ヤマトのDX推進を支える人と組織の在り方

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ヤマト運輸株式会社(以降、ヤマト)と言えば誰もが知る企業だ。1919年の創業時には日本にわずか204台しかないトラックのうち4台を保有し、その後日本初の路線事業を開始。1976年に開始した「宅急便」など時代のニーズに応えるイノベーションを創出してきた。創業から100年以上が経った今、荷物の取扱個数は年間約21億個、社員は約22万人、事業所は全国に約4,000拠点を擁し、日本の物流インフラに欠かせない存在になった。そして、次の100年を見据え2020年1月に新たな経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」を策定。その中で、ヤマトのDX推進を先導する中林 紀彦氏が、ヤマトが目指すDXとそれを支える人と組織について語った。

※セミナーにある経済実態、役職名は2021年9月13日時点のものです。

登壇者

ヤマト運輸株式会社 執行役員(デジタル機能本部 デジタルデータ戦略担当)

中林 紀彦 氏

日本アイ・ビー・エム株式会社においてデータサイエンティストとして顧客のデータ分析を多方面からサポート、企業の抱えるさまざまな課題をデータやデータ分析の観点から解決する。株式会社オプトホールディング データサイエンスラボ副所長、SOMPOホールディングス株式会社チーフ・データサイエンティストを経て、現職。重要な経営資源となった”データ”をグループ横断で最大限に活用するためのデータ戦略を構築し実行する役割を担う。また筑波大学大学院の客員准教授、データサイエンティスト協会の理事としてデータサイエンスに関して企業の即戦力となる人材育成にも従事する。

目次

ヤマトの次の100年を支えるCX、DX、そしてInnovation

2020年1月、次の100年に向けた経営構造改革プラン「YAMATO NEXT100」が発表された。社会経済環境の変化が改革のスピードと内容を上回りつつある状況を踏まえ、激変する社会環境を再度キャッチアップし、それを上回るスピードの変革を実現する抜本的改革だ。「YAMATO NEXT100」において、以下の3つの基本戦略を策定した。

3つの基本戦略

1.お客さまと社会のニーズに正面から向き合う組織に再編:CX(コーポレートトランスフォーメーション)
2.経験や労働力に依存した経営から、データに基づいたデジタル起点の経営に転換:DX
3.共創と協業による物流のエコシステムを創出する企業へと進化:Innovation

そして、基本戦略を実現するための、3つの事業構造改革とそれを支える3つの基盤構造改革を策定した。

3つの事業構造改革

1.宅急便のデジタルシフト:セールスドライバーが、お客さまと の接点により多くの時間を費やせるように、データ分析とAI の活用で荷物量予測の精度を向上。予測に基づいたリソー スのアロケーションなど、デジタル化とロボティクスの導入 による構造改革を実現
2.ECエコシステムの確立:EC事業者、物流事業者、EC利用者 が連携し、「産業のEC化」にあわせた、ECエコシステムの 構築
3.法人向け物流事業の強化:データ基盤「Yamato Digital Platform」を構築し、サプライチェーン全体を最適化する法 人向け物流ソリューションの提案力を強化

3つの基盤構造改革

1.グループ経営体制の刷新:経営のスピードを速め、全体最適 な組織に変革するため、グループ会社8社を再編
2.データ・ドリブン経営への転換:デジタル分野に約1,000億円を投資するとともに、社内外のデジタル・IT人材を結集し、300人規模の新組織を立ち上げ
3.サステナビリティへの取り組み:人や資源、情報を高度につなぎ、輸送をより効率化させることで、環境や生活、経済へよりよい物流を実現

1年間の準備期間を経て、2021年4月よりスタートした中期経営計画「Oneヤマト2023」に基づき、現在具体的な取り組みが推進されている真っただ中である。

DX推進に重要な5つの視点

中林氏は、DXを含む経営構造改革を進めるためには5つの重要な視点があるとした。

1.経営戦略の中で“DX”が議論されているか?
DXやデータサイエンスは手段にすぎないため、それらの手段を用いて何を目指すかを経営戦略の中で議論することが大切である。

2.必要な組織や人材配置ができているか?
組織をどこに置くべきか、戦略を実行するための権限と予算をどこに持たせるかが重要な論点である。

3.アーキテクチャを描いているか?
デジタルをビジネスに実装するには、設計図を描く必要がある。

4.デジタル・IT人材に必要な基礎教育を理解できているか?
数学とプログラミングの基礎教育を受けた人材を新卒や中途で積極的に採用するべきである。年々学生のスキルも高度化しており、優秀な新卒も増えているため、受け入れ企業側も育成体制を進化させることが求められる。

5.事業会社で戦力になる人材を育てるには?
アルゴリズムやAIを自社のサービスやシステムに実装するスキルは今後ますます必要になるため、そのスキルを持った人材の育成も必要になる。

DX推進においては、経営陣も含めた全社員の底上げが重要である。ヤマトでは全社員がDX人材になるための教育プログラム「Yamato Digital Academy」を2021年度からスタートしている。経営層や事業部内のDXリーダーとなる人材の教育、現場でデジタルツールを使いこなすための教育、スペシャリストを目指すためのDX育成カリキュラムなどを組み合わせ、全社員のデジタルリテラシーの底上げを目指すものだ。

強力なDX推進のポイントは、明確なゴールとわかりやすいメッセージ、そして柔軟さ

後半は、パーソルイノベーション株式会社が展開するデジタル人材戦略・育成・採用サービス「TECH PLAY」の責任者である武藤 竜耶をモデレーターに、ディスカッションが展開された。武藤はまず、DX組織の立ち上げ時にポイントとなる9つのキーワードを挙げた。

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