企業のChatGPT活用状況調査|導入の効果や活用事例も紹介

〈Reskilling Camp〉では、2023年5月、国内企業におけるリスキリング(Reskilling)の実態と今後について独自調査を行いました。本調査はリスキリングに関する調査レポートの特別編として、AI(ChatGPT等)の活用状況や、リスキリングとの関係性をまとめた最新活用動向を報告します。

調査によると、国内大企業の過半数である53.8%がChatGPTを導入しているという結果が確認できました。加えて規模別、業種別の活用業務の実態も明らかになりました。さらに、リスキリングの取り組みを行う企業では、AIの活用度も高いという点が確認されています。本記事では、企業における「ChatGPTの活用状況」についてダイジェスト解説します。

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目次

ChatGPTとは

ChatGPTとは「AI技術を活用した対話型のサービス」で人工知能を使って新しいデータを生成する、生成AIと呼ばれるものです。

ChatGPTは、下記などを得意としています。

    • 緻密な文章生成
    • 企画や脚本の作成
    • プログラミング・コーディングの支援
    • 表作成や関数の記述
    • 質問の自動化

ChatGPTの利用は、人間による確認と修正が必要な場合もあるため、現時点では完全無欠とは言い切れません。

しかし、インターネット上の膨大なデータを活用でき、マーケットの予測といった分析も可能なため、業務の効率化やコスト削減が期待できます。また新しい価値の創出など、企業にとって成長とイノベーションの促進につながり、多様なメリットを享受できるでしょう。

本記事では以下、<Reskilling Camp>が2023年5月、国内企業660社を対象に行った調査、「リスキリング(Reskilling)の実態と今後についてのインターネットアンケート」の結果を、ChatGPT活用状況の最新動向やリスキリングとの関係性を中心に読み解いていきます。

AI(ChatGPT 等) の活用状況

まず、調査の回答者がメインで所属する企業に対して、「どの程度ChatGPT等のAIを業務で活用していますか」と質問を行いました。専門部署の設置などAIを導入し本格的に活用しているとの回答が11.5%、AIを導入し試験的に活用しているとの答えが23.5%で、両方を合わせると35.0%の企業がAIを活用しているという結果になりました。また16.5%の企業は、現在AIの導入を準備・検討していると答えており、合計すると半数以上(51.5%)の企業が、積極的もしくは試験的な活用や導入の検討・準備を行っている状況です。

一方で、AIの導入を計画していない企業が、全体の36.2%存在することが分かっています。

【出典】:Reskilling Camp「「ChatGPT活用状況」Reskilling Campリスキリング調査レポート特別編_2023年5月版P4

AI(ChatGPT等)の活用状況 -|企業規模別

企業の規模別で見ると、大企業、または大企業のグループ会社の25.5%は、専門部署の設置などAIを導入して本格的に活用しています。AIを導入し試験的に活用している企業(28.3%)と合わせると、半数以上(53.8%)の企業が業務でAIを活用しているという結果が、出ました。またAIの導入を準備・検討している企業は15.9%にのぼっています。

一方、中小企業・スタートアップ企業でAIを本格的に活用しているのは2.4%、試験的に活用しているのは20.2%で、合計しても22.6%と2割強といったところです。中小企業・スタートアップ企業は大企業、グループ企業の活用状況と比較すると、半数以下であることが分かります。

最先端のAI技術が凝縮されたChatGPTは、大企業の課題である業務改善や労働移動の支えになっていると言っても過言ではありません。ChatGPTの積極的な導入が、社員(従業員)の生産性向上と業務プロセスの改善、高度な業務へのシフトやビジネスアイデア創出に生かされています。また、部門に関係なく全社的な導入を進める企業も珍しくありません。

新たにOpenAI社よりデータの安全性を高めた大企業向けサービスが提供開始されたため、今後は大企業を皮切りにChatGPTの導入が、さらに加速すると見込まれます。

【出典】:ロイター「オープンAI、ChatGPTの大企業向けバージョンをリリース
【出典】:Reskilling Camp「「ChatGPT活用状況」Reskilling Campリスキリング調査レポート特別編_2023年5月版P5」

AI(ChatGPT等)の活用状況 |業種別

業種別で見ると、AIの活用率が最も高いのは、製造業であるという結果が出ました。AIを導入し本格的に活用しているのが10.6%、またAIを試験的に活用している企業が34.0%あり、合計すると製造業の企業のうち44.6%が、業務でAI(ChatGPT等)を活用しています。次に活用度が高いのは、通信情報サービス業です。AIを導入し、本格的に活用しているのは製造業とほぼ同率10.3%です。それに対し、AIを試験的に活用していると答えたのは17.4%と激減しています。製造業と活用度を比較すると、通信情報サービス業の活用度は、ほぼ半数であると分かりました。

製造業では約半数の44.6%が、AI(ChatGPT等)の本格的な活用・試験活用をしています。主に、需要予測、作業の自動化や不良品の選別などで使用されており、AI(ChatGPT等)導入による変革が、進んでいると言い換えることができます。

