモノを出しても埋もれてしまい、稼げない時代になっていると尾原氏は指摘する。

「完成品よりも、プロセスにこそ価値があるのではないか。なぜならプロセスには、完成に行き着くための、人のこだわりや大事にする思い、哲学が反映されているからです。何よりも大事なことは、プロセスはコピーできないということ。完成品ではなくプロセスそのものを売っていく、プロセスエコノミーがこれから時代の中心になっていくのではと思います」(尾原氏)

「ないものがない」時代には価値が高いとされるもの

プロセスに価値が生まれる背景には、世代の変化と競争環境の変化があるという。

戦後はまさに「“ない”を“ある”に変える」社会で、何もない焼け野原に、建物や交通、市場などを作ることで、多くの人が幸せを得られたが、今の若い世代は「ないものがない」世代だ。

「若い世代は、新しい何かを作るとか、高品質のものを手にして快楽を得ることへの感度が下がっている。むしろ自分にとって意味があることに取り組む、仲間と一緒に時を忘れるほど没頭するといった方向に喜びや価値観がシフトしています」(尾原氏)

さらに、市場における競争環境が変化し、差別化が困難になっている。

「“役に立つ”が高度化され、差別化できなくなり、次に価値を生み出せるポイントとして“意味がある”にシフトしています。例えば、車を例に出すと、日本製の車は“役に立つ”ものの、似たような性能のBMWやベンツはそれを所有していること自体に“意味がある”とされており、価格も高い。すなわち価値がシフトしています。さらにいうと、フェラーリやランボルギーニといった街中では走りづらいような“役に立たないけど意味がある”ものが最も価値が高いとされています」(尾原氏)

つまり、「役に立つ」「モノ」「正解」「利便性」は溢れ、「問題」「意味」「ストーリー」「共感」といったものが希少化し、価値のインフレが起きている。

さらにここ数年、SNSなどの普及により「承認欲求」は満たされているものの、他者と関わりたい、集団に属したいといった「所属の欲求」が希少化している。そこで、コミュニティやコンテクストを発生させるプロセスが、所属を提供する存在として価値が高まっているという。

プロセスエコノミーを体現している「Apple」

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