2020年07月16日
新型コロナウイルスの影響を受け、一斉にリモートワークの導入などが進みました。そこで露呈したのが日本企業のデジタル化の遅れです。特に、中堅・中小企業では、システムの老朽化、業務やノウハウの属人化、IT人材の不足など多くの課題が山積しており、早急な対応が求められています。
また、そういった企業だけではなく、市場全体のオンライン化・デジタル化が加速するなかで、市場のニーズに合った新しい製品やサービスを創出し、企業の価値を高めて競争力を強化するために、DX(デジタルトランスフォーメーション)は必要不可欠になってきています。そこで、中堅・中小企業の将来にも大きく関わる現状の課題を取り上げ、必要な対策についてご紹介します。
働き方改革や業務の効率化、新規事業の開発など、企業において取り組むべき課題は数多く存在します。特に労働力人口の減少が急速に進む日本において、中堅・中小企業では人材の採用も容易ではなくなってきました。そのため、DXの推進により生産性を向上させて、利益の拡大や雇用の維持、企業の存続を図ることは経営層にとって重要な課題となっています。しかし、実際には適切なITの導入や活用を進められずにいる企業が多いのも現状です。
ITの利活用を進めるにあたって障壁となっている課題は、一つではありません。中小企業白書によると、ITの導入・利用を進める際の課題として「コストが負担できない」と「導入の効果が分からない、評価できない」を挙げた企業がそれぞれ約3割と多く、続いて「従業員がITを使いこなせない」が約2割という結果が得られています。このことからITを活用し生産性を向上するには、費用、効果、人材に関する課題の「3枚の壁」があることが見えてきました。
特に中堅・中小企業では、コストの点でも人材採用・配置の点でも、経営トップによる経営戦略に左右されやすいため、ITの利活用をはじめとする新規事業や業務改善に取り組むには経営トップの意識や姿勢が重要です。問題意識が強く、新しいことに果敢に挑戦する経営者であれば、DXなどの新しい取り組みも力強く牽引していくと考えられます。
一方、現状のアナログな方法でも業務はまわせているのだから変える必要はないと考える経営者や、ITという本業以外の領域に投資することに対して積極的になれない経営者の方も多くいます。また、本業領域以外の人材が社内におらず、経営層のITに対する専門知識の不足をカバーできる人材がいない点も、中堅・中小企業でITの利活用が前進しない要因の一つです。
DXを進めるにあたっては、新しいデジタル技術を活用することがキーポイントになりますが、多くの企業で挙げられている課題として、老朽化した既存システムへの対応があります。経済産業省のDXレポートによると、「既に老朽システムはない」と回答した企業は全体のわずか13.5%のみで、8割以上の企業が老朽システムをいまだに抱えていることが判明。「ほとんどが老朽システムである」と回答した企業は実に全体の19.2%にも上りました。
老朽化した既存システムの利用を継続すると、どのような問題があるのでしょうか。
まず、人材の入れ替わりによってそのシステムを構築した当時の社員が残っておらず、システムの詳細が不明確となりブラックボックス化してしまうことがあります。こうなると事実上、仕様変更等を行うことが不可能になってしまいます。
また、長年にわたって積み重ねてきたメンテナンスによって、システムが肥大化・複雑化してしまっている恐れもあります。さらには、外部ベンダーに委託して開発した場合は、社内にノウハウが蓄積しづらく、一層システムを容易には更新していくことができない事態を招いている可能性があります。
また、老朽化した既存システムを放置することで、長期的に運用費や保守費を払い続けることにもなり、社内の貴重なIT人材の時間も既存システムの膨らむメンテナンスに奪われ、新たにIT投資をする余力がなくなってしまいます。既存システムの刷新は、期間もコストも膨らみがちなため、経営層にとってリスクと捉えられることもあります。しかし、要件定義を的確に行い、何のためにどのようなシステムを構築するのかを適切に整理することで、導入に起因するトラブルを最小化し、その企業・事業の展開により適したシステムへと刷新することは可能です。