【出典】:Reskilling Camp「「ChatGPT活用状況」Reskilling Campリスキリング調査レポート特別編_2023年5月版P6

AI(ChatGPT等)の活用職務・業務

続いて、AI(ChatGPT等)を活用している職務や業務については、次のような結果が出ました。

AI(ChatGPT等)の活用職務

AI(ChatGPT等)を活用している職務は、情報システム・ITシステム(41.0%)が最も高く、続いて経営企画(34.9%)、人事(32.4%)、経営者・経営幹部(24.8%)と続いています。

他にもマーケティング(13.8%)、事務企画(13.5%)、営業企画(12.2%)、技術・研究(12.2%)、財務経理(11.3%)、営業・販売(11.0%)、商品開発(8.6%)、製造(7.6%)、CS(7.0%)とAIが幅広い職務で活用されているのが分かります。

最も多く活用している業務は、情報・ITシステムの41.0%になり、主に管理系の部門での導入が進んでいると言えます。

【出典】Reskilling Camp:「「ChatGPT活用状況」Reskilling Campリスキリング調査レポート特別編_2023年5月版P7

AI(ChatGPT等)の活用業務

「どのような業務シーンでの活用を行っている、または準備・検討をしていますか」の問いに対しては、次の通りです。

データの分析(35.2%)が最も多く、情報の検索(33.9%)、文章の要約・構成(31.5%)と続きます。この他にも、問い合わせやメール文面の作成(30.0%)、コピーライティングや文章作成(26.0%)、翻訳(24.5%)、議事録・アジェンダの作成(22.0%)と続き、文書作成業務が多い傾向があります。また、既存の業務の自動化(30.3%)や、コードの作成・レビュー(29.7%)といった業務に活用されていると分かりました。これらの結果より、従来は工数を掛けて対応していた業務の一部をAIの活用によって効率化が実現していると読み解くことができます。

【出典】:Reskilling Camp「「ChatGPT活用状況」Reskilling Campリスキリング調査レポート特別編_2023年5月版P8

リスキリングの取り組み状況、成果実感とAI(ChatGPT等)の活用状況

リスキリング(Reskilling)の取り組み状況とChatGPT等のAI活用状況の質問では、次のような結果が出ました。

リスキリングの取り組み状況とAI(ChatGPT等)の活用状況

「AI(ChatGPT等)を業務で活用していますか」の問いに加えて、「直近1年の間、社員(従業員)に対して、リスキリング(Reskilling)に関する取り組みを行いましたか」と質問を行いました。その結果、直近1年間でリスキリングを実施した企業のうち、26.9%は専門部署の設置などAIを本格的に活用しており、AIを試験的に活用しているとした企業が42.8%という結果でした。両方合わせて69.7%と7割近い企業が、リスキリングの取り組みを行っており、AI(ChatGPT等)の活用度も高いとする結果が出ています。

リスキリングを実施しなかった企業のAI活用状況は、AIを導入し本格的に活用している割合が9.8%、試験的に活用している割合が18.5%と、両方合わせても28.3%で3割に満たない結果となっています。

【出典】:Reskilling Camp「「ChatGPT活用状況」Reskilling Campリスキリング調査レポート特別編_2023年5月版P9

リスキリングの成果実感とAI(ChatGPT等)の活用状況

リスキリング(Reskilling)の取り組みに対する評価で大きな成果が出たと感じている企業は、ChatGPTの活用度においても非常に高いことが分かっています。

専門部署の設置などAIを本格的に活用している企業は91.7%、AIを試験的に活用している企業は6.3%です。この2つを合わせて98.0%のAI活用企業が、リスキリングの取り組みで大きな成果を得られたと実感していると読み取れます。

【出典】:Reskilling Camp「「ChatGPT活用状況」Reskilling Campリスキリング調査レポート特別編_2023年5月版P10

ChatGPTの活用事例

パーソルグループでは、ChatGPTを安心して活用できる環境として、パーソル版社内GPT「PERSOL Chat Assistant」を立ち上げました。プロジェクトは2023年5月に立ち上がり、同年10月には国内グループ38社、利用対象者約20,000人への展開が完了しています。

同プロダクトの大きな特徴の1つが、社員がChatGPTの機能をセキュアな環境で利用できる点です。法務・コンプライアンス・セキュリティ領域の担当者や、各事業担当者、ステークホルダーと連携して開発を進めることで、情報漏洩リスクが低く、社外からの信頼も厚いシステムとなっています。

もう1つの特徴が「プロンプトギャラリー」という機能です。これは、ChatGPTを効果的に活用するために不可欠なプロンプト(質問や指示文)を、プロダクト利用者間で共有することができる機能です。「プロンプトギャラリー」により、良いプロンプトが共有され、社内全体の業務効率化に繋がっています。

