脱直感人事!「データ活用」で成果を出せる人事へ

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ビジネスを取り巻く環境が激しく変化する中、人事の役割や業務のあり方も変化してきています。これまでの管理型業務中心だった人事から、経営戦略に寄り添った「攻め」の人事を展開していくため、人事の領域でも「データ」を活用する手法が注目され始めています。

人材不足の時代、人事の課題は経営に直結する

【出典】パーソル総合研究所・中央大学『労働市場の未来推計2030』(2019)「将来推計人口」
【出典】パーソル総合研究所・中央大学 『労働市場の未来推計2030』

国立社会保障・人口問題研究所による日本の人口の将来推計によると、15歳~64歳の生産年齢人口は、2017年の時点で7596万人、総人口の60%でしたが、少子高齢化による人口減少が続き、30年の同人口は推定6656万人、総人口の57.2%になるとされています。13年間で生産年齢人口が940万人も減る計算になります。

また、パーソル総合研究所と中央大学による『労働市場の未来推計2030』では、2030年に発生する人手不足は644万人にのぼると推計しています。現在、認識されているはたらき手不足の状況は、今後ますます深刻になりそうです。優秀な人材を確保し、活躍し続けてもらうことは、今までにも増して重要な課題となってくるでしょう。

今日の売り手市場である採用マーケットで、どうすれば自社にマッチし、活躍できる人材を獲得できるのか?どうすれば離職せずはたらき続けてもらえるか?そして、限られた人的資源で、より成果を上げるため、いかに人材配置を最適化するか?――企業経営にとって、「人材」により重きが置かれるようになってきた現在、人事はこうしたさまざまな課題に直面しています。

[データ活用]から見えてくる人事の課題解決

人事が抱える課題に対して、各社知恵を絞って対策を講じていることと思います。「いろいろと手を打ってはいるが、それが正解なのかわからない」「効果のほどがよくわからない」――そんな人事を悩ませる問題に対して有効な手段の一つとして注目されているのが「人事データの活用」なのです。人事データを用いて、人材に関するさまざまなデータを継続してみていくことで、実施した施策の効果を検証することが可能です。あるいは、人材データを分析することで、各職場の現状を的確に把握することができ、抱えている課題そのものに気が付くということもあります。
ほかにも人事におけるデータ活用には次のようなメリットがあると考えられます。

  • 課題となっている事象について影響を与えている要因を見つけ出す
  • 目的達成のために必要な条件を明確化する
  • 今まで人事では重要視されなかったPDCAサイクルを回し、業務の効率化を図る

こうした点から、近年、人事の領域でも「データ活用」に期待が高まってきているのです。

人事データを「一元管理」できていない

それでは、実際の企業の人事部門ではどの程度、データ活用が進んでいるのでしょうか?データ活用のためには、まずは分析をするために必要なデータがそろっていることが大前提です。株式会社アイ・キュー発行『日本の人事部 人事白書2018』版では、「HRテック」に関する調査の中で、人事データを一元的に、一つのシステムで管理しているかどうかを質問。314社331人の人事担当者のうち、「当てはまる」「どちらかといえば当てはまる」と回答したのは47.7%という結果でした。従業員数1001人~5000人規模の大企業に限ればその割合は6割を越える一方、同100人以下の企業では36%にとどまり、差が開いています。

この調査で「当てはまらない」や「わからない」と回答した、残り半数超の企業の場合、採用情報は履歴書などの紙ベース、面談記録や労務関係の情報はPCの中にWordや、Excelファイルの形でバラバラに保管されている企業も多く含まれていると考えられます。人材に関する情報をつぶさに検証し役立てようと思うなら、まずは人事データがバラバラに保管され、散在している状況を見直すことから始める必要があります。

「データ活用」はなぜ進まないのか

【出典】『日本の人事部 人事白書2018』

次に、同じ「人事白書2018」から、データ収集・保存の進度を人事の各分野別に見て見ましょう。人事の業務を「戦略立案」や「採用」などの合計11項目に分け、それぞれのデータ収集・保存の現状を聞いています。

活用を念頭にデータを収集し、保存しているのは、最も多い「採用」の分野で33.5%。活用を念頭に置いてはいないものの、データ収集と保存をしている、あるいはこれからする予定が合わせて約4割でした。逆に、「戦略立案」や「リモートワーク・はたらき方」の分野では、データを収集していない(予定もない)、わからないの割合が合わせて6割超と多くなります。

「採用」以外でも、「組織サーベイ・従業員満足度・エンゲージメント向上」「労務管理・評価・昇進・報酬・人件費管理」でデータの収集・保存への意識がやや高いことがわかりますが、全体的に数値が分散しバラつきのある結果となっています。この結果は、日本企業の「人事データ」に対する意識を反映しているのではないでしょうか。各種人事データの収集に動き始めている企業もある一方、いまだデータに注目していない企業も少なくないのが現状です。
また、「人事部門内に、統計ツールを使いこなせるデータ分析担当者を置いているか」という項目を見てみれば、あてはまる回答をしたのは16.9%にとどまっています。現状では、データを活用している企業はまだ少数なのです。データの「活用」ともなると、一部の企業で導入しようと動き出したばかりという段階であるということがわかります。

データを活用し、企業の課題に基づいた人事設計を

企業のデータ活用が進まない要因の一つには、「人事データを使ってどんな問題を解決したい」といった課題設定ができていないことが挙げられます。
また、明確な課題設定があり、データがそろった状態だったとしても、そのデータをどう活用すればよいのか、といった設計のできる人材の不足といった現状もデータ活用が進まないもう一つの大きな要因となっているでしょう。

人事データが重要な理由は、もう一つあります。これまでの日本の企業では、“経験”や “勘”といったものに基づいて人事業務が進められてきました。ところが、人材の流動化が高まる昨今、人材の入れ替わりが激しくなり、「なんでも知っている人事」の存在自体が少なくなってきています。「今の人事部長が退職したら何も分からなくなる」。こんな事態に直面してしまわないためにも、人材にまつわる情報は属人的にではなくデータという形で管理する必要があるでしょう。
急速に進む技術革新、グローバル化などの影響で、終身雇用や年功制といった高度成長期の日本企業を支えたシステムが機能しなくなってきています。人事の領域でもこれまでの“経験”や“勘”で支えられてきた仕組みが、うまく働かないといった状況が起こりうるでしょう。だからこそ今、「データ」に注目が集まっているのです。

現状では、日本企業の人事部門では「データ」の活用がまだまだ進んでいるとはいえません。ビジネスにおいても不確定要素が多く、先の見えない時代。これまでの経験や勘の人事でどれだけ対応できるでしょうか。そうでなければ、人事はどのような手法で、人材や組織のパフォーマンスを上げ、経営に貢献できるのでしょうか。人事データの活用は、その答えの一つとなる可能性を秘めています。

参考

パーソル総合研究所・中央大学 「労働市場の未来推計2030」(https://rc.persol-group.co.jp/roudou2030/
「日本の人事部 人事白書2018」(株式会社アイ・キュー発行)

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