中堅・中小企業が抱える課題には、既存システムの老朽化以外にも様々なものがあります。扱う書類の多くが紙をベースにしている、業務が属人化していてノウハウが継承されない、「見て覚えろ」という風土が合わずに若手が定着しない等です。改善するべき業務領域も幅広く、財務・会計や人事・労務などのバックオフィスから、在庫管理や受発注などの業務オペレーションまで、ITを導入して業務を可視化することで、多くの課題を解決したいと考える経営層は少なくありません。
企業活動で使用されるITツールは、一般オフィスシステム(ワード、エクセル等)や電子メール、電子文書、グループウェアなど多岐にわたります。しかし、中小企業白書の「中小企業におけるITツールごとの利活用状況」によると、一般オフィスシステムに対して「十分利活用されている」と回答した企業は55.9%、電子メールが54.1%、電子文書が18.5%、グループウェアが12.2%と、いまだ十分ではないことが分かります。
この活用状況からも、ITツール導入によって業務の効率化や業務品質の改善を進めるべき課題はまだまだ残されていることが分かります。しかし、逆の見方をすれば、IT利活用を推進する余地が大きい分、今ITを導入すれば大幅な改善が見込みやすく、さらにデータを活用した新規事業展開まで広げられれば、ビジネスとしての飛躍も期待できます。
実際、ITを導入したことによる企業の評価を見てみると、中小企業全体の総合評価として「ITを導入し期待した効果を得られている」と回答した企業が全体の12.6%、「ITを導入しある程度の効果が得られている」が50.8%で、その2つを合計した63.4%の企業が、IT導入による効果を実感できているといえます。
大きな予算を組んで思いきった変革を推し進めるには、万一の経営リスクも考慮せずにはいられない中堅・中小企業においては、より適切にIT利活用やDXを進める必要があります。
一方、自社でも取り組まなくてはいけないという危機感をもっているものの、具体的な方策を描くには社内に専門的な知見が不足している場合もあります。
そのような中堅・中小企業の経営課題に対し、パーソルクロステクノロジーのITコンサル・アドバイザー「テックアドバイザー」は、非常駐型の業務委託により、ITテクノロジーを通じたコンサルティング・アドバイスを行って解決に導くサポートをしています。
ITテクノロジーには精通していない経営層や担当の方には、「ITを利活用することで、いかに効率的になるか」というビジョンが具体的にイメージできるように、企業・事業の未来像を提示することも行っています。
老朽化した既存システムに頼っている企業やDXが推進できないでいる企業にとって、「ビジネス・仕組みをゼロから考え直す」ことは不可欠です。そのポイントとして、最初から膨大なコストを掛けずに始めること、全体像を把握して重要なことから始めること、そして、目先のことだけに捉われずに継続することが何よりも重要です。
「テックアドバイザー」は、事業規模に関わらず、経験豊富なコンサル・アドバイザーが各課題に応じて現状を分析・把握し、課題の抽出を行って解決に向けた施策立案、計画策定などの助言をします。目先の対応にとどまらず、戦略的にITを利活用していくために、業務や課題の言語化・可視化を行い、伴走しながら一緒に課題を解決するという支援方法をご提供します。さらには、フェーズが進んでITの企画・開発、サポート等を必要とする場合にも、豊富な人材を擁するパーソルクロステクノロジーが柔軟にサポートします。
中堅・中小企業がITに関して相談したいと考えても、高額になりがちなITコンサルタントに相談することは難しく、システム開発会社に相談すると適切でない製品の導入を提案される恐れもあります。結果的に適切な相談相手が周りにいないというケースが目立ちます。その点「テックアドバイザー」は、中立的な立場のコンサル・アドバイザーによる月1回程度の手軽な相談から始められます。
また、リモートでアドバイスする非訪問型のサービスであれば、エリアに関わらず、IT専門家としての知見を駆使した助言も可能です。
ITに関する悩みや課題があれば、まずはお気軽にご相談ください。
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