テレワーク導入による効果や導入時のポイントをわかりやすく解説

働き方改革やコロナ禍を経て、テレワークの本格導入を検討している企業は多いのではないでしょうか。導入時には、テレワークに即した社内体制の構築が必要です。

本記事では、特に総務・人事が導入時に留意すべき点、その対応策をまとめました。

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コロナ禍によって人々のはたらき方は大きく変化しました。
予測できないような変化は今後も起こるため、柔軟に対応できることが、
ニューノーマル時代の組織における必須要件といえます。

パーソルグループでは、これからも価値創造し続ける組織であるために何が必要なのか、
はたらく場所や時間、雇用の柔軟性を意識した組織づくりについて、
4つの重点整備ポイントにまとめた【ニューノーマル時代のはたらき方完全ガイド】をお届けします。

現状を振り返り、今後ありたい姿を見据えた組織づくりについて考えて頂けたら幸いです。

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目次

テレワーク導入による効果

テレワークとは、ICT(情報通信技術)を利用した、時間や場所を有効に活用できるはたらき方のことです。国は、一億総活躍、女性活躍推進の観点から、テレワークによる働き方改革の普及を進めてきました。

テレワークは、社会・企業・就業者の3方向にさまざまな効果をもたらすとされています。

テレワークの効果

 

【出典】総務省「ICT利活用の促進 テレワークの推進」

さらに、テレワークは上記にとどまらない効果を生むことも分かっています。パーソル総合研究所の調査によると、「組織への愛着」「仕事の成果認識」のいずれにおいても、テレワークを行っている人が出社で業務を行っている人より、高い数値を示しました。

テレワークを行っている人の組織コミットメント

 

【出典】株式会社パーソル総合研究所「テレワークによる組織の求心力への影響に関する定量調査」

業務におけるパフォーマンスの発揮状況

 

【出典】株式会社パーソル総合研究所「テレワークによる組織の求心力への影響に関する定量調査」

物理的に社員同士、会社と社員の間に距離ができるテレワークでは、組織の求心力や生産性の低下が懸念されますが、テレワークをしている人のほうが、組織コミットメント(組織との情緒的な結びつき)が高いことが分かりました。

テレワーク導入時の「総務」の確認ポイント4つ

受付業務、オフィス管理、固定資産管理、社内規定管理、福利厚生実施など、企業によって総務の業務範囲はさまざまです。その中で、テレワーク実施という観点で見たときに、特に意識して見直したいチェックポイントを4点挙げます。

ポイント1 来客対応、受電対応の見直し

テレワーク下では、社内に常に人がいるとは限りません。テレワークをどの程度の頻度で実施するかにもよりますが、基本的には属人的な来客対応、電話対応を見直す必要があります。

来客対応については、在社時もテレワーク時も、担当者が直接対応する方法に変えていきましょう。そのためには、訪問者が来たことが直接担当者に伝わる仕組みが必要です。対応策の一つはデジタル化、ロボット化です。近年はタブレット端末を活用した無人受付システムも増えてきています。受付、アポイントの確認、担当者の呼び出し、入館証の発行など、機能も充実しています。導入時には、自社に必要な機能を持つサービスを選択しましょう。

電話対応についても、クラウドを活用した便利なサービスが登場しています。個人のスマートフォンを内線化し、会社の番号で受発信を可能にするようなサービスを利用すれば、社員全員がテレワークを行ったときにも、取次を含めた電話対応をスムーズに行うことができるでしょう。

オペレーターが代わりに代表電話を受け、チャットやメールで電話の内容をお知らせする受電代行というサービスもあります。電話の取りこぼしをしたくない、営業電話など不要な電話対応の時間を削減したいと考える企業には、おすすめのサービスです。

ポイント2 郵送物対応の見直し

オフィスに届く郵便物の確認作業を完全になくすのは難しいですが、郵便物そのものの量を減らすことは可能です。紙で届く書類で多いのは、請求書や発注書、受注書、納品書の類ではないでしょうか。まずはこれらをPDFなどのデジタルデータで送ってもらえるよう依頼し、ペーパーレス化を図りましょう。