プロダクトの社内普及にも積極的に取り組んでいます。まずプロダクトのイメージキャラクターを作成し、親しんで利用してもらえるようにしました。また、「生成AIマスターへの道のり」というタイトルの学習ロードマップを作成し、研修やイベントなどのコンテンツを提供することで、積極的な利活用を後押ししています。

リスキリングの新たな選択肢に外部プログラム・リソースの活用を

デジタル人材の獲得は競争の激化が続き、多くの企業にとって切迫した問題です。外部からのデジタルスキル人材雇用の獲得に苦戦する状況下で、企業内部の人事施策としてリスキリング(Reskilling)の需要が近年高まっています。

しかしながら、自社の経営課題に基づいたリスキリング施策を内製し、遂行できる人材は希少です。ましてやデジタルスキルを駆使して、プログラムを一から構築し、さらに他の業務と合わせて行うには、大変な労力とコスト負担が難題です。

リスキリングのコンテンツを内製にこだわる必要はありません。新たな選択肢として、多様な分野の専門家による高品質なプログラムを提供する外部のプラットフォームの利用や、社外のコンテンツ、専門家を活用することで効率的なリスキリングが行えます。

また、リスキリングの実践には必ず大きな2つの壁に直面します。これが「スキル面」「マインド面」の壁です。

着目すべきポイントとして、活躍できるレベルのスキルセットを獲得できるか、また挫折せず学び続けるマインドセットを醸成できるかが、大きな課題だと言えるでしょう。

〈Reskilling Camp〉では、リスキリングにとって大切なものは、着実なスキル習得と学び続ける意欲を形成する仕組みだと考えています。そこで、スキル・マインドの両面を効果的にサポートできる〈Reskilling Camp〉のプログラム「リスキリングキャンプ」をおすすめします。

一人ひとりに最適な学習カリキュラムを設計し、取り組み目的や業務のニーズ、対象者のスキルレベルといった諸条件を踏まえ、学習テーマと到達ゴールを選定した内容のプログラムです。

このプログラムの特徴は、テクニカルコーチによる学習伴走と、キャリアコーチによる動機付けです。テクニカルコーチは毎週面談を行い、一人ひとりの学習をフォローしながら、こまめなケアで知識習得のつまずきや学びの挫折を予防にあたります。キャリアコーチは毎週1on1面談を通して、学習の意味付けや動機形成を行います。対話では精神的不安や迷いの解消をフォローする他、本人の内省を促し、変化意欲や成長志向の創出に努めています。

コーチの存在は、社員(従業員)にとって利害関係なく本音を吐露できる相手として、また企業側にとっては社員(従業員)の本音を組織開発に活かすためのパートナーとして、活用いただけます。導入企業事例の詳細については、こちらの記事をご覧ください。

リスキリング施策成功のポイント

リスキリング(Reskilling)施策を実行する上で、最大の課題はスキルとマインドのバランスです。

リスキリング施策に求められるバランスとは、戦力化への期待と社員(従業員)への配慮だと言い換えることができます。

リスキリング対象者のスキルレベルを十分把握した上で、定められたスキルレベルに到達するためには、社員(従業員)にかかる負担も考慮しなければなりません。知識としての学習(スキル)だけでなく、学習習慣の定着化や目的意識の醸成が、社員(従業員)のマインドセットの変革にとって重要な役割を果たしています。

〈Reskilling Camp〉はデジタルスキル要件定義とカリキュラムの設計、そして学習データによる達成度の計測で、到達すべきスキルレベルへの支援を行います。また社員(従業員)にかかる心理的負担をコーチによるマインド醸成と「学習継続率99%」「クラウド資格合格率77%」(※2022年6月時点)の学習伴走で支援し、リスキリング施策を成功に導きます。

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まとめ|ChatGPTの効果的な導入にはリスキリングが重要Reskilling Camp

今回の調査から、ChatGPT活用状況の最新動向として、大企業の過半数である53.8%が、AI(ChatGPT)を活用もしくは試験活用していると確認できました。特筆すべき結果として、リスキリング(Reskilling)の取り組みを行っている企業は、AI(ChatGPT等)の活用度も高い点があげられます。リスキリングで大きな成果が出たと実感している企業は、特にChatGPTの活用度が非常に高いことも分かっています。

AIの導入は業務の効率化を図る企業にとって、なくてはならないものになりつつあります。データ分析や文書生成などの業務に活用されるChatGPTをはじめとしたAIの活用は、リスキリングによる社員(従業員)のスキルアップと共に重要視されています。

〈Reskilling Camp〉は企業のニーズに合わせた最適なカリキュラムの設計や学習の伴走まで支援する、法人向け伴走DXラーニングです。受講生が不安を打ち明けられるキャリアコーチと、習熟サポートで学習伴走を行うテクニカルコーチがタッグを組み、研修対象者の戦力化を実現します。企業主導型と言われるリスキリングで途中離脱者を出さずに成功へ導く、〈Reskilling Camp〉まで、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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企画・編集/パーソルイノベーション株式会社 リスキリングキャンプ コラム編集室 三浦 まどか