2018年11月28日
株式会社すかいらーくホールディングス様
/ 業種:外食 / 設立:1962年
すかいらーくグループは、和洋中をはじめとする各種テーブルサービスレストランを中核として皆様に「食」を通しておいしさ・安心・安全・快適さを提供しています。現在、約3,200店舗を展開し、国内で年間約4億人のお客様がご利用しています。
ライフスタイルやレストランの楽しみ方、利用の仕方も時代と共に変化し、新たな食文化も生まれました。時間帯や曜日でお客様が求めるものは異なり、利用されるお客様層の「食」のスタイルも多様化している中、「ガスト」「バーミヤン」「ジョナサン」「夢庵」など多様なブランドで、お客様のさまざまなニーズと期待に応えています。
日本国内では人手不足が叫ばれ、採用環境はあらゆる業種で年々厳しくなっている。膨大な数の従業員を抱える外食業界はその最たる例と思われがちだが、業界トップクラスの売上高を誇るすかいらーくは独自の採用システム改革に乗り出し、成果を上げている。一体、どんな改革だったのか。
すかいらーくホールディングスは、主力業態のガストをはじめとして、洋食、中華、和食、イタリアン、焼き肉、回転寿司など国内および台湾で約3,200店舗を展開する。従業員数は約10万4000人で、そのうち約9万8000人がクルーと呼ばれるパート・アルバイトだ。
誰もが知る業界大手の一角だが、以前のクルー採用のプロセスにおいては大きな問題を抱えていた。すかいらーくホールディングス人財本部リーダーの杉原康仁氏はこう振り返る。
「当社では年間5万人ほどのパート・アルバイトを採用しています。おかげさまで応募も月間に1万3000~1万8000件ほどありますが、以前は、採用の大部分は店舗に任せられ、本部ではどのような手順を踏んでいるのか、またどれだけ応募があってどれだけ採用に至ったかなど、具体的な数字を把握しづらい状況にありました」
採用の全体像を把握し、その過程における課題を解決することが必要と考えたという。同人財本部ディレクターの織部始氏も「店舗によっては、面接日程の調整に時間がかかったり、応募から採用決定まで長期間になったりすることがありました。採用活動に時間を割けるところとそうでないところの差も出ており、全社的な視点でこれを改善することがここ数年の課題でした」と語る。
もちろん、策を講じていなかったわけではない。「これまでも『ガスト』『ジョナサン』『バーミヤン』を対象に、自前のコールセンターを設置して一括応募受付を行っていました。しかし、パート・アルバイトの採用で何がネックになるのか、どこで取りこぼしが起きるのかといった採用プロセスに関するノウハウや知見が必要で、細かい運用やオペレーションの設計まで内製化するのは難しかったのが実情です」(杉原氏)。
現在、すかいらーくグループのほぼ全店となる約3,200店舗で、パート・アルバイト採用を一括対応・管理する「応募受付体制」が運用されている。
具体的なフローは、採用管理システムを導入したコールセンターで電話やWebからの応募を受け付け、面接を設定する。これまでと大きく異なるのは、あらかじめ店長の面接可能日程と希望する採用条件を登録しておくことで、応募者の希望と即座にマッチングすることが可能になることだ。応募者の希望する条件が、就業希望店舗と合わない場合は、ブランドを越えて近隣グループ店舗を案内することもできる。
「これまでは面接可能な日程が1週間以上先になることも珍しくなく、待っていただいている間に他の企業に決まって辞退されることもありました。それが、今では面接までの日程を3日ほどに短縮することができました」(織部氏)
機会損失を防ぐことに成功し、さらに初動の遅れも改善されている。
「これまでは、せっかく応募していただいたのに、当日中の返信ができていなかった割合が約30%に上っていましたが、『応募受付体制』の運用により、それがなくなりました」(杉原氏)
店舗で応募者からの電話を受けるのが店長とは限らず、その伝達が迅速ではないことが時間ロスの原因にもなっていた。しかも、外食産業で注意すべきは、応募者のほとんどが一度は店舗を訪れたことがある「利用者」ということだ。「応募者はお客様であることが多く、電話対応は極めて重要なのですが、パート・アルバイトのクルーが応募者からの電話に出た際のトレーニングまではなかなかできませんでした」(織部氏)。
「試験的にこのシステムを導入したところ、評判を聞きつけた他の店長から『うちにも導入してほしい』という声が非常に多かったんです。これらの要望に応えて、2018年6月にはほぼ全店となる全国約3,200店舗に導入しました。スムーズに全店に導入でき、当社で働きたいという皆様に迅速に対応できるようになりました」(杉原氏)
この全社的な「応募受付体制」の運用により、面接までの日数は従来の7日から3~4日に短縮し、応募から面接までにつながる割合は約半数から約75%に向上。その結果、面接での採用率は約15%から約30%に上昇したという。
従業員一人ひとりを幸せにする職場づくりを目指す一方で、新たな取り組みも始まっている。2018年3月には、すかいらーくグループで働きたいと考える子育て女性の疑問や不安を解消し、希望の条件で働ける店舗を紹介する「おしごとコンシェルジュ」サービスの運用も開始した。Web上で自分の希望する条件を入力すると、それを基に応募受付センターのスタッフ(コンシェルジュ)が電話をして、直接応募者の相談に乗る。これまでもWebサイトにQ&Aを掲載していたが、「面接に子供を連れて行っていいですか」、「子供の運動会の日は休めますか」といった、ささいなことながら実際には聞きにくいことを聞けるのが大きな特長だ。不安を解消することができ、応募を促進することが期待される。
これらの取り組みの成果を受けて、杉原氏はパーソルグループについて次のように話す。「総合人材サービス企業としてのソリューションの多さが際立っているので、企画から運用まで採用関連のあらゆる相談にも応えてくれる安心感がありました。それに、ビジネスの話になると『今回の仕様ではここまでです』というようにドライな対応をされる会社さんもありましたが、 パーソルさんは伴走しながら、こちらのやりたいことを実現させようと粘り強く取り組んでくれました」。
土井も苦笑いしながらこう話す。
「ホットラインを設置して、もう何度も何度も打ち合わせをさせていただきましたし、一個一個トラブルをつぶしながらPDCAを回していきました。おかげで、当社としてもレベルアップできたと考えています。今回の取り組みは外食・小売・流通業などの企業様にとって好事例になりますし、今後一層厳しさを増す労働力不足の解消にも貢献していきたいです」
織部氏は「お客様はもとより、従業員一人ひとりを幸せにしたいというのが当グループの理念です。たとえば、シニアの方々にも当社で働いてもらいたいです。ほんの数時間でも、若いアルバイトやさまざまなお客様とコミュニケーションを取れる職場はとても魅力的だと思います。そのような形で従業員の幸せを増やしていきたいです」と話す。
採用プロセスを変革することが企業の競争力につながり、結果的にそこで働く人の幸せにもつながる。そんな好循環がすかいらーくでは起きている。
本記事は2018年11月28日 東洋経済オンラインに広告掲載されたものです。