また、電子契約サービスなどの利用でハンコによる処理を見直し、自社からの郵便物を減らす取り組みも大事です。

それでも紙で届く書類については、自宅がオフィスに近い社員、もしくは、その日出社した社員が対応するというように、ルールを決めて対処しましょう。開封後はスキャンニングでデータ化するのか、現物を届けるのかなど、対応フローも決めておくと迷いなく処理が進められます。

ポイント3 労災適用の要件や健康確保のための措置の確認

厚生労働省「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」によると、業務行為に付随する行為に起因して災害が発生しており、私的行為によるものとも認められないものは、テレワーク中でも労災として認められます。

これに対し、就業時間内であっても、私的行為が原因だった場合は、労災にはなりません。オフィス以外で起きた事故やケガなどについて、どのようなケースが労災となるのか、事前に情報収集するなどして、確認しておきましょう。

労災が適用される事例、されない事例

労災が適用された事例 労災とは認められない事例
  • 自宅で所定労働時間にパソコン業務を行い、トイレに行くために離席した。戻って椅子に座ろうとした際、あやまって転倒した
  • ベランダで洗濯物を取り込んでいるときに転んだ
  • 個人宛の郵便物を受け取りに行った際に転んだ

【出典】厚生労働省「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」「テレワークを導入する場合、労災保険は適用できますか。 – 厚生労働省テレワーク総合ポータルサイト」より作図

事業者には、社員の健康管理について、労働衛生安全法等の関係法令に基づき、過重労働やメンタルヘルス対策を含む健康確保のための措置を講じることが求められています。

テレワークでは、パソコンなどの情報機器を利用することが多いです。厚生労働省は、自宅などでテレワークを行うときの作業環境整備の留意点を挙げています。これらを参考に、快適な作業環境づくりのヒントを示すなど、社員へ健康管理のアドバイスを行うのもおすすめです。

自宅などでテレワークを行う際の作業環境整備の留意点

 

【出典】厚生労働省「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」

ポイント4 機器、備品、施設に関する管理

テレワーク時には、備品などの持ち出しが多く、機器や備品、設備の管理が必要です。「誰がいつ持ち出しし、現在どこにあるのか」「いつ返却予定か」「実際に返却されたのか」などが、どんな人にも分かるようにするために、備品ごとに「持ち出しの可否」「申請・承認の要不要」「申請・承認のフロー」などのルールを決めてから、管理表の項目立てを行いましょう。

テレワークにおける機器、備品、施設管理で課題となるのは、「管理表自体をどのように管理するか」ということです。クラウドにデジタルデータの管理表を置いていくと、テレワーク中でもリアルタイムで利用状況の共有・把握が可能になります。

具体的には、Excelとほぼ同等の動作で使える「Googleスプレッドシート」の活用、管理用デジタルツールの活用が考えられます。管理用デジタルツールの中には画像添付機能がついているものもあり、これらは故障や不具合などの状況報告にも力を発揮します。社員の使いやすさも考慮しながら、管理体制を整備しましょう。

テレワーク導入時の「人事」の確認ポイント4つ

採用、人材教育、就業規則や評価制度の制定など、「人」に関わる業務すべてを担うのが人事です。人事の仕事がテレワーク下でもスムーズに進むことは、企業経営にとって重要なことです。テレワーク実施という観点で見たときに、特に意識して見直したいチェックポイントを4点挙げます。

ポイント1 就業規則の整理、改訂

テレワークを新たに導入する場合、在籍している社員にとっては、採用時に締結した労働契約の労働条件と異なった勤務形態が加わるということになります。これは労働条件の変更にあたるため、労働条件の明示と、企業と社員との間で合意が必要になります。

厚生労働省「テレワーク総合ポータルサイト」によれば、一定の条件のもと、就業規則に定める労働条件を労働契約の内容とすることが認められています。ただし、労働条件を従業員の不利益に一方的に変更することは原則として許されていません。テレワーク導入とともに、人事制度・給与制度も変更する場合には特に注意が必要です。

下図のとおり、就業規則の中に、法令や労働協約に反する部分があれば法令や労働協約の内容が優先されます。改正時には、矛盾がないよう、確認が必要です。

就業規則と他の労働規範との関係

 

【出典】厚生労働省「テレワークのうち在宅勤務を導入する場合、労働契約や就業規則を見直す必要はありますか。– テレワーク総合ポータルサイト」

ポイント2 採用、人材育成の整理、見直し

テレワーク下では、非対面での採用や人材育成も必要になります。

会社訪問、対面でのコミュニケーションは、志望者にとっては社内の雰囲気や企業風土を体感する機会です。企業にとっても、自社の魅力をさまざまな角度でアピールするとともに、志望者の人となりや振る舞いを知る貴重な機会となっています。直接コミュニケーションする機会がなくなるわけではありませんが、その機会が減ることで、採用活動が難しくなる企業も出てくるのではないでしょうか。

オンライン説明会やオンライン選考など、非対面での採用活動は徐々に増えてきています。企業ができる対応の一つは、オンラインを想定したPRツール作りです。スマートフォンのみ所有しているという学生も多くなってきています。スマートフォンに対応した採用サイトを構築し、説明スライドや擬似的な社内見学ができる案内動画を制作するなど、情報発信ツールを充実させることで、非対面でもしっかりと伝わる会社説明、会社PRを行うことができるでしょう。

人材育成では、OJTがしづらいことが一番の悩みではないでしょうか。現場で柔軟に指導することの効果は大きいですが、代替策の一つとして、業務のタスク化が挙げられます。業務を細分化することでピンポイントな指導が可能となります。その際、コミュニケーションツールなどを活用し、気軽に質問や声掛けができる環境、1対1できめ細やかなフィードバックができる環境をつくっておくと、コミュニケーションが円滑になります。

なお、ビジネスに関するマナーなどの研修を外部に委託するという方法もあります。最近はオンライン研修も増えており、テレワーク環境に合った指導やカリキュラムにより、オンラインでも効果を発揮するように設計されています。通常の仕事を一時的に離れるOFF JTも視野に入れて、教育制度を組み立てましょう。

ポイント3 人事評価制度に関する整理、改訂

テレワークでは従業員の勤務態度が見えにくく、評価に悩む管理職も多いようです。仕事に対する姿勢やその表れ方には個人差があります。また、成果のみで評価するのか、見えにくいプロセスも加味するのかなど、評価軸にばらつきが出てきます。

行うべきは、テレワーク環境でのコミュニケーションを考慮した評価項目の明確化です。業務スピードや質、報告やレスポンスの状況、業務の達成度など項目を定めるとともに、どこを重視した評価とするのか、評価基準や方法も決めましょう。

本人と上司の話し合いのもと目標を定め、実現のための方策や中間目標などを設定する目標管理制度を取り入れるのも良いでしょう。あらかじめ目標を設定することで、テレワークをしていても客観的かつ適正な評価がしやすいというメリットがあります。また、達成度が見えやすく評価を受けた本人の納得感も高まります。

自社の業務内容などにより、制度の変更や改訂を行いましょう。

ポイント4 勤怠管理方法の決定

テレワークでの勤怠管理ではタイムカードなど物理的な管理方法が利用できません。代わりに始業時・終業時のメールや電話連絡などで代替することが考えられますが、これもまた煩雑になりがちです。

最近では、クラウド型勤怠システムの活用が主流となっています。はたらき方にかかわらず勤怠管理が可能なので、テレワーク導入に合わせて勤怠管理システムの入れ替えも検討すると良いでしょう。

まとめ|テレワーク導入は総務・人事の力の見せどころ

テレワークという新しいはたらき方を導入する際には、システム機器や環境整備などのほかに、労務管理をはじめとするルールの見直しも必要です。また法令遵守のためのチェックも不可欠です。

導入・実施の初期段階において、総務・人事の果たす役割は大きく、実施には労力がかかるものの、得られるプラスも大きいテレワーク。ぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか。

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